テレマーケティングとは一体何?メリットや成功へのポイントを紹介
営業や販促を行ううえで、テレマーケティングの導入を検討している事業者も多いのではないでしょうか?
テレマーケティングをうまく活用することで、営業部門をはじめ会社全体によい効果をもたらします。受注率や顧客満足度の向上、製品やサービスの改善は、得られる効果の一例です。
テレマーケティングを上手に活用するなら、事前の準備が重要です。この記事で、しっかり確認していきましょう。
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テレマーケティングとは一体何?
テレマーケティングは、電話を使ったダイレクトマーケティングの手法です。訪問の手間が省けることから、多くの企業で使われています。
活用できる業務は以下のとおり、幅広いことが特徴です。
- 商品やサービスの説明や販売促進
- 営業のフォロー
- 見込み客のニーズを知る
- 問い合わせやクレームへの対応
テレマーケティングはコミュニケーションのきっかけという観点から、大きく以下の2種類に分かれます。
- 顧客や見込み客からのアプローチで始まる「インバウンド」
- 自社から顧客にアプローチを行う「アウトバウンド」
テレアポとの違いも含めて、以下で解説します。
インバウンドは顧客や見込み客からのアプローチで始まる
インバウンドは、顧客や見込み客がかけてくる電話を契機とするテレマーケティングです。きっかけは広告やDM、オウンドメディア、SNS、ブログなど多種多様です。
対応する内容は、以下の2項目が主体となります。
- 商品やサービスに関する情報を提供する
- 問い合わせやクレームに対応する
自社の製品やサービスに関心を持った状態で電話をかけてきているため、前向きに話を聞いてもらいやすく、購入や契約につなげやすいことが特徴です。
アウトバウンドは自社から顧客へのアプローチ
アウトバウンドは、自社から電話をかけるテレマーケティングです。勧誘の電話は代表的ですが、無差別に電話をかけるわけではありません。成約率を高めるためにターゲットを絞り、あらかじめ用意したリストをもとに電話をかけます。
対応する内容は、以下の3項目が主体です。
- 商品やサービスに関する情報を提供する
- 不明な点や困った点をヒアリングして、適切な情報を提供する
- アンケートを取る
アウトバウンドがインバウンドと異なる点に、見込み客の関心度が挙げられます。電話を受けた時点では、製品やサービスに関心を持っていない方も多いでしょう。
短時間で電話を切られないようにするため、製品やサービスを知らない方にも興味を持ってもらう工夫が必要です。
見込み客獲得のコツは、以下の記事で詳しく解説しています。
リード獲得とは?見込み顧客獲得のための方法15選や成功事例を紹介
テレアポとテレマーケティングとの違い
テレアポとテレマーケティングは、コミュニケーションに電話を使うことが共通しています。一方でその目的は、両者で大きく異なります。
手法 | 目的 |
テレアポ | 営業の代わりとして、アポイントを取ること。商談の数を増やすことが目的 |
テレマーケティング | 顧客への情報提供や会話を通じて、新規顧客の獲得や顧客満足度を向上させることが目的 |
テレアポの詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。
参考:テレアポとは?上手い人の特徴や営業のコツ・トーク方法を一挙紹介!
テレマーケティングの4つのメリット
テレマーケティングには、営業力を強化して事業を後押しする4つのメリットがあります。
- 見込み客を受注に結びつけやすくする
- 既存顧客へのCS(顧客満足度)を向上できる
- 顧客獲得や営業活動を効率的に行える
- 製品やサービスのブラッシュアップにつながる
それぞれのメリットについて、順に詳しく確認していきましょう。
見込み客を受注に結びつけやすくする
テレマーケティングでは、新規で問い合わせてくる相手に対して、理解度や意欲に合わせた対応が可能です。
まだ製品やサービスへの理解が進んでいない場合は、リードナーチャリングによる顧客の育成が適切です。理解が深まれば見込み客になりやすくなるため、受注額もアップするでしょう。
放置した場合は他社に取られてしまうであろう見込み客も、リードナーチャリングの実施によって契約につなげることが可能です。リードナーチャリングを詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
参考:リードナーチャリングとは?見込み客育成活動にて営業がすべきこと
既存顧客のCS(顧客満足度)を向上できる
テレマーケティングは、既存顧客に対してもメリットをもたらす手法です。電話を使ったコミュニケーションは、リアルタイムかつ双方向のやり取りを行えるためです。顧客が以下のような感想を持てば自社への信頼も高まり、顧客満足度(CS)の向上につながります。
- 疑問も電話で問い合わせればすぐに解決する
- 安心して問い合わせができる
- こちらが問い合わせをする前に状況を確認し、アドバイスしてくれる
- 信頼できる企業なので、電話がかかってきてもスムーズに受け答えができる
CSの重要性や詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考:CS(顧客満足度)とは?向上させる4つの具体策と成功事例を紹介
顧客獲得や営業活動を効率的に行える
テレマーケティングには、顧客獲得や営業活動を効率的に行えるメリットもあります。運営会社に与えるメリットは以下のとおり、さまざまあります。
- 限られた人的リソースを成約の可能性の高い見込み客に集中でき、成約率が上がる
- 相手の理解度や関心のレベル、意欲に応じた対応を取れる
- リードナーチャリング(見込み客の育成)を行えるため、「そのうち客」も放置せずに済む
- 遠隔地の見込み客に対しても適切なフォローを行え、商材によっては契約まで可能
非対面で行える業務は電話を活用することで、対面で行う営業活動を成約の可能性が高い見込み客に集中できます。コスト削減と受注額のアップを両立できるでしょう。
意欲の高い「今すぐ客」に対して営業活動を行えることは、テレマーケティングを活用する大きなメリットです。
また、意欲の低い「そのうち客」は放置されがちですが、テレマーケティングを活用すればリードナーチャリングを行い、製品の知識を提供して見込み客へ育成できます。顧客を育成するノウハウが培われれば、他社よりも営業活動を有利に進めやすくなります。
以下の記事もあわせてご参照ください。
参考:インサイドセールスとは?目的や既存営業との違い、導入のポイントを解説
製品やサービスのブラッシュアップにつながる
テレマーケティングを行っていると、しばしば現在の製品やサービスについての感想や苦情を耳にします。これらは顧客の生の声であり、そこには製品やサービスの改善につながるヒントが詰まっています。
顧客から得た情報を製品やサービスづくりに活かせば、自社の発展につながるでしょう。この点も、テレマーケティングのメリットに挙げられます。
テレマーケティングのデメリット
テレマーケティングには、以下のようなデメリットもあります。
- 資料の準備に手間がかかる
- オペレーターの採用や教育にもコストがかかる
- 情報の入手や伝達手段が音声に限られる
どのような点がデメリットとなるのか、くわしく確認していきましょう。
資料の準備に手間がかかる
効果のあるテレマーケティングの実現には、しっかりとした準備が不可欠です。立ち上げに当たっては、以下の資料を準備する必要があります。
資料 | 特徴 |
データシート | 顧客との会話を通して得た情報をまとめるシート。顧客の感想や疑問点、問い合わせを受けた内容、運営会社からヒアリングしたい項目などを記載する |
トークスクリプト | 商品やサービスの説明にあたり、顧客との会話の流れを想定したテキスト。顧客の回答内容により、会話の流れはいくつかに分岐する。YesかNoで答えられる質問を用意するとよい |
FAQシート | 顧客からよく寄せられる質問や、顧客からの質問が想定される項目をリストアップし、回答を記したシート。対応の均一化と対応時間の短縮、顧客満足度の向上が期待できる |
これらの書類の準備には手間がかかります。社内でのさまざまな議論も必要となるでしょう。一方で、準備をしっかり行えば、他社と差をつけることが可能です。十分な準備を行って、売上のアップにつなげましょう。
オペレーターの採用や教育にもコストがかかる
オペレーターの採用や教育にコストがかかる点も、デメリットになります。
テレマーケティングは、実際に顧客と会話するオペレーターの質が重要です。充実した資料を揃えていても、電話対応のスキルが不十分だと、商談につながらないどころか、自社の評価を下げてしまいかねません。
テレマーケティングのオペレーターには、以下のようなスキルが求められます。
- 基本的な電話応対
- 顧客に好感度を持ってもらえる話し方
- 製品やサービスに関する知識
- 効果的な営業トーク
- 顧客の話をしっかり聞き、適切に対応するスキル
これらを習得するための育成期間が必要なため、コストがかかります。近年では採用難が続いているため、オペレーターの候補者を採用する時点からコストをかけ、優秀な能力を持つ人材に入社してもらわなければなりません。
情報の入手や伝達手段が音声に限られる
テレマーケティングは対面での営業活動と異なり、コミュニケーション手段が音声に限られます。画像や動画を見せられれば、ひと目で理解してもらうことが可能ですが、それができません。複雑な内容を説明しにくい、という点はデメリットに挙げられます。
相手に関する情報の入手方法も音声に限られる、という点にも注意が必要です。相手の状況やニーズを理解するためには、どうしても時間が必要です。また、相手の表情から雰囲気を察することもできないため、相手の感情を損ねてしまう場面が生じるかもしれません。
テレマーケティングを成功させるポイント
テレマーケティングの成功には、十分な準備が不可欠です。成功につながる以下のポイントについて、確認していきましょう。
- 目的や要件を明確にする
- 資料や自社の体制を整える
- B2Bテレマーケティングサービスの活用も検討する
目的や要件を明確にする
テレマーケティングを成功させるためには、目的と要件の明確化が欠かせません。客観的に評価できるよう、目的や要件の可視化・数値化に取り組みましょう。以下に挙げる取り組みは代表的な例です。
- 目的や要件を言語化する
- ゴールを明確にする
- KPI(重要業績評価指標)を適切に定める
とくに、テレマーケティング業務を外注する場合は、上記の項目をしっかり決めていないと成果が出にくいだけでなく、外注先とのトラブルを生む原因になりかねないので、注意が必要です。KPIの代表的な項目には、売上目標、有望見込み客数、コンバージョン率、顧客単価が挙げられます。
売上目標の設定方法やツールについては、以下の記事をご参照ください。
資料や自社の体制を整える
業務で使う資料や社内体制の整備も、テレマーケティングの成功には欠かせません。
データシートやトークスクリプト、FAQシートを、誰でも理解できるような表現で記載しましょう。また、以下の点についてもスムーズに行えるよう、整備しておく必要があります。
- 責任者へのエスカレーション
- フィールドセールスをはじめ、他職種・他部門との連携方法
テレマーケティングの結果や実績を評価するためには、正確な記録や結果の「見える化」が必要です。CRMやSFAの導入が求められるでしょう。適切な評価につながることはもちろん、蓄積された情報がよりよい顧客対応や成約につながるノウハウとなります。
CRMやSFAの詳細やメリットについては、以下の記事に詳しくまとめています。
参考:SFAとは?CRM・MAとの違いや導入時のポイントを解説
またCRMやSFAを選ぶコツ、活用方法については、以下の記事をご参照ください。
B2Bテレマーケティングサービスの活用も検討する
テレマーケティングはB2C(BtoC)だけでなく、B2B(BtoB)の事業においても有効です。一方で、B2BテレマーケティングはB2Cと比べて、以下の難点があります。
- 成約までの期間が長く、意思決定に携わる人数も多い
- 成約には合理的な理由が必要
- 自社製品やサービスだけでなく、顧客企業の業務に関する専門的な知識も必要
- 金額が大きいため、失注した際の影響が大きい
適切に対応するためには高いスキルを持つオペレーターの育成が必要ですが、簡単には実現できません。このため、企業間のテレマーケティングを専門に行う「B2Bテレマーケティングサービス」の活用も有効です。
B2Bテレマーケティングサービスは、法人をターゲットとするサービスです。営業をかけるリストの選定からアポの取得、見込み客への情報提供まで外注企業がサポートします。インサイドセールスの部分を任せられるサービスといえるでしょう。
営業パーソンの人数が少ない企業でも有望な見込み客を見つけ出すことができ、成約率の向上や売上のアップにつなげることが可能です。
テレマーケティングに関するよくある質問
テレマーケティングを進めるにあたり、疑問が生じた方も多いのではないでしょうか。代表的な3つの質問について、回答をまとめました。
Q1:テレマーケティングとは? 意味は?
テレマーケティングは、顧客とのコミュニケーションに電話を使うことを指します。既存顧客や見込み客に対してニーズの聞き出しや詳しい商品説明、質問への回答や営業フォローなどを行うダイレクトマーケティングのひとつです。
Q2:テレマーケティングとテレアポの違いは?
テレマーケティングは既存顧客や見込み客が主な対象で、情報の提供やリードナーチャリングなども行います。一方でテレアポは、顧客ではない人に電話して商談につなげることが目的です。テレアポは基本的に専門知識が必要ないので、外注される場合が多いです。
Q3:テレマーケティングのコツ、成功ポイントは?
テレマーケティングの成功には、以下のポイントが重要です。
- 目的や要件、KPIを明確に設定する
- 資料や自社の体制を整える
- オペレーターを確保し、教育する
- 外注する場合は要件を明確にする
テレマーケティングで業績アップを実現
テレマーケティングを活用することで、貴重な営業パーソンを、成約する可能性が高い見込み客に集中できます。また、「そのうち客」にも十分な情報提供を行えるため、見込み客の増加も期待できるでしょう。
結果として成約率と成約数が増加し、売上のアップにつなげることが可能です。顧客満足度が高まることも、見逃せないポイントです。
企業の発展に、テレマーケティングは欠かせない存在となっています。上手く活用して、自社の業績アップを狙いましょう。