大阪ガス株式会社 様

エネルギー自由化でコスト競争激化 効率的な営業活動を目指して導入

近畿2府4県、約650万のお客様に天然ガスを提供している大阪ガス様。最近では分散型エネルギー・システムとして、天然ガス・コージェネレーションが1997年に施行された「新エネルギー法」に指定されるなど、国がその普及の後押しをしていることもあり、産業用エネルギー市場が拡大している。 一方ではエネルギーの自由化が進み、電力会社やLPG(液化石油ガス)業界などとコスト競争が激化。市場拡大、コスト競争の激化という環境の中で、効率的な営業を実現するために、エネルギー事業部北東部エネルギー営業部産業エネルギーチーム42名に、2002年11月よりeセールスマネージャーを導入している。

ますます市場拡大の産業用新エネルギー・システム

エネルギーの有効利用の観点から、同社はコージェネレーションや地域冷暖房システムといった新しいエネルギー・システムを開発・提供してきた。 同社が提供しているコージェネレーションとは、都市ガスでガスタービンやガスエンジンを駆動させて発電するとともに、発生した排熱を給湯や冷暖房に利用する分散型エネルギー・システムである。また、地域冷暖房システムは、一定の地域全体に冷水、温水、蒸気を配管で送り、冷暖房や給湯などを使用してもらうシステムだ。 こうした新しいエネルギー・システムは、工業炉やボイラー、空調設備などで大量のエネルギーを消費する製造工場を中心に、大型ビルやファミリーレストラン、ファーストフード店、銭湯、病院などにも普及が進んでいる。 同社はこれまで産業、病院やホテルといった市場の開拓にも力を注入してきたが、特に製造工場を中心とした産業用市場の開拓を手がけてきたのが、産業エネルギーチームである。 同社では、担当するエリアを5つに分け、地域の顧客にきめ細かなサービスを提供しているが、今回、同社の第一陣でeセールスマネージャーを導入したのは、奈良県や吹田、枚方、東大阪などを管轄する北東部エネルギー営業部産業エネルギーチームだ。 導入の理由を、産業エネルギーチームのマネジャーの藤原正隆氏は次のように語る。 「コージェネレーションに代表される新しいエネルギー・システムの開発で、お客様の数も増え産業市場が拡大してきました。ところが、ここにきてエネルギーの自由化で競争が激化。限られた人員で従来以上の成果をあげるには、ITを活用して営業業務の効率化を図るのが一番の解決策でした」。

従来の業務管理システムでは、情報の分析ができなかった

実は、北東部エネルギー営業部産業エネルギーチームには、すでに顧客とのやり取りを議事録として記録するために、エクセルをベースとした業務管理システムを導入していた。ところが、このシステムでは顧客情報が重複したり、ひとつの情報を2度入力しなければならないなど、問題点も多かった。しかも、各営業担当者もファイルを取り出して読み直すのが面倒であったため、せっかく重要な情報を入力してもそれが当初の目論見どおり共有されていなかった。 「従来の業務管理システムでは、入力に時間がかかるため、顧客情報の蓄積が思うようにいかなかったこと、さらには人によってはダラダラと入力してしまうために、キーワードでの検索や分析がうまくできませんでした。つまり、成功事例を分析したくても、できなかったのです」と、産業エネルギーチームの土橋克行氏は振り返る。 そこで、本社の情報通信部に相談したところ、eセールスマネージャーの導入をすすめられた。2002年7月のことである。同部の池上宏氏らはすでに調べが済んでいたようだ。

カスタマイズの容易さと使い勝手の良さが導入の決め手

産業エネルギーチームには4グループあったが、さっそく、各グループの代表と情報通信部の10名弱でeセールスマネージャーの導入に向けて検討委員会が作られ、9月上旬には導入が決定された。決め手になったのは、池上氏が指摘していたようにカスタマイズが容易であったことだ。さらに、プルダウン方式で現場の営業担当者が簡単に入力できる使い勝手の良さも評価された。 11月上旬には営業のひとグループ、8名に先行導入が決まり、続いて11月半ばには他の3グループにも導入され、現在産業エネルギーチームの48名が使っている。 しかも、チーム全員に「504i」のiモード端末を支給。現時点では情報の入力はパソコンで行い、携帯電話からは情報の検索のみができるようになっている。ごく近い将来にはiモード端末から入力する運用を始めたいという。

データの活用が今後の課題。本領発揮はこれから

eセールスマネージャーを導入して半年が経つが、導入効果を土橋氏は「かなりデータが蓄積されるようになり、今後はどう活用していくかが課題」と語る。 その点、カスタマイズが容易なeセールスマネージャーなら、どんな情報が必要なのかを洗い出して、項目を変更することで、システムをブラッシュアップしていくことができるというメリットがある。また、各営業担当者の進捗状況をマネジャーがリアルタイムで把握できるようになったことは大きいと藤原氏は指摘する。 「当社では天然ガスだけに限らず、お客様のエネルギー・ニーズをひとつの窓口で承るワンストップ・サービス体制の構築を目指しています。そのためには電力やファイナンスに関する知識など、それぞれの分野の専門的な知識を持ったスタッフの手助けが必要になります。マネジャーがリアルタイムで進捗状況を把握できれば、必要に応じてスタッフを手配でき、大きな商談をまとめることが可能になります」。 リアルタイムで営業活動の進捗状況を把握できることは、適正な営業活動を可能にする。「今後、eセールスマネージャーの導入で成果が出れば、全社的な導入も考えられます」(藤原氏)。

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