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KGIの意味とは? KPI・KSF・OKRとの違いや設定のポイントをわかりやすく解説!
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KGIの意味とは? KPI・KSF・OKRとの違いや具体例、設定方法を解説

KGIとは「重要目標達成指標」のことで、KPIやKSF、OKRなどと同様、経営や企業活動における重要な判断指標です。

KGIを設定することで社内外の理解や信頼を深められます。また、体制の見直しやCRM/SFAツール導入などによって環境をととのえれば、企業全体の目的達成を効率的に実現できるでしょう。

本記事では、KGIとその他指標との違いやKGIの設定方法、KGI達成のコツなどを解説します。

KGIとは? 具体例も紹介

KGIとは、Key Goal Indicator(キーゴールインジケーター)の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。

企業が目指す最終的な目標を数値で見える化するため、わかりやすく、他者と共有しやすい点も特徴です。WebやIT業界では積極的に取り入れるべき指標です。

以下で、詳しく解説していきます。

KGIの具体例

KGIは経営やビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標で、売上高や成約数、利益率、業界シェアなどがこれに当たります。

たとえば開業して間もないECサイトでは、売上高やサイトの訪問客数を伸ばして、自サイトに十分な規模があることをアピールする必要があるでしょう。そのため、この段階では、「1年後の決算時に売上高を150%にする」や、「半年後の月間訪問客数を2倍にする」などのKGIがふさわしいといえます。

一方、株式の上場などを考えている大規模なECサイトになると、設定すべきKGIが変わります。

ステークホルダーは、本業でどのくらい儲かっているのかを示す営業利益や、株主資本を効率的に投資しているかなどをチェックするため、これらを意識したKGIを設定しなければなりません。

この場合は、「3年後の上場に向けて、2年後の決算までに10億円の営業利益を達成する」や、「上場直後にROE5%を達成する」などが考えられるでしょう。

KGIを取り入れるべき業界

KGIの設定はあらゆる業界で行われています。最終的な大きい目標から逆算して日々のタスクへと落とし込む手法そのものは、どの職場でも無意識に行われているでしょう。

なかでも、とくにKGIを取り入れるべき業界は、WebやIT分野です。どちらも状況の変化が激しく、かつ指標を数値化しやすいため、KGIとの親和性が高いと言えます。

これらの業界でプロジェクトの追うべき指標が明確になっているなら、KGIを積極的に取り入れることをおすすめします。

KGIとKPI・KSF・OKRとの違い

KGIのほかにも、経営や企業活動において重要な指標となるKPIやKSF、OKRも理解しておきましょう。

KGIとKPI・KSF・OKRとの違い

KPIは「中間目標」

KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」と訳され、KGIを達成するためのプロセスが、適切に実施されているかを定量的に評価する指標のことです。

KGIが最終目標であるのに対し、KPIは最終目標達成のための中間的な指標となります。KGIと同様に、部門ごとの目標管理に向いている評価指標です。

詳しくは以下でも解説しています。

参考:【図解】KPIとは? KGIとの違い、効果的なマネジメント方法、指標の設定〜達成までのステップを簡単に解説

KSFは「重要成功要因」

KSF(Key Success Factor)は「重要成功要因」と訳され、KGIやKPIが定量指標であるのに対して、KGIやKPIを達成するための活動や要因を定性的に示す指標です。ビジネスゴールがKGIなら、KSFは事業の成功要因と理解するとよいでしょう。

たとえば、「既存A製品の売り上げ120%達成」というKGIなら、販売チャネル見直しや顧客獲得のスピードアップなどがKSFとなります。コスト10%削減がKGIなら、業務効率化や生産性向上などがKSFとなります。

詳しくは以下でも解説しています。

参考:【図解あり】KSF(キーサクセスファクター)とは?KPI、KGIとの違いや具体例

OKRは「目標と主要な成果・結果」

OKR(Objective and Key Result)は、「目標と主要な成果・結果」と訳されます。KGIやKPIと異なり、会社全体の目標管理に適しています。

KPIとKGIは、ルーチンワークのような課題への目標設定には効果はあるものの、めまぐるしく変化する経営環境下にはそぐわない面も出てきます。

一方、OKRは会社全体の目標管理に適していることから、経営層から現場の管理職、社員、アルバイトにいたるまで、一丸となって取り組めるような同じ目標を設定することが可能です。

KPIとKGIによる短いスパンの評価管理手法とは異なり、OKRは四半期ごとに見直すのが一般的です。とくに、ベンチャー企業やスタートアップのような新しく社員数の少ない企業であれば、トップの意思決定や考えていることを共有する手法としても有効です。

KGIを設定するメリット

KGIを設定して目標を可視化すれば、社内外の理解や信頼を深められる、以下のようなメリットがあります。

ゴールが明確になる

企業が達成すべき目標をKGIとして数値で設定すると、誰が見ても「いつまでに何をやるか」が明確になります。KGIによって従業員が会社の戦略を理解でき、KPIで具体的な戦術がわかれば、日々の業務の優先順位をつけやすくなって業務の効率化につながるでしょう。

社員のモチベーションを維持できる

KGIを設定して大きな方向性を示すと、社内共通の目標に向かうためのモチベーションが高まります。会社全体のビジョンとして明確なKGIを共有することで、従業員の信頼も高まるでしょう。

外部のステークホルダーから理解を得やすい

KGI設定により最終目標を明示できることから、外部のステークホルダーに対しても自社の方向性や進捗を説明しやすく、理解を得やすくなります。

KGIの設定方法「SMARTモデル」

KGIの設定には、「SMARTの法則」を活用することをおすすめします。SMARTの法則とは、以下の5つの要素によって、企業や組織の目標設定を行う定番のフレームワークです。

  1. 明確性(Specific):設定する目標を具体的で明確な内容にする
  2. 計量性(Measurable):設定する目標を測定が可能な内容にする
  3. 現実性(Achievable):設定する目標を現実的に達成できるようなものにする
  4. 関連性(Result-oriented or Relevant):企業目標と個人目標、最終目標とKPIなどに関連をもたせること
  5. 期限(Time-bound):設定する目標の期限を明確にする

5つの要素はKGI設定時の注意すべきポイントにもなり、設定後のチェック項目としても利用できます。その中でとくに、4の「関連性を持たせること」が欠けることが多く、よくある失敗例としてはたとえば、企業理念では「自社で働く従業員を幸せにします」と謳っていながら、KGIでは株主利益のことしか設定していない、などがあります。

関連性については、「結果」と「企業が持つ理念・ビジョン」の関係を重視して設定しましょう。

SMARTに関しては以下でも詳しく解説しています。

参考:【図解】目標設定のコツと具体例を紹介! 定番フレームワーク「SMART」も解説

よくあるKGI設定の失敗事例3つ

KGIの設定にはSMARTモデルが有効ですが、要素の一部が欠けると以下のような失敗につながります。具体例を解説します。

よくある失敗例①明確性と計量性が欠けている

最近では「とにかく売上高を上げる」のようなKGI設定のミスは見かけなくなりましたが、働き方改革の影響などで「従業員満足度の高い職場環境を作る」のようなKGIを掲げる企業があります。

これは、明確性(Specific)と計量性(Measurable)が欠けているケースです。このような数値化されていないあいまいな設定だと、次のKGIの分解やKPI抽出へ進むことができません。

たとえば、「現在5段階で平均3である顧客満足度調査で、1年後の評価を3.5に改善する」などとすると、明確性(Specific)と計量性(Measurable)が満たされていると言えるでしょう。

よくある失敗例②現実性が欠けている

現実性(Achievable)が欠けているケースも散見されます。とくにトップダウンの企業などで、「次年度の売上高は倍増を目指す」などのKGIが設定される場合があります。

現実性を見きわめるには、過去の実績や経済情勢などを踏まえた判断が必要です。仮に極端な値上げがしづらい低単価食品で、よくても前年対比で数%の伸びしか実績がない場合は、販売数量を多くしない限り「次年度の売上倍増」という目標は、現実性に欠けるといえます。

よくある失敗例③関連性が欠けている

SMARTモデルの各要素の確保で最も難しいのが、関連性を持たせることです。KGIとKPIの設定に関連性がない、もしくは関連性が低いなどのケースはよくある失敗例です。

たとえば、KGIが「売上10%増」の時に「粗利益改善のために仕入単価を下げる」のようなKPIを設定してしまう、などは典型的な例です。また、KPI設定のためにKGIを分解しても、その中の影響力が弱いものをKPIと定めれば、関連性が低いケースとなります。

KGIとKPIを設定したにも関わらず、しっかりとチェックしていない、KPIの抽出を精査しきれていない企業などで散見されるケースなので、注意しましょう。

KGI・KPIを達成させるポイント

最後に、KGIを達成して組織の目的を実現するために注意すべきポイントを解説します。

改善可能なKGI・KPIにする

定量的なKGI・KPIを設定しても、施策によって改善できないような目標であればモニタリングをする意味がありません。

施策がKPIやKGIと連動していれば、施策の成果を定期的に観察、検証ができ、より効果的に目標達成につながります。KGI・KPIはかならず、実行する施策と一緒に設定することが重要です。

現状を常に把握できる体制を整える

KGIを達成して組織の目的を実現するには、組織内の体制や環境整備も重要です。

管理者が、実行部隊である部下の進捗状況を常に確認し、必要に応じてフォローできる体制が望ましいでしょう。管理者が明確かつ適切な指示を出すには、組織全体の状況を可視化して自社分析を徹底する必要があります。

また、社内の情報やデータを一元管理して業務を効率化するには、CRM/SFAツールが欠かせず、社内のDX化による環境整備も求められます。

たとえば「見込み顧客に対するアポイント獲得率がどれくらい改善したのか」や、「今週の商談の契約率はどれくらいか」などを即座に把握できる体制や環境が整っていれば、目標と現状の乖離にすぐに気づけて、改善策をすばやく検討できるでしょう。

KGIやKPIを推進できる体制と仕組みをしっかりと整備して、従業員全員が常に「達成」を意識することが重要です。

KGI・KPI達成に向けて環境整備を

KGIを設定することにより社内外の理解や信頼が深まり、効率よく企業目的の達成を実現できます。

KGIは数値で可視化できる実現可能な目標とし、KPIや経営目標などと関連していることが重要です。また、KGIをスムーズに達成するには効率的な自社分析が必要不可欠です。

社内体制の見直しや、CRM/SFAツール導入などによって環境を整備するとよいでしょう。

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