
【働き方改革を実現するために】営業の生産性向上を実現させるポイント/指標/具体的な分析手法
働き方改革において叫ばれる生産性の向上。それが実現できずお悩みの方も多いでしょう。
特に労働生産性の向上、すなわち、労働のアウトプットを労働時間で割った数値の向上が問題ですが、それがなぜ組織で実現できないかの原因をあなたは知っていますか?
この記事では現状を正しく分析して、正しい打ち手を出すポイントや具体的な方法などを提供します。
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なぜ? 日本が生産性向上させなければいけない理由

急がれる働き方改革
働き方改革は、政府が主導して、2018年から取り組んでいる政策です。政策の柱と、政策立案に至る背景事情があり、働き方改革の柱となる政策は、どれも必要に迫られている重大な課題であることが理解できます。
3つの柱
長時間労働の是正、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、多様で柔軟な働き方の実現が柱。
さまざまな背景
少子高齢化による労働人口の減少、長時間労働の是正、男女間の処遇改善、自由な働き方の実現。
働き方改革について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
その中の原因の一つである労働生産性の向上
働き方改革を推し進める原因として、最も重大なものは労働生産性の低さです。
日本は最下位である
人手不足の中、長時間労働を一人一人にさせざるを得ず、女性の社会参加も人手不足を解消させるほどには進まず、自由な働き方がそこまで浸透しているとは言えません。
そのような状況で、労働生産性に効果的な改革を行わなければ、変化が起こせそうにありません。
人材の獲得にも各企業が苦労しているところですが、人材の分野でいくら努力しても限界があり、働き方全体の改革ができなければ、どの会社でも組織的疲弊が起こりそうな状況です。
働き方改革で生産性向上することによる企業のメリットとは?

生産性の向上で、企業には次のようなメリットが生じます。
労働生産性の向上による収益の改善
長時間労働を排して残業によるコストを下げる一方、効率化により時間当たりの利益を上げると、相乗効果による収益性の改善がもたらされます。
人材離脱の削減と定着率の向上
非効率な業務をお願いしていると、現場の不満はたまりやすくなります。
しかし、必要のない会議、無駄なワークフローを撤廃し、残業を減らすと従業員満足度も高まります。その結果、人材の定着率は上がり無駄な人材獲得コストを払う必要がなくなります。
働き方改革で生産性向上がなかなか出来ないその問題点

従業員視点で発生している問題について
生産性の向上が進まない原因の一つとして、従業員側での受け入れにあたり問題点がある場合も多いものです。
例えば、残業代の削減でそれを目当てにしている人はフラストレーションがたまります。また、実質的に仕事の業務量自体が削減できていないこともあります。
さらに、経営層はやりっぱなしでフォローが足りず、現場でいくら解決に動いても、結果は長時間労働対応策も、効率化推進策も、実行されていないという事態も生じています。
従業員が動くメリット・インセンティブの付与がなければ、実行役はいないので、生産性向上は成し遂げられません。
働き方改革について、従業員一人一人にはメリット・インセンティブは何になるのか、説明は受けていないと感じている従業員も少なくありません。従業員の気持ちの中には、徒労感が残ることとなってしまいます。
従業員に寄り添う視点が欠けてしまい、結果、生産性向上は成し遂げられてない企業も多いのです。
詳しくはこちらにまとめてあるので参考にしてください。
効果が出ていないIT投資の現状について
日本の労働生産性は、「OECD(経済協力開発機構)」に加盟する34の先進国中21位で、全体平均を大きく下回っています。
参考: 公益財団法人 日本生産性本部の調査「日本の生産性の動向 2015 年版」より
米国やドイツより劣るのは理解できるとしても、主要先進7ヵ国では最低で、国家財政の危機がささやかれていたスペイン(15位)やギリシャ(19位)より劣っているとはショッキングな結果です。
一方、国内のみならずグローバルでの競争が激化する中、企業はこうしたビハインドを解消しようと戦略的なIT投資を拡大しています。実際、ある調査によれば、企業が最重視するIT戦略投資テーマは、直近の4年間、一貫して「売上拡大への直接的貢献」が第1位を占め続けています。
参考:次年度に最重要視するIT戦略上のテーマより(出典:株式会社アイ・ティ・アール「IT投資動向調査2016」)
しかし、こうした状況にもかかわらず、先の統計データでは、日本の労働生産性が20位前後と一向に上昇する気配を見せていません。
効率性の高い業務をすべての営業マンが行えるよう、企業は積極的にIT投資を行い、様々なITツールで生産性向上を支援しています。
にもかかわらず、投資の効果が出ないと考えざるを得ない日本の調査結果からは、経営レイヤーや組織体制に課題があると推論できます。
すなわち、ITツールを使う前提となる部署の体制構築や意思決定に問題があることが多く、ITツールを入れようと、業務フローが正しくない以上、正しくツールは使えません。
そして、ITツールを導入しても従業員が十分使いこなせていないことに対しては、経営陣が主導してでも対策を講じるのが妥当ですが、実際は何もケアをしない実例もあるのです。
残業が減らず、営業マンの生産性が向上しない「8つの足かせ」とは
経営レイヤーの問題点をもう少し詳しく考えてみましょう。御社では、このような業務を営業マンにさせていないでしょうか。
- 上司への報告
- 会議資料の作成
- 関連メンバーとのミーティング
- 見積作成
- 会議そのもの
- 情報収集
- 社内メール
- 各種集計
営業マンの数字には結びつかず、業務の本質部分でないといえるこうした8つの業務=足かせに多くの時間を費やしているままでは、たとえITツールを導入してこれらの業務をこなしたとしても、時間の無駄をストップすることはできません。
そもそも、なぜ営業マンがこれらの業務をしなければならないのでしょう。営業マンには営業マンにしかできない仕事があるのに、そうでない仕事が山のようにあることは、組織の設計そのものを変える必要があることを示しています。
生産性向上をさせるための要点と分析方法は何か?

生産性向上を確実に導くには、以下の3点の流れをしっかり実施することがキモとなります。
現状の分析
まずは現状を正しく分析し、問題の所在を把握することが大事です。
現状を把握するには以下のような施策があります。
定性面:従業員アンケート
従業員アンケートの定性的情報収集の部分は、無料ツールのテンプレート等を用いて、自社で設計して活用すると効果が上がりやすくなります。
例えば、分析の手法に利用できるeNPSなどの知識があれば、設問間の相関関係を分析することにより会社に対するロイヤリティ・職務に対するモチベーションといった定性的な分析が可能になり、効果が生まれやすいものです。
定量面:勤怠ツールやSFA/CRMからの情報取得と分析
チームと売り上げ、労働時間の相関性が定量面の分析では重要です。
SFAやCRMのメリットは、労働時間をどこで使い、売上がどこの時間から生み出されたといえるか、因果関係がクリアに見えるようになることです。
例えば、その売り上げは労働集約的作業で生み出されているものかそうではないのかがグラフなどでビジュアルに、一目でわかるようになり、要点を捉えやすいのです。
第三者による組織コンサルティング
自社リソースに限界を感じる場合は、組織改善のコンサルティングに頼めばリソースとナレッジを貸してくれて、効果も見込めやすいものです。
組織改革コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションが労働生産性の改善の分野でも有名です。
ただし、組織コンサルティングは一貫して分析から実行・フォローアップまでを一つのパッケージとしてサービス提供する場合も多く、高額となりがちです。
フェーズごとに、企業の外部リソースニーズが異なる面もあるので、フェーズごとの費 用対効果の吟味は必要と考えられます。
課題の正しい抽出と着目
マトリクスにて整理を
次に、課題の優先度、難易度を分け優先順位を正しく認識する必要があります。
難易度が高いものは、長期的な取り組みが必要となる傾向があり、優先度は当面下げて おいて、じっくり現状分析・行動計画の立案に取り組むべきものとなります。
これに対して難易度が低い・そして影響力が高い課題は、優先して実行します。こうし た課題を解決することにより、現場の信頼を獲得し、課題を解決することにメリットが あることを強く会社全体に印象付けることができます。
難易度・影響度で優先順位をつける方法は、単純ですが整理のためには強力な効果があります。
なぜなぜ5回で深掘りを
優先順位づけと並行して、原因の深掘りと対応策を実施するとより効果的です。余計な要素をそぎ落とし、課題を解決する精度を上げることができます。
例えば、トヨタの「なぜなぜ5回」は、「なぜ」を5回繰り返して初めてしかるべき方法に到達しますが、問題の本質の掘り下げ方・抽出方法として効果的かつ適切な方法であることが知られています。
どのように使うか、このトヨタ式のやり方をまとめてあるのでよければ参考にしてください。
優先度が高い課題とその施策の実行
ここまでで現状の把握・分析と、それに対する課題の抽出、そして取りうる方策の立案までの流れを見てきました。
ここまででお判りと思いますが、ITはあくまでツールでありそれを解決するための適する施策を実施することが大事なことです。
現状の把握・分析・課題の抽出と、実施のどれかが抜けても現実には生産性が上がりません。これらの一つ一つのアクションは、次のアクションの前提になっている関係にあるためです。
生産性向上要素を「営業マン」において深掘りすると?
今度はより具体的に営業に絞って課題や必要なブレイクダウンをしてみます。
営業マンの生産性向上は売上増大に直結していますので、最も重要な課題といえます。
営業マンの生産性向上要素とは
営業生産性向上は次のような要素で構成されています。

つまり、営業マン1人1人が「商談件数を増やす」「1つ1つの商談の規模を大型化する」「成約率を高める」「短期間で成約する」という4つを複合的に実践することが、売上拡大につながります。
売れる営業と売れない営業の違いは?
どの会社にも「売れる営業」と「普通の営業」が存在します。この両者の大きな違いは情報の質と量です。
「売れる営業」はどうしている?
売れる営業マンは、顧客に関する様々な情報を収集し、社内の関係部署とコミュニケーションと連携を図りながら、顧客への提案内容の質と量を高めています。
さらに、顧客訪問の前に取引先のキーマンに関する最新の情報を調べ、以前納入した製品についてサポート部門からフォローの状況などを確認。重要な商談となれば、自社の課長や部長に同行営業を依頼します。
売れる営業マンは、このような情報武装をあらかじめ行うことで生産性を向上させ、売上増を実現しています。
属人化撤廃における情報統合と見える化に課題
こちらも営業において生産性を向上させる一つの要素です。
売れる営業も、個人だけでそのノウハウを持っていても、会社の売上は最大化しません。
そこで、属人的ノウハウにとどまることなく、情報の横展開と他の営業マンの育成が必要になります。
そのための前提となるのは、情報を見えるようにすること、つまり「見える化」です。
上記の売れる営業が持っている情報を見える化させ、属人化を撤廃してマネジメントを可能にするにはツールでの情報共有に頼る必要がありますが、そこで課題が発生しています。
情報は一元化して作業量を下げることができているか?
「ITツールを導入しているのに、生産性が一向に向上しない」「以前より残業が増えている」といった声も聞かれます。
その原因は、ITツールがバラバラで業務を効率化と売上UPにつながるPDCAが分断していることにあります。
例えば行動予定などのスケジュールはグループウェアに入力、営業日報は長文のメールで提出、会議資料はファイルサーバからデータを探し出してPowerPointやExcelで作成…などとすべてがバラバラです。
管理されている情報をもとに、バラバラなツールで資料類を作成し、ファイルはメールで送ったらそのあとは顧みられず、後で情報を取り出す・掘り下げることもない、という状況が往々にして見られます。
こんなことでは、商談の質と量の向上を阻むだけでなく、残業を増やし、訪問活動に時間が割けなくなっています。

顧客情報を集約した「顧客カルテ」で営業の生産性を向上
基盤となるCRM/SFA
顧客情報を一元化するIT基盤を実現するのがCRM/SFA製品です。
営業部門はもとより、マーケティング部門、サポート部門など、顧客接点を持つ部門が顧客に関する情報をシステムに登録すると、それらを1つの画面上に集約された状態、いわゆる「顧客カルテ」として表示できます。
作業工数の削減に効果
「顧客カルテ」を見れば、過去から現在にわたる顧客とのコンタクト履歴を知ることができ、今までのように各部門のファイルサーバを探しまわったり、関係する部門に問い合わせたり、過去のメール履歴を検索といった非生産的な作業の問題も解消されます。
スマホからいつでも・どこでも、訪問結果を登録できるCRM/SFAもあり、営業マンが外出中の隙間時間に情報を登録するだけで、スケジュールや営業日報、売上データ管理帳票などに自動反映され、いちいち個別に作成する必要がなくなります。
分析と打ち手実施の迅速化
登録した情報は関係者全員でリアルタイムに共有でき、会議の場で状況の報告などを行う必要がなくなります。それよりも「次に打つべき手は何か?」といった戦略の検討に集中できます。
このようなIT基盤があれば、すべての営業マンが必要な顧客情報を簡単に手に入れられ、情報武装による生産性の向上が図れます。

行動のリアルタイム化
上司が1つ1つの案件の進捗状況をいつでも・どこでも閲覧・共有でき、リアルタイムにアドバイスして「次は同行するよ」などと伝えるリアルタイムコミュニケーションが可能になります。
現場としては面倒なスケジュール調整などを行わずに、上司のサポートを得ながら、成果を生み出す営業活動ができるでしょう。

導入事例:CRM/SFAの導入で受注件数前年比3.6倍、残業時間30%削減
企業・健保組合等の「健康づくりに向けたインセンティブ」業務を代行する株式会社ベネフィット・ワンでは、CRM/SFAの導入・活用により、入社1・2年目の若手営業マンにトップ営業マンのノウハウを効率的に共有。
その結果、受注件数前年比3.6倍、残業時間30%削減を果たしています。このCRM/SFAを活用した“情報武装”の事例の詳細を動画でご覧ください。
よろしければご参考になさってください。
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まずは正しい現状の把握と分析を
いかに正しく現状を把握できるかが鍵であり、その中でも定量面では数値として一元管理、リアルタイムで見える化することは、生産性向上にあたり組織の根底で必須となります。
現状において最も簡単に情報を一元化できるCRM/SFAは、大きな力となるでしょう。
弊社はその一つとしてeセールスマネージャーを提供しているので、ぜひご検討ください。