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eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ 【金融業界向け】DXの現状と今後の求められる展開は?
【金融業界向け】DXの現状と今後の求められる展開は?

【金融業界向け】DXの現状と今後の求められる展開は?

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日本経済の基盤であり、けん引する立場にある金融業界にも、DX化の波が押し寄せています。

しかし、業界全体としてはまだ最先端のDX効果を最大限に活用できていない状況、と言うべきでしょう。

金融業界特有の事情によって進まないDXについて、現状を解説します。

他業界や日本全体のDXに関する取り組みを自社と比較することで、やがて来るDX危機「2025年の崖」を、現実のものとしてイメージできるでしょう。

そもそもDXとはなに?

DX=デジタル・トランスフォーメーション

「DX」という言葉は、「さらなるITの進化が世の中を変える」という意味合いでスウェーデンの大学教授が提唱した言葉です。

IT技術が私達の生活を変えたことは、多くの人が実感しているでしょう。

DXは、このIT技術の活用をさらに進め、「便利なIT技術で世の中のありようを変えるレベル」のイノベーションを起こすことを指しています。

詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。

DXが求められる背景と日本経済を襲う危機

DXは社会経済全体に影響を及ぼします。

日本にはかつて、自動車、電機、電子、半導体業界などの分野で世界を大きくリードし、栄華を誇っていた時代がありました。

その後、日本を必死で追いかけてきた韓国にシェアを大きく奪われ、さらには中国が圧倒的な成長力で追い越しいき、いまや世界経済のトップに立とうとする勢いです。

従来の基幹産業で他国に追い抜かれてしまった現在、産業構造の改革の必要に迫られていますが、はたして日本はその課題に対応できていると言えるでしょうか?

IT時代の到来から20年ほど経ちますが、世界をけん引するGAFAのような新たな企業は国内に現れていません。

日本経済全体のDXにおける課題と対応

基幹産業の世界的な競争激化による経済の停滞や、新たな産業やビジネスで世界をけん引できていない現状が、日本のここ数十年の課題です。

DXはその状況に追い撃ちをかけるように、さらに深刻なダメージを与える恐れがあるとして、専門家筋は公的文書やコラムで指摘しています。

その理由は何なのか、次の章で解説します。

DXに関する取り組み状況と傾向分析

「2025年の崖」問題

「2025年の崖」というキーワードを、聞いたことはあるでしょうか?

かいつまんで説明すると、「2025年に、日本企業は従来のITシステムの更新に関連して大きなトラブルをかかえる恐れがある」ということです。

具体的には、以下のような懸念です。

IT技術者の枯渇

まず、IT技術者が圧倒的に不足してきます。

経済産業省の試算では、2025年に40万人程度のIT技術者不足が発生する、と指摘しています。

日本の少子高齢化社会における深刻な問題のひとつと言われています。

既存ITシステムの老朽化

技術者数の絶対的な枯渇に加えて、旧システムに対応できるIT人材がさらに減少すると見込まれています。

旧システムとは、「オンプレミスの情報システム」とか「企業専用情報システム」と呼ばれるような、自社専用に設置されたITシステムのことを指します。

大きなコンピューターやサーバーを自前で準備して、カスタマイズされたものです。

「誰が見ても分かるプログラム」を前提に作られていないので、基本は、当時のシステムを開発したインテグレーターと自社の情報システム部門がメンテナンスを行っています。

しかし、2025年には、そうした技術者の中で年齢的に引退を迎える方が増加します。

それにより、当時のプログラミング言語を分からない人材の方が多勢を占めると言われています。

また、既存システムを担うIT製品全般がサポート期限を迎え、メンテナンス部品の販売も停止する恐れが出てきます。

部品の調達がまったくできなくなる、という恐ろしい事が起こるかもしれません。

そこまでいかずとも、メンテナンス部品は品薄で高騰する可能性が高いでしょう。

「2025年の崖」が引き起こす事態は?

こうした事から、以下のような事態が予測されています。

  • 既存システムの停止
  • メンテナンスコストの大幅な上昇
  • 蓄積したデータを新システムへ移行できない
  • メンテナンスや監視がおろそかになり、サイバーセキュリティが脆弱に

結果として、

  • ビッグデータの活用ができずDXの波に遅れてしまう
  • 自社業務システムの維持が困難になる
  • 保守にIT人材を割かなければならず、最先端デジタル技術開発に人材を回す余裕がない

といった不利益が生じる可能性があります。

腰をあげるべき時は今

いずれも、企業にとって万全の対応をしていないと、大きく評価を落とす恐れのある問題です。

2025年までもう4年を切っています。

本腰を上げて対策を取ることが、今後の企業運営を左右することになるでしょう。

金融業界と他業界の比較

IT化が得意な業界と対照的な金融業界

DXへの取り組みについて、金融業会と他業界を比較するとどうでしょうか?

残念ながら、金融業界は他の業界よりもDX化に向いていません。

それは以下のような事情があるからです。

IT業界やサービス業など若い企業が積極的に展開できる環境にある

業界自体が若く、また、そもそもITを生業として企業運営をしてきたIT関連企業に関して言えば、DXへの対応が円滑にできているところが多いと言われています。

金融業界のようにオンプレミスで独自情報処理システムを構築している企業よりフットワークが軽く、新たな取り組みに対する意思決定も早い傾向にあります。

B2Cビジネスでは顧客のITリテラシーに関してバラつきが大きい

これは金融業界に限った話ではないのですが、銀行業界でいわゆる小口として扱われるB2C取引の場合に、DXへの移行に障壁が出ることが多いと言われています。

Webオンライン商談に利用されるMicrosoft TeamsやZOOMなどに慣れている層は、B2Cではまだまだ限定的です。

特に、少子高齢化社会の多数を占める高齢者が顧客になる場合は、その利用割合は大きく下がるでしょう。

この点は、企業側で改善できるポイントではないため、課題としては残る事でしょう。

伝統業界ならではの障壁「はんこ」「対面重視」

金融業界は伝統と共に経済を支えてきています。言い換えれば原始的な手法や習慣を残しながら現在もビジネスの中枢を担っていると言えます。その象徴的なツールがはんこであり、契約時は対面で行う点も同様です。

この点を大きく変えられる動きが無いと、DXによる革新的な進化を望むのは難易度が高いと言えると思われます。

なぜ金融業界はDXをけん引する業界となれないのか

伝統と継承による足かせ

ここまで見てきたように、金融業界は歴史ある企業が多く、その積み重ねてきた実績が伝統となり慣習となっています。

その歴史に対して、「何かを変える事」「何かを止める事」は困難であると言われています。

金融業界に限ったことではありませんが、「歴史と伝統」が良くも悪くも影響しています。

金融業界全体の風土

金融業界はお金や証券保険などを取り扱う商売であり、取引相手の資産をあずかり、管理していく過程で利益を得ています。

そのため、昔から金融ビジネスは「信用」を得ることが最重要であり、失敗はあってはならない、という前提で進みます。

新しい事をする過程で何かのミスが出てしまう事は容認されません。

「ミスなく取引を完了する」という事の方が、金融事業会社にとって重要となります。

そのため、変革を進める事が良しとはされない風土があると言われています。

セキュリティを最優先するが故のガラパゴス化

金融商品や顧客の資産を安全に預る、という最重要課題があった故に、金融機関の情報システム(ITシステム)はオンプレミスで、一部の関与する担当者とシステム業者にのみアクセスが許される、閉じられたシステムでした。

「2025年の崖」問題に関連しますが、金融各社が望んで行った閉じられた情報システムの構築が、今となって、次世代のDXシステム構築の大きな足かせとなっています。

日本経済を支える巨大企業ゆえの悩み

金融各社が超大企業であるという事実も、ITインフラの大規模な変革や改修をするのに、莫大な予算を計上しなければならないという悩みに繋がります。

これも、金融各社がDX投資に二の足を踏む要因のひとつと言われています。

金融業界のDX化推進に必要なキーワード3点

デジタル人材の確保

DXに直結する新たなITスキルを持つ人材の確保

2025年の崖問題で解説したように、ITスキルを持つ人材の不足が、ここ数年で急速に進みます。

その人材は、大きく2つに分けられます。

  • DXに対応するためのIT人材
  • 既存システムのメンテナンス・改造などに対応できる人材

まず、発展的・能動的な「DXへの対応を実現させる」ためのIT人材の確保が間違いなく必要です。

それが出来なければ、次世代のビジネスに対応できなくなる恐れがあります。

2025年の崖から落ちるようなことが無いよう、注力すべき要件として認識することが重要です。

 ・旧システムを新システムに移管させるスキルを持つ人材の確保

ITスキルには「攻めのITスキル」「守りのITスキル」があります。

既存の情報システムを延命させながら、新システムへの移行を進めていかなければなりません。

これまで取得してきた企業の無形資産であるデータを無駄にしないためにもこの対策は欠かせません。

また、社外におけるIT人材の活用施策の一つとして、「業務の外注化=アウトソーシング」があります。アフターコロナにおいては特にテレワークとの相性も良く、近年になって多くの企業が導入しています。以下の資料にアウトソーシングの概要から、CRM/SFAを用いたアフターフォローまで詳細を記載いたしました。業務の生産性向上の一案としてぜひご検討ください。

クラウド社会への柔軟な対応

現在、各企業がサーバーを置いて自社専用の情報システムを構築するオンプレミスシステムから、クラウドシステムを使った自社サーバーを持たないシステムへの移行が急速に進んでいます。

しかし、金融業界では、サイバーセキュリティ対策への不安などからクラウドシステムへの対応をどのように進めるか、各社は慎重な姿勢を崩していません。

現状、銀行では9割、その他金融業の6割がまだクラウドシステムを採用していない、という情報が出ていますが、2025年の崖を考慮するならば、これは憂慮すべき状況でしょう。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel180314a2.pdf

※引用:日本銀行 ITを活用した高度化に関するワークショップ

業界全体での規制緩和/DX対応の検討

生活インフラを担うがゆえの「変化に対するアレルギー」の解消

「金融業界がDXのけん引役になれない理由」で、金融業界の2025年問題解決のボトルネックとして挙げた課題です。

ATMのシステムが全面的に停止してしまうトラブルが発生したのは、印象的な事件でした。

金融機関は国民の生活インフラ的な役割を果たす立場でもあり、改革によるメリットよりも、仕組みを変えないことで安全や維持を担保する事が優先されるのは、業界体質として致し方ない部分もあります。

しかし、それによってDXへの対応が遅れないよう、業界全体が足並みを揃えて変化に対応すべき時期に来ていることもまた、事実でしょう。

 「契約書」「ハンコ」の電子化、対面契約の見直し

変化に対するアレルギーを克服し、実行するには、契約書やハンコ、対面契約のような「手段の変更」を必要とします。

現在のセキュリティ対策は大きく進化してきていますので、現時点でどこまで可能になったのか、早急にITベンダーからの提案を受けてみるべきでしょう。

海外のDX対応が先行している通り、日本では認知されていない高度な代替手段は、日々のイノベーションによって生まれています。

金融業界が動かなければ日本全体を変えられない

日本では、DXに関して「2025年前後に寿命を迎える企業の保有する既存情報システムの更新ができず、情報を業務に活かせない」という問題が指摘されています。

その理由は、ITスキルを持った人材の大幅な不足が起こると予測されているためです。

各企業は、既存システムからDX対応システムへの移管を進めるために、既存システムの移管と新規システム構築の両面において、スキルを有したIT人材を確保する必要が出てきます。

特に、金融業界においては業界独特の歴史、伝統や慣習によって、DX対応やクラウドシステム化対応がなかなか進んでいないという現状があります。

日本の根幹を支える金融業界がDX化に失敗した場合、日本経済に与える影響は極めて大きいものとなるでしょう。日本経済の維持・繁栄のためにも金融業界全体がDX化に向けた意思疎通を図り、団結してこの問題に対応すべき時に来ているのではないでしょうか。

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