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一年前、ある有名な優良企業に講演に行きました。営業報告はなるべく文章部分を減らし、営業情報を数値化しリアルタイムでナレッジメネージメントを行ない、営業の全体像が見えるようにすべきだと口説いたところ、マネージャークラスの方から猛反発を受けました。「うちは毎日数千文字の日報を通じて先輩が後輩を教育してきたから本日の会社がある」と言うのです。日本を代表するような会社ですから当人達から「文章をたくさん書くからこうなった」といわれると反論できないものです。
あれから半年経ったところ、この会社は売上が減り、株価も下がりました。気になって例のマネージャーに「営業社員達が書く文章の量を減らしましたか」と訪ねましたが、「冗談はきついですね」といわれました。実は来店客数も取り扱い商品数も微増なのに売上が減りました。原因はデフレでした。
うまく行っているときは人間が改革意欲を失い、マイナス面に目を向けなくなります。本来、黒字は結果であり、その原因には市場環境、パートナーシップ、商品力などの要素もあれば営業プロセスの要素もあります。黒字が出ているからといって営業プロセスの改革を怠ると市場環境などが悪化するとすぐに赤字に転落してしまいます。
「勝てば官軍」、「結果は全て」という言葉はありますが、これは負けた側、これから勝とうとする側が言う言葉です。勝った側がこんなことを言っていると次に戦いに負けてしまいます。中国の兵法には「勝敗は兵家の常」とあります。勝ち負けは常にあることですが、我々の営みは限りなく続くものです。重要なのは勝っても負けても常に平常心を以ってノウハウを蓄積し体力を改善して行くことです。
「勝てば官軍」、「結果は全て」は勝利への執着心を強めるには良いスローガンですが、科学的マネージメントと相反する部分があることに留意すべきです。極端なことを言えば、結果主義は最も安易で誰でもできる管理方法です。その延長戦には勝った時はいけいけどんどん、負けた時は自信を失ってしまう結果があります。
したがって勝っても負けてもあくまでも一時的な結果に過ぎません。その理由であるプロセスの改革・改善は企業が存続する限り常に行なうべきことです。経営側と管理側が自らに課す言葉としては「勝てば官軍」、「結果は全て」ではなく「勝てば見なす」、「結果には理由がある」を薦めたいと思います。