OODA(ウーダ)ループとは?PDCAサイクルとの違いや具体例を解説
変化の激しい今、有効な業務の進め方として注目される「OODAループ」について、皆様はご存知でしょうか?
「いまいち使い方がわからない。具体例を知りたい」「PDCAサイクルはもう古いらしいが、本当にOODAに切りかえる必要があるのか?」といった疑問を持っている人も多くいるかと思われます。
今回は、OODAループの体制構築やセミナーなどを行なう弊社がOODAの基本とPDCAとの違い、導入を成功させる3つのポイントを解説。さらに、実際の企業の事例を通して、現場での活用方法を紹介します。
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OODA(ウーダ)ループとは

OODAループとは、刻一刻と変化する状況で成果を得るために、現在、ビジネスシーンの多くで使われているフレームワークです。
PDCAと比べて状況への即応性に優れ、変化の早い昨今の環境で、チャンスを逃さないために重要な手法といえます。
元々は戦闘機による戦闘の勝率を高めたアメリカ空軍の手法で、効果と汎用性の高さから多くの企業で採用されています。
より詳しくは「OODAループの4ステップと具体例」で解説しますが、OODAループは以下4つのステップを繰り返す手法です。
- Observe(観察)
- Orient(状況判断、方向づけ)
- Decide(意思決定)
- Act(行動)
上記の流れで環境に即応して成果を出せる一方、OODAループは「自ら考え、動く個人を増やす(=自走できる組織)」のに効果的でもあります。
ビジネス環境の変化の激しい今の時代で、成果を出せる行動と組織づくりができるフレームワークとしてOODAが有力というわけです。
もちろん、OODAという新しい手法を導入する以上、ハードルもあります。
以下は、日本の営業にフォーカスしてノウハウをまとめた資料です。
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OODAループが必要とされている背景
OODAループがいま必要とされている主な理由は、以下の3つです。
1. そもそもPDCAが万能ではない
PDCAは有効で実績豊富なフレームワークです。
しかし、OODAループにも当てはまりますが、PDCAはいつでも有効な万能のフレームワークではありません。
そもそも、PDCAは品質管理や生産管理用のフレームワークであり、状況や前提が変わらない中で最適解を見つけていくのに適した手法です。
しかし、昨今のビジネス環境は変化が激しく、PDCAだけでビジネスを進めていくのは賢明ではありません。
「PDCAサイクルを早めれば良い」という意見もよく目にしますが、スピード重視でより実績ある手法のOODAを採用するのが妥当といえます。
いきなりOODAを実践するのが難しければ、最低でも、PDCAの簡易版ともいえるPDR(プレップ=準備、ドゥ=実行、レビュー=復習、検証)を採用すべきでしょう。
もちろん、OODAループもどんなときでも有効というわけではなく、PDCAと使い分けられると理想的です。
具体的な使い分け方は後述する「PDCAとOODAを使い分ける方法」を参考にしてください。
2. テクノロジーの進歩によるビジネス環境の激しい変化
いまや当たり前に聞かれることですが、近年のテクノロジーの進歩によって、ビジネス環境の変化が激しくなっています。
記憶に新しい例として、スマホ決済市場の競争激化があります。
2019年の前半は「乱立するQR決済サービスは、どこが勝者となるのか?」などの論争が話題となる機会もありました。
しかし、現在は、後発ながらも急速に台頭してきた「PayPay」などが勝者だとはっきりしています。
QR決済市場で古参だった「Origami Pay」は多額の赤字を計上し、社員の9割をリストラ対象にしながら買収されました。
資本力の差などもありますが、後発に対して心理的な参入障壁を設けられるはずの先発企業が撤退にまで追い込まれたわけです。
QR決済のように、後発企業が市場を総取りする例は、インターネット黎明期などにも見られました。
当時と同じくいまも変化が激しくなっており、緻密な計画を立てるよりも、状況を見てすばやく判断して勝機を逃さないことが重要といえます。
そういった意味でも、OODAループが必要となるのです。
3. AIやSNSの急速な発達
AIやSNSの急速な発達も、OODAループがいま必要な理由です。
さまざまな業務について、人間がやらずともAIに任せれば良い時代となっていくのは間違いありません。
ただし、AIの応用範囲は、あくまでも過去のデータが存在する部分のみ。
つまり、新しい領域ではAIではなく、市場や現場の動きを常に観察している人がOODAループを高速で回していくことが大切になります。
OODAループによるスピード感がより求められるわけです。
また、現在はSNSによって誰でもリアルタイムに顧客の声が収集しやすくなっており、マーケティングの精度とスピードは増しています。
OODAループを使って市場に即応する競合企業に置いていかれないよう、自社でもOODAループをしっかりと回していく必要があります。
OODAループの4つのプロセスと具体例

上述した4つのOODAのステップを、コンビニエンスストアの経営者の例を交えて、解説してきます。
Observe(観察=みる)
まずは市場や顧客、競合などの対象を観察・調査することから始まります。
現場の担当者自身が観察をおこない、「生のデータ」を収集していくプロセスです。
よくあるObserveの例としては以下のようなものがあります。
- 24時間営業だが1~4時の来客がほぼない
- 他社が全国展開をすべく拠点を多数増やすという情報が出た
観察・調査するときに大切なのは、「〇〇ならば〇〇だ」といった過去の経験をもとにした常識に囚われないことです。
あくまでも、状況をありのままに受け入れることが大切となります。
Orient(状況判断、方向づけ=わかる)
Observeで集めた情報を分析して、どういった状況が起きているのかを理解し、行動の方向性を考えます。
先の例なら、以下のようなOrientができます。
Observe:24時間営業だが1~4時の来客がほぼない
Orient:短時間でも閉店すれば人件費削減や生産性向上につながらないか?
Observe:他社が全国展開をすべく拠点を多数増やすという情報が出た
Orient:いま既存エリアが手薄でシェアを奪うチャンスなのでは?
Decide(意思決定=きめる)
どういった行動を取るかを具体的に決めていきます。先の例なら以下のようになります。
Orient:短時間でも閉店すれば人件費削減や生産性向上につながらないか?
Decide:試験的に1ヶ月間1~4時まで閉店する
Orient:既存エリアが手薄になってシェアを奪うチャンスではないか?
Decide:他社の既存エリアへの飛び込み営業やテレアポを実施
注意点としては、PDCAの「Plan」のように「何回も繰り返して最適解を得るから」あるいは「コストを無駄にしないよう入念に」といった考え方をしないことです。
OODAループは、刻一刻と変わる状況への即応で成果を出す手法です。
「最善と思える行動を即座に取って最大限の効果を」という思考でDecideしましょう。
Act(行動、実行=動く)
実際に行動するとともに次回ループのObserveもします。
行動すれば結果という名の状況の変化がおこるためです。
先の例だと、以下のようなActとObserveができるでしょう。
Decide:試験的に1ヶ月間1~4時まで閉店する
Act:告知や従業員への説明をした後、可能な限り早く実行
Observe:人件費カットはもちろん、棚卸しなどを集中的におこなえて生産性がアップ。ただし、売上は例年と比較して5%下がった
Decide:他社の既存エリアへの飛び込み営業やテレアポを実施
Act:メンバーや期間を決めて即実行。大規模にするのに稟議が必要で時間がかかるなら小さく実行。大規模にする説得材料を集める
Observe:成約率は高くなかったが、他社のアプローチが減っている確認が取れた
この例のように、OODAをスピーディーに回していけば、より成果を大きくしていくことも可能です。
たとえば、上の2つ目の例なら、次のループでリプレイスのキャンペーンを打つなどして攻勢を強められるでしょう。
OODAループとPDCAサイクルの違いと使い分け
ビジネスシーンでは、計画通りに進める力とその場で柔軟に動く力のどちらも大切です。PDCAは計画を立てて少しずつ改善する方法、OODAループは状況を見て即座に行動する方法です。ここでは、2つの違いや使い分けを紹介します。
厚生労働省でもOODAループとPDCAサイクルを説明していますので、以下の資料をご覧ください。
目的や自由度が異なる
OODAループとPDCAサイクルは、どちらも業務を改善・推進する考え方ですが、目的や自由度が異なります。
PDCAサイクルは「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」という流れで、あらかじめ立てた計画をもとに行動し、結果を検証して精度を高めていく手法です。安定した業務や品質管理など、状況が大きく変化しない場面で効果を発揮します。
一方のOODAループは、「Observe(観察)→Orient(状況判断)→Decide(意思決定)→Act(行動)」を繰り返す考え方です。計画に時間をかけるよりも、現場で起きている変化を観察し、素早く判断して行動するのを重視します。
PDCAが計画通りに進めることを目的としているのに対し、OODAループは変化に対応して成果を出すことを目的としています。また、PDCAは上司やチームでの合意を得ながら進める管理型の手法であるのに対し、OODAは個人や現場が自律的に動ける自由度の高さが特徴です。
以下の記事ではPDCAを具体的に説明しているのでご覧ください。
参考:PDCAとは?具体例や時代遅れで古いと言われる理由、OODAとの違いを解説
PDCAとOODAはシーンによって使い分ける

OODAループはPDCAとよく比較されます。
しかし、コンセプトに違いがあるため、優劣で考えるのではなく、両者のちがいを知ったうえで使い分けるべきです。
両者の大きなちがいとして、PDCAが「計画を立ててから行動する」のに対し、OODAループは「状況を見てとりあえずやってみる」というものがあります。
変化の少ない市場の既存商品やサービスの販売数などをアップさせたいといった場合、PDCAが有効です。
たとえば「自社サービスの契約率を前年比で○○%アップさせる」といった計画(Plan)を立てて、その計画を達成するために実行(Do)。
計画を達成できたかどうかを評価(Check)して、当初の計画と乖離があれば改善(Action)案を考えていきます。
一方で、新規事業や新たな商品、サービスを開発する場面においては、OODAが有効です。
これまでの常識をもとに計画を立てたとしても、市場のニーズと合っていないなどでPDCAが機能しないケースもあるからです。
無理に計画に固執すると、無駄な作業が発生してしまい、市場の変化にスピード感を持って対応することもできないでしょう。
身近な例をあげると、給食の献立はPDCAが、母親の手料理はOODAループが適しているといえます。
小中学校などで提供される給食は基本的に、1週間もしくは1ヵ月単位で献立表が提供され、その計画の通りに毎日、提供されます。
そして、食べ残しが多かった給食とそうでない給食をチェックして、次回の献立の参考にする、といった流れを踏むことがあります。
一方で、家で食べるご飯は、母親が子供の状況を見ながら作ることがあります。
子供が「今日の夜は肉料理が食べたい」と言ったら、その言葉に合わせて夕飯は牛丼やハンバーグなどを作るといった行動をとれます。
つまり、子供の状況に合わせて、毎日の料理を柔軟に変えると効率的なわけです。
OODAループのメリット・デメリット

OODAループは実績ある手法ですが、どんなときでも最適というわけではありません。
また、変化の激しい現在においても、PDCAが有用なシーンも多くあります。
そこで、PDCAと比べてのOODAのメリット・デメリット(と回避策)をきちんと理解して、どんなときにOODAを使うべきか判断できるようにしていきましょう。
OODAのメリット4つ
OODAループは前述した通り、「状況を見てとりあえずやってみよう」を促してくれるフレームワークです。
PDCAのように上司や上層部の計画立案を待ってから行動しないため、現場の状況に合わせた臨機応変な対応がしやすい特徴があります。
この特徴から、以下4つのメリットが生まれます。
- 問題を先のばしにせずに対応できる
- 現場に即した有効な行動ができる(ピントがずれた行動をせずにすむ)
- 自ら考えて行動する組織作りができる(生産性が向上する)
- 施策のスピードアップができる
時間を立てて考えた計画が、時間経過にともなう市場の変化に合わなくなって頓挫するリスクを減らせ、そもそもタイムロスなどもおこりにくくなるでしょう。
刻一刻と変化する市場や顧客のニーズに合ったサービスの提供も実施しやすくなります。
OODAのデメリット3つと回避策
OODAループは個人が自ら考え、動くことを促します。
結果として、以下のようなデメリットが発生します。
- その場の思いつきや感情で行動する個人の増長
- 中長期的な計画立案などのPDCAが有効な場面でのOODA採用
- 基本的に結果のデータが残らず共有もされないため暗黙知が発生する
PDCAであれば、全員が同じ計画を達成するために動くため、比較的、統制はしやすいといえます。
OODAループを導入しながらも組織をまとめるには、まず前提として、全員が同じ方向を向くようなビジョンやミッション、目的の共有が不可欠です。
デメリットを軽減するには以下4つのことに取り組むのがおすすめです。
- OODAループを回す目的を常に共有する
- ObserveやOrientは論理的かつ複数の視点でおこなう
- 定期的に考え方やアプローチの方向性を議論する
- CRM/SFAなどのツールの活用
OODAは即応を目指す手法ですが、思い込みや勘違いを防ぐ過程を設けると、精度が上がります。
とくに、市場(顧客)や自社の状況を客観的な数値として常に出してくれるCRM/SFAなどは役に立ちます。
ObseveやOrientの精度が上がるのはもちろん、結果も数値で把握できるので、良いループを積み上げていけます。
OODAループの導入を成功させるポイント
OODAループを組織に導入するには以下の2つの点を重視すると良いでしょう。
1. チーム全体で理念・目標を共有する
OODAループはその手法の特性上、個々の裁量権が大きくなる傾向にあります。
そのため、「組織全体が同じ方向を向いていること」が実現の第一歩となります。
まずはリーダーが目標を共有し、一人ひとりの責任を明確にすることで、どのようなものを観察するべきか、実行の際の判断基準は何かをメンバーに示しましょう。
2. 一旦メンバーに任せて、評価をする
組織が大きくなるにつれて、経営陣や管理職の「組織を動かす力」には限界が訪れます。
そこで、「一旦任せてみること」が重要になります。
ただ、一度任せたからといって、それを部下に丸投げするだけではいけません。
松下幸之助氏の言葉に、「任せて任せず」というものがあります。
これは、以下のような彼の組織論にもとづいた言葉です。
「従業員に仕事を与えるときに、一人ひとりの長所を見て、その潜在能力を信頼して大胆に仕事を任せてきた。そのために多くの人が育った。仕事は任す、しかし任せっ放しではいけない。適時適切に報告を聞き、事と次第によっては的確な指導、助言を与えなければならない。それが責任者の務めである」
OODAループの導入では、とくに「事と次第によっては」の部分が肝要です。
OODAループでは、素早い現場の判断・実行が求められるため、初めから成功ばかりするわけではありません。
そのため、メンバーに一度任せたら任せっきりにするのではなく、適宜、気にかけてあげた上で、根幹がずれているときのみ指摘をする姿勢が重要です。
OODAループの導入当初は厳しいものがあるかもしれませんが、長期的には大きなメリットが生まれるでしょう。
3. 情報の取捨選択を意識する
OODAループを効果的に回すには、限られた時間の中で情報の取捨選択が必要です。
現場には多くのデータや意見があふれていますが、すべてを判断材料にすると意思決定が遅くなります。
目的に関係する情報を優先し、重要度の低いものは思い切って捨てる姿勢が大切です。
また、定期的に情報の精度を見直し、チームで共有する仕組みを整えると、判断のスピードと質を高められるでしょう。
OODAループの活用例
ここでは、企業の現場でどのようにOODAループが役立っているのかを、2つの事例をもとに見ていきましょう。
製造業でのOODAループ活用例|ライン停止への即応判断
製造現場では、設備トラブルや工程の遅れなど、想定外の事態が日常的に発生します。そんなときに有効なのがOODAループによる即応的な判断と行動です。生産ラインのトラブル対応を例に見ていきましょう。
1. Observe(観察)
クライアントの製品の販売動向や受注量、生産ラインの稼働状況をリアルタイムで確認します。Lotやセンサーのデータを活用し、現場の進捗を正確に把握します。
2. Orient(状況判断)
現在の生産ベースでは、受注分の納期に間に合わないと判断。チームで原因とリスクを整理し、どの部分にボトルネックがあるかを検討します。
3. Decide(意思決定)
短期的に生産体制を24時間の交代制に変更し、納期を確保する方針を決定します。ここでクライアントの製品がヒットし、追加受注が発生します。
4. Orient(再判断)
自社の生産能力では対応が難しいと判断し、外注先の確保を検討します。
5. Act(行動)
協力会社に生産を委託し、納期・数量ともにクリアします。結果を共有し、次回以降の受注増にも対応できる体制を整えます。
OODAループでは状況変化に応じて前の段階に戻りながら判断を重ね、柔軟に行動を修正できます。急な外的変化にも相応できる点が、製造現場における強みとなるでしょう。
マーケティングにおけるOODAループ活用例|顧客の変化に相応する仕組み
マーケティングでは、SNSや検索トレンドなど、顧客の行動や関心が常に変化しています。計画を立ててから動くより、リアルタイムで反応を観察し、すぐ行動へ移すスピードが求められます。OODAループは、そうした変化に相応するための考え方として有効です。
1. Observe(観察)
Webアクセス解析やメール開封率、SNSの反応などを見て、顧客の行動データをリアルタイムで収集します。
2. Orient(状況判断)
得られたデータを整理し、どの層の顧客がどんな情報を求めているのか、どの媒体が効果的かなどを判断します。キャンペーンや広告の効果を比較し、改善すべきポイントを抽出します。
3. Decide(意思決定)
分析結果をもとに、打ち出すキャンペーン内容や広告を決めます。例えば、メール配信の時間を変更する、広告クリエイティブを差し替えるなど、小さな調整を素早く行うのがポイントです。
4. Act(行動)
決定した施策を実行し、反応をモニタリングします。想定外の結果が出たときは再び観察フェーズに戻り、改善を繰り返します。
このサイクルを継続的に回すと、顧客の変化にも柔軟に対応でき、効果的なマーケティング戦略につながります。
OODAとPDCAの両方で成果アップ!

今回は、OODAの概要やメリット・デメリット、PDCAとの使い分けなどを解説しました。
変化の激しい現在において、OODAループを手段のひとつとして持っていないことはハイリスクです。ぜひ本記事で紹介した知識を活用し、時代にマッチした組織の構築を目指していただければと思います。
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