
トークスクリプトとは~営業力の向上や改善に役立つ作り方~
トークスクリプトとは、営業活動において、顧客に対して「どのような内容で話をするのか」などをあらかじめ決めたマニュァル(営業台本)のことです。
この営業台本の質が、顧客獲得の鍵となるといっても過言ではありません。
主にテレアポに活用されていますが、その他にも近年注目されている「インサイドセールス」や「フィールドセールス」でも役立つ重要なものといえるでしょう。
そこで、トークスクリプトとはどのようなものなのか基本を押さえつつ、営業効果を高めるための作り方についてご紹介します。
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営業に欠かせないトークスクリプトとは?~事例をご紹介~

営業トークスクリプトとは?
営業が、顧客に対して話をする際の内容や話の流れ・順番を決めた台本(スクリプト)のことで、それをもとに電話をかけたり、現場で話をしたりするのに使用されています。
営業のテレアポ時に電話で対応する際に主に使われていますが、顧客に興味を持ってもらえるような最適な内容づくりが必要です。
たとえば、会話の始まり、商品やサービスについての説明、話の展開、顧客の質問への回答、クロージングの方法などを、フローチャートにまとめるのがおすすめ。
このようなトークスクリプトは流れがわかりやすいので、初めて営業の仕事をする人にとって心強いマニュアルとなります。
事例
テレアポの場合は、以下のような内容で構成されています。
事例とともにご紹介します。
挨拶
お世話になっております。
お忙しいところ、失礼いたします。
自己紹介
私、〇〇会社の△△△△と申します。
弊社では××××などのサービスをご提供しており、御社の新規開拓のお手伝いをさせていただければと思い、ご連絡いたしました。
相手の気持ちを惹きつける
これまでに、300社以上のお客様にこのサービスを提供させていただきましたが、その結果、売上アップにつながったとご好評をいただいております。
弊社の場合、同じサービスに加え、さらに〇〇の機能も充実しており、よりリーズナブルにお使いいただくことが可能です。
他の角度から攻めてみる
既に他社様のサービスをお使いでいらっしゃるとのことですが、現在、何かお困りのこと、もしくは新たに導入したいサービスなどはございませんか?
質問への対応
回答できる場合
ご質問の〇〇機能につきましては、これまでにトラブルなどは発生しておりません。
また、万が一、お困りのことが発生した際には、至急担当者が訪問させていただくことも可能です。
回答できない場合
大変申し訳ございません。
私ではお答え出来かねる内容でごさいますので、少々お時間をいただけないでしょうか。
のちほど担当の者からお電話させていただきます。
日程決め
お忙しいところ大変恐れ入りますが、弊社の〇〇がさらに詳しい説明をさせていただきますので、明日、もしくはあさってのご都合のよろしいお時間をお教えいただけないでしょうか。
クロージング
お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。
上記は一般的、かつ簡単な事例ですので、自社の内容に合わせた具体的なトークスクリプトを作成しましょう。
営業トークスクリプトのメリットとは?

会社の営業トークの基準ができる
営業マンが電話営業を行う際、トークスクリプトがないと、それぞれの考えや知識で話を進めてしまうため、アピールポイントがズレてしまったり、成果や失敗の具体的な判断ができなくなったりする可能性もあります。
しかし、トークスクリプトがあれば、複数のアポインターや営業職の人が社外に対して営業する際に、その商品やサービスについて統一した知識、情報に基づいて話をすることができます。
全員が同じ基準で話をすれば、アポイント獲得や成約につながるキーワードやアプローチ方法の分析や見直しもしやすく、結果的にチーム全体の営業成績アップにつながるでしょう。
自信をもってトークができる
新人の営業マンにとって、台本がないままテレアポや営業をするのは、とても不安なものです。
当然、自信のないトークになってしまうのではないでしょうか。
その結果、顧客に「頼りない相手とは一緒に仕事をしたくない」と思わせてしまうことも…。
しかし、トークスクリプトがあれば大まかな流れをつかむことにより、営業担当者も自信が湧いてきて、しっかりと話すことも可能になります。
「話す内容や順番が決められている」「会話が予測できる」「質問がきたときにある程度答えが用意されている」
これらにより、スムーズなセールストークを展開することができるでしょう。
営業活動・教育に取り組みやすくなる
初めてアポイントにチャレンジしたり客先を訪問したりする営業マンは、何から話したらよいのかもわからない状態です。
しかし、「会話のマニュアル」であるトークスクリプトがあれば、営業活動に慣れていない新人でもそれをもとにしっかりと話すことができます。
また、複数の新人教育などにおいて教科書として活用することで、統一した指導内容を実践することが可能。
新人教育をスムーズに進めることができるでしょう。
「インサイドセールス」や「フィールドセールス」にも役立つトークスクリプト

トークスクリプトは、今注目されている「インサイドセールス(効率化が実現する営業手法)」でも活用されています。
テレアポのトークスクリプトの目的が「アポイント獲得」であるのに対し、インサイドセールスのトークスクリプトの目的は「見込み顧客の育成(リードナーチャリング)」です。
リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、その顧客を将来契約できるまでに育てるためのマーケティング活動のこと。
契約を急ぐのではなく、定期的に情報を届けながらアプローチをしていく作戦で、長期的に購買意欲を高め契約に導きます。
つまりテレアポでは「質より量」が求められるのに対し、インサイドセールスでは「量より質」が求められるため、同じトークスクリプトではうまくいきません。
顧客が抱える悩みやニーズなどを引き出す戦略が必要となります。
もしも、話の流れの中で「クロージングを急ぐと逆効果になりそうだ」と感じた場合は、まずは顧客の情報収集をしっかり行うなど、リードナーチャリングを意識した対応に徹しましょう。
フィールドセールスにもトークスクリプトは有効
また、インサイドセールスから引き継いだフィールドセールス(外勤営業)では、直接顧客と顔を合わせて商談を行うことになります。
契約が成立する見込みのある顧客との商談となるため、レベルの高い営業トークが必要です。
このようなフィールドセールスを行う新人営業に対しても、トークスクリプトがあれば教育がスムーズに!
ロールプレイングで繰り返し教育を行えば、かなり実力がアップするでしょう。
※インサイドセールスやリードナーチャリングについて知りたい方は、こちらの記事が参考になります!
「トークスクリプト」作成時の注意点と作り方のポイント
内容に乏しいトークスクリプトや、用意されたトークのパターンが少ないトークスクリプトの場合、電話をしてもすぐに断られて会話が終了してしまうこともあります。
そのようなことにならないよう、以下の点を踏まえて作成しましょう。
作成時の注意点
顧客が興味を示す内容になっているか
トークスクリプトは、営業成績をアップさせることのできる充実した内容づくりが重要です。
台本といっても単純なものではなく、会話が続くように、顧客を惹きつける内容のものが必要でしょう。
商品やサービスの特徴を魅力的に伝えることのできるセールストークを作ることが大切です。
どのような話の流れにも対応できるようになっているか
アポイントの獲得、営業の成約などの目的を実現するためには、顧客との会話が途切れないような工夫が必要です。
会話がマニュアルからそれてしまった際に慌てないためにも、顧客の質問内容や断られたケースなどについて、複数のパターンを準備することが大切。
その結果、落ち着いた対応ができるようになるので、良い結果が期待できるでしょう。
作り方のポイント
目的を意識する
テレアポ、インサイドセールス、営業訪問など、目的を明確にしてから流れや内容を組み立てましょう。
アポイント獲得までが目的なのか、もしくはリードナーチャリングが目的なのかによって、内容や流れが異なります。
ペルソナを作成し相手の興味を引く交渉パターンを用意する
会社や商品の説明を決まったパターンで話すだけでは、断られてしまいます。
相手の特徴に合わせたアピール方法を準備しましょう。
そのためには、顧客のペルソナを作成するのが効果的。
具体的な人物を思い浮かべて作ることで、リアリティのあるトークスクリプトになります。
相手の状況や問題点を聞き出す
商品の説明ばかりを一方的に話すのではなく、反応を見ながら、タイミングよく相手から会話を引き出せるような質問パターンを用意します。
例)
- 〇〇のことでお困りということはございませんか?
- 〇〇については、どのような対策を取られていらっしゃるのでしょうか?
相手からの厳しい質問にも答えられるようにフローチャート形式で作成する
「必要ないから」「困ってないから」などと相手にあっけなく断られたときや、鋭い切り返しがあったときなどに、そこで終わらせないためのトークパターンを考えておきます。
フローチャート形式で、会話の流れを想定し作成しておくと安心です。
実際のデータをもとに説得する
リードナーチャリングを目的とするインサイドセールスでは、特に相手の興味を引き付ける必要があります。
抽象的な言い回しではなく、相手を納得させられるような具体的な数字などを提示することをおすすめします。
トークスクリプト作成方法~無料ツール・テンプレートも活用しよう~

作成ポイントがわかっても、最初は何からどのように作り始めたらよいかわからない人も多いことと思います。
そこで、まずは、トークスクリプト作成無料ツールでたたき台を作成してはいかがでしょうか?
それをベースに改善していけば、さほど手間もかからないでしょう。
なお、一般的な内容で組み立てられたテンプレートも、ネット上に多く掲載されています。ご自身で作成する際は、マイクロソフト社のツール「Visio」がおすすめです。
トークスクリプト生成ツール(無料/有料)
「NetReal!」
NetReal株式会社(無料)

5つのステップの中で、項目を10個ほど入力・選択するだけで自動的にトークスクリプトが作成されるという優れもの。
さらに、「よくある質問と回答」も作成してくれるので、初めて作成する人にもおすすめです。
また、一度作成したスクリプトは、編集したり複製したりすることも可能。
会員登録後にログインが必要ですが、無料で作成することができます(その他の機能については料金が発生するものもあります)。
「bizEditor(ビズエディター)」
株式会社ビズオーシャン(2週間無料)

14日間、無料で使える営業トークスクリプト作成ツール。
複数人で編集・共有も可能なクラウドサービスです。
顧客から得た情報や声を共有したり、営業同士のコミュニケーションをはかったりすることも可能。
また、用意されたトークスクリプトのテンプレートは30種類。もちろん、リアルタイムで更新したり改善したりすることができるので、自社に合ったスクリプトが完成します。
テンプレートサンプル
「トークスクリプトサンプル 新規獲得編」
コーキ株式会社

「基本的なトークパターン」「はっきりと断られた場合」「他社を使っていると断られた場合」「反応がない場合」を想定し、パターン別に切り返し方などの対応方法が示されています。
さらに、こちらの切り返しに対する顧客の反応をパターン化し、クロージングトークも紹介。
さまざまなケースに対応できるトークスクリプトを作成する際に役立つでしょう。
作図ツール
「Visio」
Microsoft社のOfficeツール

テンプレート、ステンシル、スターター図面、カスタマイズ可能な図形などが豊富。
フローチャート機能を利用すれば、わかりやすいトークスクリプトが完成します。
料金プランは2種類。
簡単な図の作成なら「540円/ユーザー・月」がおすすめ。
プロレベルの作図をしたい場合は「1,630円/ユーザー・月」を選択しましょう。
トークスクリプト活用時のポイントとは?

どんなに素晴らしいトークスクリプトでも、話をする人によって話し方や伝え方などが異なるので、おのずと結果も違ってきます。
工夫をしながら、相手に「もっと話を聞いてみたい」「会って話をしてみたい」などと思わせることが重要です。
以下のポイントに気をつけて活用するようにしましょう。
気をつけるポイント
台本を読んでいるような話し方にならないこと
単なる営業電話だと思わせないためには、最初のつかみが大事です。
棒読みで話をすると、相手も面倒で役に立たないセールス電話だと判断しすぐに切られてしまいます。
電話の向こうの相手に話しかけるようなつもりでトークをしましょう。
キーマン(権限を持つ人物)にアブローチする
アポイントを取る、もしくはインサイドセールスで顧客を育成する際は、できるだけ権限を持った人に対してアプローチすることが大切です。
電話に出た人に、キーマンに取り次いでもらえるよう、自己紹介の内容などを工夫しましょう。
会話は「相手とのキャッチボール」であることを意識すること
こちらの伝えたいことだけを話し続けたのでは、相手との会話は成立しません。
途中で電話を切られてしまうことも考えられます。
会話の途中で、相手の興味を引きそうな話題を盛り込み、反応を見ながら話を進めましょう。
想定外の反応に対しても落ち着いて対応すること
トークスクリプトの通りに会話を進めても、返ってくる反応は相手によって違うはず。
予想外の質問や、電話に対するクレームが来ることもあります。
そのようなときに、慌てずに切り返せるように、普段からさまざまなパターンを想定しておくことが大切です。
精度を高めて営業力アップをめざそう!

良いトークスクリプトであればあるほど、営業の成約率は高まるものです。
一度作成して安心してしまうのではなく、うまくいかなかったパターン、うまくいったパターンを分析して随時、精度を高めましょう。
また、事前に何度も声に出して読み返し練習しておくことで自信がつき、実際のトークのときに自然な会話で進めることができます。
繰り返し練習しながら内容を修正・追加し、最高のトークスクリプト作りをめざしてください。
※OJTでトークスクリプトを使うと受注率がアップ!詳しい情報はこちら!
よくある質問
Q1:トークスクリプトとは?
トークスクリプトとは、営業活動において、顧客に対して「どのような内容で話をするのか」などをあらかじめ決めたマニュァル(営業台本)のことです。主にテレアポに活用されていますが、その他にも近年注目されている「インサイドセールス」や「フィールドセールス」でも役立ちます。
Q2:トークスクリプトのメリットは?
トークスクリプトのメリットは、会社の営業トークの基準ができることで、複数の営業マンが社外に対して営業する際に、その商品やサービスについて統一した知識、情報に基づいて話をすることができます。さらに、新人教育や育成にも活用できます。
Q3:トークスクリプトの作成ポイントは?
トークスクリプトを作る際のポイントは、①目的を意識する②ペルソナを作成し相手の興味を引く交渉パターンを用意する③相手の状況や問題点を聞き出す④相手からの厳しい質問にも答えられるようにフローチャート形式で作成する⑤実際のデータをもとに説得する、の5つです。