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現状とプロセスの数値化
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現状とプロセスの数値化

市場の状況はどうか、どんな新製品を開発すべきか、業務フローはどうであるべきか、組織体制をどう変えるべきか、社員をどう評価すべきか・・・。

企業は効率のよい運営を行うために、常に的確でスピーディな判断を行う必要があります。

これらの判断の的確さと速さが、企業の運命を左右します。

しかし、これらの判断は何に基づいて行うべきでしょうか。

日本企業は会議が多くて有名です。

A部長もB部長もC部長も自分の意見を持っており、役員も意見を統一していません。

彼らの意見には、それぞれ一理あり、否定できません。

最後に皆が疲れ果てて、とうとう体力の限界に達し、社長の一言で決めるか、結論を先送りするかで会議が終わります。

このやり方では決定プロセスが遅くなるだけではなく、個人的な能力と主観性によるリスクが常につきまといます。

それは、真っ暗の中で皆が象の体を触って、その全体象を想像しようとするようなものです。

たまたましっぽを触った人は棒のような動物と言い、耳を触った人は扇子のような動物と言い、足を触った人は柱のような動物と言います。

現象は複雑に見えても、本質は案外シンプルです。

本質とは現象を支配しているファクターのことで、よほどの経験と洞察力を持っていないとなかなか見出すことができません。

そこでもし各種ファクターを数値化することができれば、つまり数値に置き換えることができれば、数値の大小は誰でも判断できますから、現象の本質をよりシステム的に発見することができます。

たとえば売れない理由についてAさんとBさんは異なる理由を強調していたとしましょう。

どのような対策を打つべきか結論が出ないときに、数値が出てきました。

Aさんが主張している理由は結果の22%を支配し、Bさんの言う理由は結果の53%を支配していることが分かりました。

数値で表現すると、議論する必要がなくなります。

誰もが、まずBさんの理由に手を付けるべきだと思うでしょう。

Aさんが主張する理由を無視していいというわけではなく、Bさんがいう理由を解消してから考えても遅くはないということです。

行動の優先順位がはっきりすると、無駄な議論と無駄な時間を無くなり、即時に問題解決のための行動に移ることができます。

私は上場企業を中心に数百社の経営者に会い、営業現場を見せてもらいました。

驚いたことに、マーケットと営業組織全体の状況を把握している経営者が少ないことが分かりました。

たとえ、把握している経営者がいなくても、誰かが把握していればよいのですが、問題は全社の中で営業全体とマーケットの状況をリアルタイムに押さえている人が一人としていないことです。

これこそ営業における問題点の最も支配的な要素だと考えるようになりました。

経営者は決算の数値を通じてしか全体像をつかむことができない状況下で、どのようにして戦略的な製品開発と営業を展開することができるでしょうか。

決算とはあくまでも結果論でありその原因であるプロセスについてほとんど何も示唆してくれません。

それでも多くの企業は、膨大な資金を投下して基幹システムを開発してきました。

毎日決算できるようにしたことを自慢する企業がありますが、そんな大金があるのならば、結果ではなく、将来の結果につながるプロセスに何が起きているかを数値で全体像を見せてくれる仕組みを作るべきです。

営業に関していえば、場合によっては今の売上が2年前の努力の結果の可能性もあります。

結果を見て営業を指揮すると、いつまでも2年前の状況を想定した営業になります。

2キロ後の道路をみて、今を走るようなものです。

中国語に「綱挙目張」ということわざがあります。

地面にまとめて置いてある網はただの乱れた糸の山に見え、その網を広げたくてもどこから手を付ければよい分かりません。

しかし、最も太い紐の綱を引っ張れば網は自然にすべてほどけてうまく広げることができます。

戦略、戦術、ノウハウ、仕組み、組織力、マーケッティングなど、営業について議論を展開する前に、まず全体像を数値でつかむことが「カギ」となります。

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