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稟議とは?意味や使い方、決裁までの流れ、会社が抱える課題と解決策を解説

稟議とは?意味や使い方、決裁までの流れ、会社が抱える課題と解決策を解説

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会社組織において新しいプロジェクトを始めたり、備品を購入したりする際に、避けて通れないのが稟議です。稟議は、契約や購入などを組織として承認し、意思決定の記録を残すために行う手続きです。手間や時間がかかると面倒に思われがちですが、リスク管理において重要な意味を持ちます。

本記事では、稟議の意味や使い方、稟議書の書き方、電子化による企業のメリット・デメリットなどについて解説します。

稟議とは何か

稟議(りんぎ)とは、個人では決める権限を持たない事柄について、関係者や決裁権限を持つ上司に承認を求める手続きのことです。他社との契約締結や備品購入・サービス契約、新たな人材の採用など幅広いシーンで必要になります。透明性をもって意思決定を行うために欠かせない重要なプロセスといえるでしょう。

承認のための申請を行うことを「稟議を上げる」「稟議にかける」などと表現し、承認を得たときは「稟議が通った」といった言い方をします。稟議を上げるために作成する書面は「稟議書(りんぎしょ)」です。

英語には完全に一致する言葉がなく、状況に応じて「internal memo(内部のメモ)」や「submit for approval(承認のために提出する)」などと表現されることがあります。

稟議の流れ

企業やルールによって細部は異なるものの、稟議のプロセスは起案→回覧→承認→決裁の順に進むことが一般的です。

1 起案 ・起案者(担当者)が稟議書を作成
・関係者が理解しやすいよう、提案内容や目的、予算などを詳細に記載する
2 回覧 ・決められた承認ルートに沿って、関係者で回覧する
・関係者は内容を確認し、場合によっては差し戻しが行われる
3 承認 ・内容に問題がないと判断すれば、同意を行う
4 決裁 ・関係者全員が承認したあと、最終的な意思決定を下す

決裁結果は起案者に通知され、実行に移されます。また、決裁済みの稟議書は大切に保管されます。

稟議が行われる主な場面

稟議が必要となるのは、担当者や現場の判断だけで決定することが難しく、組織として許可や記録が必要なとき・場面です。具体的には、以下のような場面が挙げられます。

  • 予算の支出を伴う:備品の購入やシステムの導入、広告宣伝費の使用など、一定額以上のコストが発生する場面
  • 契約を締結する:新規取引先との契約、業務委託契約、秘密保持契約などを締結する場面
  • 組織や人事にかかわる:社員の採用や部署の異動、昇進・昇格などの場面
  • 社内規定の改定:就業規則など、社内ルールを変更する場面

独断によるトラブルを防ぎ、責任の所在を明確にするために、稟議が必要です。

稟議と似た意味の用語

稟議と似た意味を持つ用語は複数あります。以下で特に混同されやすい用語を紹介するので、ビジネスシーンで混乱しないように違いを理解しておきましょう。

稟議と似た意味の用語 意味
起案 物事を始めるにあたり、計画や案を作成すること。稟議の各プロセスにおける最初のステップを指す。
回覧 関係者で共有するために順に書類を回す行動を指す。承認の判断を含まない点で稟議とは異なる。
回議 関係者から重要事項に関して承認や決裁を得ること。最終決裁者の決裁まで含む一連の手続きを指す場合は稟議を使うことが多い。
承認 提案内容について「問題ない」と判断し、同意を示すこと。稟議プロセスの一つで、決裁に至る前の段階。
決裁 提案内容に対し、最終的な権限を持つ人が可否の判断を下すこと。稟議プロセスの最終段階。「決裁が下りる」とは、最終的な承認が得られた状態を意味する。

なお、稟議を行う前に、関係者に話をしてあらかじめ了解を得ておくことを「根回し」といいます。根回ししておくと、承認・決裁が下りやすくなります。

稟議の言い換え表現

稟議は、状況によっては別の言葉で言い換えることも可能です。主な言い換え表現には以下があります。

言い換え表現 意味
書面決議 会議を開催せず、書面(または電磁的記録)による同意をもって決議したとみなす方法。
稟議よりもフォーマルかつ法的な意味合いが強い。
合意形成 関係者の意見を調整し、全員(もしくは多数)の合意を得ること。
稟議は合意形成を図るための手段の一つ。また、合意形成には「書類を回す」といった意味は含まれない。

上記の用語は厳密には稟議とはニュアンスが異なるため、使用する際は注意しましょう。

稟議の代表的な種類

稟議には、目的や内容によって以下のようにさまざまな種類が存在します。

  • 契約稟議
  • 購買稟議
  • 捺印稟議
  • 採用稟議
  • 接待交際稟議

同じ「稟議」であっても、種類によって記載する項目や重視されるポイントはさまざまです。ここでは、企業で頻繁に行われる代表的な稟議の種類を挙げ、特徴やポイントを解説します。

契約稟議

契約稟議とは、新規取引の開始や既存取引の見直し、業務委託など社外との契約締結が必要な場合に行われる稟議です。契約は企業に法的責任が生じるため、稟議を上げて関係者から承認を得る必要があります。稟議では、契約内容に不利な条項がないか、コンプライアンス上の問題はないかなどが確認されます。企業のリスク管理の観点から非常に重要です。

購買稟議

PCやシステム、消耗品など業務に必要な物品・サービスを購入する際に行われる稟議です。稟議書には、購入したい物品・サービスの種類、数量、単価、納期、必要性などを記載します。費用に関して関係者が判断できるように、見積書を添付することが一般的です。

「なぜその物品・サービスが必要なのか」「費用は適切か」「費用対効果は見込めるか」などがチェックされます。稟議によって購入に関する承認の経路が明確になります。

捺印稟議

承認済みの契約書や重要書類に、会社の代表印を押す許可を得るための稟議です。稟議書には、捺印する書類の種類、相手先、捺印する代表者の氏名、捺印箇所などを記載します。

会社の代表印を押す行為は、組織としての意思表示を確定させる重要な行為です。契約内容に誤りがないか、法的問題はないかなどが厳しく確認されます。

採用稟議

正社員や契約社員、アルバイトなど、雇用形態を問わず新たな人材を雇用する際に行われる稟議です。稟議書には、人員を増やす理由や雇用条件、職種、採用にかかるコストなどが記載されます。必要性や費用対効果などを考慮して可否が判断されます。

人件費は固定費として会社の経営に大きく影響するため、担当者の判断だけで決めることはできません。そのため、採用稟議が行われます。

接待交際稟議

取引先などとの会食や贈答品、慶弔見舞金など、会社の交際費を使用する際に行われる稟議です。稟議書には交際費を使う相手、日時、目的、費用などを記載します。また、その接待が必要であることの説明も欠かせません。

接待による支出が適切かどうか、不正使用の防止や経費削減の観点から厳しくチェックされます。

稟議を行うメリット・デメリット

稟議は日本企業で昔から採用されている方式ですが、記録性に優れ、承認プロセスが明確になる一方で時間がかかるなど、メリットもあればデメリットもあります。

以下は主なメリットです。

  • 記録が残り、トラブルが発生したときの証拠になる
  • 複数の関係者が内容を確認するため、ミスのリスクを低減できる
  • 関係部署への情報共有が行われる

もっとも大きなメリットは、記録に残る点です。いつ誰が何を承認したかが明確化するため、トラブル発生時に責任の所在が明らかになります。複数人が確認するため、コンプライアンス違反やミスのリスクが減るのも大きなメリットです。

一方、主なデメリットには以下があります。

  • 決裁までに時間がかかり、ビジネスチャンスを逃す恐れがある
  • 形式化してしまい、実質的な責任者が曖昧になる恐れがある
  • 紙で稟議を進める場合、書類作成や管理の手間が発生する

承認ルートが長い場合、起案から決裁まで数日から数週間かかり、意思決定が遅れます。スピード感のある対応ができない点も大きなデメリットです。

稟議書の書き方について

稟議の種類や企業によって稟議書の書き方は異なりますが、共通して記載すべき事項があります。稟議を通すためには、決裁者が判断しやすい内容で書くことが大切です。

ここでは、稟議に記載すべき項目と押さえておくべきポイントを、例文も交えて解説します。

稟議書の記載事項

一般に、稟議書に記載すべき基本項目には以下があります。

  • 申請日・起案日
  • 起案者の氏名・部署名
  • 件名(一目でわかるものにする)
  • 目的・理由(なぜ必要なのか)
  • 詳細内容(商品名や契約内容など)
  • 金額(費用の総額、支払方法など)
  • 費用対効果(実施することで得られるメリット)
  • 添付資料(見積書やカタログなど)

件名は、たとえば以下のように簡潔かつ分かりやすいものにします。

  • 業務用ノートPC10台購入の稟議申請
  • A社との業務委託契約締結に関する稟議

関係者が何についての稟議か判断できる内容にしましょう。

稟議書の作成ポイント

承認されやすい稟議書を作成するためには、読み手の視点に立つことが重要です。読んですぐ理解できるかを意識しながら作成しましょう。押さえておくべきポイントを以下に紹介します。

【結論ファーストで書く】
稟議書は「何をしたいのか」「いくらかかるのか」など、結論を最初に書くことが大切です。決裁者は多くの書類に目を通しているため、一枚一枚にかける時間は短くなります。何についての稟議なのかがすぐに伝わるように、結論を早めに述べることが大切です。

【具体的・客観的なデータを示す】
たとえば、ツール購入を求める稟議で「業務効率向上が目指せます」のような抽象的な表現をしても、決裁者には必要性があまり伝わりません。「作業時間が〇時間削減され、年間で〇円のコストダウンが実現します」のように具体的に示すことが大切です。

【具体的なメリット・デメリット(リスク)にも触れておく】
メリットだけでなく、デメリットやリスクに触れておき、メリットのほうが大きいことを根拠となるデータとともに提示すると、信頼性が高まります。

紙ベースで行われる稟議の課題

従来、日本企業では手書きや印刷による紙ベースで稟議が行われてきました。かつては一般的だった紙での稟議は、現代では「決裁までが長い」「進捗状況の把握が困難」といったさまざまな問題が見られます。

ここでは、紙ベースの稟議が抱える代表的な課題を5つ紹介します。

決裁までに時間がかかる

紙の稟議における大きな課題の一つが、起案から決裁までに長い時間がかかる点です。紙の書類の場合、物理的に人から人へと回覧する必要があります。承認や決裁の担当者が出張や休暇で不在であれば、そこで何日も止まり、非効率です。

また、たとえば大阪支店と東京本社など起案者と承認者のいる拠点が離れている場合、社内便などで送付する必要があり、何日もかかります。決裁までに時間がかかりすぎると企業としての意思決定のスピードが低下し、機会損失にもつながりかねません。

進捗状況の把握が難しい

進捗状況の把握が難しく、「どこまで回覧が進んでいるか分からない」「日数が経ちすぎているが、どこかで止まっているのかもしれない」といった状況を招くことがあります。いったん書類を回すと、誰の手元にあるのか、検討中なのか放置されているのか、リアルタイムで知ることができません。

決裁がなかなか下りず、状況を確認したい場合、関係者に電話やメールで問い合わせる必要があり余計な業務が発生します。回覧の途中で紛失するリスクもあります。

保管や検索に手間がかかる

保管や過去の稟議書の検索が難しい点も、課題の一つです。決裁済みの稟議書は、ファイリングしてキャビネットや書庫に決められた手順で保管する必要があります。物理的なスペースが必要となり、増え続ける紙の書類でオフィスを圧迫することになりかねません。

また、保管済みの稟議書を探そうと思っても、膨大なファイルの中から目的の書類を手作業で探すのは、手間と時間がかかります。過去のナレッジ活用の妨げにもなる、大きな問題です。

テレワークに対応できない

紙で稟議を回している場合、テレワークに対応できないという課題もあります。働き方改革や感染症対策をきっかけとして、多くの企業でテレワークを取り入れるようになりました。しかし、紙の稟議書を回している場合、テレワーク中の社員が印鑑を押すためだけに出社する必要があります。

非効率なだけでなく、会社員のワークライフバランスの観点からも大きな課題といえるでしょう。紙ベースで運用する限り、場所にとらわれない柔軟な働き方の実現は難しくなります。

不備があった際に手間と時間がかかる

稟議書に記載ミスがあったり内容の修正を求められたりした場合、紙の稟議書では対応が面倒になる点も課題といえます。いったん差し戻しとなり、訂正印を押して修正できればよいものの、場合によっては一から作り直して再度印刷する必要があります。承認者にも最初から回し直さなければいけません。

多大な労力がかかり、時間のロスにもなります。また、一枚の稟議書に修正履歴が複数残ると、どれが正しいのか判断しづらくなる点も問題です。

稟議の電子化が企業にもたらすメリット

紙ベースの稟議が抱える課題を解決する手段として、多くの企業で導入が進んでいるのが電子化です。ワークフローシステムを導入し稟議を電子化することで、意思決定の迅速化、コスト削減、進捗の可視化などのメリットがあります。

参考:ワークフローシステムとは?導入するメリットや手順を紹介

意思決定が迅速化する

稟議を電子化する大きなメリットとして、企業としての意思決定を速められる点が挙げられます。電子化すれば、稟議書を物理的に持ち運ぶ必要がありません。システム上で稟議書を作成して送信すれば、承認者に通知が届き、その場で可否を判断できます。
仮に、承認者が外出していたとしても、出先からスマートフォンやタブレットで内容を確認し、承認できるシステムも多くあります。

数日から場合によっては数週間かかっていた紙ベースの稟議と比べて、起案から決裁までの時間を大幅に短縮できます。結果、意思決定のスピードを大幅に向上させられるでしょう。

コストの削減・生産性の向上につながる

コストが削減できる点も、稟議を電子化するメリットです。電子化すれば、印刷する用紙やインク代などの直接的な出費が必要なくなります。保管のためのファイルやキャビネットも減らせるでしょう。複数の支社を持つ企業の場合、拠点間で書類を運ぶための郵便や社内便のコストも減らせます。

さらに、人的コスト(人件費)の削減につながる面も見逃せません。紙ベースの稟議で発生していた印刷や押印、回覧、保管などの業務が減るためです。雑務に費やす時間が減った社員は、より付加価値の高いコア業務に集中できるでしょう。結果的に、生産性の向上が期待できます。

進捗状況が把握しやすくなる

紙ベースの運用から電子化に移行することで稟議の進捗状況が把握しやすくなる点も、メリットといえます。ワークフローシステムを利用すれば、誰が承認しているのか、誰のところでストップしているのかなどが、画面上で確認可能です。

承認ルートのどこかで停滞が起きたときは、システムから自動で催促通知を送ることもできます。起案者が状況を確認するために、あちこちにメールや電話で問い合わせる必要もありません。なかなか決裁されないことに対するいらだちや催促することによるストレス、確認作業に費やす無駄な時間が解消され、業務に集中できます。

多様な働き方に対応できる

稟議を電子化すると、多様な働き方に対応できるようになります。インターネット環境があれば、いつでもどこでも起案や承認ができるようになるためです。テレワーク中の自宅でも移動中の電車内でも、スマートフォンやタブレットがあれば内容の確認や承認作業ができ、押印のために出社する必要がありません。場所に縛られない働き方が実現します。

柔軟な働き方ができる環境は、従業員満足度の向上につながるでしょう。企業としての強みにもなります。

また、災害時やパンデミック時でも自宅にいながら業務が行えるため、BCPの観点からも電子化にはメリットがあります。

ガバナンス・セキュリティ強化につながる

ワークフローシステムを利用した稟議は、組織のガバナンス・セキュリティ強化につながります。以下のような効果があるためです。

  • ログが残る
  • 入力ミスや記載漏れが減る
  • 紛失リスクが減る

システムにはいつ誰が承認したかのログが残るため、改ざんなどの不正防止につながり、監査対応もしやすくなります。また、あらかじめ設定した承認ルートに従って進むため、うっかり承認者を飛ばすミスなども起こりません。設定した項目に入力しないと進めないようにすることで、記載漏れなども防げます。

紙の稟議書は回覧の途中や保管中になくす可能性がありますが、電子データであれば紛失リスクも軽減されます。

稟議の効率化を実現するワークフローシステムの選び方

稟議を電子化するなら、ワークフローシステムの導入が不可欠です。とはいえ、たくさんの製品があるため、どれを選ぶべきか迷うことも多いでしょう。システム選定にあたって押さえておきたいポイントは、以下の3つです。

  • 自社の承認ルートに柔軟に対応できるか
  • 操作しやすいか
  • 既存システムと連携しやすいか

一般に、承認ルートは稟議の種類や金額、部署などによって変わることが多いものです。そのため、ワークフローシステムを選ぶときは、自社のルールに対応できるかどうかをチェックしましょう。細かな条件分岐が可能かも確認しておきたいポイントです。

使いやすいかどうかも確かめておきましょう。多機能でも、操作が難しければ誰も使わなくなる恐れがあります。直感的に操作できるシステムであれば、定着しやすいでしょう。

既存システムとの連携のしやすさも重要です。既存システムと連携しやすいシステムを選べば、二重入力や転記作業が減らせ、ミスのリスクも軽減します。

参考:おすすめワークフローシステム比較ランキング 目的別20選【2026年版】

まとめ

稟議とは、個人では決められない事柄について関係者に承認・決裁を得ることです。従来は紙の稟議書を作成し、関係者に物理的に回していき決裁を得る方法がとられてきました。しかし、紙ベースの運用は決裁までに時間がかかるなど、多くの課題を抱えています。ワークフローシステムを導入して電子化すれば意思決定の迅速化やコスト削減などさまざまなメリットが得られ、紙の運用による課題解決にも貢献します。

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参考:eセールスマネージャー公式サイト

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執筆・編集
営業ラボ 編集部

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