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商社もDXを活用することが、競争に勝ち抜く上で必要! メリットと活用のポイントをご紹介
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商社もDXを活用することが、競争に勝ち抜く上で必要! メリットと活用のポイントをご紹介

デジタル化はさまざまな産業に対して、変革を否応無しに迫ることとなりました。

商社もその例外ではなく、今の業務スタイルにこだわらずに幅広いデータを最大限に活用し、時代に合ったサービスを提供することが求められています。

今後の競争に勝ち抜くためには、DXによる変革も欠かせません。

本記事では、商社がDXに取り組むべき理由とそのメリット、活用するポイントについて解説します。

商社もDXに取り組むべき5つの理由

商社を取り巻く環境は、大きく変化しています。

これからの時代も商社が継続して成長し、利益を上げ続けるためには、DXの活用が欠かせません。

本記事ではまず、商社がDXに取り組むべき理由を5つ取り上げ、詳しく解説していきます。

Webなどを活用した直販ビジネスの拡大

BtoCの分野を中心に、Webなどを活用した直販ビジネスは拡大しています。

2021年7月に経済産業省が公表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」では、物販ビジネスにおいて、年を追うごとにEC化率がアップしていることがわかります。

EC化率
2013年 3.85%
2014年 4.37%
2015年 4.75%
2016年 5.43%
2017年 5.79%
2018年 6.22%
2019年 6.76%
2020年 8.08%

出典:経済産業省商務情報政策局情報経済課「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf p32

ECを用いた直販ビジネスの多くは、商社を介しません。

従って、ECが拡大することは商社の売上を上げにくくするひとつの要因となります。

もっとも、Webの登場以前から仲介業者を省く動きはありました。

農林水産省のデータによると、1980年から2011年の間に卸売市場を通さない取引の比率は大きく拡大していることがわかります。

種類 1980年の卸売市場外流通比率 2011年の卸売市場外流通比率
青果 14% 40%
水産物 14% 46%

出典:農林水産省「平成29年度 食料・農業・農村白書 平成29年度 食料・農業・農村の動向 第1部 食料・農業・農村の動向 第1章 食料の安定供給の確保 第6節 食品産業の動向」:https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h29/h29_h/trend/part1/chap2/c2_6_00.html

この場合、卸売市場外流通にうまく商社が絡めれば売上の拡大につながります。

もちろん、商談が取れなければ商機を得られません。

事業を存続させるためには、時代の変化に対応して、対策を積極的に打つことが求められます。

デジタルを活用したビジネス自体も拡大している

DXやAI、IoTなどの新しい技術は「売り方・買い方の効率化」にとどまらず、新しいビジネスを生むことにもつながります。

ドローンを活用したビジネスや自動運転は、その一例に挙げられます。

RPAに代表される業務効率化の手法そのものを販売することも、IT化が進んだ時代だからこそ生まれたビジネスです。

くわえて、デジタルの活用が商売の考え方を変えることも見逃せないポイントです。

代表的な考え方のひとつに、空席状況などを考慮して料金を機動的に変動させる「ダイナミックプライシング」が挙げられます。

旅行においては航空会社の直販比率を上げるとともに、旅行会社はWeb予約を推進する大きな要因となりました。

従来のビジネスに固執していたのでは、稼げる商材や手法を見落としてしまいます。

これからの商社は、デジタル分野にも明るくなければなりません。

クラウドの普及により、ニッチなサービスでもビジネスになる

クラウドの普及により、ニッチなサービスでもビジネスとして成立する時代となりました。中小事業者でも創意工夫を凝らすことで、以下のようなサービスや商品を気軽に提供できるようになっています。

  • 小回りの利く「かゆい所に手が届く」サービス
  • 特定の層に向けたサービスや商品

くわえて、SNSをうまく活用することで双方向のコミュニケーションを実現でき、ファンを増やしてロイヤリティを高めることも可能です。

このような取引は、商社を介さずにビジネスを確立させることが可能です。

将来、市場が大きくなった時点で商社が気づき参入しても、先発組の企業に勝つことは難しく、早期の撤退を迫られる可能性もあります。

商社にとっては早めに将来の「売れ筋」を見つけ、競争に割って入ることが求められます。

製造小売業の台頭

製造小売業(SPA)の台頭も、商社の将来を脅かす要因のひとつです。

製造小売業は商品の企画から販売まで、商品に関するほぼすべてのプロセスを押さえていることが特徴。

独自の調査・分析や情報収集能力により消費者のニーズを把握した上で、それに応える製品づくりも可能です。

いわば自社ブランドにおけるDXを先んじて実現させているわけですから、商社抜きでも稼げる体質とすることが可能。

商社がいないぶん、同じ品質ならより安く、同じ価格ならより上質の商品を提供できるわけです。

消費者にとっても、自分の欲しい物が安く販売されているならば、その店で買うことは当然の購買行動といえるでしょう。

DXを実現しないと消費者に関する情報が得られないため、タイミングの良い品揃えも難しくなります。

「話題になっているので大量に仕入れたら、ブームが去って大量の売れ残りが出た」といった事態は、代表的な失敗例といえるでしょう。

商社が消費者のニーズに追いつけなければ、取引先の企業も含めて敗者になりかねません。

仲介手数料で稼ぐだけのビジネスは時代遅れになりつつある

そもそも商社は商品の売り手と買い手を結びつけ、幅広い販路を提供する一方で手数料を受け取るビジネスが主力でした。

販路の開拓方法が限られていた時代は、なくてはならないビジネスだったわけです。

しかし、インターネットが普及した現在では、中小企業でも自力で販路を開拓できます。

何も工夫せず仲介手数料で稼ぐだけのビジネスに安住していると、「もう商社はいらない」と言われかねません。

いま商社に求められる役割は、商社を挟むことでしか得られないベネフィットを提供することです。

商社の持つ豊富な情報とノウハウをもとにした付加価値の提供は、その一例に挙げられます。

また将来性の見込める企業に出資し、事業の成功を支援してリターンを得ることも求められる役割のひとつです。

商社でDXを活用する3つのメリット

商社はIT系の業種ではありませんが、DXを活用することでさまざまなメリットが得られます。

ここでは主な3つのメリットを取り上げ、詳しく解説していきます。

先手を打ったビジネスを行え、主導権を握れる

将来を見通すことで先手を打ったビジネスを行え、主導権を握れることは代表的なメリットに挙げられます。

ビッグデータを活かし、商流全体でベストな手法を提案できる

商社の持つ大量の情報をビッグデータとして活かし、商流全体でベストな手法を提案できることは大きなメリットのひとつです。

たとえば、トレンドや気象状況などの影響を受け、需要が毎年変わる季節商品を考えてみましょう。

「作り始める時期は毎年同じで、シーズンに入ってから需要に応じて生産量を調整」といった方針を取る企業も、多いのではないでしょうか。

その結果、需要の激変にこたえられず、売り切れによるチャンスロスや作りすぎによる在庫の増加につながるおそれもあります。

ビッグデータを活かすことで、より精緻な需要予測が可能となります。

必要な製品を必要な分だけ提供でき、かつ作りすぎも起きにくくなるでしょう。

商流に関わる各社が利益を最大化できることは、大きなメリットとなります。

市場動向に沿ったビジネスを展開できる

ビッグデータの活用により、市場や顧客の動向に合った新しいビジネスも考案できます。

変化をいち早く知ることができれば、競合他社に先んじて商品やサービスを提供でき、先行者利益を得られます。

さらに変化にも柔軟に対応できるため、モデルチェンジも万全に行えます。

先手を打ち競合他社より優位となれる点も、メリットに挙げられます。

付加価値を提供できる

付加価値を提供できることも、メリットに挙げられます。

一例として、以下のものが挙げられます。

  • AIを活用して、在庫をできるだけ減らす
  • AIを活用して画像を解析し、実際に体重測定しなくても家畜の体重を予測できる
  • スマート工場の実現により人手を減らしながら、故障の影響を受けにくい工場にする

商流に関わる各企業が上記の対応を単独で行うことは、簡単ではありません。

商社からサービスを受けられることで、自社の収益アップにつながります。

くわえて、付加価値を生む事業は有料で提供することにより、商社としてもビジネスの柱となりうるメリットがあります。

ステークホルダー全体の利益率がアップする

DXに取り組むことで貴社のみならず、ステークホルダー全体の利益率を押し上げられることも見逃せないメリットに挙げられます。

ここでは得意先と物流の2つに分け、それぞれのメリットを確認していきましょう。

商流全体でムダを省けるため、商社だけでなく得意先の利益率向上にも寄与する

DXに取り組むことにより、無駄な発注を減少させる効果が期待できます。

このことは、商流全体に対して以下のメリットをもたらします。

  • 適正な数を生産し、作りすぎを防げる
  • 余分な仕入れをしなくて良いため、倉庫などの保管費用を減らせる
  • 処分セールに回す数量を減らせるため、利益率が上がる

このように、商流全体でムダを省ける効果が得られます。

商社だけでなく得意先の利益率向上にも寄与することは、大きなメリットとなります。

物流も最適化できる

DXを活用することは、物流にもメリットをもたらします。

たとえば、配送車の位置情報をデジタル化する、といったことも手法のひとつ。

配送先のルート選定をシステム化することで、最適な運送を実現可能です。

より少ないコストで配送できるとともに、ドライバーの負荷も減らせます。

ムダな配送を減らすことで、環境への負荷を下げられる点ももちろん、見逃せないメリットです。

「アフターコロナ」の時代にも対応可能

新型コロナウイルスの影響により、非接触がトレンドとなっています。

これは商品やサービスの開発はもちろん、商談における対応も例外ではありません。

DXの考え方をもとに商談のプロセスや仕事の進め方を見直すことで、「非対面」「非接触」のニーズに応えられます。

取り組みの内容や結果によっては、取り組み自体をノウハウとして他社に売り出せるかもしれません。

商社でDXに取り組む際に押さえておきたい5つのポイント

商社がDXに取り組み、成功させるためには、ぜひ押さえておきたい5つのポイントがあります。

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきましょう。

トップ自ら「時代の変化に対応しなければならない」という意識と覚悟を持つ

最も重要なポイントは、トップが自ら「時代の変化に対応しなければならない」という意識と覚悟を持って臨むことです。

それは、DXへの対応は単なるツールの導入にとどまらず、事業の改革も伴うためです。

改革を成功させるためには、トップの覚悟と強いメッセージが必須です。

「他社に対抗するため、とりあえずDXを導入する」という程度の指示では、現状の改善をベースとした取り組みにとどまります。

これでは、本気でDXを活用し改革に取り組む企業に勝てません。

シェアもダウンし、貴社の魅力も失われてしまうおそれがあります。

企画・材料調達の段階から顧客に届くまで、一連の過程を把握する強みを活かす

商社には、さまざまな情報が集まるという特徴があります。

そのため、企画・材料調達の段階から顧客に届くまで、商流全体を把握できることは大きな強みです。

各企業が効率化に取り組んだ場合、個々の企業で見ると全体最適であっても、商流全体では部分最適となりがち。

しかし、商社が関わることで、全体の最適化が可能となります。

多種多様な情報を活かしビジネスの構造全体を変えられる立場として、商社は有利な位置にあります。

この立場を活かす上でも、情報資産の活用は欠かせません。

IT技術を積極的に活用する

DXの実現には、IT技術の積極的な活用も欠かせません。

ここでは、2つのケースを取り上げ、それぞれの重要性を考えていきます。

ITを活用した新たなプラットフォームを立ち上げる

さきに解説したとおり、これからの商社は付加価値の提供も重要な役割です。

豊富なデータやノウハウをもとに、ITを活用した新しいサービスを提供することもおすすめする方法のひとつです。

一例として、化学系の商社であれば、AIに文献や実験データを読み込ませて有力な材料を提案するサービスが考えられます。

長瀬産業ではこのシステムをもとに他の機能をプラスし、新素材探索プラットフォームとして提供しています。

AIを用いて発注量を調整する

商社にとってベストな状況は、発注した量がすべて売れ、チャンスロスも出ないことです。

実際にこの状況に到達することは困難ですが、AIを用いてロスを抑えることは可能です。

注文を受ける側としては、「売り切れ」によるチャンスロスは何としても防ぎたいもの。

そのため、どうしても売り切れにならない量で発注をしがちです。

しかし、漫然と発注をすると、発注量は過剰となりがちです。

結果として作り過ぎてしまえば、以下のデメリットを生じさせかねません。

  • 大量の在庫処分を出すことで、ブランドイメージの毀損につながる
  • 大量に廃棄することで、環境に負荷を与える

一方、AIを用いれば、さまざまなデータをもとに最適な量を発注できます。

ロスを最小限に抑えることで在庫を減らし、ブランドイメージや環境を守れます。

トップが旗を振り、全社横断的に実施することが重要

さきに解説したとおり、DXは業務改善ではなく業務改革です。

全社横断的な実施が欠かせないため、トップの強い意志とリーダーシップが欠かせません。

もしDXを部門に任せた場合、実施内容や構築されるシステムはその部門に最適化されたものにとどまります。

これにより、以下のデメリットが発生する可能性があります。

  • 全社の事業運営にとって適するとは限らない(部分最適にとどまる可能性がある)
  • 部門間との連携や、他部門との横展開が難しい場合がある
  • 部門ごとに異なるシステムが乱立し、システム投資が重複するおそれがある

そもそも、各部門は、自部門の業績アップを第一に考える組織です。

「全社のことを考えて取り組め」と言われても、無理な注文といえるでしょう。

全社にわたる改革を行いたいならば、DX専門の部門を設けて取り組む必要があります。

DXを強力に推し進めるためにも、この部門は経営陣の直轄とし、できるだけ強い権限を与えることがおすすめです。

外部の専門家やクラウドサービスを積極的に活用する

商社でDXに取り組む際には、以下の活用を積極的に行うことがおすすめです。

  • コンサルタントなど、外部の専門家
  • クラウドサービス

DXに関わるシステムは、事業戦略に関わる中核的なシステムです。

貴重なノウハウが外部に漏れにくくするためにも、内製化を行うことは理想であり、実際に行っている企業はあります。

しかし、内製化には高度な専門家やIT人材が必要となり、人件費を大きく増やす要因となります。

どの商社でもできる手法ではないため、コンサルタントをはじめとした外部の専門家から積極的にアドバイスを受けることが重要です。

くわえて、DXを推進するうえで、システム化は必須です。

他方、システム化に関するコストはなるべく抑えることが重要ですが、オーダーメイドのシステムを組むと開発費・運用費ともに高額となりがちです。

コストパフォーマンスを上げるためには業務プロセスを見直した上で、クラウドサービスの活用がおすすめです。

たとえば、営業活動ならば、国産のSFAで定着率95%以上の「eセールスマネージャー Remix CLOUD」が役立ちます。

商社の発展にはDXを活用して業務改革を行い、積極的な情報資産の活用が求められる

商社にとって、モノを仲介するビジネスは引き続き重要です。

しかし、それだけに頼っているようでは、先細りの未来となってしまいます。

将来も発展を続けるためには、DXを活用した業務改革が必要です。

あわせて、商社が持つ情報資産を活用し、より良いビジネスを展開する創意工夫も求められます。

商社がDXに積極的に取り組むことで、得意先も効率的に動くことができ、関係する各社の利益をアップできる効果も期待できます。

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