多くの企業が陥りやすい“情報共有”の落とし穴と目指すべき姿

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情報共有

組織として仕事をする企業では、当然ながら上司や部下、他部門、そして同期同士などと情報共有しながら業務を進めていく必要があります。しかし、多くの企業がその情報共有に課題を持っており、うまく情報を活かせる環境が社内に構築できていないケースが多く見られます。それはなぜなのでしょう。今回は、社内での情報共有がうまくいかない理由を詳しく解説しながら、情報共有を成功させるための考え方、そしてそのために必要な基盤のあり方について考えていきます。

本コラムの目次

情報共有の目的を整理しよう

日々業務の中で新たに発生した情報を、社内のポータルで通知したり、電子メールやExcelなどのスプレッドシートを用いて共有したりするだけでなく、会議や打ち合わせなど関係者を招集して直接伝える。このような情報共有は、上司や部下の間だけでなく、営業やマーケティング、システムなど他部門に対して、そして周りのメンバーや同僚に対して日々行われていることでしょう。組織として活動している限り、情報共有は欠かすことのできないものですが、目的があいまいな状態で情報共有を行っている方も少なくないのが実態です。ここで改めて、情報共有の意義について考えてみましょう。

例えば、営業部門で情報を共有する場合、「営業戦略の迅速な立案」「ノウハウの共有」「無駄な作業の削減」といったことが本来の目的であるはずです。顧客の置かれている状況を把握した上で適切な打ち手を練ってアプローチしていくためには、日々の営業活動履歴に関する情報共有が欠かせません。営業活動におけるPDCAの中で最も重要なPlanにあたる「営業戦略の迅速な立案」を的確なものにするためにも、きちんとした情報共有が必要になります。また、企業として売上を最大化していくためには、売れている営業の動きを見える化し、他の営業担当者にもそのノウハウを応用することが重要な施策の1つです。人的リソースを有効に活用するためにも、「ノウハウ共有」に向けた情報共有が重要になってきます。さらに、情報共有を円滑に行うことで報告や連絡、相談など、いわゆる“報連相”に関連した無駄な作業の削減が可能になります。無駄を減らし、その時間を営業活動に充てることができれば、これまで以上に顧客との接点を深めていくことができるようになるはずです。

仕組みに課題あり!情報共有のジレンマ

情報共有の意義については部門によって考え方が異なりますが、うまくいっていないと感じている企業も少なくありません。それはなぜなのでしょう。実は、情報共有を行うシステムが目的によって異なって利用されており、情報が一元管理できていないことが大きな要因として考えられます。つまり、情報提供を行う個人に問題があるのではなく、情報共有するための仕組みに課題があるということです。

最近では情報武装のためのシステム化が急速に進み、電子メールやグループウェア、スケジューラ、名刺管理ソフトウェアなど、様々なソリューションが市場に出回っています。それらを使えば、周囲との情報共有も容易なはずです。しかし、部門や業務の目的ごとに異なるツールを使って情報共有を行おうとすると、逆に仕事の足かせにしかなりません。

営業部門で言えば、日々の訪問予定はスケジューラやグループウェア、営業活動の報告は電子メール、案件情報はExcelなどのスプレッドシート、営業会議などの資料はプレゼンテーションソフトと、目的に応じてツールを使い分けているケースが多く見られます。様々なツールを駆使すれば、確かに情報は共有できます。しかし、何度も同じ情報を入力したり、報告したりする必要があり、多くの手間と時間が必要になってきます。情報を共有するために資料を一生懸命作ってみるものの、それらの情報がうまく伝わらなければ情報の活用はできません。つまり、森全体を見ずに、1本1本の木を集めて全体を想像することになり、効果的な次の打ち手につながる戦略が立てられなくなってしまいます。システムのパッチワーク化が円滑な情報共有を妨げる大きな原因になっているのです。

これは営業部門に限った話ではありません。日々集客を行うマーケティング部門やアフターサポート部門など、他部門との情報共有に関しても同じことが言えます。部門や業務ごとにツールを入れてしまうことで、それぞれの場面でうまく情報共有が行えず、様々な課題が出てきてしまうのです。

情報共有がうまくいかない理由

ほかにも、情報共有がうまくいかない理由は存在します。例えば、スケジュールがきちんと周囲と共有できていたとしても、本来行くべきところに行っているかどうかが判断できないというケースは少なくありません。営業の心理としては、楽なところにどうしても訪問しがちで、売上の拡大余地がある顧客へ適切なタイミングでアプローチしているかどうかをその場で判断できず、スケジュールという表面的な情報は共有できているものの、本質的な情報共有になっていないのです。

また、顧客接点を持つすべての部署で情報がリアルタイムに共有できていないと、現場からの要望や顧客からのクレーム情報が会議やミーティングの段階でフィルタリングされてしまい、きちんと情報が共有できないという状況に陥るケースも少なくありません。他部門を横断した形で情報を利用できるようなインフラを整備することで、内容がゆがめられることなく、情報共有が正しく行われるようになるのです。

一元管理された仕組みでも情報共有がうまくいかないワケ

情報共有の仕組みに課題があることはご理解いただけたはずです。しかし、仕組みを整えただけで情報共有がうまく機能するとは限りません。情報共有を阻害してしまう要因を取り除いていくことで、きちんとした情報共有が行えるようになるのです。

情報共有を行うためには、報告された情報がきちんと“見える化”できる仕組み、報告する側からすれば“見せる化”できるような仕組みが必要です。例えば、電子メールを使って訪問履歴に関する情報共有を文章だけで行ってしまうと、多くの場合は知りたい事実というよりも感想文に近いような報告になってしまう傾向にあります。5W1Hのような情報は当然ながら、報告のためのフォーマットをきちんと用意し、そもそも何をしに行き、その結果はどうだったのか、案件時期や商談金額、競合情報、次のアクションといった情報が定量的に“見える化”できるような仕組みを用意する必要があります。もちろん、定性的に表現したい部分はコメントを寄せればいいわけです。

また、実際に仕組みを用意しても、使われなければ意味がありません。最近では、社内SNSなどの導入が進められていますが、社内SNSに書き込むことを手間と感じる人もいて、なかなかうまく活用できていないケースもあります。要は、自身にメリットがない運用ルールという属人的なやり方だとうまくいかないことが露呈されます。では、どうすればよいか?営業活動報告が社内SNSに自動連動している仕組みならば、必要なメンバーに必要な内容が勝手に共有されるため、他部署も巻き込みながら上手に情報共有できるようになるはずです。同時に、社内SNSでのやり取りを中心にすることで、営業は営業に専念でき、報告のためだけの資料作りやミーティング時間の削減によって残業を減らしながらワークスタイル変革につなげられるというメリットを提示することが重要です。このような報告連動型SNSを利用することにより、社内メールの70%、残業の30%を削減できたという事例も出てきています。

部門間情報共有のリアルタイム化

また、共有された情報が必要な人にきちんと見られない、ということも情報共有がうまくいかない理由の1つです。必要な人に情報を見てもらうためには、例えば、スマートフォンアプリのアイコン上に赤字で数字が表示されるプッシュ通知機能が必要になります。日常的にSNSを利用する人であっても、常にタイムラインをチェックする時間はなく、自分へのアクションが通知されて初めてアクセスすることが多いはず。情報共有基盤でもそれは同様で、必要な情報を必要な人にわかりやすく届ける工夫が欠かせません。

正しく情報共有するための基盤とは?

前述のような状況を踏まえ、情報共有するためのインフラとして必要なものについてまとめてみましょう。

顧客接点を持つすべての部署で共通して活用できる1つの器であること

各部署や業務に応じて異なるツールを使ってしまうと全体が見えづらくなるため、営業部門をはじめ、マーケティング部門やサポート部門など顧客接点のあるすべての部署が共通で使えるツールを選択すべきです。しかも、集められた情報がきちんと活用できるような仕組みであることが求められます。電子メールでも情報の共有はできますが、すべての電子メールに書かれた情報を取り出して可視化、分析するといったことはできません。ある程度用途に応じてフォーマット化でき、後々に情報活用できるような仕組みを目指しましょう。

一度の入力で様々な場面で情報活用できる基盤であること

異なるツールを駆使して何度も同じ情報を入力せざるを得ない仕組みでは、現場に根付きません。ベースとなるフォーマットに商談情報などを入力するという最低限のルールだけで、情報が共有される仕組みが理想です。これは“シングルインプット・マルチアウトプット”という仕組みで、一度入力さえすれば様々な営業プロセス管理で情報の活用が容易に行えます。日々のミーティングや会議、上司への相談時にわざわざスプレッドシートやプレゼンテーションソフトで別の資料を作成する必要がなくなり、営業状況がリアルタイムに把握できることで日々のミーティング時間を減らすことも可能になります。

SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる顧客管理システムや営業支援システム製品の中には、PCやスマートフォンから活動報告を入力すると、スケジュールや案件リスト、顧客情報、案件情報などに自動で投稿。それらの情報が受注予実管理や顧客ランク別活動件数といった分析用の帳票として展開される機能を備えたものもあります。

シングルインプット・マルチアウトプット

必要な情報が“見せる化”できるものであること

自分に必要な情報が入力された時点でプッシュ通知してくれる、まさに必要な人に必要な情報を“見せる化”できるツールを選択しましょう。例えばコールセンターに担当している企業からの問い合わせがあれば、すぐに自分のスマートフォンやツールのTOP画面にお知らせが出るような通知機能があると便利です。意識して情報を探しにいくのは手間も時間もかかり、結果として利用されなくなってしまいます。1回設定するだけで、自分自身の気づきにつながる通知ができる機能があるかどうかチェックしておきましょう。

外部システムとの連携も柔軟にできること

外部システムとの連携については特に触れませんでしたが、建設業などではCADで作成された設計図面などを情報共有する機会もあります。一般企業であっても、提案書や契約書など情報管理が個別に必要な情報も少なくありません。データ量を気にすることなくセキュアな環境で情報管理したいものが個別にある場合は、DropboxやBoxのようなオンラインストレージサービスを活用することも考えられます。そんな時に備えて、柔軟に外部連携できるような仕組みは情報共有には欠かせないものになってきます。

ほかにも、外出先からでも報告できるようスマートフォンをはじめとしたスマートデバイスに対応しているか、できる限り負担なく営業が入力できるような簡便なインターフェースが備わっているかといった視点も重要なツール選択のポイントになるはずです。

情報共有の基盤は、組織である会社には重要なインフラの1つです。役割に応じてバラバラなツールで情報共有することをやめ、情報活用することを意識しながら組織横断的に活用できるインフラ選択を心がけてください。

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