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ユーザビリティの定義とは|アクセシビリティやUIの違いもわかりやすく解説
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ユーザビリティの定義とは|アクセシビリティやUIの違いもわかりやすく解説

顧客満足度は売上という形で大きな成果につながる重要な要素ですが、それを向上させる方法にユーザビリティの改善があります。

本記事では、企業の成果をあげるうえで知っておきたい「ユーザビリティ」について、どのようにユーザビリティの改善を実施し、企業の成果につなげるかという観点で用語の意味やポイントなどを解説します。

ユーザビリティとは|関連用語の定義や違いも

ユーザビリティ

ユーザビリティ

ユーザビリティの定義は、「ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の有効さ・効率・満足度 の度合い」です。

もう少しわかりやすく解説すると、製品やシステムが使用される際に、ユーザーがどれだけ効果的に、かつ満足して操作できるかを評価する指標をユーザビリティといいます。

ユーザビリティは製品やウェブサイトの使いやすさ、理解しやすさ、学習しやすさなど、さまざまな業種・商材などで評価することが可能です。

アクセシビリティとの違い

ユーザビリティ アクセシビリティ
定義 実際に利用することで得られる
有効さ・効率・満足度
状況や環境・人に左右されない
アクセス(利用)のしやすさ
改善内容 ・提供機能の改良・刷新
・自動化機能の追加による効率化
・モバイルユーザー向けに最適化
・契約時の手続きの短縮化
・さまざまな購入特典の提供
・バリアフリーデザインの導入
・色調選択の機能を追加
・非エンジニアでも扱える操作性
・SNSだけでなく、チラシでもPR
・商品説明書の多言語対応

アクセシビリティとは、障がいを持つユーザーも含めて、あらゆるユーザーが製品やサービスを利用できるようにするための設計や配慮のことです。ユーザビリティは全体の使いやすさに焦点を当てていますが、アクセシビリティは異なる能力や状況に対応することに焦点を当てています。

たとえば、生成AIで有名なCharGPTがもし日本語対応されていなかったら、日本では生成AIのブームは浸透していなかったかもしれません。CharGPTがアクセシビリティを考慮して初期から多言語対応を実装していたからこそ、世界的に大きな話題を生んだともいえるでしょう。

UIとの違い

ユーザビリティ UI
定義 実際に利用することで得られる
有効さ・効率・満足度
顧客と製品をつなぐ
接点となる要素
改善内容 ・提供機能の改良・刷新
・自動化機能の追加による効率化
・モバイルユーザー向けに最適化
・契約時の手続きの短縮化
・さまざまな購入特典の提供
・広告デザインのスタイル統一
・アニメーション追加による強調
・パッケージデザインのリニューアル
・ブランドロゴの刷新

UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーとシステムの間で行われる相互作用を可能にするための手段や方法を指します。ユーザビリティはUIの一部であり、UIはユーザビリティを形成する要素の一部です。

UIは見た目や操作性、ボタンの配置などを含み、ユーザビリティはそれがユーザーにとってどれだけ使いやすいかを評価します。わかりやすい例としては、ナイキのブランドロゴや、iPhoneのスマートフォンデザインもUIといえます。

ユーザビリティが重要とされる理由

ユーザビリティが企業に注目されるようになった背景には、いくつかの要因が影響しています。その中でも、特にマーケティングや営業と関わる2つの理由を紹介します。

社会の急速なデジタル化

インターネットの活用が広がり、消費者はスマートフォンで日常的にデジタルに触れるようになりました。今ではコミュニケーションや仕事、さらには購買もデジタル上で行われることから、企業はデジタルを活用して顧客に商品・サービスを提供することが求められます。

その場合、複雑化しやすい操作性や商品・サービスについての情報を顧客にわかりやすく伝える必要があり、企業にとってユーザビリティを向上させる重要性が増しているといえます。

今後もデジタル化は進んでいくと考えられるため、ユーザビリティの改善や向上は企業にとって欠かせない要素となるでしょう。特に、顧客獲得を担うマーケティング部や営業部では、商品・サービスのユーザビリティに着目しておくことが重要です。

参考:CS(顧客満足度)とは?向上させる4つの具体策と企業の成功事例を紹介

産業の発展による差別化の必要性

デジタル化が進んだことで産業も同様に発展し、新たな商品・サービスが常に生まれています。たとえば、ネットショッピングが当たり前となり、ECサイトも誰でも簡単に開設できるようになったことで、小売産業は急速に発展しました。

このように、産業界全体での競争が激化する中で、企業は顧客の心をつかむために差別化を図る必要があります。ユーザビリティの向上は、製品やサービスの差別化を実現するための一つの手段となっています。顧客が使いやすく、満足度の高い商品・サービスを提供することで、競合他社との差別化を図ることができます。

また、消費者は多様な選択肢を持つようになったため、ユーザビリティの低い商品・サービスからは離れてしまう傾向があります。企業は顧客に対して良質なユーザビリティを提供することが求められるでしょう。

ユーザビリティ改善で得られる企業のメリット

企業にとって、ユーザビリティの改善で具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、得られるメリットを具体的に解説します。

新規・既存の顧客獲得

ユーザビリティが高いと、顧客は製品やサービスに対する満足度が高まる結果となります。顧客満足度が高まると口コミや紹介といった顧客の積極的な拡散が生まれ、新規顧客の獲得にもつながります。

たとえば、製品説明や利用方法がわかりやすく、購入後もストレスなく利用できると、既存顧客の継続的な購入を生む場合があります。また、販売しているWebサイトのユーザビリティ改善を実施することで、新規顧客からの購入を増加させることが可能です。

ブランドイメージや信頼の構築

製品やサービスの使いやすさは顧客にとって魅力的であり、競合他社よりも優れた選択肢となります。ブランドイメージや顧客エンゲージメントが向上することによって、競争力の向上や顧客の継続を促す結果にもつながります。

顧客目線で使いやすいという印象は、顧客が企業に対しての信頼を抱く大きな要因となります。「ユーザーファーストである」というイメージが生まれることで、企業に対する顧客の信頼獲得や顧客ファンの創出といった効果が期待できるでしょう。

参考:顧客エンゲージメントとは?向上させる方法や成功事例とあわせて概説

顧客対応コストの削減

ユーザビリティが向上すると、顧客は製品やサービスをより簡単に理解したうえで利用することができます。たとえば、企業向けのシステムが直感的な操作で従業員にとって使いやすいユーザビリティを発揮していると、ユーザー企業へのサポートがなくともより多くの機能を活用してDXを推進することができます。

このように、ユーザビリティを向上させることはカスタマーサポートや購入後のトレーニングコストを削減する大きな助けとなります。誰でも簡単に商品・サービスを利用できるようなユーザビリティ改善を行えば、サポート工数を減らしながらも顧客満足度を高めることが可能です。

ユーザビリティの改善ポイント5選

ユーザビリティの定義とは|アクセシビリティやUIの違いもわかりやすく解説_ユーザビリティの改善ポイント5選

企業がユーザビリティの改善を行ううえで、次に紹介する5つのポイントを押さえておきましょう。

1. フィードバックの収集

仮説や憶測からユーザビリティの改善を実施してはいけません。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、その情報を基に改善点を見つけることが大切です。

顧客の声を聞くことで、実際の使用状況に即した課題や要望を明確に把握し、正しい形でユーザビリティの改善を実施しましょう。

2. 手続きや利用方法のシンプル化

複雑な手続きや利用方法をシンプルにすることで、顧客はストレスなく購入手続きや製品利用を行うことができます。

面倒な手続きや不要なステップがあると、顧客が離れてしまう理由になるため、不要な工数の削減はユーザビリティ改善において重要です。

3. ユーザーテストの実施

商品・サービスのユーザビリティを測る際は企業側だけで完結させるのではなく、実際の顧客を対象にしたテストも実施し、顧客が製品やサービスをどのように使用しているかを測定しましょう。

この情報をもとに問題点を特定し、より顧客ニーズにあった最適なユーザビリティ改善を進めることができます。

4. レスポンシブデザインの採用

Webサービスやサイトにおいては、今やほとんどの人々がスマートフォン上で閲覧しています。毎年新しいタイプのデバイスが開発されている背景からも、ユーザビリティを維持するためには異なるデバイスや画面サイズに対応したサイト、Webサービスを用意する必要があります。

その場合のユーザビリティ改善は、「レスポンシブデザイン」を採用して自動的に画面調整を行う仕組みを構築するようにしましょう。モバイル端末やタブレットからも、ユーザーが快適に利用できるようにすることが大切です。

5. ナビゲーションの最適化

使いやすいナビゲーションの設置や最適化は、顧客がサイト上での購入や購入後の利用の際に迷わずに目標に到達できるようにするという点で重要です。

サイトであれば、アニメーションによる動的要素で購入ボタンを強調したり、複雑な利用方法の製品であればわかりやすい動画説明コンテンツを用意するなど、顧客を適切に導くようなユーザビリティ改善を実施しましょう。

ユーザビリティ改善で成果をあげた企業事例

実際にユーザビリティを改善することで成果をあげた企業事例として、三井物産とZOZOTOWNについて紹介します。

三井不動産

多くの商業施設を手がける三井不動産は、ユーザビリティ改善の一環として2023年に三井ショッピングパークアプリのUIを大幅に変更する大規模リニューアルを実施しました。

消費者の買い物の仕方や嗜好性が変化したことを踏まえ、顧客に最適なユーザビリティを提供するために「フロアマップのデジタル化」「施設内のレストラン予約」「駐車エリアの登録」など、アプリを通じてユーザビリティの改善を行っています。

結果、アプリの利用者数やアプリ経由での通販サイトへの流入増加など、ユーザビリティの改善から売上拡大につなげることができています。

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNは、インターネット上でユーザーにアパレルECサイトを通じて衣服を購入してもらううえで、ECサイトのユーザビリティ改善の必要性を強く感じていました。売上向上には顧客の購買を増やす必要がありますし、ユーザー目線でもスムーズに欲しいものが購入できるECサイトを求められているはずです。

そこで、ZOZOTOWNでユーザーの購入までのナビゲーションを最適化するために「ボタンデザインやコピーの改善」「ログインとその他ボタンの距離を離す」などの細かいサイトデザインの改善を実施しました。

他にも、細かいユーザビリティの改善を定期的に実施してきたことで、アパレルECサービスを代表するほどに成長しました。

ユーザビリティの改善で顧客満足度を高めることが重要

ユーザビリティの改善は顧客満足度を高めるうえで重要な施策の一つです。特に、企業にとっては売上向上にも直結する重要な要素といえるでしょう。

そのため、企業は常にユーザビリティを意識して顧客からのフィードバックや自社で立てた仮説、また最新のトレンドも加味したうえで改善を定期的に行うことが大切です。顧客が商品やサービスを容易に利用でき、期待通りの体験を得ることができれば、顧客は満足し、快適な利用環境を求めるでしょう。

ユーザビリティを意識して顧客理解を深め、商品の改善だけでなくマーケティングや営業活動の中でも積極的にユーザビリティ改善を取り入れていきましょう。

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