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KPIとは?指標の設定方法とコツ、事例、KGIとの違いをわかりやすく解説

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KPI(ケーピーアイ)とは、ビジネスで目標を達成するために、達成の度合いを定量的に評価する指標のことです。KPIの意味やマネジメント方法を正しく設定すれば、「目標が見える化される」「行動が明確になる」など、多くのメリットが得られます。

ただし、KPIを適切に設定するためには、KGIやKSFとの関連性を正しく理解することが必要です。また、SMARTの法則を活用するとより効果的なKPIが設定できます。

この記事ではKPIの正しい意味や、KGIやKFSとの違い、SMARTの法則を活用したKPIの具体的な設定方法から達成までのポイントを解説していきます。

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KPI(重要業績評価指標)とは

KPI - Key Performance Indicator

KPIは「Key Performance Indicator」を略した言葉で、日本語では「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」などと訳されます。目標の達成度を図るための中間指標のことで、週次や月次、四半期など一定期間ごとに設置されることが一般的です。

例を挙げると以下のようになります。

【最終目標:運営するWebサイトの売上を10%伸ばす】
KPI例:「3カ月で月間PV数を10万にする」「〇月までにメルマガ登録率を5%にする」

KPIは、目標の内容や状況に応じて適切なものを設定する必要があります。

なお、各KPIを数値化・視覚化して達成率を管理することをKPIマネジメントと呼び、多くの企業で導入されています。

KPI設定の重要性

企業や部署が掲げる目標を達成するためには、KPI設定が欠かせません。KPIは、目標達成までの道のりを示す道しるべのような存在だからです。目標を掲げるだけでは何をどのように進めればよいか分かりづらいため、指標としてKPIを設定します。

たとえば、「年間売上1000万円」という目標を掲げたとしましょう。もしKPIが決まっていなければ、月ごとや四半期ごとに売上を振り返っても、目標達成に向けて順調に進んでいるのかどうか判断がつきません。

一方、KPIとして「月間新規案件獲得数10件以上」「リピート率30%」などを設定していれば、仮に月間の新規案件獲得数が7件だった場合、今のペースでは達成が難しいとの判断が可能です。新規案件の獲得数を増やす改善策を検討するなど、目標達成に向けて早めに軌道修正を図れます。

KPIを設定することで、何をすべきかが明確になり、無駄のない行動計画を立てることが可能です。日々の活動を定量的に評価でき、客観的に進捗を判断するために、KPIを設定することが非常に重要になります。

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KPIとKGI・KSF・OKRの違い

KPIは、目標を達成をする上での中間目標です。そのため、「KGI」「KSF」「OKR」を設定して、より明確なプロセスを設計する必要があります。

ここでは、各指標を補完する関係性にある「KGI」「KSF」「OKR」について解説します。

KGIとは

KGI(ケージーアイ)とは、「Key Goal Indicator(キーゴールインジケーター)」の略称で、「重要目標達成指標」とも呼ばれています。KPIが各プロセスの目標達成の中間指標であるのに対し、KGIはそれを総括した最終的な指標、つまり最終ゴールを意味します。

KGIの具体例としては、「売上高」「利益率」「成約件数」など、客観的に数値化できるものが該当します。企業や事業が設定する最終目標にあたるため、曖昧な指標では意味がありません。成果を公平に判断できるよう、「時期」や「具体的な数値」で設定し、明確な判断基準を設けることが重要です。

KGIの詳細はこちらの記事でも詳しく解説しています。

KSFとは

KSF(ケーエスエフ)とは、「Key Success Factor(キーサクセスファクター)」の略称で、「主要成功要因(ゴールを達成するための要因)」と呼ばれており、事業を成功させるための必要条件を意味します。

経営戦略や事業計画を策定する際は、市場や競合の動向など「外的環境」の分析と、自社の強みなどの「内的環境」の分析を照らし合わせて、多角的に戦略を立ててマネジメントします。KPIは目標に対する達成の数値指標であるのに対し、KSFは目標達成のために「何をするか」を表すものです。

KSFで設定される具体例には「規模」「技術力」「顧客対応」「ブランド力」などが挙げられますが、競争構造の変化によりKSFの要素も変化する場合があります。そのため、「成功の鍵を握る要素」として、市場の変化に応じてKSFを絞り込むことが重要です。

また、同義語として、重要成功要因を意味するCSF(シーエスエフ)「Critical Success Factor(クリティカルサクセスファクター)」が挙げられる場合もあります。

KSFの詳細はこちらの記事でも詳しく解説しています。

OKRとは

OKR(オーケーアール)は「Objectives and Key Result」の略称で、「目標と主な結果」を指します。Objectives(目的)とKey Result(主要な結果)を設定して、達成度合いを定量的に判断する指標のことで、KPIと似た意味があり併用されることもあります。

KPIは組織が確実にゴールを達成するためのアクション目標であり、100%達成することを前提とする一方、OKRは個人に対して設定され、「全力で打ち込んでも100%の達成は難しい目標設定」になる傾向があります。

これは、個人に対してギリギリ届くか届かない所を目標とすることで、その人のより高い成長を促す狙いがあるためです。

KPI設定の3つの手順

KPIの設定の手順は、次の3ステップに分けられます。それぞれを順番に解説していきます。

1. KGI(最終的なゴール)を設定する

まずは、最終目標であるKGIを設定します。「売上高」「粗利益」「営業利益」を指標に設定するケースが一般的です。それぞれ、以下のような特徴があります。

  • 「売上高」をKGIに設定する場合:従業員全員にわかりやすく、目標設定が浸透しやすい
  • 「粗利益」をKGIに設定する場合:コストの概念が含まれているので、原価と付加価値の側面を共有できる
  • 「営業利益」をKGIに設定する場合:原価以外の経費も含まれているので、より経営的な側面も共有できる

なお、KGI設定には、SMARTの法則と呼ばれるフレームワークが役立ちます。SMARTの法則とは、目標設定に必要な5つの要素をまとめた法則のことです。後ほど詳しく解説するので、KGI設定の際の参考にしてください。

2. KSFを洗い出す

KGIを設定したら、次は達成するためのKSF(重要成功要因)を洗い出します。以下の4つのステップで進めましょう。

1 プロセスの洗い出し KGIにいたるまでのプロセスを細かく分解し、時系列で並べる
例)
KGI:年間売上〇%アップ
プロセス:リードのリストアップ→テレアポ取得→商談→見積提示→クロージング→契約
2 プロセスの数値化 洗い出したプロセスを数値で表現し、どの要素がどの程度KGIに影響しているかを把握する
例)
・年間売上=商談件数×成約率×平均受注単価
・商談件数=アプローチ件数×アポ獲得率
→年間売上=アプローチ件数×アポ獲得率×成約率×平均受注単価
3 プロセスの分類 洗いだしたプロセスを、KGIへの影響度とコントロール可能性の2点から分類する
例)
影響度大:アポ獲得数、成約数、平均単価
コントロール可能:アプローチ件数、アポ獲得数
4 KSFの選択 分類結果をもとに、コントロールしやすく、目標まで及ぼすインパクトが大きいものをKSFとして選択する
例)
・アプローチ件数を増やす
・アポ獲得数を増やす
・クロージングを見直し成約率を高める

KSF設定にあたっては、真に成果に直結する行動を見極めることが大切です。KGIから逆算し、数式で関係を整理することで戦略的なKPI設定ができるようになります。

3. KPI(中間目標)を設定する

最後に、KPI(中間目標)の設定です。選択したKSFを業務に落とし込み、「月間リード獲得数500件」や「商談数30件」のように、具体的な数値目標を決めていきます。KPIと一緒に、達成のために必要な業務内容もチームで共有するようにしましょう。

なお、KPI設定にあたっても、SMARTの法則のフレームワークが役に立ちます。KPIは客観的に達成度が判断できる指標でなければなりません。SMARTの法則を活用して設定すると、効果的なKPIが設定しやすくなります。

KPI設定・管理の4つのコツ

1. KPI設定には「SMART」

KPIを設定する際によく使用されるのが「SMARTモデル」です。Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-boundの頭文字をとったものことで、SMARTの法則と言われることもあります。より良い目標を具体的にたてるための設定手法で、以下の5つの要素で構成されています。

  • Specific=明確である:売上金額やテレアポ数など対象がわかりやすいものにする
  • Measurable=測定可能である:件数や回数など数字で表せるものにする
  • Achievable=達成可能なものにする:努力すれば到達できるラインで設定する
  • Related=関連性がある:KGIやKSFと強く関連づいた内容にする
  • Time-bound=適時なものである:週や月、四半期など適切な期限を決める

たとえば、営業であれば「月に5件の新規契約を獲得する」などが適切です。

KPI設定やSMARTモデルの具体的な解説については、こちらの記事をご覧ください。

Specific=明確である

KPIやKGIを設定するときは、誰が何をどの程度行うかを明確に定義する必要があります。たとえば、以下のような内容です。

  • 顧客訪問数を週に30件にする
  • トライアル経験者の制約数を25%に上げる
  • 新規顧客獲得数を前年比120%に伸ばす

誰が見ても分かる明確な内容にすれば、チームのメンバーに共有しやすくなります。人によって解釈がぶれる心配がありません。また、メンバーそれぞれが具体的に何をすべきか分かり、目標に向かって適切な行動をとりやすくなります。

反対に、望ましくないのが以下のような具体性に欠ける内容のKPIです。

  • チームワークを発揮する
  • 顧客に満足してもらう
  • 顧客との関係性を深める

あいまいな内容のため、具体的に何をどう行動すべきか分かりません。達成できたかどうかの判断も困難です。

Measurable=測定可能である

Measurableは「測定可能な」という意味です。KPIは、客観的に到達度が測れるように、数値で表す必要があります。

たとえば、以下のような内容です。

  • リピート受注率を40%以上に維持する
  • 営業メールの開封率を20%になるよう改善する
  • チームでの新規アポイント獲得数を月間50件以上にする

たとえば、チームでの新規アポイント獲得数が月間で40件だった場合、そのままでは目標達成が難しくなると判断できます。「トークスクリプトを見直す」「かける件数を増やす」などの改善策を実施するなど、軌道修正を図ることが可能です。

反対に、以下のような数値を使わない内容では測定できないため、適切なKPIとはいえません。

  • リピート受注率を大幅に増やす
  • 営業メールの開封率が上がるよう工夫する
  • 新規アポイント獲得件数を伸ばす

また、数値で表すことで誰でも公平な基準に基づいて評価を下せるようになります。

Achievable=達成可能なものにする

Achievableは「達成可能な」という意味です。KPIやKGIを設定するとき、つい高い目標を掲げてしまうケースは少なくありません。しかし、KPIは達成が困難な内容にするのではなく、過去の実績や現状などから考えて努力すれば到達可能なものにする必要があります。

たとえば、以下のような内容です。

  • 現状で25%の成約率を30%に上げる
  • 解約率5%を3%に下げる
  • 1人当たりの契約販売数を5%アップする

現在の実力よりやや高い程度の目標であれば、モチベーションアップの効果が期待できます。しかし、以下のような高すぎる目標にすると、従業員のやる気を損ねたり、過度の負担を強いたりしかねません。

  • 成約率を10%から80%に伸ばす
  • 1人あたりの契約販売数を50%アップする

適切に努力することで手が届く目標を設定することが大切です。

Related=関連性がある

KGI・KSF・KPIの三者は、それぞれが緊密に結びついています。KPIを設定するときも、関連性のあるものにすることが必要です。

たとえば、営業部でKGIを年間売上1000万円とし、KSFで「商談数の増加」「成約率向上」「単価アップ」などを設定したとしましょう。その場合、以下のような内容がKPIになります。

  • 月間新規商談件数
  • 成約数
  • 平均契約単価
  • 顧客訪問数
  • アポ数

以下のようなKPIはKGIやKSFとの関係が薄いため、あまり適切ではありません。

  • SNSの投稿回数を1日10回に増やす
  • 公式サイトの資料ダウンロード数を向上させる

KGIから逆算して必要な要素(KSF)を導き出し、関連性の深いKPIを設定することが必要です。KPIを設定したら、KGIに深く関連した内容になっているかをチェックしましょう。

Time-bound=適時なものである

KPI設定にあたっては、達成するまでの期限を区切ることも大切です。一般的には、KPIの内容に応じて以下のような区切りが用いられます。

  • 四半期
  • 上・下半期

期限を定めるのは、「いつまでに、どの程度の成果を出すのか」を明確にし、達成までの進捗を管理する必要があるためです。期限があることで、個々が目標達成に向けて行動計画を立てやすくなります。

反対に、以下のように期限が決まっていないKPIは、設定した意味があまりありません。

  • 早めに成約数を5%に上げる
  • できるだけ受注率を30%まで増やす

期限が区切られていなければ、現状を維持したままになる恐れがあります。振り返りを行い、課題点を改善したり軌道修正を図ったりするためにも、いつまでかを決めることが大切です。

2. フローの可視化に有効なKPIツリー

KPIツリーとは、KGIからKPIまでをツリー状の図で示したしたもので、「目標達成のために必要なこと」や「うまくいかなかった理由」を可視化する際に有効です。

KPIツリーで業務フローを可視化しておけば、達成までの全体像をチームメンバーで共有することが可能です。また、ボトルネックを見きわめる際にも活用できます。

3. KPIの設計は単純に

多くの要素が含まれた目標は実行しにくく、達成率を下げてしまう恐れがあります。評価基準も複雑化しやすく、生産性の低下を引き起こします。抽象的な目標設定も同様です。

スタートからゴールまでが一貫しているシンプルなKPIの設計を心がけ、誰でも理解できる枠組みの構築を意識しましょう。KPIの設計は、期限も必ず設定してください。

4. CRM/SFAを有効に活用

CRM/SFAは、新規受注、既存顧客への営業活動など、あらゆるデータを管理することができるため、営業活動の見える化に繋がります。また、状況把握や分析が迅速に行えるため、「定めたKPIが目標からどの程度乖離しているのか」などの原因を追求しやすくなります。

KPI設定で効率的に営業活動を推進したい担当者の方は、こちらの資料もご活用ください。

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KPI導入の4つのメリット

適切なKPIの設定・管理で得られる主なメリットを4点紹介します。

1. 行動の明確化

KPIの設定は、社員一人ひとりの行動を明確にし「自分がいま、とるべき行動」や「成果の目安」をズレなく共有することを可能にします。具体的な目標を示すことで行動が明確になり、それぞれの業務がスムーズに進み、進捗も把握しやすくなるため、着実に達成スピードが上がります。

設定したKPIの共有や達成率をマネジメントする手間はかかりますが、重要性を部署全体で理解し、管理する仕組みを構築していきましょう。日々の達成管理がいい加減では、KPIを導入してもうまくいきません。

KPI管理にエクセルを使うこともありますが、管理工数が増えてしまうため、ツールを導入して自動で管理する方法も検討しましょう。KPI管理が重要な営業部では「SFA」がおすすめです。

2. 目標達成プロセスの可視化

目標達成までのプロセスの可視化はKPI導入の大きなメリットです。プロセスを可視化し、計画や施策の適切なマネジメントを実施することで重点的に取り組むべき課題も明確になります。

KPIを設定する際は「明確性」「計量性」「実現可能性」「期限設定」といった要素を考慮し、適切に設定を行なってください。これらが抜け落ちてしまうと、いくらプロセスを可視化しても、具体的な行動に落とし込みにくくなります。

KPIを設定し、正しくマネジメントを行うことはDXの推進にも欠かせません。具体的な活用方法についてはこちらの記事をご覧ください。

3. 組織全体の能力向上

従業員にとって、KPIの導入は共通目的や目標を再認識する機会になります。そのため、メンバーとの意思が統一され、組織全体のモチベーション向上が期待できます。KPIマネジメントにより浮上した課題や問題点を全員で共有し、いままで以上に迅速に解決できるようになるなど、相乗効果も生まれやすいでしょう。

4. 組織内評価基準の統一

適切なKPIの設定は、組織内で共有される評価基準を統一し、曖昧だった評価構造の体系化に役立ちます。

多くの組織の評価構造は、基準が曖昧なために数値化や体系化ができておらず、従業員にわかりにくい仕組みになっています。KPIを導入して「客観的な数値」を指標にすれば、評価基準の統一だけでなく、事業の進捗度合いを定量的に分析することも可能です。

また、チームやメンバーに対して公平な評価ができるため、業務上の可視化だけでなく、評価の「見える化」を実現できます。KPIをより深く理解するには、「PDCA」についても把握しておくとよいでしょう。

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KPIマネジメントとは

「KPIマネジメント」とは、KPIを設定して目標達成するまでのプロセスを管理するマネジメント手法です。

市場の急速な変化や顧客の複雑なニーズに応えていくためには、無駄を省き、アウトプットの質を上げていくことが求められます。KPIマネジメントはその一環として、多くの企業で取り入れられています。

KPIは設定して終わりではなく、スムーズに進行しているか進捗を確認し、問題の発生には適宜、対応していかなければいけません。

経営戦略において、まずはKGIを決めてからKPIを設定していきますが、KPIマネジメントを効果的に運用するには手順や管理方法を理解することも重要です。

KPIマネジメントがもたらす効果

KPIマネジメントは、目標達成までの進捗管理に役立つだけでなく、ほかにもさまざまな効果をもたらします。

組織の方向性がそろうこともそのうちの一つです。KPIを共有することでチームメンバーが何を優先すべきかが理解でき、認識のずれが防げます。個々の従業員が主体的に行動しやすくなり、モチベーションアップにもつながるでしょう。

ほかにも人事面では、評価の透明性が高まる点が挙げられます。根拠が明確になるため、納得感のある評価がしやすくなります。

ビジネスにおけるKPIの使用例

KPIは目標達成までの進捗度合いを測る際に有効な指標であり、ビジネスシーンでしばしば用いられています。有効に活用するためには、適切なKPIを設定することが必要です。

ここでは、業種・職種別にKPIの例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

業種別のKPI使用例

KPIは業界・業種に合った項目を設定することで、より効果的に機能します。以下に、業種別の代表的な例を挙げます。

業種 KPI例
製造業 労働生産性・製造リードタイム・不良率・在庫回転率・設備稼働率・原材料コスト比率・廃棄率・歩留まり率など
小売業 来店客数・客単価・在庫回転率・利益率・リピート購入率・返品率・販売チャネル別売上比率・サイトコンバージョン率など
金融業 自己資本比率・ROE・ROA・不良債権率・営業利益率・新規口座開設数・金融商品クロスセル率など
IT業 月次経常収益・ユーザー定着率・解約率・サーバー稼働率・アクティブユーザー数・セクション継続時間・アプリダウンロード数・バグ修正率・LTV(顧客生涯価値)など
物流・運輸業 配送時間順守率・積載効率・輸送コスト比率・配送事故発生率・燃料消費率・倉庫稼働率など
飲食業 回転率・原価率・客単価・フードロス率・リピート率・オーダー提供時間・スタッフ生産性・予約キャンセル率など

業績の向上には、適切なKPIの設定と継続的な分析・改善が欠かせません。業種に合った指標を活用し、戦略的な取り組みを進めましょう。

なお、KPIは一度設定して終わりではなく、業界を取り巻く環境の変化にあわせて定期的に見直すことも大切です。

上記代表例に挙げた「LTV(顧客生涯価値)」とは、顧客と長期的な関係を築く必要がある業界にとって大切な指標です。以下で詳しく解説しています。

「LTV(ライフタイムバリュー)とは?意味や計算方法・向上させる施策をわかりやすく解説」

また、運営サイトのコンバージョン率を高めることはビジネスにおいて非常に重要です。以下の記事ではコンバージョンについて基本から解説しています。

「コンバージョン(CV)とは?意味や種類・活用する方法をわかりやすく解説」

職種別のKPI使用例

KPIの設定内容は職種によっても異なります。なぜなら、KPIは目標の達成度合いを測る指標として設定するものであり、目標は職種によって異なるためです。

以下では、主な職種別に代表的なKPIを紹介します。

職種 KPI例
営業 売上高、契約獲得率、商談件数、テレアポ数、新規顧客獲得数、リード獲得数、リピート率、平均契約単価、クロスセル・アップセル率、顧客離脱率など
マーケティング リード獲得数、広告コンバージョン率、サイト訪問数、サイト直帰率、資料請求数、広告ROI、メルマガ開封率、顧客獲得単価、SEO流入率、バウンス率など
人事・採用 採用コスト、採用リードタイム、応募者数、面接通過率、定着率、研修受講率、有給休暇取得率、休職率、離職率など
カスタマーサポート 平均対応時間、問い合わせ件数、顧客満足度、解決率、応答時間、エスカレーション回数など
エンジニア 開発速度、バグ発生件数、システム稼働率、テストカバレッジ、デプロイ頻度、セキュリティインシデント数など
経理・財務 経費削減率、キャッシュフロー、債務回収時間、財務健全性、利益率、支払期限順守率、投資対効果など

上記は主な例です。所属する組織のKGIやKSFにそって適切に設定するようにしましょう。

顧客エンゲージメントや従業員エンゲージメントを高めることは、企業の継続的な成長に不可欠です。以下で詳しく解説しています。

「ビジネスにおけるエンゲージメントとは? 必要性や高める方法を解説」

企業の安定した経営のためにはROAの向上が不可欠です。詳細は以下で解説しています。

「ROA(総資産利益率)とは?計算方法や意味する内容、高めるポイントを解説」

【企業別】KPI活用の成功事例

KPIは多くの企業で導入されています。ここでは、企業で行われているKPIの成功事例をお伝えしていきます。

トヨタ自動車

KPIを語る上で外せないのが、トヨタ自動車です。トヨタは以前から「見える化」に徹底して取り組んできました。トヨタの「見える化」には2つの意味があり、1つ目は現場を「自分の目で見て判断する」という意味。2つ目は「順序や管理方法の見える化」の意味です。2つの視点をもつ考え方は、さまざまな業種で活かすことができます。

Amazon

Amazonでは、KPIを「メトリクス」と呼んでいます。メトリクスとは、施策で得られたすべての数値データを指しています。感覚的な判断はせず、数値やデータに基づき決定をしていくので、議論や話し合いの時間が短いのが特徴です。

また、Amazonでは、キャッシュフローにKPIを導入しています。商品を仕入れてから現金化されるまでの時間は短い方が良いですが、Amazonではなんと「マイナス30日」と言われています。

日本航空株式会社(JAL)

JALは経営破綻後、スピード復活した企業としても有名です。JAL事業を再生するにあたり、お客様が航空会社に求めていることは「予定通りの時刻に飛行機が到着すること」と考え、KPIを定時到着率に設定しました。機内清掃の効率を上げるために社内体制の見直しを行って時間短縮の工夫を重ね、見事、経営を回復させました。

KPI設定でビジネス成長を加速

適切なKPIの設定は、社員一人ひとりの行動を明確にし、チームの団結力を上げ、モチベーションをアップさせます。また、曖昧だった指標がシンプルでわかりやすくなり、組織全体の生産性の向上にも役立ちます。

KPI設定やKPIマネジメントの特性をよく理解し、目標達成や業務効率化に取り組んでいきましょう。プロセスの定期的に見直しと、振り返りやすいKPI設定が、ビジネスを成功に導きます。

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営業ラボ 編集部

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