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ワークスタイル変革
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営業に求められる「売上アップを実現する」ワークスタイル変革

「ワークスタイル変革」という言葉をいろいろなところで目にするようになりました。

しかし、その多くは、働く場所や時間に柔軟性を持たせる、とか、モバイルワークを推進する、など「どういうワークスタイルを目指すべきか」の議論です。

端的には「手段」の話ばかり。

本来、ワークスタイル変革は目的を達成する手段に過ぎず、目的によって目指すべきワークスタイルは変わってくるのですが、どうも目的が散漫な“総論”になりがちです。

そこで、そういった“総論”ではなく、今回は、「売上アップ」を目的とした“具体的な”ワークスタイル変革の話をしたいと思います。
(なので、たとえば「働く場所や時間に柔軟性を持たせることによる人材のリテンション」などのテーマは対象となりません)

1章 営業のワークスタイル変革は、売上アップと切り離せない

営業に求められる「売上アップを実現する」ワークスタイル変革_売上

世の中のワークスタイル変革論で、売上は上がるのか?

冒頭でも触れましたが、「ワークスタイル変革」は今注目のキーワードです。平たく言うと「働き方を変えよう」ということです。

いろいろな議論がありますが、その代表的なものは「決まった時間に出退社して働くのではなく、IT活用や制度改定を通じて、働く時間や場所に柔軟性を持たせましょう」といったものです。

たしかに、そのようなことが実現すれば、外出先でもいろいろな業務処理ができるでしょうし、時短勤務や在宅勤務等でいままではうまく活用できなかった人材の活用が進むかもしれません。

でも、それで果たして売上は上がるでしょうか?

上がらない、とまでは言いませんが、それは極端に言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」的発想です。

外出先で業務処理ができるようになる→顧客への対応スピードがアップする→顧客の反応が良くなる→成約率が高まる→売上アップ、と、売上アップまでの道のりが非常に長いため、どこかで止まってしまうかもしれません。

そもそも、売上アップのためには他にもっと大事なことがあったりしないでしょうか。

目的を明確にしないと、成果は出ない

すべての物事は、「ゴール(目的)からの逆算」で最短距離を考えて実行すべきです。

もしもあなたの会社が「売上アップ」が大きな課題だと考えるのであれば、まずそれを設定しましょう。

できれば、もう一段踏み込んで、商談件数/商談規模/成約率/商談期間の4つ(※これを営業生産性4要素といいます)のうちどこをどう改善したいのか、まで設定できればベストです。

営業生産性4要素

この目的を達成するための手段として、「ワークスタイル変革」が有力な手段だと思ったら、そこで実施に踏み切るべきです。

もしも、他の手段のほうが目的達成に近そうであれば、他の手段を採るべきです。

「ワークスタイル変革」というのは、他にもたくさんの要素がからみあっているため、目的を明確にしておかないと、いつの間にか「モバイルワークは大事だけど、セキュリティを考えると全部は厳しいな」とブレーキがかかってしまったり、「このやり方ではあまり人材リテンションには効果がないのではないか」とあさっての方向へ向かっていったりしてしまいます。

結果、どれも中途半端、ということになりかねません。

2章 「お客様への価値提供力をいかに高めるか」がすべて

営業に求められる「売上アップを実現する」ワークスタイル変革_価値提供

もう、価値提供なくして売れる時代は終わった

結論から申し上げると、「ワークスタイルの変革」は、売上アップという目的を達成するのに非常に有効な手段の1つです。

御用聞き営業・物売り営業からコンサルティング営業・ソリューション営業の時代に変遷しているものの、営業活動の中心となるべきは常に「顧客接点活動」です。

すなわち、顧客を訪問し、課題をヒアリングし、提案を行い、クロージングする。その過程で、顧客の課題を解決するために自社が持っている「価値」を正確に伝えることが、売れるための必須条件です。

営業スキル

しかしながら、今の営業活動はどのようになっているでしょうか。

顧客接点活動よりも社内活動のほうがボリュームが大きくなってはいませんか?会議への出席とその準備活動に忙殺されてはいませんか?結果的に顧客のことを考える時間が不足し、「いつものプレゼンテーション」ばかりになってはいませんか?

それで、顧客に価値を伝えることができているでしょうか。

顧客接点の最大化、最速化を骨格とした設計をしよう

私どもがお手伝いさせていただいた会社の中には、「(営業としての)顧客接点活動」が実に15%しかない、という先がありました。
(この数値自体も、私どもが支援することで始めて認識できたものです)
これでは価値提供も何もありません。

営業活動比率UP

そこで、機器設置対応、故障対応といった業務は、営業に“やらせない”ことにしました。

そのために組織変更を行い、成績の低い営業マンを新設した機器設置対応・故障対応部門に異動しました。

営業マンの人数が減った分、一人ひとりの担当顧客は増加しましたが、機器設置対応等の活動をしなくてよくなったため、営業活動比率は実に40%に達しました。

さらに、即応しなければならない故障対応を切り離すことができたため、営業活動が阻害されることがなくなり、提案のスピードが大きく向上しました。

モバイルワークも、人事制度の改定も、時短勤務も何もありませんが、しかしながらこれこそが「ワークスタイルの変革」の本質です。

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3章 売上アップを実現するワークスタイル変革 「働き方」ではなく「仕事のやり方」を変える

営業に求められる「売上アップを実現する」ワークスタイル変革_分業

コア業務=顧客接点活動への集中と、それを支える「分業」のしくみ

本稿の最初に、ワークスタイル変革を、平たく言うと「働き方を変えよう」ということだと書きました。

しかし「働き方」という単語は、ともすれば“個々人の”働き方を強くイメージしてしまうように感じています。

上述の事例のようなケースは、「仕事のやり方」を変えた、という表現のほうがよりしっくりくるように私は思います。

仕事と言うのは、組織で行うものです。

ですから、個々人の働き方を変えることも大事ではありますが、それ以上に、組織としての「仕事のやり方」を変革することが大事なのです。

ではどのように仕事のやり方を変えるか。

その答えが、「営業をコア業務へ集中させること」で、そのためには「分業」を推進することが重要です。
(営業のコア業務とは、一般的に顧客接点活動のことを指しますが、たとえば提案書を作りこむことが顧客への価値提供に直結するのであればそれもコア業務となります)

営業をコア業務に集中させようと考えた場合、「ノンコア業務」を他の誰かが担当しなければなりません。これが「分業」です。

分業は、大きく分けると以下のように「リレー型」「ピールオフ型」と「アドオン型」の3つになります。
(それぞれの詳細は、また改めてお伝えできればと思います)

「リレー型」「ピールオフ型」「アドオン型」

組織力を向上させる「新・情報共有スタイル」

ところが、「分業」はえてして「分断」に陥ります。

分断が起こると、顧客対応の品質が低下しクレームを引き起こすことすらありますが、これをもって「分業は良くない」と考えるべきではありません。

これは、分業を行ううえで必要な「つなぎ目の設計」と「情報共有のしくみ」を整えないから起こることです。

「つなぎ目の設計」とは、仕事を誰から誰に、どのように受け渡すか、を標準化することです。

一人で行っている場合は、いままでの経験による暗黙知に従ってそれぞれが処理をしています(そして、それは間違いなく「バラバラのやり方」です)。

それを整理し、統一したやり方に集約します。

標準化を進めていくと、仕事を受け渡す際には、どのような「情報」が必要か、ということが明らかになってきます。

そこで、日々の営業活動の中でどの情報をどのようなタイミングで取得し、どこのデータベースに登録するか(もしくは受け渡しの際に記載するか)といったことも決める必要が出てきます。

すると、従来型の「必要なときに/あらかじめ決められたタイミング(週1回とか)で情報を入力して提出する」スタイルから、「顧客接点活動の都度情報を更新し、都度情報を参照する」スタイルへの転換が起こります。

さらに、適切なITツールを活用することで、更新された情報が「自動的に通知される」ことも可能です。

これが、「新・情報共有スタイル」です。

変革を成功させるために必要な「トップの意思」と「IT」

以上、売上アップを実現するワークスタイル変革について話をしてきましたが、最後に重要なポイントを。

ワークスタイルを変革する際には、組織に大きなストレスがかかります。また、変革には時間がかかり、変革がなってはじめて成果があらわれます。

成果が出ないじゃないか、とか、あえて変わる必要があるのか、などと声を上げる反対勢力も出てくるでしょう。

その中で成功するまでやりぬくためには、強い「トップの意思」が不可欠です。

もしあなたが「トップを説得/訴求したい」立場であれば、「売上アップ」という目的と、そのための具体策としてワークスタイル変革を訴求しましょう。

また、「IT」も不可欠な要素と言っていいでしょう。

いわずと知れたスマートデバイス、営業支援システム(SFA/CRM)、Web会議システムなどのコミュニケーションツール、PC環境のクラウド化など。

ツール先行型では失敗しますが、ツールなくして成功もありません。

それぞれのツールをうまく活かしたワークスタイル変革については、また改めてご紹介したいと思います。

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