営業ラボ

営業力強化に役立つノウハウを公開
eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ 競合他社に勝つ営業戦略|差別化や分析フレームワークも図解でわかりやすく解説
競合他社に勝つ営業戦略|差別化や分析フレームワークも図解でわかりやすく解説
更新日:

競合他社に勝つ営業戦略|差別化や分析フレームワークも図解でわかりやすく解説

営業の売上を高めるには、同じ市場で競争関係にある「競合他社」との差別化を図り、顧客に自社の商品・サービスを選んでもらう必要があります。

しかし、競合の捉え方や差別化の方向性を間違えてしまうと、うまく営業の成果向上にはつながらない場合があります。

本記事では、競合他社についての分析方法や差別化のポイントを詳しく解説します。

競合他社とは

競合他社の定義

競合他社とは、同じ市場や業界内で自社の製品やサービスと直接、競争関係にある企業のことを指します。

競合他社は自社と同じ領域で顧客獲得、市場シェアの拡大、製品の差別化などをめざしているため、市場での自社の位置づけを明確にして競争優位を築くためには、競合他社を理解することが必要不可欠です。

競合分析を行う際には、以下のポイントを把握することが重要です。

  • 競合企業の製品やサービスの特徴
  • 競合他社が対象とする顧客、ニーズ
  • 競合企業の価格設定
  • 競合企業の営業・マーケティング戦略
  • 競合企業の市場シェア

これらの情報を収集して分析することで、自社と競合との差別化ポイントを見つけ出し、効果的な営業戦略を立てることが可能になります。

競合他社の特定方法

同じ市場内の競合他社を特定するには、まず自社の製品やサービスが提供する価値と、それを必要とする顧客層を明確に理解することが重要です。

前提として、自社のいる市場の理解が曖昧だと顧客や競合他社もずれた設定になってしまいます。自社・競合・顧客の3つの分析をかならず行い、理解を深めるようにしましょう。

分析を行う際には、以下のステップを踏んでリサーチを行う方法が効果的です。

  1. 市場調査を通じて、業界内の他社製品やサービスの特徴を把握する
  2. 顧客のニーズや行動パターンを分析し、自社と競合他社の顧客層がどのように重なっているかを調べる
  3. 競合他社のマーケティング戦略や販売戦略を分析し、自社との違いを見つける

これらのステップを通じて、自社の強みと競合他社との差別化ポイントを明確にすることができます。また、競合他社の動向を常にチェックし、市場の変化に迅速に対応することも競争優位を維持するうえで大切です。

他にも、競合他社や自社の理解を深める方法として、さまざまな分析フレームワークがあります。競合他社の分析に使える4つのフレームワークについては、後ほど紹介します。

競合他社との差別化を図るポイント

自社にとっての競合がどの企業かが見えてきたら、ここでようやく「競合他社に勝つための戦略」を考案していきます。本章では、競合他社との差別化を成功につなげる3つのポイントで解説します。

自社の提供価値を明確化する

提供価値の明確化は、競合他社との差別化を図る上で非常に重要なステップです。自社の製品やサービスが提供する独自の価値を明確にし、顧客に伝えることが求められます。

ここでのポイントは、市場や顧客のニーズを深く理解し、それに応える形で競合他社にない自社の強みや特徴を打ち出すことです。「自社と競合ではどう違い、どのポイントが顧客に魅力的と思われる強みなのか」を言語化できなければ、顧客に差別化ポイントを理解してもらうことさえ叶いません。

自社の提供価値を明確化するには、以下の4P分析フレームワークが有効です。

4P分析

  • Product(商品・サービスの品質やデザイン)
  • Price(価格設定)
  • Place(流通経路/販売場所)
  • Promotion(プロモーション方法)

自社の商品・サービスにおける上記4つの「P」要素を、競合とは異なる独自の価値として形成することが差別化の成功の鍵となります。まずは自社の現状における4つの「P」を整理してみましょう。

4P分析を活用した営業戦略のたて方について、詳細は以下の記事もご参考ください。

参考:4P(マーケティングミックス)とは? 営業戦略に活かす方法も解説!

その差別化は顧客が望んでいるものか

商品・サービスを差別化しても、顧客理解がうまく得られず競合に負けてしまうといったケースも多く、「その差別化は顧客が望んでいるものか」は競合他社に勝つうえで注意したいポイントです。

ここで重要なのが、「差別化」と「差異化」の違いを正しく理解することです。差別化は他社の商品・サービスと明確な違いを出して優劣の差をつけることですが、差異化は他とはまったく違うターゲット層や方向性で商品を販売する戦略です。

ただ競合他社と違うポイントを作ったとしても、ターゲット層や方向性まで変わってしまうと、従来の顧客が欲している「差別化」ではなくなってしまいます。

差別化を図る際には、以下のポイントを考慮するようにしましょう。(特に★が最も重要)

  • 顧客ニーズがあり、かつ競合他社にない要素 ★
  • 商品・サービスの品質やデザイン
  • 価格設定
  • 流通経路や販売場所
  • プロモーション・提供の方法

これらの要素を総合的に検討し、市場での自社の位置付けを明確にすることで競合他社との差別化を実現できるでしょう。

また、差別化は商材だけに当てはめる必要はなく、付加価値として顧客体験やアフターサービスの質を高めることでも可能です。「顧客ニーズがあり、かつ競合他社にない要素」をどのように自社で展開するかを戦略に落とし込んでいきましょう。

競合他社の分析フレームワーク4選

競合他社を見きわめて適切な差別化を行うには、先に挙げた4P分析のようなフレームワークを活用して、自社・競合・顧客を正しく分析、理解することが不可欠です。本章では理解に役立つ4つの分析フレームワークを紹介します。

3C分析

3C分析

3C分析は、競合他社の特定を行う際、最も始めに活用される分析フレームワークです。上図のように3つの「C」の要素を整理し、顧客と自社、競合の関係性を大まかに把握することが可能です。

競合他社を特定する際は、前述のステップで整理した情報を3C分析の図に落とし込んで整理してみましょう。

SWOT分析

SWOT

SWOT分析は、企業が自社の強み(Strengths)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threats)を明確に理解するフレームワークです。この分析を通じて企業は競合他社との差別化ポイントを探り、市場での独自性や優位性を確立するための戦略を練ることができます。

フレームワークの具体的な詳細については、以下の記事をご覧ください。

参考:SWOT分析のやり方を解説! 企業戦略に活かす方法

5フォース分析

5F分析

5フォース分析は、業界の競争環境を分析するためのフレームワークです。このモデルを用いることで、企業は自社の直面している競争の構造を理解し、戦略的な優位性を築くための方策を立てることができます。競争の強度を決定する5つの力は上図の通りです。

この5つの力を整理することで、企業は市場内での自社の立ち位置を明確にし、競合他社に対して有利な戦略を展開するうえでの方向性が可視化されるようになります。

新規参入の脅威や、代替品の脅威を低減するための戦略設計の際に5フォース分析が活用されるケースが多いことからも、競合他社との差別化戦略を立てる際に役立つ分析フレームワークといえるでしょう。

BCGマトリクス

BCGマトリックス

BCGマトリクスは、事業ポートフォリオの分析に有効なフレームワークです。企業の保有する事業単位を「問題児」「スター」「金のなる木」「負け犬」という4つのカテゴリに分類し、それぞれの事業の成長性と市場シェアを評価します。

この分析を通じて、どの事業に投資すべきか、どの事業を縮小または撤退すべきかを明確にすることができます。BCGマトリクスのカテゴリーは上図の通りです。

このフレームワークを活用することで、企業は経営資源の最適な配分を図り、競合他社に対する優位性を確立するための戦略立案を行うことが可能です。事業単位の現状を正確に把握し、将来の方向性を定めるうえでも、BCGマトリクスは非常に有効です。

参考:フレームワークを使った営業戦略の立て方とは?今さら聞けない基礎知識と実践

競合他社に勝つ営業戦略の成功事例

最後に、これまでに紹介したポイントや分析フレームワークにもとづいて、効果的な営業戦略を展開した企業事例を紹介します。具体的にどのような差別化を図り、競合他社に勝つにいたったのかを事例をもとに学びましょう。

製造業の差別化事例

ある製油メーカーでは、自社工場で搾油して化粧品用・食用の2種類の椿油を販売していました。しかし、油の競合他社との違いをうまくセールスポイントに落とし込めず、食用油がなかなか売れないことに課題を持っていました。

そこで、彼らは自社の状況や市場、そして顧客の3つの要素(3C)をあらためて分析しました。

その結果、

  • 少ない顧客の中で最も食用油を買ってくれている顧客が天ぷら専門店であること
  • 競合(市場)を見た時に天ぷら専門の油で著名なブランドがなかったこと
  • 天ぷら専門店の全国店舗数、専門の油を利用したいニーズが多かったこと

の3つの分析結果をもとにラベルとセールスポイントを「天ぷら専門油」に変更して新たな営業戦略で望んだところ、およそ数十倍もの売上向上を実現しました。

この事例のように、ニーズがあるのにまだ空いているポジション(天ぷら専門油)に気づき、すばやく営業を展開していくことができれば、競合他社より先に市場シェアを広げることができるでしょう。

セールステック(SaaS)の差別化事例

セールステックの領域でも、有効な営業戦略で差別化を実現している例があります。

近年、現れたセールステックベンチャーで、インテントセールス特化型のSaaSを提供している企業があります。

彼らは、顧客関係管理や営業の効率化を最適化するCRM/SFAツールが国内外に数多く展開されている現在の市場で、どのような独自性を生み出せるかをさまざまなフレームワークを通して分析しました。

結果、Webからの見込み客獲得(インテントセールス)に特化したセールステック領域は日本においてまだ存在していないことに気がつきました。

海外ではインテントデータ(興味関心データ)の営業への活用が当たり前とされ、日本でも重要であることをなんとなく理解している風潮があることに可能性を見出し、新たな市場開拓の戦略を立てました。

社長みずからメディアでインテントセールスの重要性を語り、セールスポイントとして何度も言及することで、現在では「インテントセールス実現に有効なツール」という独自のポジションを確立しています。

これらの事例に共通しているのは、今の競合他社や顧客の理解を深めたうえで、自社の立ち位置と顧客との関わり方を明確にしているということです。

営業戦略においては、特に今の顧客との関係性を正しく把握することが重要といえるでしょう。より精密な顧客データを収集・分析するにはCRMツールの活用や、事例にも挙げたインテントデータの活用も検討してみましょう。

参考:CRMとは?機能・メリットや選び方、活用のコツをわかりやすく解説

競合他社に勝つための差別化戦略を

本記事では、競合他社に勝つための営業戦略に役立つノウハウとして、差別化の方法や競合の分析フレームワークを詳しく解説しました。

競合他社との差別化は、自社の独自性を際立たせ、市場での優位性を確立するために不可欠です。そのためには分析フレームワークやツールを用いた分析で、競合の動向や顧客を正しく理解しなければいけません。

本記事で紹介した事例も参考にしながら、自社にとって適切な差別化ポイントを見つけ、営業戦略をたててみましょう。

営業ラボでは、以下のような競合に勝つための営業組織改革をまとめた無料資料もご用意しています。組織的な営業強化をお考えの方は、ぜひ今後の営業戦略の参考としてご覧ください。

ページトップへ