企業の営業課題に関する調査「esm sales report 2025」
深刻な人材不足や競争力強化が求められる現代において、企業の業績を担う営業部門がAIの積極的活用やDXを推進することは避けて通れない経営課題となっています。
ソフトブレーンは、営業活動をはじめとした企業の顧客接点業務をITとサービスの両面から長年支援しています。例年実施している本調査を通じて、営業現場のリアルな課題の傾向や変化を明らかにし、解決策のヒントを顧客企業にお届けすることを目的としています。昨年の調査(esm sales report 2024)において、営業現場における「AI導入・活用」への高い関心が示されたことを受け、今回は「AIの業務浸透度」、やCRM/SFAといった「他ITツールとの連携実態」に焦点を当てて調査を実施しました。
本レポートが、AIツールの定着や活用に悩む企業の皆様にとって、自社の課題を明確化し、次のステップに進むための具体的なヒントや気付きとなることを願っています。
調査概要
調査概要:企業の営業課題や解決に向けた取り組みに関するアンケート調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年9月
調査対象:全国の営業部門従事者 20~70代
サンプル数:500名
調査結果サマリー
- 営業部門の抱える課題は、3年連続で「新規顧客の開拓」がトップ。
- AIツールの有用性は、「役立つ」が84.2%、大多数が期待。
- AIツールが役に立つと考える分野は「営業活動の生産性向上」。
- ITツールとAIツールの連携について「7割が連携に課題を抱える」。
- 連携で実現した最も大きなメリットは「顧客の関心事分析」。
調査内容
- ITツール利用状況
- 営業部門が抱えている課題
- AIツールの有用性
- AIツールが役立つと考える課題
- AIツールが役に立たないと考える理由
- AIツールで効率化されている業務
- AIツール浸透の課題
- ITツールとAIツールの連携状況
- AIツールとITツール連携で実現したメリット
- AIツールとITツール連携で将来実現したいこと
- AIツールとITツール連携でうまくいっていないこと
調査結果(抜粋)
営業部門が抱えている課題・・・営業部門の課題トップは「新規顧客の獲得が難しい」
営業部門が抱えている課題は、「新規顧客の獲得が難しい」が35.8%と最も高く、「営業人材の採用・育成が進まない」が32.0%、「営業活動の生産性が低い」が29.0%と続きました。
営業部門の課題は大きく2つに分類できます。第一に「顧客獲得・競争力」で、新規顧客獲得(35.8%)、利益率確保(21.6%)、競合との差別化(21.6%)が高い数字となっています。第二に「人材・組織」の課題で、人材採用・育成(32.0%)、属人的営業(24.6%)が上位にある結果となりました。

AIツールの有用性・・・AIツールは「役立つ」が84.2%、大多数が期待。
AIツールは、営業部の課題解決に役立つのかについては、「とても役に立つと思う」が35.2%、「少し役に立つと思う」が49.0%で、合わせて84.2%が肯定的に評価しました。「あまり役に立たないと思う」は9.4%、「まったく役に立たないと思う」は1.0%に留まりました。
一方、否定的な見方は合計10.4%と少数派ですが、「わからない」が5.4%存在することも注目できます。これは、AIツールの具体的な活用イメージを持てていない層が一定数いることを示唆しており、利用方法についてのノウハウ共有や教育の必要性を示しています。

AIツールが役立つと考える課題・・・AIツールが役に立つ分野は「営業活動の生産性向上」
AIツールが役立つと考える課題は、「営業活動の生産性が低い」が33.3%と最も高く、「提案力や提案の質に課題がある」が30.6%、「新規顧客の獲得が難しい」が22.1%と続きました。注目は、属人的営業の標準化(20.4%)、人材育成(19.7%)、ITツール活用促進(19.5%)など、組織課題の解決にもAIツールが期待されている点です。トップ営業のノウハウをAIツールが分析・共有することで、営業部全体のレベルアップを図りたいという意図が読み取れます。
一方、前途の「あなたの所属する企業の営業部が現在、抱えている課題をすべてお答えください。」で最多回答数だった「新規顧客獲得」(35.8%)に対するAIツールへの期待度は、22.1%と他と比較すると若干低く、顧客開拓における人間の重要性が認識されていることがわかります。

ITツールとAIツールの連携状況・・・ITツールとAIの連携、約7割が連携に課題を抱える
SFAやCRMなどのITツールとAIツールの連携状況については、「部分的に連携しており、一定の効果を実感している」が25.0%と最も高く、「そもそも連携の設定や方針が定まっていない」が19.4%、「連携はしているが、想定した効果が得られていない」が16.8%、「連携できておらず、AIツールとCRM/SFAが別々に運用されている」が14.6%と続きました。
注目は、効果的な連携を実現できている企業は3割程度(完全連携9.0%+部分的連携25.0%)で、約7割は連携に課題を抱えているという点です。「連携の設定や方針が定まっていない」は19.4%と2番目に多く、さらに、連携しても「想定した効果が得られていない」(16.8%)、「データの二重管理が発生」(9.6%)、「現場で活用されていない」(5.6%)など、連携の質に問題を抱える企業が合計32.0%に上ります。また14.6%はAIツールとCRM/SFAを完全に別々運用しており、せっかくのツールが分断されている実態も明らかになりました。













































