
ニューノーマルのすべて|新しい働き方とコロナ時代の乗り切り方
新型コロナウイルスの流行と共に目にするようになったニューノーマル。一時の流行語のように捉えてしまっているなら危険な状態です。
実はニューノーマルは過去にも起きており、コロナ禍も契機になっているからこそニューノーマルという言葉が出されています。企業としてはビジネスモデルや働き方を刷新しないとシェアの低下や倒産リスクを高めてしまう状況です。実際、過去のニューノーマルでは新興企業の台頭や斜陽になる業界・企業が出ています。
そこで今回、企業として知っておくべきニューノーマルの現状をまとめて解説していきます。具体的にすべきことも詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
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ニューノーマルとはビジネスの変革期のこと

新型コロナウイルスの流行を受けて生み出された“新しい生活様式”と説明されることの多いニューノーマル。しかし、企業としては「ニューノーマル=ビジネスの変革期」と受け止めておくのが重要です。
ニューノーマルは過去にも2回登場している言葉で、ビジネス環境に大きな変化を引き起こしています。具体的にはインターネットの普及した時期とリーマン・ショックのときです。
インターネット普及前後でおこった企業のビジネス環境の変化は説明するまでもなく、非常に大きなものです。リーマン・ショックを受けてより追求されるようになった企業責任の一端は、SDGsという形で全世界に影響を与えるようになりました。自動車業界のカーボンニュートラルなどは最たるものです。
なお、ニューノーマル自体についてより詳しくは以下の記事が参考になります。本記事は、ニューノーマルの到来をうけて企業がすべきことをメインに解説していきます。
ニューノーマルの反対語は、従来の日常(conventional normal)。インターネットやスマートフォンの普及前後のような大きな変化が今起きています。企業にとって変化はピンチにもチャンスにもなるので、今回のニューノーマルを詳しく知って行動していきましょう。
ニューノーマルの現状・おきた変化=企業が変化すべき理由

全社的な取り組みができるように、ニューノーマルの現状とおこった変化、企業が変化をおこすべき理由を紹介していきます。
ニューノーマルの到来をうけて企業も変化すべきといっても、ごく少人数で小さな変化をおこしてもあまり意味がありません。過去のニューノーマル(インターネットの到来やカーボンニュートラル)でおこったビジネス環境の変化に対応するには、従業員やツール導入を含め、全社的な取り組みによる大きな変化が必要だったからです。
そこで、全社的な取り組みができるように、企業のニューノーマルの現状とおきた変化の重大さを以下3つの切り口で解説していきます。
- 完全な回復は数年先との予測が多数派
- 消費者行動・ニーズの変化
- 新しい働き方で社員の価値観の変化も加速
完全な回復は数年先との予測が多数派
ワクチンなどが開発され、いわゆる巣ごもり消費などのトレンドも終わると感じているかもしれません。しかし、移動の制限などが解除されるのは数年先になるという専門家の予測が多数派になっています。たとえば、三菱総合研究所では制限がなくなると予測した専門家が多数派になるのは20204年末というアンケート結果を発表しています。
また米ニューヨーク市の観光局は、観光業の回復は2024年まで実現しない可能性があるとの報告をしています。移動や行動に制限が加わった上で成立するであろう消費トレンドも数年は続く可能性が濃厚なわけです。
また、移動や行動の制限が終わっても元のビジネスモデルや売り方がそのまま成立するとは限りません。消費ニーズの変化が現在進行系でおこっているからです。続いて消費ニーズの変化について詳しく見ていきましょう。
消費者行動・ニーズの変化
新型コロナウイルスの流行をうけて消費者の行動やニーズは大きく変化しました。代表的なものは巣ごもり消費やネットショッピングの活用の大幅な増加です。
消費行動としては、ネットショッピングの利用が下図のとおりビフォーコロナと比べて大幅に伸び、定着しています。
また、下図のとおり昨今はシニア層(ここでは60~79歳)もスマートフォンを所持しているので、あらゆる年代層でネットを意識せざるを得ない状況に変わっています。つまり企業としてネットを起点とした売上をたてていくべき環境変化が起きているわけです。
一方で、消費者ニーズも顕著に変わってきています。たとえば、新型コロナウイルスの流行をうけて拡大した消費行動として飲酒があげられますが、トレンドは大幅に変わっています。
売れ筋商品の一例をあげると、生ジョッキのような泡や味わいを楽しめる「スーパードライ 生ジョッキ缶」や高級日本酒の「百光」などです。前者は人気のあまり2日で出荷停止になっており、後者は税込み2万7,500円という価格にも関わらず抽選に応募が殺到しています。企業としては、顧客ニーズを今一度把握してサービスや売り方を考える必要がある状況です。
ちなみに自宅での飲酒が大幅に増える中、仕事関連の飲み会はないままが良いという意見も強まっています。実際、キリンホールディングスの報告によると取引先との接待は64.8%、会社の定期飲み会は61.9%の人がないままでいいと思っているとのことです。
社員も企業の外では一消費者であり、新型コロナウイルスの流行をうけて価値観が変わってきているわけです。当然、価値観の変化は働き方にもおよんでいます。
新しい働き方で社員の価値観の変化も加速
新しい働き方とえいば在宅勤務いわゆるテレワークが代表的です。テレワークを経験した社員の価値観の変化は大きく、近年では転職者の希望にオフィス勤務ではなく、テレワークで勤務できる環境が重要視されるようになっています。

テレワークを歓迎しているというと、若手を想像しがちかもしれません。しかし、現実には下図のようにベテラン社員の方がストレスから解放されたという報告もあります。
いま働いている社員にとってテレワークは好評とする調査が多い状況です。そもそも働き手が減る一方の日本社会で、なんとか働き手を維持する方法として提案されてきたのがテレワークです。「コロナ禍の間だけ」という考えではなく、「コロナ禍をきっかけに」という考え方で、ビジネスを回していける体制を整えていくべきでしょう。
なお、ここではテレワークをメインに解説しましたが、他にも大きな働き方の変化は多数ありました。たとえば、ウェビナー(Webセミナー)やインサイドセールス部隊によるオンライン商談などです。それぞれの詳細は以下のリンク先で確認できます。
具体的に企業経営で重視すべきこと4つ

ここからはニューノーマルをうけて企業経営で重視すべき要素を解説していきます。具体的には以下の4つです。
- ニューノーマルな営業による売り上げの確保
- テクノロジーを活用したコスト削減=DX
- 新しい働き方の確立
- リスクマネジメント
それぞれ具体的に解説していきます。
ニューノーマルな営業による売り上げの確保
ニューノーマルに対応していく部署はまず“営業部”からというのが定番です。当たり前ですが、変わった市場に対応できずに売上高が減り、利益を確保できなくなってはシェアの低下や倒産リスクを高めてしまうからです。
ニューノーマルな営業に関する詳細は後述する「既存顧客との接点強化」と「新規顧客開拓の見直し」で解説しますが、アフターコロナにおいても売上高の維持・向上は企業経営において必須です。働き方を含めてまずは営業部から着手していくと良いでしょう。
テクノロジーを活用したコスト削減=DX
コスト削減はいつの時代においても重要でしたが、ニューノーマル時代においてはテクノロジーの活用がキーとなります。具体的には、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むべきです。
たとえば、今まで自社の従業員が行なっていたオペレーションの一部をRPAを使ってシステム化するのは有効なDXであり、コスト削減や生産性を向上させる手段です。RPAツールに加えてAIを導入することで、今まではシステム化が難しかった作業をRPA化するのも良いでしょう。
また、システム化ができないようなオペレーションについても、自社で従業員を抱えることなく社外にアウトソーシングすることも可能です。テレワークの普及とともに、ネットを介した副業やギグワーカーが増えています。働き方改革として国が推奨しているので、企業としては労働力として活用したいところです。
このように、既存の常識にとらわれずにビジネスを回していく方法を考え、コスト削減をしていくことがニューノーマル時代のコスト削減といえます。なお、DXの取り組み方などは以下の記事が参考になります。
新しい働き方の確立
新しい働き方として代表的なのは、やはりリモートワーク・テレワークです。先述のとおり、テレワークは社員が望んでいることであり、働き手が減る今後の日本でいずれはできるようにしていかなければいけない働き方です。テレワークについては以下の記事が参考になります。
なお、テレワークを含めて新しい働き方をさせるにあたって一定のリスクがあるのも事実です。そこで、リスクマネジメントについても詳しく見ていきましょう。
リスクマネジメント
一口にリスクマネジメントといってもさまざまありますが、ニューノーマル関連の場合は以下を特に重視したいところです。
- BCP(事業継続計画)の立案や保守
- 社員のマネジメント
- 情報セキュリティ強化
それぞれわかりやすく解説していきます。
BCP(事業継続計画)の立案や保守
東日本大震災など、過去の日本においても幾度となくリスクマネジメントが注目されBCPの策定などがされてきました。しかし、前提は自然災害対応であったのが実情です。
永久凍土が溶け続けている昨今、新型コロナウイルスの流行のようなパンデミックが起こるリスクが高まっているとされています。ニューノーマル時代の企業経営においては、コロナのようなパンデミックを想定した上でのBCP策定が必要になると考えられます。
社員のマネジメント
テレワークなどの新しい働き方ができるようになると、これまで機能していた社員マネジメントが少なからず機能しなくなります。労災やモチベーション低下といった問題が発生し得るので、新たなマネジメントが必要です。
基本的にはSFAやCRM、タスクマイニングツールといったシステムを導入して、社員や業務の今を見える化するのが最も効果的です。生産性を底上げすることにもつながります。また、ツールに合わせたコミュニケーションスキルやモチベーションマネジメントのスキルもみがかせたいところです。
特にSFAやCRMは優先順位が高いでしょう。まず、ニューノーマルに対応していくべきは営業部であり、SFAとCRMは営業部に最適なツールだからです。それぞれのツールの詳細は以下の記事が参考になります。
情報セキュリティ強化
売り方にしろ働き方にしろネットを起点にすべき環境である以上、情報セキュリティの強化は必須のリスクマネジメントだといえます。
設備的なセキュリティを上げるのも重要ですが、社員のITリテラシー向上の研修を開いたりマニュアルを作成したりするのも重要です。テレワークやオンライン商談のみならず、普段のコミュニケーションやマネジメントで新たに身につけるべきスキルも合わせて研修すると効果的でしょう。
ニューノーマルの営業ポイント①既存顧客との接点強化

ニューノーマル時代の営業においては、既存顧客との接点強化がより必要となります。
ビフォーコロナの営業でも、コストのちがいから既存顧客との接点強化、すなわちロイヤルカスタマーの増加が必要と言われていました。しかし、お金をかければ新規顧客獲得が可能な環境・前提だったのが実情です。
ニューノーマル時代の営業においては、新規顧客獲得にコストをかけられなくなる可能性があり、コストをかけても新規顧客獲得が難しい可能性があります。市場の変化が大きく、先読みは決して簡単ではないからです。したがって、すでに自社製品を愛用している既存顧客との接点強化をする必要があります。
具体的な要素としては以下2つを解説していきます。
- 顧客との接点確保
- 提案内容の質の向上
顧客との接点確保
ニューノーマル時代においても、成約件数=提案数×成約率という方程式に変わりはありません。そのため、まず考えるべきなのは提案数の確保、つまり顧客との接点の確保となります。そして、ニューノーマル時代において変わるのは接点確保の方法です。
ニューノーマル時代では、顧客が人と接触する機会を減らす傾向が強まることが予想されます。したがって、今後は非対面でどのように顧客との接点を作るかが重要となります。
当然のことながら、自社ホームページが訪問者にとって見やすいものになっているか、問い合わせは簡単にできようになっているかなどのふり返りが必要です。
また、オンライン商談・会議も活用がなされるべきでしょう。商談にオンラインは不適切という意見もあるかもしれませんが、今までに信頼関係を構築している既存顧客については活用が検討できます。
提案内容の質の向上
成約率をあげるのも重要です。成約率を上げるには、提案の質を上げることが重要であり、ここではその方法としてテクノロジーの活用を提案します。具体的にはCRMによるデータ活用です。
企業が持つデータをAIによって分析させることで、既存顧客に対してどの商品を高い確率で売れるかなどの分析が可能となります。そういったデータ分析に基づいた提案活動を行なうことで、成約率の向上を目指せます。CRMについてより詳しくは以下の記事をご覧ください。
ニューノーマルの営業ポイント②新規顧客開拓の見直し

ニューノーマル時代においても継続的な新規顧客開拓は必要です。しかし手法は全く異なったものになります。
当然ですが、飛び込み営業などはより一層難しくなりますし、潜在顧客への頻繁な訪問などもできなくなるでしょう。このような状況下での新規顧客開拓で重要な要素として、以下2つを解説していきます。
- ターゲット層を明確にする
- 最初の接点を改善する
ターゲット層を明確にする
まずは、ターゲット層の明確化です。今までのマーケティングでも重要でしたが、ニューノーマル時代においてはターゲット層の明確化がより重要になります。
闇雲な営業ができない中では、PDCAのPの部分がより重要になり、マーケティングにおけるPの第一歩はターゲット層の明確化です。また、テクノロジーの進化によって非対面でのマーケティング手法は多様化しています。
昔の広告と言えば新聞・テレビ・雑誌・ラジオ等が主流でしたが、今は自社HP・SNS等挙げればキリがありません。どのマーケティング手法を用いるかはターゲット層によって異なってくるため、まずはターゲット層を明確化するのが重要です。
最初の接点を改善する
非対面が主流となるニューノーマル時代においては、最初の接点が重要になります。
非対面ではどうしてもプッシュ型(企業から顧客に対して接近するタイプ)の営業が難しくなり、プル型(顧客から企業に対して接近するタイプ)の営業が多くなります。
そのため、顧客が企業に興味を持つ最初のタイミングである最初の接点が非常に重要になります。ここでの印象によって、顧客がその企業に継続してアクセスするか、二度と戻って来ないかが決まると言っても過言ではありません。
最初の接点としては、自社ホームページやSNS、既存メディアでの広告などがあります。ニューノーマル時代では、こういったものを顧客視点に立った接点とすることが非常に重要です。
まとめ:ニューノーマル時代でもビジネスの本質に変化なし

本記事ではニューノーマルの現状や企業が変化すべき理由、具体的にすべきことなどを解説しました。
変化するのが重要と解説してきましたが、ニューノーマル時代でも変わらないものはあります。代表的なのは「ビジネスは人と人が作り出すもの」ということです。コロナ前からやり方は変わっても、ビジネスの目的に変わりはありません。
ニューノーマルへの対応を考えるときは、アフターコロナで何が変わり、何が変わらないかをしっかりと見極めるのが重要です。そして、変化は勘や経験ではなく、ツールを利用して客観的な数値として把握すれば勝率が高まります。
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