
日本でも重要視されはじめた「セールスイネーブルメント」とは?
ビジネスの感度が高い人に広まっているセールスイネーブルメント(Sales Enablement)。
「営業を改善したい」「生産性を向上させたい」「継続的に売上達成したい」と考えている企業にとって、必須の取り組みといえます。
日本でも今後さらに重要視されるので、7,000社以上のセールスイネーブルメントに関わってきた弊社が、重要ポイントを解説していきます。根本的な売上アップのきっかけになること間違いなしなので、ぜひ参考にしてください。
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セールスイネーブルメントが注目されている背景

はじめに、セールスイネーブルメントが注目される背景を簡単に説明すると、どの企業でも成果が出しにくい状況の中で、ある程度確実に成果が出せる取り組みだからです。
なお、セールスイネーブルメント自体については後述する「セールスイネーブルメントの定義と特徴」で詳しく解説します。まず、セールスイネーブルメントが「注目されている背景」と「今後さらに重要になる理由」を説明するので、ぜひ自社にとって関係があることだと認識してください。
注目されている背景
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)が注目されている主な背景は、今の国内企業が以下2つの問題は抱えているためです。
- 営業活動が属人的で成果アップの糸口がわからない
- 複雑で細分化した顧客の需要を明確につかめていない
それぞれ具体的に解説していきます。
営業活動が属人的で成果アップの糸口がわからない
セールスイネーブルメントが注目されているのは、営業活動が属人的で、成果アップの糸口がわからない状況を打破できるためです。
詳しくは後述しますが、セールスイネーブルメントは、改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況や成果への貢献度などを数値化する取り組みです。要するに、売上アップへの筋道を論理的に導き、たしかな成果につなげられます。
逆にいうと、多くの企業の営業部において、効果的な営業活動になっているかを可視化できていないのが実情です。もちろん営業部では、さまざまな改善の活動がされているでしょう。
しかし、独自の効果検証がされていたり、貢献度が不明確なものと明確なものが混在していたりと、効果を判断できていません。実際、営業活動は個人にまかされる部分が多いため、営業プロセスが属人化しがち。ひいては、営業組織として再現性のある取り組みを継続するのは困難になりがちです。
そのため、セールスイネーブルメントで、あらゆる改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況おと各施策の効果などを数値化することが注目されています。
複雑で細分化した顧客の需要を明確につかめていない
インターネットの普及や価値観の多様化などで、複雑かつ細分化した顧客の需要を明確につかめていない状況を打破できるのもセールスイネーブルメントが注目される背景です。
複雑になった顧客の需要にこたえて、売上を出すために営業とマーケティングとの連携は欠かせないものとなりました。MA(マーケティングオートメーション)といったツールも登場し、顧客獲得や見込み客の育成などは、マーケティング部でおこなわれているでしょう。
しかし、マーケティングによって獲得した顧客を売上に繋げられるかどうかは、営業にかかっているので、意思疎通がとれていないと成果につながりません。そして、営業とマーケティングの両方が理解できる人材は少ないものです。
したがって、マーケティング部の情報をいかせず、せっかく獲得した顧客を営業が取りこぼしてしまう状況が多々発生します。このような状況をセールスイネーブルメントに取り組んで、改善しようというわけです。
セールスイネーブルメントでは、マーケティング部と営業部が適切なコミュニケーションがとるための教育はもちろん、明確な顧客データの蓄積・管理も目指せます。
なお、営業活動や顧客情報の管理をするために、CRM/SFAなどは必要不可欠です。実際、セールスイネーブルメントで成功した企業では、CRM/SFAを上手く活用し、売上拡大などを達成しています。
今後さらに重要になる
セールスイネーブルメントが今後さらに重要になる根拠としては、競合に勝つためにマーケティングと営業の一気通貫した動きがより重要になることです。
まず、大手企業を中心に、新規開拓に注力したい場合、MA導入を始めマーケティング部門の強化に着手するケースが増えています。これまで以上に多くの見込み客が獲得され、同様に多くの顧客が営業対象として浮上することでしょう。
この動きは、徐々に大手以外の企業にも広まりつつありますが、得られた見込み顧客をいかに売上に繋げられるかは、営業にかかっているのが実情です。
また、CRM/SFAなどの営業支援ツールに関しても、導入企業が増えています。効率的に営業活動を進めつつ勝ち残り、売上拡大を果たしていくのに自然な流れといえるでしょう。CRM/SFAの導入がまだなら、他社に遅れをとらないように、早めの導入が重要といえます。
セールスイネーブルメントの定義と特徴

セールスイネーブルメント (Sales Enablement) の必要性が分かったところで、セールスイネーブルメントの中身を詳しく知っていきましょう。
具体的には、セールスイネーブルメントの「定義」と具体的に「どのような効果が見込めるか」です。さっそくそれぞれ解説していきます。
セールスイネーブルメントとは
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業組織を強化・改善するための取り組みです。
営業研修や営業ツールの開発・導入、営業プロセスの管理・分析といったあらゆる改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況や各施策の貢献度などを数値化します。そして、数値分析により、営業活動の最適化と効率化を目指すという取り組みです。
ちなみに、成果にシビアな米国では、すでに営業活動で欠かせないものとなっており、日本でも少しずつ広まりはじめています。
どのような効果が見込めるか
セールスイネーブルメントは、営業活動に関する多くの情報を数値化して検証することで営業活動の最適化・効率化が見込めます。
たとえば、教育研修がどれだけ営業成果に繋がっているのか、あるいは、トップセールスがどのような営業活動を行っているのかを明確にすることが可能になります。
この情報を日々の営業活動や教育に活かせば、営業力・組織力の強化に向けた1つの施策となっていくでしょう。継続して効果の高い営業施策を講じ、効率的に売上拡大や企業成長を目指せるのです。
セールスイネーブルメントを実現するためのポイント

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)を実践するための、ポイントを5つ解説していきます。具体的には以下のとおりです。
- CRM/SFAツールを用いてデータを蓄積する
- 営業施策毎の成果に対する貢献度を把握する
- 営業ノウハウを共有して属人化を防ぐ
- 専門部署や担当者を配置する
- 営業マンの行動や能力を定義・評価する
1. CRM/SFAツールを用いてデータを蓄積する
セールスイネーブルメントでは、売上額や受注率、案件数などのほか、顧客情報や商談の履歴内容、あるいは営業スタッフに対する教育実施の履歴など、さまざまな情報をデータとして蓄積していく必要があります。その際には、CRM/SFAツールを用いることで、データを効率的に蓄積することが可能です。
なお、CRMとSFAについて詳しく知りたい場合は、以下のリンクから詳しい解説記事が読めます。
SFAとは~SFAとCRMの違い・導入のメリット~
CRMとは何ですか? 〜メリットデメリット & 活用と運用のコツ〜
2. 営業施策毎の成果に対する貢献度を把握する
教育研修や営業プロセスの改善、ツールの開発・導入などの営業施策について、それぞれ成果にどれだけ貢献しているかを把握しましょう。
また、最終的に見据えた目標に対する進捗状況も適宜チェックし、場合によって施策の見直しを行う必要もあるでしょう。
3. 営業ノウハウを共有して属人化を防ぐ
営業活動は各個人に任されることが多く、そのため、営業プロセスは属人化する傾向があります。
しかし、成果に繋がるノウハウを個人のみで保有していることは、組織として非常にもったいないことでしょう。よって、営業ノウハウを組織全体で共有し、誰もがそれを再現できる体制を整えることが大切です。
4. 専門部署や担当者を配置する
セールスイネーブルメントを実現させるのであれば、それを専門とする部署や担当者を設けた方が良いでしょう。
セールスイネーブルメントは営業のみならず、人材育成という観点から人事、あるいはツール開発などでは開発などの様々な部門にも関わります。各部門で連携を取ることもできますが、部門を切り分けず管理・設計できる部門を設けた方が効果的です。
5. 営業マンの行動や能力を定義・評価する
人材育成の観点からも、セールスイネーブルメントは有用です。営業ノウハウを共有することの重要性は前述の通りですが、もう一歩踏み込んで営業プロセスを標準化することで、営業力の均質化やマネジメントの効率化につなげることができます。
こうした営業力を定量的に把握することはセールスアセスメントと呼ばれます。売上につながる「行動」や「スキル」を定義し、それを測定して改善に活かしていくことで、組織的に営業力を高めることができます。
セールスイネーブルメントの取り組み事例

セールスイネーブルメントへの取り組みについて具体的な事例を紹介します。CRM/SFAを導入し、人材育成の面から大きな成果をあげている株式会社ベネフィット・ワンの事例です。
同社では法人向け福利厚生サービスなどを展開しており、その法人顧客数は5,200社、さらに会員数は620万人にものぼります。会社としては、組織力アップに向けた営業活動の可視化および効率化と、部門間の連携によるクロスセルの推進を課題としていました。
加えて、ニーズ増加に対応すべく営業組織を拡大したインセンティブ事業部では、短期間での人材育成やマネジメントが急務となり、その課題解決の為にCRM/SFAの活用を進めました。
タイムラインを活用してトップ営業のノウハウをタイムリーに共有することで、他の営業メンバーにも営業先攻略の強い味方となります。また、成功例はもちろん失注などの失敗例も日報で報告することで、そこからノウハウだけでなく失敗に繋がりやすいケースも全員が把握できます。
つまり、営業活動におけるあらゆる情報が共有化されているのです。これによって若手営業の戦力化が実現でき、事業部全体で見ると前年比360%の受注件数アップを果たしたのです。
なお、受注件数が増えるに伴って残業増の懸念がありましたが、情報共有や報告業務が効率化されたため、残業時間もタイムラインの利用前後で30%減となっています。
そのほかにもSFA/CRM導入事例を多数ご紹介しています。
セールスイネーブルメントに関するセミナー・書籍のご紹介

まだまだ日本では馴染みの薄いセールスイネーブルメント(Sales Enablement)ですが、以下のような書籍から詳しく学べます。興味のある方は、ぜひ参考に読んでみてください。
・Sales Enablement アカウント型BtoB営業における営業力強化(著者:河村亨)
以下は日本の営業の課題にスポットを当て、改善のノウハウを指南した全144ページの無料書籍となっています。是非お役立て下さい。
また、弊社では営業の組織改善に特化した無料セミナーを開催しております。気づきを得たい方、営業の業務効率化、売り上げ改善などにご興味がある方はぜひご参加くださいませ。
セールスイネーブルメント(Sales Enablement) で確実な成果を!

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、アメリカの法人営業で数多く取り組まれ、日本にもブームを巻き起こそうとしています。
特にインターネットやIT技術の向上によって営業を取り巻く環境が変化し、今後、日本においてもその重要性は高まっていくことが予想されます。セールスイネーブルメントを実現させるには、関連する情報のデータ蓄積とその活用が欠かせません。
可能であれば、セールスイネーブルメントを専門とする部署を設けることが望ましいでしょう。自社の課題に合ったCRM/SFAツールを選び、その機能を存分に活用して、セールスイネーブルメントに取り組んでください。