APIの意味や種類、メリットをわかりやすく解説|代表的な事例も
「API」は、ソフトウェアやプログラム同士を連携させることで、機能を拡張させるインターフェ-スのことです。API連携により業務の効率化が可能となり、コスト削減やユーザーの利便性向上も期待できます。
本記事では、APIの意味やメリット・デメリット、活用方法などを解説します。
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APIとは何か
APIは「Application Programming Interface」の略語で、ソフトウェアやプログラム、Webサービスをつなぐインターフェースのことです。
システム同士をつないで、機能や仕組みを共有するための接点とも、外部のアプリと情報をやりとりできる窓口ともいえます。
APIを利用するには「自分で開発する」パターンと「提供されているサービスを利用する」パターンの2種類があります。自社の目的や用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
API連携とは
API連携とは、APIを利用してソフトウェアやシステム間でデータを連携し、利用できる機能を拡張することです。たとえば顧客管理システムとPOSシステムを連携させ、売上金額や商品に顧客をひもづけて分析するなどが可能となります。
API連携により自社内や外部ユーザーと同じ情報を共有でき、効率的なシステム運用が可能となります。
APIの仕組み
APIは図のように、「API利用者」のリクエストと「API提供者」のレスポンスによって成り立ちます。
利用者は、定められた形式に従って使いたい機能や情報をまとめて「リクエスト」します。提供者はリクエストを受け取ると、送信された条件を処理して「レスポンス」を返します。
たとえば、ECサイトでユーザーがクレジットカード決済をする場合、ECサイト側でクレジットカードの決済機能を開発する必要はありません。クレジットカード運営会社が用意しているAPIに対してカード番号や氏名などをリクエストすると、決済の可否を表すレスポンスが返ってくるという仕組みです。
ECサイトはカード会社が提供しているAPIを利用することで安全性を確保でき、利用者も安心な取引が可能となるのです。
APIの種類
APIには一般的な「Web API」と、「ネイティブAPI」、「ライブラリAPI」、「ランタイムAPI」などの種類があり、それぞれ目的や用途が異なります。詳しく解説します。
Web API
Web APIとは、Webブラウザーで用いられているHTTP/HTTPSプロトコル(通信規則)を用いて情報のやり取りを行うAPIです。
Webサーバー間でデータをやり取りする通信規格であり、使用するプログラミング言語の仕様に左右されず汎用性が高いことが特徴です。そのため、広く一般的に用いられており、無料のWeb APIも多く公開されています。
ネイティブAPI
ネイティブAPIは、WindowsやAndroidのようなOSにあらかじめ組み込まれたAPIです。
OS上でプログラミングを行うためのもので、Windows APIはWindows上でプログラミングができるAPIとなります。プログラムからWindowsの機能や情報を簡単に利用できるように、開発者に向けて提供されているものです。
ライブラリAPI/ランタイムAPI
このほかに、JavaやC++のようなプログラミング言語が提供する「ライブラリAPI」や「ランタイムAPI」があり、プログラミング言語が持つ能力を最大限発揮できるような環境が整っています。
APIを利用するメリット
APIを利用することで、業務の効率化やセキュリティ向上、ユーザーの利便性向上などを実現できます。以下で詳しく解説します。
メリット1 ソフトウェア開発が効率化する
すでに提供されている機能をAPI連携すれば、ゼロからソフトウェア開発をする必要がなくなります。
既存のアプリケーションの機能拡張を行う場合、一般的には要件定義を行った後に設計から開発、テストを経てリリースされます。このとき、要件に合ったAPIがあれば、連携することでこれらの開発工数を抑えることができます。
開発にかかる時間やコストの大幅な削減にもつながるでしょう。
メリット2 API提供者のデータを二次利用できる
APIを利用すると、API提供者が保持しているデータを2次利用できる場合があります。
たとえばECサイトがAPI提供者である場合、そのECサイトが保有する顧客情報や商品情報、在庫状況などのデータを取得・連携できます。
これらを自社のマーケティング活動に活用できるほか、みずから膨大なデータの収集や登録、最新データへの更新を行う必要もなくなります。
メリット3 セキュリティ向上を期待できる
APIを連携することで、FacebookやX、Googleといったセキュリティレベルが高い認証システムを利用できます。
独自にセキュリティ向上の開発を行うよりも、セキュリティレベルが高いAPIサービスを利用する方が強固になる場合もあるでしょう。労力やコストを抑えられるメリットもあります。
メリット4 ユーザーの利便性向上を見込める
API連携を利用すると、ユーザビリティの向上も期待できます。
たとえば、Webサービスに新規登録する場合など、登録情報を一から入力するのが面倒だと感じる人も多いでしょう。
API連携で他社サービスのユーザー情報を取得できれば、自社サービスをはじめて利用するユーザーでも、みずからの情報の入力を省略できます。ユーザーの利便性が高まり、自社サイトや商材などの評価アップにつながるかもしれません。
メリット5 常に最新情報に更新できる
APIを通して、各サービスの最新情報を自動的に取得して利用できます。
たとえば、自社サイトとAmazonで商品を販売している場合、Amazon価格に変更があればAPI連携で自社サイトの価格にも自動反映できます。インスタグラムへの投稿を自動でFacebookにも投稿できるのも、APIのおかげです。
APIを利用するデメリット
APIはメリットが多い反面、突然サービスが利用できなくなるなどのデメリットもあります。確認しておきましょう。
デメリット1 サービスが終了してしまう可能性がある
APIの提供者が何らかの理由で、サービスの提供を停止する可能性があります。
API機能を利用できなくなるおそれがあるため、事業者側の理由で停止した場合の取り決めを確認しておくことや、トラブルや停止への対処法を考えておきましょう。
デメリット2 不具合が発生する場合がある
提供側のサーバーにトラブルが生じた場合も、自社に影響が及ぶ可能性があります。自社ではトラブル対応ができないため、リスクを踏まえてBCP(事業継続計画)の策定もしておくとよいでしょう。
デメリット3 費用がかかる可能性がある
APIには無料で利用できるものや、一定の範囲まで無料でそれ以降有料になる、データ量に応じた従量課金制のものもあります。サービスの内容によっては、想定以上の費用がかかる可能性もあるため、注意が必要です。
Web APIを使うための注意点
APIの中でも広く一般に使われているWeb APIについて、利用する際に注意しておきたいポイントを以下にまとめました。APIを導入するなら、ぜひ確認しておきましょう。
HTTP、HTTPSの理解を深めておく
Web APIは、利用者とサービス提供者間の通信にHTTPないしはHTTPSを使います。少なくともHTTP通信の仕様を理解しておくと、スムーズな導入や活用ができます。
APIキーとシークレットキーを厳重に管理する
Web APIの多くは、「APIキー」や「シークレットキー」といった認証情報を使ってアクセスする必要があります。
これらはサービスを使用する際のユーザーとパスワードのような役割を担うもので、第三者に伝えたり、複数の部署で使い回したりといった利用は厳禁です。
利用時の権限も最低限にとどめておくなど、厳重な管理を心がけましょう。
APIのサービス規約を厳守する
サービス提供事業者が指定する制限を厳守することも重要です。制約に違反すると最悪の場合、利用停止の制限を受けることもあるため注意しましょう。
よく使われているWeb APIの活用事例
Web APIはビジネスシーンだけではなく、日常生活でも広く活用されています。以下にその一例を紹介します。
クラウドサービス連携
Googleは数多くのAPIを開発・提供しています。
たとえば「Google Calendar API」を使うと、社員のスケジュールや社内会議の時間を共有するなどが可能です。
また、GoogleドライブやDropboxと連携することで、これらに保存したファイルを別のサービスへ自動連携したり、共有ドライブの作成・削除などを自動化できたりなど、業務の効率化につながります。
飲食店などを経営しているなら「Google MAP API」を使うと、Google MAPの画面をお店のホームページ上に表示できます。
ECサイトの決済
楽天ペイやPayPayなどは、ECサイト向けに豊富なAPIやサードパーティアプリを提供しています。
たとえば、楽天ペイが提供している決済処理APIを利用すると、ECサイトで楽天会員が決済する場合に楽天ペイに登録済みの情報を呼び出して、簡単に決済ができるようになります。
個人情報入力の手間が省けるので、購買率向上を期待できるでしょう。
Amazon API活用による商品管理
Amazonでは、自社サービスを便利に活用するためのAPIを多数提供しています。
Amazonに掲載されている商品の情報を自社サービス内で活用できるのも一例です。これにより、商品の最新情報を表示する、店舗運営者向けに1日当たりの売上情報を開示する、商品の在庫管理や登録を行う、といったことが簡単にできるようになります。
自社にとっては労力の削減になり、コストカットも期待できるでしょう。
SNSのユーザビリティ向上
X(旧Twitter)やFacebookなどの各種SNSでも、独自のAPIが開発・提供されています。
他の任意のサービスで、FacebookやLINEに登録している情報を使ってログインできるなどは経験した人も多いでしょう。
このほか、一度に複数のSNSに登録できるようなAPIや、自社サイト上でSNSの画面を表示させられるようなAPIもあり、目的に応じた利用で自社の業務効率化やマーケティング施策の効果向上も狙えるでしょう。
社内システムとの連携
社内のMAツールやCRM/SFAシステム、チャットツールなどもAPI連携が可能です。顧客情報や営業進捗、マーケティング施策管理などで扱うデータ連携を行えば、業務効率化や生産性向上を実現できます。
まとめ:APIを活用して自社の業務効率を改善しよう
APIは、アプリやプログラム、Webサービスをつないで、機能や仕組みを共有するインターフェースです。
API連携を活用することで、業務の効率化やユーザー・顧客の利便性向上などを実現できます。特に汎用性の高いWeb APIは、ビジネスシーンでの情報共有や業務自動化、ECサイトでの決済処理などさまざまな場面で活用されています。
自社に導入するならAPIの効果的な利用法を理解して、ビジネスの加速化に活かしましょう。