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eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ 顧客は神様ではない。もっと近くで感じるべき身近な存在
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顧客は神様ではない。もっと近くで感じるべき身近な存在

おそらく「お客様は神様だ」という言葉を聞いたことがない人はいないと思います。しかし、この言葉は、売るほうの立場に立って考えても、買うほうの立場に立って考えてもおかしいのです。今回はその言葉を深掘りたいと考えています。

売る方の立場として考えてみる

まず売る方の立場に立って考えてみましょう。

我々は顧客を本当に神様と思うのであれば、まずノルマ制度を廃止すべきです。神様の意思を無視して、信者が勝手に数字を決めて神様にモノを売り付けることは、神への冒涜そのものです。顧客を本当に神様と思ったなら、顧客への提案はできなくなります。しかしながら、世の中はさかんに提案型営業の重要性を謳っているではありませんか。どうして、そのようなことができるのでしょうか。

顧客が、間違った認識や情報を持つケースも多々あります。それを正してあげて顧客の真の利益を考えるのも、我々営業マンの使命です。顧客を神様だと少しでも思うのなら、そんな心構えはできるわけがありません。

買う側の立場として考えてみる

次に買う方の立場に立って考えましょう。我々がモノを買う時、神様の気分を味わいたいのでしょうか。違いますね。聞きたいことをきちんと教えてくれれば、あとはかまわないでほしいと思うでしょう。もちろん、ほどよい気遣いは嬉しいのですが、過剰な勧誘や押し売りは迷惑になるだけです。ましてそれを高い値段に上乗せされて要求されれば、最悪な気分です。

顧客を神様だと本当に思ってくれるのであれば、欲しいモノを欲しいときに欲しいだけ提供してくれる仕組みを作ってほしいと思うのです。せっかくの休日に、チャイムと電話を無断で鳴らして邪魔しないでほしいものです。一度要らないと言ったらその情報を記録に残し、他の営業マンが二重に迷惑をかけないようにしてほしいのです。メールで済ませるようなことに、わざわざ大事な時間をとらないでほしいものです。

結論、顧客は神様ではなかった

結局のところ、誰も顧客のことを神様だと思っていないのです。本当は「とにかく顧客の気分をよくさせて、買ってもらえばそれよいのだ」という一方的な思いを象徴する言葉です。

ではこの公然たる偽善が、どのような結果を生み出すでしょうか。

まず営業マンは顧客に得させる独自の工夫をしなくなるでしょう。ご機嫌営業が横行し、それがいつのまにか社会風土となり、日本の流通コストを伸し上げて、世界に通用しなくなる経済効率を生み出すわけです。

たとえば、「証券営業マンは一日100通の手書きのはがきや手紙を書きます」
「保険の外交員は、飴と笑顔とお願いを配って一日を終わらせています」
「事務機器の営業マンは100回も訪問し、その証拠として名刺を机に置きます」など。
これらの営業マンに、なぜそんな非効率な営業をするのかと尋ねたところ、本音を聞くことができました。商品の差別化を図ることができないので、「情」や「押しの強さ」でしか差をつけられないのです。

つまり、営業マンは誰も顧客のことを神様だとは思っていないのです。「餌」だとしか考えていない人が多数いるのも事実でしょう。 「顧客は神様」という言葉の真意は、顧客を神様に祭りあげて気分をよくさせておいて、気前よく財布の紐をといてもらいたいということです。このことを非難はできませんが、こればかり強調していると顧客の本当の気持ちがわからなくなってしまいます。

でもそれではダメなのです。

お客様はすぐ近くにいる存在、距離を離してはいけない

たとえ真摯に顧客のことを神様として扱う人がいるとしても、この考え方は評価できません。なぜならば、「神様だ」という気持ちを持つと、顧客との距離が離れてしまい、気持ちを理解できなくなるからです。

顧客との関係を最良にマネジメントするには「顧客の身になって考える」という心構えがベストだと思います。こうすれば自然と自分が欲しくないものを顧客に強引に売るようなことはできなくなります。良心に反して商売させる企業を辞めて、自分が納得できる商品を作り出している企業に転職しようとするでしょう。

その結果、顧客との関係を本当に大事にしている会社が世の中に残り、社会はもっと快適になると私たちは考えています。

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