KGIとは?KPIとの違いや意味、メリット、具体例をわかりやすく解説
KGIとは、企業が目指す最終的な目標を数値で示す指標のことです。KGIを明確にすることで、組織全体が同じ方向を向きやすくなり、KPIやKSF、OKRなどの関連指標の設定や運用もより効果的になります。
本記事では、KGIの基本的な意味やKPI・KSF・OKRとの違い、KGI達成に向けたポイントや環境整備のコツについて、具体例を交えながら解説します。ぜひ最後までご覧いただき、自社の目標管理にお役立てください。
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KGIとは?具体例も紹介
KGIとは、Key Goal Indicator(キーゴールインジケーター)の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
企業が目指す最終的な目標を数値で見える化するため、わかりやすく、他者と共有しやすい点も特徴です。WebやIT業界では積極的に取り入れるべき指標です。
以下で、詳しく解説していきます。
KGIとKPI・KSF・OKRとの違い
KGIのほかにも、経営や企業活動において重要な指標となるKPIやKSF、OKRも理解しておきましょう。

KGIとKPIの違いとは?
KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」と訳され、KGIを達成するためのプロセスが、適切に実施されているかを定量的に評価する指標のことです。
KGIが最終目標であるのに対し、KPIは最終目標達成のための中間的な指標となります。KGIと同様に、部門ごとの目標管理に向いている評価指標です。
詳しくは以下でも解説しています。
参考:【図解】KPIとは? KGIとの違い、効果的なマネジメント方法、指標の設定〜達成までのステップを簡単に解説
KGIとKSFの違いとは?
KSF(Key Success Factor)は「重要成功要因」と訳され、KGIやKPIが定量指標であるのに対して、KGIやKPIを達成するための活動や要因を定性的に示す指標です。ビジネスゴールがKGIなら、KSFは事業の成功要因と理解するとよいでしょう。
たとえば、「既存A製品の売り上げ120%達成」というKGIなら、販売チャネル見直しや顧客獲得のスピードアップなどがKSFとなります。コスト10%削減がKGIなら、業務効率化や生産性向上などがKSFとなります。
詳しくは以下でも解説しています。
参考:【図解あり】KSF(キーサクセスファクター)とは?KPI、KGIとの違いや具体例
KGIとOKRの違いとは?
OKR(Objective and Key Result)は、「目標と主要な成果・結果」と訳されます。KGIやKPIと異なり、会社全体の目標管理に適しています。
KPIとKGIは、ルーチンワークのような課題への目標設定には効果はあるものの、めまぐるしく変化する経営環境下にはそぐわない面も出てきます。
一方、OKRは会社全体の目標管理に適していることから、経営層から現場の管理職、社員、アルバイトにいたるまで、一丸となって取り組めるような同じ目標を設定することが可能です。
KPIとKGIによる短いスパンの評価管理手法とは異なり、OKRは四半期ごとに見直すのが一般的です。とくに、ベンチャー企業やスタートアップのような新しく社員数の少ない企業であれば、トップの意思決定や考えていることを共有する手法としても有効です。
KGI・KPIを設定する際のポイント
KGI・KPIを効果的に機能させるためには、適切な設定が欠かせません。その際、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、KGI・KPIを設定する際の重要なポイントを3つ紹介します。
ポイント(1)KGIを設定してからKPIを設定する
KGI・KPIを立てるときは、先にKGIを設定します。なぜなら、KPIはKGIの達成度合いを把握するために立てる中間指標だからです。そのため、KPIはKGIと深くリンクしている必要があります。
ところが、先にKPIを立ててからKGIを設定すると、互いが深く関連しない内容になる恐れがあります。
まずはKGIを設定し、達成までに必要な諸条件を細分化してKPIを設定することが必要です。以下に例を挙げましょう。
KGI:月間売上を20%アップさせる
↓
客単価・受注数の増加が必要
↓
KPI:「アップセル・クロスセル提案を週10回実施する」「重要取引先の訪問回数を月に10件に増やす」
ポイント(2)誰がみてもわかる内容にする
KGI・KPIを設定するときは、定量的で誰が見てもわかる内容にすることも大切です。以下にOK例とNG例を挙げてみます。
OK例)月間売上を前年同月比で20%アップ
NG例)売上を伸ばす
OK例)1案件あたりの平均作業時間を20%短縮する
NG例)業務の効率化をはかる
上記のOK例のように、数値を使って効果測定ができる目標を設定しましょう。NG例のような内容では、個人の認識によってブレが生じやすく、達成できたかどうか判断することができません。
ポイント(3)KPIは必要なものにしぼりこむ
KPIは、KGI達成にとってとくに重要な指標にしぼりこんで設定することが大切です。あまりに多くのKPIがあると、どれを優先すべきか分からなくなったり、どれも中途半端な達成率に終わったりする恐れがあるためです。
とはいえ、KGI達成のために適切な内容・数のKPIを最初から設定することは簡単ではありません。そこで、最初は多く設定し、随時分析・見直しを行って必要なものにしぼっていくのがおすすめです。
多く設定したまま、見直しをせずにそのまま運用することは避けましょう。
KGIの具体的な設定方法
KGIは、企業のビジョンと一致する目標にすることが重要です。最終的なゴールであるKGIを設定し、逆算して各KPIを定めましょう。
ここでは、具体的な設定手順について解説します。上述のポイントをしっかり押さえて設定してください。
1. KGIを決める
まずは、企業のビジョンや方針とマッチする内容で、最終目標であるKGIを設定します。たとえば、以下のような内容です。
- 年間売上を前年比〇%アップさせる
- 新製品の年間販売数を〇万台にする
- 既存店舗のリピート率を〇%以上に引き上げる
測定可能で、具体的な目標であることが大切です。
2. KPIを決める
KGIが定まったら、実現するために必要なKPIを設定しましょう。KGI達成にはどのような作業をすべきかを、逆算して決めていきます。たとえば、営業部門でKGIを「年間売上を前年比〇%アップさせる」とする場合、以下のようなKPIが考えられます。
【新規顧客開拓】
- テレアポ件数
- 商談件数
- 平均受注件数
【既存顧客へのアプローチ】
- アップセル・クロスセルの提案数
- 定期訪問数
- フォローアップの実施数
上記は一例です。企業や部門、社員の状況に合わせ、最適なKPIを決めることが大切です。
3. 目標数値を決める
KPIの項目が決まったら、それぞれを数値で設定します。数値で設定するのは、目標に対してどれだけ達成したかを客観的に判断できるからです。KGI達成までに必要なプロセスを逆算して、どのレベルが必要か考え設定しましょう。
たとえば、KGIが「年間売上を前年比〇%アップさせる」で、KPIを「テレアポ件数」とする場合、以下のように考えて数値を決定します。
- 目標とする売上額 ÷ 平均受注単価 = 必要な成約数
- 必要な成約数 ÷ 商談の成約率 = 必要な商談数
- 必要な商談数 ÷ テレアポ取得率 = 必要なコール数
数値を設定する際は、以下で説明するSMARTの法則(SMARTモデル)を活用すると、実現可能で明確なKPIを設定できます。
KGIの設定方法「SMARTモデル」を使用する
KGIの設定には、「SMARTの法則」を活用することをおすすめします。SMARTの法則とは、以下の5つの要素によって、企業や組織の目標設定を行う定番のフレームワークです。
- 明確性(Specific):設定する目標を具体的で明確な内容にする
- 計量性(Measurable):設定する目標を測定が可能な内容にする
- 現実性(Achievable):設定する目標を現実的に達成できるようなものにする
- 関連性(Result-oriented or Relevant):企業目標と個人目標、最終目標とKPIなどに関連をもたせること
- 期限(Time-bound):設定する目標の期限を明確にする
5つの要素はKGI設定時の注意すべきポイントにもなり、設定後のチェック項目としても利用できます。その中でとくに、4の「関連性を持たせること」が欠けることが多く、よくある失敗例としてはたとえば、企業理念では「自社で働く従業員を幸せにします」と謳っていながら、KGIでは株主利益のことしか設定していない、などがあります。
関連性については、「結果」と「企業が持つ理念・ビジョン」の関係を重視して設定しましょう。
SMARTに関しては以下でも詳しく解説しています。
参考:【図解】目標設定のコツと具体例を紹介! 定番フレームワーク「SMART」も解説
KGI・KPIに関連する用語
ここでは、KGIやKPI以外にも知っておきたい重要な指標を整理します。KGI・KPIを補完するものとしてKSFやCSF、KDI、OKRなどがあり、それぞれの特徴を理解することで、企業目標達成の道筋がより明確になるでしょう。
KSF(Key Success Factor)
KSFは「主要成功要因」を意味し、目標を達成するうえで欠かせない要素です。たとえば、顧客数拡大を目指すなら、他社より低価格で提供できるといった強みがKSFになります。競合他社と差別化できるポイントを洗い出すことで、自社ならではの価値を明確にします。これを明確にするほど戦略が立てやすくなり、組織全体の方向性も共有しやすくなる点が特徴です。
CSF(Critical Success Factor)
CSFは「重要成功要因」を指し、組織の目標を達成するうえで欠かせない要素を示す点ではKSFと同じです。CSFを明確にすることで、重要な取り組みに集中できます。たとえば新商品の知名度を高めるとき、CSFとして広告戦略の見直しを最優先にすることが考えられます。
KDI(Key Do Indicator)
KDIは「重要行動指標」を意味し、KPIを達成するための具体的なアクションを数値化する考え方です。たとえば営業電話やメール配信など、実際に行う回数を指標として設定します。行動ごとの達成度をこまめにチェックすれば、目標とのギャップを早めに把握できます。行動単位で管理することで成果の要因を見直しやすく、改善サイクルを回しやすい点が特徴です。結果が悪いときも行動を振り返って修正することで、改善しやすくなります。
OKR(Objectives and Key Result)
OKRは「達成目標と主要な成果」を示し、KGIやKPIとは異なる特徴があります。高めのゴールを設定して挑戦を促すため、人事評価にもよく活用されます。たとえば受注機会を20%増やすため、リモート商談数を60%増やすなど、具体的な行動と成果を連動させて目標を共有します。組織全体で進捗を見える化し、協力体制を築きやすくする点が特徴です。個人の目標を組み込むことで、より一体感を持って目標を共有できます。
KGI・KPI達成に向けて環境整備を
KGIは、企業が最終的に目指すゴールを定量化して共有するための指標です。これを明確にしておくと、組織全体が同じ方向へ進みやすくなります。あわせて、KPIやKSF、OKRなどの指標を取り入れれば、KGI達成までの道筋を具体的にイメージできるでしょう。
さらに、KGIやKPIをしっかり機能させるには、社内体制の見直しやツール導入といった環境整備も欠かせません。SMARTモデルのようなフレームワークを活用しながら、戦略と環境を整え、企業の目標実現を目指しましょう。