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経営戦略 フレームワーク論 ~概要と必須ツールの解説~
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経営戦略 フレームワーク論 ~概要と必須ツールの解説~

コロナ禍により、世界中の企業が経営戦略の大幅な変更修正を求められています。
大幅な人員削減や事業撤退さえ強いられる企業もある中、経営戦略策定を任される部門の責任は重大です。

今回は経営戦略の概要をあらためて整理し、戦略策定時に実際に使われる経営戦略策定ツール(手段)「フレームワーク」について解説します。

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経営戦略の定義と意味合い

経営計画と経営戦略の違いは?

経営計画は一般的に「ある企業における複数事業について策定された計画」を指します。
企業の事業活動全体の計画と言えるでしょう。
また、その中の1つの事業に対する計画を事業計画と呼びます。

一方、経営戦略は各事業計画に対して「企業が永続し、繁栄することを目的に」どのような方針やビジョンを持って、企業活動を行っていくか指針を示すものです。
方針に対して「具体的に何をどのように、進めていくのか」をステークホルダー(利害関係者)や従業員に対して示すことが主な目的です。
企業全体の方針を示すものなので、経営陣や経営企画部門などが中心になって立てられることが多いと言われています。

事業戦略と経営戦略の違いは?

事業戦略とは、企業としての事業計画をより具体的な計画や方策に落とし込むための戦略です。
つまり、経営計画の1つである事業計画に対してどのように活動するか、を定義した戦略となります。

そのため、事業を多角化している企業であれば、経営陣の示した経営計画をベースに、各事業部(カンパニー制度をとっている企業であれば各カンパニーごと)で具体的な戦略が策定されるのが一般的です。

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経営戦略策定の全体像

スタートである「敵を知る」のためにフレームワークがある

企業の中枢や幹部として働く方は常に、いかに競合企業に打ち勝ち自社を有利な立場に持っていくかを考えていらっしゃると思います。

例えば、皆さんが社長や取締役から「自社の状況を分析したうえで、5年後に自社がとっているべき戦略案を今週中に示してくれ」と言われたらどうしますか?
アウトプット(成果物)次第でこの先のキャリアに大きく影響を与える分岐点と言えるので、ぜひとも的確な準備をしたいものです。

「フレームワーク」という分析手法はこのような場面で活用されています。
フレームワークにより、課題や問題を解決するための答えを導きやすくなると言われています。

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フレームワークとは具体的に何?

物事の課題や問題を解決するための手段となるハコである

「SWOT分析」「PEST分析」など耳にされたことはないでしょうか?まさにそれらがフレームワークツールです。
「枠組みにありのままの客観的な情報をはめ込むと、課題や向かうべき道を分析検討できる」ツールとして定義されます。

これはどんな事業に関しても有益で、フレームワークの活用が戦略策定に関してより客観的に、論理的に方針を定めるための助けとなります。

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フレームワークの種類と代表的ツール

代表的なフレームワークツール

現場スタッフ 現場責任者 課長・部長級 経営者・取締役
必須!基礎スキル 5W1H 
必須!的確な分析 ロジックツリー分析
実行力の向上 PDCA
分析力UPツール 3C SWOT,PEST VRIO
事業戦略の策定 VTOWS matrixRIO
実行計画 製品ライフサイクル PPM、7S
企画開発提案作成 AIDMA 4P・4C

上図は、広く認知されているフレームワークツールです。

  • 日常の行動で使われる基礎的なフレームワークツール
  • 自分の業務内容と立場役職によって活用頻度の高いフレームワークツール

を順番に見ていきましょう。

ビジネスパーソンに必須のフレームワークツール3点

5W1H

こちらは「報連相」の基礎としてすでにマスターしている、または聞いたことがあるツールなのではと思います。

新人のころや学生時代に、「5W1Hで説明をしてください」などと言われた記憶はありませんか?
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、(その結果)どのように」をわかりやすく相手に伝えるための思考ツールです。
上司に対しての報告に限らず、対人コミュニケーションの必須スキルであり、フレームワークツールの基礎となります。

ロジックツリー

ロジックツリーはフレームワークツールを使って分析思考するときの重要スキル。
下図は「どうやって痩せるか?」をテーマに、ロジックツリーで分析したものです。

※引用:自分価値向上研究所より

痩せるという目的を

  1. 消費カロリーを増やす
  2. 摂取カロリーを減らす
  3. 脂肪を除去する

という3つの手段に分けて、詳細方法をあぶりだしていくために活用されています。
大変わかりやすく親しみやすい例示ですね。

図中の「MECE」とは「漏れなくダブりなく」分析を行う、というロジックツリーの絶対ルールです。

ロジックツリーで漏れがあれば大事な分析点を逃すことになります。
ダブりがあれば分析の精度が落ち、本質を突きつめることが難しくなります。
そのため、MECEは思考の絶対条件になります。

PDCA

引用 e-sales 「PDCAサイクルとは?」

上図をご覧いただくとわかるように、「PDCA」は「Plan」「Do」「Check」「Action」それぞれの頭文字をとった略語で、中長期で行う業務やプロジェクトの遂行力向上に有効なフレームワークです。

内容としては当たり前のように感じられるでしょうが、PDCAを実際に遂行するにはかなりの労力と意志の強さが求められます。
継続して作業と検証を実践する必要があり、このスキルを実際のビジネスで実践できている方はひと握りではないでしょうか。
PDCAスキルはすべての課題解決のための必須プロセスであり、身に着けている方はビジネスリーダーとして組織を牽引すると言われています。

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分析力UPツール 3C、SWOT、PEST、VRIO

より実践に近いフレームワークで、分析力に関係するツールのご紹介をしたいと思います。

3C分析

対象となる方:現場責任者、中間管理職
対象となる職種:販売戦略立案、事業戦略立案など営業・マーケティング系職種

3Cは競合(=Competitor)、顧客(=Customer)、自社(=Company)の関連から分析する手法です。
一般的には、以下のようになります。

  1. 市場の分析(市場全般のニーズ分析)
  2. 競合企業の分析(競合の強み・価値提供ポイントはどこか)
  3. 自社分析(自社が市場訴求点+競合が持たない強みはどこか)

3C画像引用 UX MILK 3Cとは,より

対象職種として営業とマーケティングを挙げているように、「実際に市場で競争優位を勝ち取るため」の事前分析ツールとなります。

SWOT分析

対象となる方:経営企画部門、本部長、役員クラス
対象となる職種:企業経営に直接かかわる業務担当職種

  • 強み=Strength
  • 弱み=Weakness
  • 機会=Opportunity
  • 脅威=Threat

の4つの情報から自社の経営戦略・事業戦略を分析します。
一般的な進め方は以下のようになります。

1.SWOTの各項目をMECEに抽出 
※外部要因を先に抽出することが重要
2.図表のようにクロスさせたフォーマットに対策を書き込む 
※後述するTOWS分析はこのクロス部分に当たります

引用:マーケッターのよりどころ Ferret
https://ferret-plus.com/4271

経営に直接関わる部門は、外的要因と内部要因の分析を行い、事業戦略・経営戦略に的確な提案をしていく必要があります。
とくに、外部環境要因は自社では解決できない問題が多いため、最後までボトルネックになることがあります。

したがって、外部環境要因に対しての分析はまず先に入念に行います。
その後に内部環境要因を分析し、外部環境による影響を重視しながら分析検討することが大切であると言われています。

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PEST分析

対象となる方:経営企画部門、本部長、役員クラス
対象となる職種:企業経営に直接かかわる業務担当職種

  • 政治=Politics
  • 経済=Economy
  • 社会=Society
  • 技術の進化=Technology

上記の4つの情報から自社の経営戦略・事業戦略を分析します。
分析する情報の特徴として、いずれも「自社で解決できない問題」だということ。
つまり外部環境要因にフォーカスした分析です。

基本的には、現在と未来(何年後を予測するのか)を比較し将来を予測するツールで、例示すると以下のようになります。

  • 政治ー税率変更や外交問題の影響
  • 経済ー不景気、デフレ等の影響
  • 社会ーコロナウイルスによる影響、コロナ後の回復
  • 技術ーIoTによる技術革新やDXへの投資が活発になる等

画像引用:Mission Driven Brand「PEST」より引用

自社でコントロールできない将来についての分析であるため、その予測自体がピントを外れていると分析が無駄になってしまいます。
必要に応じて、経済や社会状況分析の専門家の力を借りる等の投資が必要になる分野です。

VRIO分析

対象となる方:役員クラス
対象となる職種:企業経営に直接かかわる業務担当職種

  • 価値=Value
  • 希少性=Rarity
  • 模倣困難性=Inimitability
  • 組織=Organization

これまでの分析と異なる点は、V・R・I・Oの4つすべてが揃う=戦略として「GO」を出せる、という点です。
4点それぞれについて事業戦略上経営資源の優位性があれば「実行!」となる珍しいツールです。

  • Value=PEST等の外的環境に対応できるかどうか
  • Rarityー(経営資源的に)希少性を持つ条件があり、競合が参入しにくい
  • Inimitabilityー他社が模倣することが困難である
  • Organizationー自社の組織上、実行に問題ない状況を確保できる

企業としての優位性をより長期に保ち、経営基盤を安定させるツールとなりますので、経営者の視点として常に意識すべきフレームワークなのではないでしょうか。

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事業戦略の策定 TOWSマトリクス

TOWSマトリクスはSWOT分析後のツール

対象となる方:役員クラス
対象となる職種:企業経営に直接かかわる業務担当職種

TOWSマトリクスは、SWOT分析を元に具体的な事業戦略を策定するためのフレームワークです。
SWOTに関連したフレームワークツールなので「クロスSWOT分析」と呼ばれることもあります。

引用:マーケティング&トレンド研究所 TOWS分析で戦略立案してみよう

SWOTの時に提示した図と並びが変わっていますが、大きな問題ではありません。

ポイントは、

  • S×Oで行う強みを生かしてせめて出る戦略
  • S×Tで行う脅威への対応
  • W×Oで弱点を補って攻勢に転じる策を練る
  • W×Tで致命的な自社の弱点を防御し、ダメージを防ぐ

のそれぞれについて具体的な戦略を生みだすことです。

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実行計画ツール PPM

対象となる方:経営者、役員や事業企画部門
対象となる職種:事業戦略立案部門

現存の自社製品を4つの市場ポートフォリオに配置し、今後の戦略を分析する手法です。
軸となるのは、「マーケットシェアの大小」と「市場成長率の大小」です。

※下図参照

  • 花形:市場成長大かつマーケットシェア大 →「積極投資」
  • 金のなる木:市場成長小かつマーケットシェア大 →「市場シェア維持」
  • 問題児:市場成長大かつマーケットシェア小 →「攻めるか引くか」
  • 負け犬:市場成長小かつマーケットシェア小 →「撤退時期検討」

画像引用:T&Tマネジメント

各ポートフォリオに基本戦略として書いてあるように、「積極投資」「市場シェア維持」「攻めるか撤退か」「撤退時期検討」が大局的な方針となります。
このツールにはめ込むことで、自社の事業のどこに資源を集約させていくのか等の判断を大局的に分析することができます。

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企画開発・提案作成用ツール AIDMA、4P、4C

AIDMA

対象となる方:販促部門、営業管理職など
対象となる職種:販売マーケティング、営業 ※主にBtoC商材

消費者の視点や状況から、購買行動を促す対応をしていく手法です。

画像引用:Legend-hepper AIDMAモデルって何?

上図のように、 認知段階、感情段階、行動段階に消費者行動を定義し、消費者が商材を購入するまでの行動フローを示しています。

それに対し注目させて興味をひかせ、購入のための動機付けや購入手段をタイムリーに用意する、という目標があり、企業(=営業担当)が何をすべきかを定義づけて機会を逃さないようにすることを目的としたツールです。

4P-4C

対象となる方:販売戦略を作成するマーケティング担当や企画担当
対象となる職種:マーケティング部門、営業部門

画像引用 Knowledge makers 4P-4C

4P

以下の4点に注目し、企業側の視点で販売戦略策定状の課題を洗い出すツールです。

  • 製品(Prouct) ※BtoC製品の場合Packageも加わり5Pで分析する場合あり
  • 価格(Price):定価、小売価格、販売条件、支払い条件等
  • 流通(Place:流通地域や納期、在庫対、
  • 販促(Promotion):広告宣伝、広報やPR

4C

以下の4点に注目し、顧客・消費者側の視点で該当製品の課題を洗い出すツールです。

  • 顧客が得る価値(Customer Value):顧客としてお得感を感じられるか
  • 顧客が支払うコスト(Customer Cost):商品の購入価格だけでなく、ネット販売ならば配送費用や手数料も含む
  • 顧客の利便性(Convenience):実店舗であれば販売時間、ネットであれば顧客登録の手間を削減する方法、納品までの時間など
  • コミュニケーション(Communication):企業からのPRポイントが顧客にとって「わかりやすく顧客のニーズを突いた宣伝かどうか」

4Pと4Cはセットで用いられる必要があります。

経緯として、4Pが先に重要なフレームワークツールとして世の中に提唱され、活用されていく中で、「企業側の視点である4Pの設定前に、顧客側の視点で分析検討することの重要性」が提唱されました。
マーケティングでは、企業側の視点から戦略を検討しても上手く機能しないことがあります。

SWOTにおける要因分析も、外部の環境分析を先に行うことでより精度の高い分析ができると言われています。
購入者側の視点に立って分析をすることで、これから販売をする企業が何をしなければいけないのか、が明確になってくるのです。

何事にも言えることですが、相手の立場に立って考える事が成功への道なのです。

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フレームワークはただのハコでしかない

代表的なフレームワークツールを紹介してきましたが、フレームワークツールはあくまでも「分析や整理のためのハコ」でしかありません。
ツールとして使いこなし、自社の状況を客観的に漏れなくダブりなくはめ込むことで最大限の成果を生みだします。

ぜひ日々の些細な企画提案から活用して、フレームワークツール活用スキルを上げていきましょう。
貴方の思考力がさらに磨かれ、周囲から一目置かれる分析提案力を得られることでしょう。

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