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STP分析とは?やり方や注意点、活用事例を解説【マーケティング戦略】
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STP分析とは?やり方や注意点、活用事例を解説【マーケティング戦略】

顧客獲得がうまくいかない場合は、マーケティングやプロモーション施策を見直す必要があります。施策を見直すときにおすすめの手法が「STP分析」です。

今回はSTP分析のやり方をご紹介します。この記事では、STP分析する際の注意点や活用事例まで解説しているため、ぜひ参考にしてください。

また、競争激化に勝つためには施策だけでなく組織作りも大切です。下記の資料では競争激化に勝ち抜く組織作りのコツをまとめているため、興味がある方はダウンロードしてみてください。

STP分析とは

STP分析

STP分析とは「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字を取った分析手法です。1969年に経営学者フィリップ・コトラーが考案しました。S→T→Pの順番に分析すれば、マーケティングやプロモーション施策に役立てられます。

Segmentation
(セグメンテーション)
市場を細分化する
Targeting
(ターゲティング)
細分化した市場のどこを狙うかを決める
ターゲットを抽出する
Positioning
(ポジショニング)
自社のポジションを明確にする
競合と差別化する

STP分析の目的

STP分析の目的は、大きな市場の中で、どのような集団にアプローチするかを決めることです。自社の強み・弱みを明確にした上で、どのような顧客にアプローチすれば購入してもらえるか客観的に考えるために使用します。 

STP分析のメリット

STP分析には4つのメリットがあります。 

顧客ニーズを把握できる

STP分析を行えば「顧客はどのようなニーズを持っているのか?」「顧客はどの程度いるのか?」を整理でき、どの顧客をターゲットにするか決められます。結果、ペルソナ設定も行いやすくなります。 

マーケティング戦略やプロモーション戦略を明確にできる

STP分析を行えば、自社の優位性を明確にできます。つまり、顧客に対してどのようにアピールすべきかのプロモーション戦略が立てやすくなるのです。

自社商品や他社商品を調査した上でポジションを明確にすれば、マーケティング施策の決裁をもらう上で納得を得られやすくなるでしょう。また、チームメンバーで共通認識が持てるようになるため、一貫性のあるマーケティング施策が打ちやすくなります。 

他社との競合を回避できる

STP分析を行えば、競合激化している市場を回避できます。

また、自社の優位性を明確にできるため、競合他社に勝てるポイントを見つけられるでしょう。既にシェアが奪われている市場に参入する場合も、他社との違いを訴求すれば、新規開拓につなげやすくなります。 

マーケティングコストを削減できる

顧客を理解し、どのような価値を提供するかを決めてマーケティングに活かせば、精度の高い施策が打てます。高い費用対効果が見込めるようになり、マーケティングコストを削減できます。 

STP分析のやり方

次に、STP分析のやり方をご紹介します。

Segmentation(セグメンテーション)

STP分析

まずは、自社が提供する商品・サービスを必要としているユーザーはどういった属性で、どれぐらいの人数いるのか、市場を細分化して考えます。

toCビジネスは消費財市場、BtoBビジネスは生産財市場で市場細分化することをおすすめします。 

消費財市場(toCビジネス)

人口統計的変数 顧客の属性(性別、年齢、職業など)で考える
例:男性か女性か
地理的変数 地理的情報で考える
例:居住エリアはどこか
心理的変数 顧客の心理(ライフスタイルや価値観)で考える
例:どのような価値観を大切にしているのか
行動変数 顧客の行動履歴で考える
例:購買頻度はどれぐらいか

生産財市場(toBビジネス)

人口変数 業種や企業規模、地域などで考える
例:大企業か中小企業か
オペレーション変数 顧客の使用頻度や操作能力などで考える
例:初心者か上級者か
購買変数 購買方針などで考える
例:安い商品を希望しているか、高品質な商品を希望しているか
状況変数 緊急性などで考える
例:すぐに商品を使用するのか、サポートを求めているのか

Targeting(ターゲティング)

STP分析

次に細分化した市場のどこを狙うか決めます。自社の商品・サービスの強みを活かせる市場を狙いましょう。市場の狙い方は3通りの方法があります。

集中型マーケティング 狙う市場を絞り込む
高級なプロダクトやニッチなプロダクトと相性がよい
例:エルメス
差別型マーケティング 異なる商品、サービス提供する
例:SEOツールと記事制作サービスを提供する
無差別型マーケティング 狙う市場を絞り込まない
インフラ的なサービスと相性がよい
例:PayPay

Positioning(ポジショニング)

STP分析

次に、狙った市場に自社の商品・サービスの魅力をどのように伝えるか考えます。

自社商品と他社商品の価格や機能、品質を調査した上で、自社の優位性を確認していきます。上記のようなポジショニングマップがあれば、自社の立ち位置を分析しやすくなるためぜひ作成してみてください。

STEP分析を終えたら、どのようなマーケティング施策を打つかを考えます。

STP分析の注意点

STP分析のやり方をご紹介しましたが3つの注意点があります。

他の分析手法も組み合わせる

マーケティング戦略の6STEPで、STP分析はSTEP2~STEP4にあたる部分で用いられます。より効果的なマーケティング戦略を立案するためには、他の分析手法も使用しましょう。

マーケティング戦略の立案方法の流れと、おすすめの分析手法をまとめたので参考にしてみてください。 

【マーケティング戦略の立案方法】

STEP1 市場調査 PEST分析
5F分析
STEP2 市場細分化 STP分析
STEP3 ターゲティング
STEP4 ポジショニング
STEP5 4P 4P分析
STEP6 実行・分析 PDCA

市場の成長率を考慮する

STP分析で狙う市場を決めるときは、市場の成長率を考慮しましょう。市場が極端に小さい場合は売上が見込みにくく、成長率が低い場合は将来的に事業展開するのが難しくなるからです。

狙う市場を決めるときには「大きな市場で売上が見込めるのか」「将来的に成長するのか」を調査しましょう。

着手しやすい項目から取り組む

STP分析はS→T→Pの順番で行うと説明しましたが、順番が変わっても結果が変わることはありません。着手しやすい項目から取り組むようにしましょう。

市場参入はタイミングが何より重要なため、スピード感が求められます。

STP分析で自社優位性の確保に成功している企業事例をご紹介しましたが、ビジネス環境は急速に変化しています。急速に変化するビジネス環境に対応するための営業戦略を併せて確認しておきましょう。

STP分析を活用している企業事例

マーケティングやプロモーションに成功している企業は、どのようにSTP分析をしているのでしょうか? ここではSTP分析の活用事例をご紹介します。

パナソニックコネクト

STP分析とは?やり方や注意点、活用事例を解説【マーケティング戦略】_パナソニックコネクト

引用:もっと自由に、アクティブに働きたい人たちのために|レッツノートブランドサイト

パナソニックコネクトの「レッツノート」は法人向けウルトラポータブルPCでシェアNo.1を獲得しています。

会社だけでなく家庭にもPCが普及し、スペック競争が激化した市場の中で、顧客の求める価値を理解し、提供することでシェア拡大に成功しました。

Segmentation
(セグメンテーション)
個人利用、屋外利用
Targeting
(ターゲティング)
PCを持ち運ぶ営業マン
Positioning
(ポジショニング)
コンパクトで軽量のPC
営業活動を効率化できる高性能なPC
故障しにくく長時間使用できるPC

参考:レッツノートはなぜ人気?選ばれる理由と特徴を紹介

マクドナルド

STP分析とは?やり方や注意点、活用事例を解説【マーケティング戦略】_マクドナルド

引用:マクドナルド

マクドナルドは新型コロナウイルス感染拡大中も業績を伸ばすことに成功しました。2023年12月期の連結経常利益は前期比24.1%増の407億円になり、9期連続増収となりました。

マクドナルドがファーストフードで選ばれ続けている理由もSTP分析で、どのような価値を提供するか決められているためです。

Segmentation
(セグメンテーション)
早くて安いファーストフードを希望
Targeting
(ターゲティング)
デリバリーやテイクアウトなど便利なサービスを利用したいファミリー層
Positioning
(ポジショニング)
お手頃価格のメニュー開発
商品の提供スピードが早い
モバイルオーダーなど利便性が高い

参考:MEMORIES|日本マクドナルド 50年の歴史

スターバックス

STP分析とは?やり方や注意点、活用事例を解説【マーケティング戦略】_スターバックス

引用:スターバックス

スターバックスは米国のカフェチェーンですが、日本に進出してシェア1位を獲得しました。スターバックスが日本に進出して成功したのは、以下のように徹底的にSTP分析を行ったからでした。

Segmentation
(セグメンテーション)
10代~70代の男女
Targeting
(ターゲティング)
土地の調査をしてどのような人がスターバックスを利用するのかを研究
Positioning
(ポジショニング)
おしゃれな雰囲気のお店でコーヒーが飲める
広々とした空間で落ち着くことができる
長居ができる
親切で丁寧な接客

参考:地域に広げる未来|スターバックス コーヒー ジャパン

STP分析で精度の高いマーケティング戦略を立てよう

STP分析とは「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字を取った分析手法で、顧客を理解し、どのような価値を提供するかを決めてマーケティングやプロモーションに活かすときに用いるものです。

売上アップや海外進出などに成功している企業は綿密なSTP分析を行っています。この記事ではSTP分析のやり方と活用事例をご紹介しているため、ぜひ参考にしながら取り組んでみてください。

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