
リード獲得とは?見込み顧客獲得のための営業施策やツールを紹介
リード(見込み顧客)の獲得はさまざまな営業活動を通じて、将来の顧客増加につなげるための必要な施策の一つです。
今回はリード獲得の目的とそのための効果的な施策について解説します。
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リード獲得とは
リードとは
リードとはマーケティング用語で、「見込み顧客」のことを指します。自社の商品・サービスをまだ知らない顧客を指す「潜在顧客」とは意味合いが異なり、自社が何らかの形で、わずかでも接触できている相手のことをリードと呼びます。
リードと自社の双方が相手を認識した段階がスタート地点です。コンタクトをとり始め、リードが自社の商材に興味を持ったことで、初めて本格的な商談が可能になります。
企業側から接触できる存在であるリードを獲得することで、能動的なマーケティング活動が可能となります。顧客からの引き合いが来ることをただ待つのではなく、リードが好むアプローチ方法や内容を考えることで、より効果的に販促活動を行なうことができます。
その意味で、営業活動においてリードの獲得を増やす、ということが重要視されているのです。
リード獲得(リードジェネレーション)とは
リードジェネレーションとは、「見込み顧客を産み出す(増やす)」活動を指します。前述の通り、リードとは自社と何らかの接点を持ち、自社のことを認識している見込み顧客のこと。
接点をまったく持っていない状況の顧客候補のことをリードとは呼びません。リードとして顧客を登録できれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現在、企業側からはさまざまなアプローチが可能です。
以前は、営業パーソンからの電話によるフォローやダイレクトメールの送付などしかコンタクトの手段はありませんでした。しかし、今は以下のようなアプローチが想定されます。
- メールマガジンの発行
- チャットによる商材やサービスについての気軽な質疑応答
デジタルツールを活用した、マスマーケティングと個別営業の中間のようなアプローチです。積極的なアプローチよりも適度な距離感での発信を好むリードも存在するため、複数の手段を活用できることは双方にメリットです。
リード獲得の目的
新規リードとの商談ライフサイクルは、以下の通りです。
見込み顧客の発掘ー見込み顧客の熟成ー初回商談の発生ー成約(または失注)
最初の取引を終えた後、リピーターとなって継続して取引をしてくれる顧客もいますが、全員がそうとは限りません。企業として利益を永続して稼ぐためには、新規顧客を安定して獲得し続けることが必須となるのです。
リードを獲得するための方法
出典:リード獲得とは?方法や施策、 効果的なリード獲得のポイントや事例を解説
具体的にどのような手法でリードを獲得するのか見ていきましょう。大きく分けて「オフラインでの獲得」と「オンラインでの獲得」に分かれます。
出典:リード獲得とは?方法や施策、 効果的なリード獲得のポイントや事例を解説
出典:リード獲得とは?効果的な14のリード獲得方法と重要なポイント!
オフラインでのリード獲得施策
展示会
イベントホールや大きな会議室などで展示会を開き、自社の商材やサービスを見込み顧客に直接アピールします。
自社の展示ブースを通りかかった人に声をかけて対話したり、商材のデモンストレーションなどを行なって見込み顧客を創出します。幅広くリードを増やしたい時に活用します。
セミナー
展示会より深いアプローチを求める場合に有効なリード発掘方法となります。一番のメリットは、「事前登録制」にしておくことでリードの正確な個人情報を取得することが出来る点です。
セミナーによって顧客は商材やサービス、また企業自体を知ることで好印象を持ってくれます。その理解もより深く、正確な情報に触れるため親密度が深まりやすいというメリットもあります。
ダイレクトメール
ダイレクトメール(DM)は自社商材の紹介やキャンペーン内容などを見込み顧客に郵送することで、その反響を待つマーケティング手法です。
現在は、個人情報の管理に対する社会的な規制や意識の高まりもあり、五月雨式のダイレクトメールはあまり積極的に行なわれていません。既存会員への案内などにとどまるケースが増えていて、リード創出という趣旨からいくと少し本流からは外れつつある手法です。
テレマーケティング
テレマーケティングは、広い意味では電話を使って、自社商材の宣伝や利用を勧める営業活動のことを指します。ダイレクトメール同様、高度経済成長からバブル崩壊後あたりまでは頻繁に用いられてきました。
現在は、ダイレクトメールと同様の理由で、一部の業界や企業でテレマーケティングが欠かせない場面で活用されていますが、全体としては縮小傾向にあります。
屋外・交通広告
街で見かける広告看板です。最近では映像を駆使した動画や派手な演出も行なわれています。
長時間立ち止まって見てもらう、というよりは、通りすがりの見込み顧客に「自社のイメージアップ」を狙ったり、インパクトを与えることで、自社と自社商材を記憶に植えつける効果があります。
オンラインでのリード獲得施策
リスティング広告
リスティング広告とは、ネットの検索エンジン(グーグルやYahooなど)で見込み顧客が特定のキーワードを検索した時に、そのキーワードに応じた広告をタイムリーに画面上に表示する広告です。
検索キーワードに関連する広告なため、見込み顧客の要望にマッチする広告であれば顧客になってくれる可能性を期待できることは、ご想像に難くないでしょう。
SNS広告
Facebook、インスタグラム、TwitterなどさまざまなSNSで、リスティング広告と同様に自分の検索や興味あるコンテンツに関連する広告を目にしたことがあるのではないでしょうか。
やはり興味に関連する的確な宣伝ができるため、リスティング広告同様に効果の見込める手法です。
メディア記事掲載
いかにも広告然とした積極的な宣伝をするというよりは、「知識を得るための記事」的な立ち位置で自社と自社商材をさりげなくアピールする手法です。
メリットとして、積極的な広告のように、一部の見込み顧客に対して悪印象を与えることが少ない点、SEO対策をすることでWEB上で検索に引っ掛かりやすく息の長い宣伝効果を見込める点が挙げられます。
オウンドメディア
企業が自社のことや商材について発信するコンテンツ(WEBサイト、記事やホワイトペーパー、宣伝、ブログやSNSなど)のことを総称します。
自社の宣伝が目的ですが、多彩なコンテンツを使って「自社の存在価値」を認識してもらう活動です。宣伝寄りではなく、見込み顧客にとってどのように役立つかなど、貴重な情報や事例などを取り入れながら宣伝に繋げます。
WEBセミナー
名前の通り、WEB上で行なうオンラインのセミナーを指します。オンライン会議システムの普及によりリアルのセミナーと同等かそれ以上に、見込み顧客へのアピールやメッセージを効果的に残すことができます。
コロナ禍でも大きな貢献をしたWEBを最大限に利用したコミュニケーションは、今後もさらに継続して発展することでしょう。
DL資料の配布
WEBセミナーやWEBサイトに訪れた見込み顧客が興味を持つ記事や情報、カタログなどを、その場でダウンロードできる機能を使ってリードを確保する手法です。
個人情報登録をしたりメールアドレスを提供してもらうことで正確かつ、継続して発信できるリード情報を同時に得られるメリットがあります。
リード獲得のポイント
リード獲得の目的を明確にしてターゲットを整理
ゴール設定
多くのリード獲得を目指して動き出す前に、まずは、自社内でリード獲得に関するゴールを設定しましょう。
業界を問わず使える基礎的な考え方です。
- 売上目標総合計の設定
- 目標売上を達成するための平均単価の設定
- 同じく売上件数の設定
上記のような数値目標があって、初めて、
- 獲得したいリード件数
- 獲得したリードから具体的な商談に進む件数
- 商談に進んだリードから受注する件数
が仮説で導けます。
この考え方によって、どれだけ利益が出るのか、いくらの経費までかけても良いのか、など、スタッフが経営者的な視点を持つ学びになるメリットもあります。
ペルソナの設定
一般に、成約する確率の高い顧客層をピンポイントで狙うことで成約率は上がっていくと言われます。この絞り込み作業をマーケティング業界では「ペルソナを設定する」という言い方をします。
具体的には、「どんな人に自社の商材が売れるのか」を詳細にイメージすることで自社商材のターゲット層を炙り出していく手法です。その設定によって、細かな販売手法やアプローチを微妙に変えることができます。
緻密なアプローチによって顧客満足度の向上に繋がります。
ターゲットごとに合わせたコンテンツ
SNS世代
SNS世代の若者は長時間の宣伝を好まない傾向があります。
短時間で結論の分かる宣伝や、視覚に直感的に訴えるアプローチ、SNSで「バズっている」流行と連動させるなどのアプローチが効果的です。
IT革命世代
いわゆる団塊ジュニア.、就職氷河期、ゆとり世代などが該当します。IT革命前後で、スマホやデジタル機器へのアレルギーが少ないながらも、テレビなどのメディアから大きな影響を受けて育っているのが特徴。
間口が広くさまざまなアプローチが可能です。
IT革命以前
いわゆる高度経済成長期を支えた50代から80代以上までの層で、IT機器に対してアレルギーを持っている可能性は否めません。
広く受け入れられる可能性を考慮すると、テレビ、ラジオ、新聞などの伝統的なメディアからのアプローチが一番影響力が強いと考えられます。
リード獲得単価・費用を考慮した施策
リード獲得のための、オンライン・オフラインでの施策を紹介してきましたが、決して忘れてはいけないのが「リード獲得単価」です。
リード獲得単価とは?
「リード獲得単価」はリードひとり当たりにかかる費用を指し、CPL(=Cost Per Lead)とも呼びます。リード獲得に必要なコストを把握できるため、マーケティングの効果を測る指標として利用されることの多いものです。
リード獲得単価は施策によって異なる
リード獲得単価はどういった施策をとるかによって変わってくるため、定められた予算内でいかに効率よくリードを獲得できるかを考えましょう。
たとえば、メディア広告とSNS広告とでは出稿料に大きな差があるので、CPLにも当然、違いが生じてきます。また、展示会における名刺交換でのリード獲得にかかる費用は一般的に、広告の出稿よりも単価が高くなります。
もちろん、成約までのつながりやすさも考慮するならばリードの質も重要になってくるため、CPLは安ければ安いほどいい、と一概に言えません。自社の商品・サービスとの相性も踏まえつつ、リード獲得にかかる費用を指標に打つべき施策を選択しましょう。
効果の薄かった施策を見直し、より良い打ち手を考える際にも、リード獲得単価がよい指標となるでしょう。
獲得したリードに向けて次のアクションを設定
ゴール設定からゴール達成KPIの設定と実行
リード獲得数と売上目標についてのゴール設定ができたとしても、計画どおり実行されなければ成果は上がりにくいものです。活動プロセスの中で具体的にどう動くかを詳細に計画することで、計画倒れが防止でき、よい結果につながりやすくなります。
以下のような点について「プロセスの目標」を設定しましょう。
「どのような手法でアプローチする?」
→営業活動の具体的な手段の定義
「どのくらいの人数にアプローチする?」
→KPIで目標としたゴールを達成するためにプロセス実行件数目標を設定する
「〇〇%の成功率を見込む?」
→プロセス目標獲得のためにどのくらいの成功率で獲得できるか仮説を立てる
良質なリードを獲得するためのKPI(キーパフォーマンスインジケーター)を設定することで、必要なアクションの質や量を落とさずに、リード獲得目標クリアの意識を持って活動できる利点があります。
リードナーチャリングとリードクオリフィケーション
リードを獲得した後の「リードナーチャリング」
見込み顧客を無事獲得できたとしても、売上にすぐにつながるわけではありません。重要なのは、一度つながったリードとの関係を切らさずフォローを継続することです。リードとの関係を継続し、商談に発展する関係まで熟成させていくことを「リードナーチャリング」と呼びます。
具体的な手段としては、「期限を区切った優待キャンペーン」や「無料体験機会の創出」などがあり、リードとの関係をもうワンステップ進めたい時に効果的な手法です。
リードナーチャリングについて詳しいことを知りたい方は、こちらの記事へ
リードナーチャリングとは? 実践的な手法と失敗しないための注意点を紹介!
リードを絞り込む「リードクオリフィケーション」
リードクオリフィケーションとは「リードの選別」のことを指します。
具体的には、ナーチャリングを行なう過程で「次の商談段階に進みそうな有力リードを抽出する」作業のことを言います。
リード獲得の目的は「最終的に成約すること」。適当な段階で、
「フォローを継続させるべき顧客か」
「現時点ではフォローにかかるコストを抑えるべき顧客か」
を見極めなければいけません。
シンプルな手法としては、ナーチャリングのためのコミュニケーション過程で、「次のステップに進むかどうか」の打診をして、相手の本気度を見定めることが効率的な営業活動に繋がります。
リードの分析に役立つCRM/SFA
CRM/SFAとは
CRM/SFAとはそれぞれカスタマーリレーションシップマネジメント(顧客管理システム)セールスフォースオートメーション(営業管理システム)と呼ばれるツールです。
リード獲得が上手くいかない場合は、活動全体の管理を定量的に実行できていないことが大きな一因であることがほとんどです。前掲のとおり、プロセス過程にもKPIを設定し、計画した目標から外れないようにすることが重要な課題です。
CRM/SFAを効果的に活用すれば、リード発掘からリードクオリフィケーションを含めた商談管理、顧客情報管理が包括的に行なえます。また、個別の営業活動の状況把握や、スタッフ個人別の成果確認や自社全体の売上管理、目標進捗管理が行なえるため、管理職の任務を支援するITツールとも言えます。
CRM/SFAを利用したリード分析
前述の通り、CRM/SFAは以下の実現を可能にします。
- 獲得リードの一元管理
- 獲得リードの現在の熟成度合い(リードクオリフィケーション分析)
- リードのテストクロージングによる無駄なリードフォローを見極める
- 育成したリードから見込む売上件数と売上金額の把握
これらの活動を活性化させる支援ツールとして、現代の企業では不可欠のものと言われています。
eセールスマネージャーは日本のCRM/SFA市場で大きなシェアを持つ総合的なソリューション。導入実績5,500社超の、実績と信頼のサービスです。
リード獲得からナーチャリングまでの支援経験も多数の事例があります。ご興味があればWEBサイトをご覧ください。
リード獲得施策の成功事例3選
株式会社シンフィールド:展示会・営業活動で獲得した名刺を有効活用
集客し成果を上げることを目的とするマーケティングの視点にたった、オリジナルのマンガ制作を請け負う「マンガマーケティング」事業を展開する株式会社シンフィールド。
同社は、年に数回出展している展示会での名刺交換や、主催するセミナー、普段の営業活動をリスト獲得の機会としています。以前から、展示会で名刺を手に入れることにはあまり苦労していませんでしたが、せっかく獲得した名刺やリストのナーチャリングを満足に行なっておらず、うまく活用できていませんでした。
この課題を解決するためにMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入、売り込み要素のない「お役立ち系」メールの定期的な配信と、営業職の強い「引き上げ目的」のメールを不定期に送るように。
「お役立ち系」メールで関心を高め、「引き上げ目的」のメールで意欲の高いリードを抽出する手法で、アポイント成功率は10~15%、アポイントからの成約率が5件に1件と高い成果をあげています。
株式会社タイミー:オウンドメディア立ち上げで自社サービスの認知度を大きく向上
好きな時間、好きな場所、好きな職種で働ける“スキマバイト”をマッチングするアプリ「タイミー」を提供する株式会社タイミーは、自社メディア「タイミーラボ」を運営しています。
「タイミー」はバイトや派遣とは異なる新しい働き方である「スポットワーク」の求人サービスのため、まずはその仕組みや特徴の認知度を高める必要がありました。その施策として立ち上げたのが、スポットワーク(雇用型ギグワーク)の魅力を発信するためのオウンドメディアでした。
「タイミーの利用者」「スポットワークの存在自体を知らない人」の2種類のペルソナを想定し、すでに活躍している人のインタビューやスポットワークの仕事紹介、タイミーを活用してもらうためのノウハウ記事などを配信。
それぞれのペルソナに向けたコンテンツを配信した結果、スタートから約5ヶ月でPV数が9倍にまで成長しました。自社の新入社員研修で「タイミーラボ」を読み込む時間を設けるほど、サービスの理念やスポットワーク事例がわかりやすくまとまったメディアとなり、リード獲得に貢献しています。
サイバーリーズン・ジャパン株式会社:専門メディアへのコンテンツ掲載で質の高いリードを獲得
サイバーリーズン・ジャパン株式会社は、ITシステムの末端にあるデバイスに対する不正アクセス、サイバー攻撃などによる情報漏洩を防ぐ「エンドポイントセキュリティソリューション」を提供しています。
同社は、オフラインのセミナーや展示会への積極的な参加をリード獲得の主な施策としてきて、大規模なイベントでは数千件の名刺情報を獲得することも。ただし、これらは東京近郊に偏っていたため、全国的な認知度を得られない点を課題としていました。
日本全国に幅広くリーチするためには「オンラインリード」が欠かせないと考え、見込み顧客の創出に必要な活動のサポートを行なうリードジェネレーションサービスを利用することで、課題の解決に成功しました。
具体的には、IT製品・サービスの導入・購買を支援する会員制メディアへのコンテンツ・資料の掲載で、そこからの問い合わせにより自社のターゲットに近い層をリードとして獲得。商談につながる確度の高いリードの多さに手応えを感じています。
リード獲得とナーチャリング、クオリフィケーションのどれが欠けても営業の効果は上がらない
リードの獲得のためにはペルソナの設定や目標設定が欠かせないもの。また、リードは獲得したら終わりではなく、リードを育成するプロセスやリードの良し悪しを選別する一連の活動が成功するためには重要です。
こうした活動を効率的に実行するには、全体を俯瞰し管理できるツールとしてCRM/SFAが有効。今後の導入を検討してみてはいかがでしょうか。