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製造業のDXは現状把握から! 事例や必要性も合わせて徹底解説
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製造業のDXは現状把握から! 事例や必要性も合わせて徹底解説

「ウチは製造業だがDXは必要なのか?」「まず何からすれば?」「DXに取り組み中だが進まない…。原因も不明」

そんな悩みを抱えていませんか?

実は、製造業にこそDXが必要といえる情勢であり、すでにDXを達成して大きな成果を上げた国内企業は多数あり、その手法も確立しつつあります。

成功企業に共通しているポイントのひとつが、自社の現状把握。

そしてそれは同時に、DXに踏み切らずに潜在的なリスクを抱えている企業や、すでに取り組んでいるのになかなかDXできない企業に欠けているポイントです。

そこで今回は、製造業にDXが必要な理由や、成果を上げた企業の事例、現状把握がDXに重要な理由と具体的にすべきことなどを、まとめて解説していきます。

製造業にこそDXが必要な理由3つ

事例や進め方を紹介する前に、DXが製造業に必要な理由を紹介していきます。

理由をしっかりと理解し、説明できれば、DXを確実に果たす原動力につながり、関係者の協力も得やすくなるからです。

具体的には、主に以下3つが製造業にDXが必要な理由となります。

  • 製造や加工の付加価値が下がってきている
  • より早い製品のリリースが必要になってきている
  • 新製品リリースのハードルが高くなってきている

それぞれ詳しく解説していきましょう。

製造や加工の付加価値が下がってきている

製造や加工の付加価値が下がってきているのは、製造業にDXが必要な大きな理由です。

背景としては、サービスやデザイン、プラットフォームの付加価値が高くなっていることがあげられます。

たとえば、携帯電話業界は製造の付加価値の下がり具合がわかりやすい業界です。

2007年には、ソニーを含めた5社がシェアの9割以上を占めていましたが、2013年にはアップルが利益の92%を獲得しました。

iPhoneそのものの品質や性能が優れていたのも一因ですが、アップルのサービスやプラットフォーマーとしての強みが、シェアを独占できた主要因でした。

そして、製造業全体のトレンドとして、加工や製造の付加価値は今も下がり続けているのが実情です。

昨今は、設計や生産、組み立ての付加価値が低くなり続けている一方で、サービスやデザイン、プラットフォーム、サービスなどの付加価値が高まり続けています。

後述する小松製作所のように、製造だけでなく、自社製品を起点にしたサービス提供までを可能にするDXができると、売上に大きく貢献します。

より早い製品のリリースが必要になってきている

市場の変化が激しい昨今、変化に敏速に対応した新製品を投入するメリットが増しているのも、DXが必要な理由です。

いわゆるVUCAは製造業にもあてはまり、プロダクトライフサイクルは短くなっています。

したがって、DXで生産性を向上させつつ、市場が求めているものを正確に把握した上で、製品開発をより早くしていく必要があります。

新製品リリースのハードルが高くなってきている

変化に対応した新製品投入の重要性が高まる一方、新製品をリリースする難易度が上がっていることも、製造業がDXをすべき理由です。

製造業は、人口減少により技能の伝承などが困難になってきており、新製品開発の難易度が上がってきています。

足りない人手を付加価値の低い組み立てなどに割いてしまうと、新製品をリリースすることがますます難しくなってしまいます。

人口減少の問題が即座に改善する見込みは薄いため、DXを達成して限られた人員を有効活用する必要があるわけです。

製造業DXの具体像として成功事例を3つ紹介

製造業のDXを成功させるには、最終的なイメージを具体化するのが重要です。

以下、3つの成功事例を紹介していきます。

  • 小松製作所「KOMTRAX(コムトラックス)」
  • ミスミの「meviy(メヴィー)
  • 三菱電機のスマートファクトリー

各事例の詳細を見ていきましょう。

小松製作所「KOMTRAX(コムトラックス)」

建設や鉱山機械で有名な小松製作所は、DXを経て優れたビジネスモデルを作り上げた企業です。

具体的には、KOMTRAXというサービスを展開しています。

機械にIoTセンサーを追加して機械の現在地や状況、パーツの消耗度といった管理に役立つ情報を自動で取得できるようにしました。

ただ情報を自動で集めるだけでも点検や修理の役に立ちますが、情報分析をして、燃費向上などのアドバイスもするといった、一歩進んだサービスになっています。

また、小松製作所も顧客の情報がより詳細にわかるようになったため、商品企画や経営方針の決定などに役立っているとのことです。

ミスミの「meviy(メヴィー)」

機械加工製品や金型部品、工具などを販売しているミスミは、DXを経て生産性アップや顧客満足度の高いサービス提供を実現した企業です。

具体的には、meviyという3DCADデータのプラットフォームサービスを展開しました。

顧客はCADデータをアップロードすると見積もりや発注ができるというもので、効率的で正確な製造が可能になっています。

発注者と製造現場の情報伝達の効率化や、2Dの図面を作る手間を削減などにつながっているからです。

納品の短縮にもつながっており、ミスミと顧客双方の業務効率化と満足度の高いサービスになっています。

三菱電機の「スマートファクトリー」

三菱電機も、DXを達成して多くのメリットを得ている企業です。

具体的には、機器同士でネットワークを組み、自動的にデータを収集・分析し、工場を最適化するというものです。

いわゆるスマートファクトリーを作るサービスを提供しています。

なお、スマートファクトリーとは工場内の機器や設備をインターネットにつなぎ、データの収集や解析を経て、業務の自動化や最適化を目指す工場のこと。

三菱電機はDXを経て、他企業のDX支援ができるようになり、実際にビジネスモデルを構築できた企業と言えます。

DXをして得られる具体的メリット3つを紹介

製造業の企業がDXをして得られるメリットを紹介していきます。

先のDXの成功事例は、最終的なメリットであるビジネスモデルに昇華しており、似たようなことをいきなり実現するのは難しいためです。

DXを達成するには、スモールスタートで進めていくのが重要になるため、まずは以下のメリットの1番目と2番目を意識するのが重要です。

  • 需要のある製品開発が可能になる
  • 生産性をアップできる
  • まったく新しい製品やビジネスモデルを生み出せる

各メリットを具体的に解説していきます。

需要のある製品開発が可能になる

DXによって付加価値の低い業務を自動化したり、部門間の連携や情報共有を強化したりできれば、需要があって売上のあがる製品開発を目指せます。

営業やマーケティング部の顧客情報を開発に活かせていないという状況や、製品開発の時間を十分取れないという状況を好転できるからです。

各種ツールの導入などをすれば十分達成できるため、まず得たいDXのメリットだといえるでしょう。

生産性をアップできる

業務効率をアップできて、生産性向上や人件費などの各種コスト削減をできるのもDXのメリットのひとつです。

比較的、ルーチンワークの多い製造業において、業務効率のアップに日々取り組む企業は多いですが、現状のままPDCA的な改善をするよりも、DXは大きな成果を見込めます。

必須工程の最適化ではなく、自動化などを目指せるためです。

生産性が向上すれば、より付加価値のある業務に時間をかけられるようになります。

需要のある製品開発ができるというメリットもより大きく得られるでしょう。

まったく新しい製品やビジネスモデルを生み出せる

DXを経て生産性アップや需要を理解した上での製品開発ができるようになると、最終的に、まったく新しい製品やビジネスモデルの構築を目指せます。

自社に新規事業が増えれば、売上がアップするのは自然なことです。

先に紹介したメリットを確実に得つつ、成功事例で紹介した企業のように新製品やビジネスモデルの構築を目指してください。

製造業のDXの進め方4ステップ

3ステップ

製造業のDXの進め方は、大きく分けると以下の4ステップに分けられます。

  • 現状把握
  • 製造業でDXが達成できたときのあるべき姿を具体化
  • 経営層を中心にチームを組みDXに取り組む
  • ビジネスモデルや新サービスを考える

各ステップの詳細を解説していきます。

現状把握

製造業に限りませんが、企業がDXを目指す場合は、まず現状把握を定量的におこなうのが重要です。

次ステップにて、DXで達成したいことを具体化しますが、いわゆるAs-Is / To-Beが破綻していると、DXの達成計画を正しく立案できなかったり曖昧になったりします。

計画をうまく立てられていないと、費用や労力をかけても思うような結果は得られません。

したがって、現状把握を綿密におこなってください。

なお、自社の現状はツールを使って定量的に把握する必要があります。

勘や経験則による現状把握は実態との乖離が発生する可能性が高く、立場が違えば現状を見る視点も違ってきます。

また、製造現場だけでなく、営業現場から顧客や競合他社の動向を把握するのも重要です。

業界の流れから遅れをとってしまうと、売上低下のリスクを抱えるのはもちろん、DXの方向性を間違えてしまう可能性も出てきます。

したがって、プロセスマイニングツールやSFA/CRMといったツールを導入して、現状を自動的かつ正確に数値化していきましょう。

製造業でDXを達成できたときのあるべき姿を具体化

製造業のDXを達成できたときのあるべき姿(To-Be)のイメージを具体化します。

基本的には、先に紹介した「DXをして得られる具体的メリット3つ」を具体的にしていきましょう。

あるべき姿が明確になり、現状も正しく把握できていれば、目指す姿にいたる手順も具体的にできるはずです。

手順についての詳細は「【推進手順つき】DXとは?意味や事例、推進方法をわかりやすく解説」の記事が参考にしてください。

経営層を中心にチームを組みDXに取り組む

製造業のDXの達成には、経営層などによる推進力が必要になります。

現状把握やDXの計画が正しくても、実際にDX達成に向けた動きが取られないと意味がないからです。

また、基本的にDXは複数部門が関わるプロジェクトであり、小さな成功を積み重ねていく取り組みでもあります。

したがって、「いま取り組むべき優先事項である」と明示してDXを推進していく存在が必要になります。

経済産業省のDX推進ガイドラインにも記載されていますが、基本的には経営層が中心になるのが良いでしょう。

ビジネスモデルや新サービスを考える

DXに取り組み始めたころから考えるのは難しいかもしれませんが、DXが進んでくると、新しいビジネスモデルやサービスの構想などが見えてくるケースが多々あります。

成功事例で紹介したようなビジネスモデルやサービスの構想が見えてきたら、新規事業として設定し、実現に向けた手順を具体化していきましょう。

最初のステップ「現状把握」の重要性と具体的な方法

DXの推進ステップはどれも重要ですが、最初のステップである「現状把握」は特に重要です。

DXを経て新商品を開発する時間を捻出できたり、新しいビジネスモデルの構想が見えてきたりしても、市場の需要を反映できないと売上につながらないからです。

製造業のDXというと、製造の現場ばかりに目がいきがちですが、市場の情報や需要を収集しているのは営業・マーケティング部のはず。

一気通貫した情報共有を前提としたDXが必要になります。

現状把握の段階で導入するSFAやCRMがきちんと活用されれば、営業・マーケティング部と製造・開発部門の情報の一元管理が可能になります。

まとめ:現状把握の正確さが製造業界DXの成否の分かれ目!

製造業がDXを達成できたときの見返りは大きく、人口減少にともなう新製品の開発難といった、DXに取り組まざるを得ない理由もあります。

すでにDXを達成して大きな成果をあげている製造業の企業も多数あるため、ぜひDXに取り組んでください。

そして、製造業でDXを達成する上で特に重要になるのが、営業・マーケティング部門と製造部門間での一気通貫した情報共有と現状把握です。

SFAやCRMが役立ち、活用するだけでも生産性がアップするため導入を検討してみてください。

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