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2025年問題をわかりやすく解説|生じる影響や企業が取るべき対策とは
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2025年問題をイチからわかりやすく解説|生じる影響や企業が取るべき対策とは

目前に迫った「2025年問題」は、超高齢社会を迎えることにより発生する社会問題です。社会保障費の増大や労働力の減少など、社会や企業へさまざまな負の影響を及ぼすことが確実視されています。

本記事では2025年問題の概要や影響、企業が取るべき対策について解説します。この局面を乗り越え自社の生産性を向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。

2025年問題とは?課題点を解説

2025年問題とは、超高齢社会を迎えることで生じるさまざまな社会問題のことです。2025年には、団塊の世代800万人全員が75歳以上を迎えることで、年金・医療・介護費の負担がこれまで以上に増大します。

厚生労働省が発表している、2025年の社会像は以下のとおりです。

1. 2015年以降は高齢化率の高さ(高齢者数の多さ)が問題となる
2. 認知症高齢者の急速な増加が見込まれる
3. 高齢者世帯のうち、一人暮らし世帯が約37%に達する
4. 年間死亡者数の急増が見込まれる
5. 都市部の急速な高齢化が進み、「住まい」をはじめ従来と異なる問題が顕在化する

出典:厚生労働省「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~」より抜粋

2025年問題において最大の課題点として挙げられているのは、高齢化社会が進行することで現役世代が減少し「労働力人口不足」に陥ることです。労働力人口の不足は、税収の減少や国内市場の縮小など、社会にさまざまな悪影響を及ぼします。

「2025年問題」と「2025年の崖」の違い

2025年問題と類似した言葉に「2025年の崖」があります。

2025年の崖は、経済産業省のレポートで提唱されている概念です。各企業のDX化の推進がうまくいかなかった場合、2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じ得る問題のことを指します。

「2025年問題」はさまざまな社会問題全般を指すのに対し、「2025年の崖」は企業の非DX化がもたらす危機的状況を表す用語として使われています。

DXに関する詳細は、以下の記事を参考にしてください。

参考:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?経済産業省の定義や具体策をわかりやすく解説

「2025年問題」と「2040年問題」の違い

2040年問題とは、2040年頃に高齢者人口の割合が最大化することで、経済や社会基盤が危機的状況に陥ることを指します。

世代人口の変化によって起こる、初めの問題が「2025年問題」です。2040年頃には労働力人口減少に拍車がかかり、行政や公共インフラなどあらゆる分野に問題が波及すると見込まれており、これが「2040年問題」と呼ばれています。

2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になるため、超高齢化による問題はさらに深刻化します。

2025年問題が日本に与える影響

2025年問題は、日本にどのような影響を与えるのでしょうか。

ここでは「社会」と「企業」に与える代表的な影響についてそれぞれ解説します。

社会に与える影響

社会に与える影響

2025年問題の社会的影響は、大きく以下の3点が挙げられます。

  • 社会保障費の増大にともなう現役世代の負担増
  • 医療・介護サービスの供給不足
  • 国内市場の縮小

後期高齢者の医療・介護費のおよそ9割は社会保障費、つまり現役世代が支払う税金によって成り立っています。

超高齢化にともない社会保障費が増大する一方、労働力人口が減少するため現役世代1人あたりの税負担が重くのしかかっているのです。

さらに、平均寿命の延びにともない認知症や病気・ケガを負う高齢者が増加し、医療・介護の必要性がますます高まります。

労働力人口の不足は経済成長にも悪影響を及ぼすため、問題を放置すると国内市場は縮小の一途をたどるでしょう。

企業に与える影響

企業に与える影響

2025年問題が企業に与える主な影響は以下のとおりです。

  • 人材不足と採用難
  • 事業継承の困難化

超高齢化・人口急減にともない労働力人口が不足するため、今後はますます人材の確保が難しくなります。

15~64歳の生産年齢人口は、平成7年の8,716万人をピークに減少し、令和3年には7,450万人となりました。企業における採用活動は、生産年齢人口の減少とともに困難さを増していくことが予想されます。

さらに、労働人口不足は「中小企業の後継者不足」にも深く関係します。現状を放置すると廃業せざるを得ない企業が増加し、2025年までに約650万人の雇用が失われる可能性があるのです。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」

参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」

2025年問題に向けた国の対策

2025年問題に対し、国は危機感を持って以下の対策を講じています。

公費負担の見直し

これまで75歳以上の後期高齢者の医療費負担は一律1割でしたが、2022年度より一定以上の所得がある後期高齢者の医療費負担が2割に引き上げられました。

国は、若い世代の負担を軽減し、公平性・持続性を保てる体制を整えています。

医療・介護職員の充実

介護が必要な高齢者が増加の一途をたどるため、介護従事者の確保は喫緊の課題です。

しかし介護業界は、重労働や低賃金などの問題により離職者が多く、慢性的な人材不足が続いています。

国は、労働環境を改善するための制度拡充や賃金アップ、業界のイメージアップ戦略などに積極的に取り組んでいます。

地域包括ケアシステムの構築

地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域でよりよい暮らしを送れるように、住まいや医療、介護、予防、生活支援を日常生活圏内で提供することを目指す取り組みです。

それぞれの地方自治体が、地域の特性に合わせて自主的・主体的に構築しています。

雇用対策

社会保障の崩壊を防ぎ、国内市場を維持するためには雇用対策が不可欠です。

国が行う雇用対策には、主に以下のようなものがあります。

  • 高齢者雇用確保
  • 中高年齢離職者の再就職援助
  • 非正規雇用の正社員転換促進
  • 最低賃金の引き上げ
  • 氷河期世代の就労支援

「高齢者の雇用機会創出」と「現役世代の待遇改善」を柱とし、さまざまな施策を打ち出しています。

2025年問題に企業が取り組むべき対策

2025年問題をわかりやすく解説|生じる影響や企業が取るべき対策とは_2025年問題に向けて企業が取り組むべき4つの対策

2025年問題に向けて、企業にもさまざまな対策が求められています。ここでは、企業が成長し続けるために不可欠な対応策を4つ紹介します。

ビジネスケアラーへの対応強化

ビジネスケアラーとは、働きながら家族の介護を行う人のことです。高齢者の増加にともない、今後はビジネスケアラーが急増することが見込まれています。

経済産業省の資料によると、2030年には家族介護者の約4割がビジネスケアラーになると試算されています。仕事と介護の両立困難による労働生産性損失はきわめて大きく、2030年には損失額が約9.1兆円にのぼる見込みです。

従業員の「介護離職」を防ぎ、安定した労働力を確保するためには、職場環境や社内制度の整備が欠かせません。短時間勤務や在宅勤務の導入など、従業員一人ひとりの状況に合わせた働き方を整備することが大切です。

人材のダイバーシティ化

労働力不足を解消するためには、多様な人材を採用する取り組みも必要です。

障害者や外国人、定年を迎えた高齢者などがスキルを最大限に発揮できる環境を整えることで、結果的に自社の生産性向上が見込めます。

人材のダイバーシティ化を進める際は「経営計画の策定」や「働き方の整備」を同時に行う必要があります。単に人材の多様性を高めるだけでは効果が表れないため、注意が必要です。

経済産業省は「ダイバーシティ経営」を目指す企業に向けて手引きを公開しています。

事業継承支援施策の利用

企業の後継者不足に直面する可能性がある場合、早めに事業継承への対策を講じておくことが大切です。

中小企業庁では相談窓口の利用や補助金など、さまざまな支援施策を用意しています。まずは無料相談を活用し、課題を可視化することから始めましょう。

DXの推進

どのような対策を講じても「社会の働き手が減少すること」自体は避けられません。労働力が不足するなかでも企業の生産性を維持・向上させるためには、DXの推進が必須となります。

デジタル化により業務効率を向上させ、コスト削減を目指すことはもちろん大切ですが、それだけでは不十分です。

将来も社会に求められる企業となるためには、商品・サービスの「付加価値向上」にデジタルを活用することが重要です。

「自社のDX化が思うように進まない」「組織の生産性を高めたい」とお考えの方に向けて、DXで生産性を向上させるためのヒントをご用意しました。

以下のリンクから無料の資料をご活用ください。

生産性の向上が企業成長のカギとなる

2025年問題はけっして避けることができません。

しかし適切な対策を講じれば、自社の存続はもちろん、日本の将来を少しでも明るい方向に導くことは可能です。

まずは労働力減少に向けて環境を整備し、従業員一人あたりの生産性を向上させる対策を早急に検討しましょう。

弊社では、組織の生産性向上に役立つWebセミナーや個別相談会を開催しています。2025年問題を乗り切るヒントを得るためにも、ぜひ活用してください。

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