
結局ニューノーマルとは何なのか?アフターコロナの現状と対策総まとめ
コロナ禍と共によく聞くようになったニューノーマル。抽象的な言葉だけに「結局ニューノーマルとは…?」「つまるところ企業は何をすれば…?」といった疑問を持ったままになっていないでしょうか?
新しい言葉・環境と考えられがちですが、実はニューノーマルは過去にもおきており、アフターコロナで3度目。つまり過去の事例からやるべきことの方針は学べます。
今回、すでにニューノーマル対応の支援を多くしている弊社が、ニューノーマルとは何かといった基本から変化したこと、対応方針まで解説していきます。ちなみに、以下のようなニューノーマル関連の資料も無料提供しているのでダウンロードしてお役立てください。
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ニューノーマルとは?過去事例から本質を簡単に解説

簡単に説明すると、ニューノーマルとは社会的に大きな影響を与えるなんらかのできごとが社会に変化をおこし、新しい常識や常態が生まれることです。新常態ともよばれます。
ビジネスにおいてニューノーマルが話題になるのは、既存のビジネスモデルが通用しなくなったり、新しいビジネスが急速に広がったりするためです。つまり、倒産したり他社にシェアを奪われたりする恐れがある一方で、正しい経営ができれば自社を大きく成長させるきっかけにもなり得るわけです。
そして、ニューノーマルは過去に2度おきており、重要性や大まかな対応方針を学べます。実際におきたニューノーマルは以下のとおりです。
- インターネットの本格的な普及(2000年代初頭)
- CSRやSDGsなどの企業責任追及(リーマン・ショック後の2009年移行)
上記に加えて2020年コロナ禍で通算3度目のニューノーマルとなります。今のビジネスは過去2回のニューノーマルの上に成り立っており、ビジネスが大きく変わりました。そこで3つのニューノーマルを簡単に解説していくので、概要や本質の理解にお役立てください。
ニューノーマル①インターネットの本格的な普及
1度目のニューノーマルは、90年代後半から2000年代初頭にかけてインターネットが本格的に普及したことです。いわゆるIT革命がおこり、本やチケットの購入、銀行取引、株式投資などが簡単にできるようになりました。
かつては不況知らずといわれた出版業界の衰退などがおこる一方で、GoogleやAmazonなどが対応したのがこのニューノーマルです。今となってはネットはインフラであり、ネット登場前後でビジネスモデルや消費行動が大きく変わっています。
実際、今日においては顧客が主体で商品情報を取得し、購入もスマートフォンですませています。1度目のニューノーマル前に通用していた御用聞きのような営業やマス広告では、大きな成果は上げられなくなってしまいました。
時間がたっていることもあり、ニューノーマルとはビジネスのあり方が根本から変わることだとよくわかります。実際、現在ではネットを無視した経営や生活は考えづらいでしょう。
ニューノーマル② CSRやSDGsなどの企業責任の追及開始
2度目のニューノーマルがおきたのは2009年で原因はリーマンショックです。下図のように、リーマンショックの当時はニューノーマルという言葉がよく登場していました。
2度目のニューノーマルでは、失業率の上昇や景気後退といったマクロ経済的な変化も多数ありましたが、今日にいたるまで企業に影響を与えているのはCSRやSDGsです。端的に説明すれば、企業の責任がより追求されるようになりました。
一部の企業の話と思ってしまうかもしれませんが、業界構造やビジネスモデルに与える影響は多大なものです。たとえばSDGsをふくめた環境への配慮が、自動車業界に与えている影響は非常に大きいといえます。排ガス規制によるモデルチェンジやガソリン車の販売禁止、EVへの方向転換などが代表的です。
車メーカーはもちろん、部品製造メーカーやディーラ、ガソリンスタンドなどのインフラなどにも影響がでるでしょう。廃業やビジネスモデルの変更、M&Aをする企業が多くでるはずです。一方で、テスラはトヨタ以上の時価総額で存在感を示しており、GoogleやAppleなどが参入するといった従来では考えられなかった変化もおきています。
おこる変化にうまく対応できれば大きな成長が見込め、逆に他業界からの進出を許せば自社の存亡が危うくなることが、2度目のニューノーマルからわかります。
ニューノーマル③アフターコロナではDXなどが重要
3度目のニューノーマルとなるアフターコロナでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の推進が重要になる
と考えられています。簡単に説明すれば、時間と場所を問わない働き方や販売の強化です。
上記を裏付けるように、すでにDXに取り組んでいたニトリやウォルマートは、コロナ禍の最中にも好調な業績でした。また、ヤフーや富士通などは、大々的にテレワークにシフトし、以前は必要経費だった巨額のオフィス賃料を削りにかかっています。
より具体的な企業活動については、次に解説する「結局ニューノーマルで企業やるべきこととは?」で解説しますが、成功企業にならってSFAなどで生産性向上を目指すのが重要です。
結局ニューノーマルで企業やるべきこととは?

アフターコロナのニューノーマルでは、以下5つのことを念頭において企業活動をしていくのが重要です。
- 変化をチャンスととらえた経営方針
- テレワークによる働き方改革の推進
- 直接接触をへらす取り組み
- 労働管理と評価制度の見直し
- 事業継続計画(BCP)の作成や保守
それぞれ具体的に解説していきます。
変化をチャンスととらえた経営方針
やや抽象的ですが、最も重要といえるのがニューノーマルによる変化をチャンスと考えた経営をすることです。変化しなくても経営できるといった考えや政府の支援を特需のようにとらえた経営では機会損失が発生している可能性が高いといえます。
特に、既存ビジネスのDX推進やオンラインサービスの強化などは、今回のニューノーマルでおきた消費行動の変化と合致しているのでおすすめです。
たとえば旅行や宿泊予約大手の「一休.com」は、業界内の消費行動シフトをとらえて、新規会員を増やしています。宿泊や旅行業界は最もコロナ禍の影響をうけた業界にもかかわらずです。参考までに、 一休.comが分析した消費行動の変化は以下の3つです。
- ステイホーム反動のプチ旅行シフト
- 海外旅行ニーズの国内シフト
- 外食ニーズのおうちレストラン化
引用:一休社長「コロナ禍で3つの変化」 日本の観光資源が再発見へ
上記の消費行動の変化とGo Toトラベルへの早い対応などで、今後につながる顧客を多く獲得したわけです。もちろん上記の消費行動の変化は宿泊・旅行業界特有のもので、業界が変われば通用しません。後述する「コロナ禍による顧客の消費行動や生活の変化5つ」を参考に、自社が属する業界での状況分析や経営方針決定の材料にしてください。
在宅勤務による働き方改革の推進
新型コロナウイルスの流行で多くの企業が、在宅勤務いわゆるテレワークを実施し、在宅勤務を選択肢として採用し続けている企業が増加中です。たとえば富士通は在宅勤務の積極採用とともに、オフィスを半減すると発表しています。在宅勤務は政府が推進する働き方改革の施策の1つで、今後国内で事業をしていくにあたり合理的な対応といえるでしょう。
一方で、下図のように在宅勤務が定着するかという問いに対して、否定的な意見も増えてきています。
働き方改革のなかでもテレワークの定着は、労働力不足の対応に有効な施策です。今回のニューノーマルの流れにのらず、後になって再度テレワークを定着させようとするのは余計な労力がかかるでしょう。
成功企業の特徴としては、ツールの導入と定着があげられます。事務や管理系の仕事にばかり考えがいきがちですが、営業などの外回りの多い仕事もテレワークが可能になります。たとえば、CRMやSFAです。ツールについては詳しく解説している記事が別にあるので、以下から参考にしてください。
また、SFAを用いた業務改善の施策の一つとして、「業務の外注化=アウトソーシング」があります。アフターコロナにおいては特にテレワークとの相性も良く、近年になって多くの企業が導入しています。以下の資料にアウトソーシングの概要から、CRM/SFAを用いたアフターフォローまで詳細を記載いたしました。業務の生産性向上の一案としてぜひご検討ください。
直接接触をへらす取り組み
直接の接触をへらす取り組みも重要です。単純な感染対策である透明シートの使用以外にも、Googleマップで実店舗の混んでいる時間帯を知れるようにしたり、Web接客などを活用したりするのが重要です。
顧客の感染したくないという気持ちにきちんとよりそうのに加えて、生産性の工場にもつながります。テレワークと同様、今後働き手がへる日本では今までのように社員を確保するのは難しくなります。ニューノーマルの流れにのって、社員の無駄な移動や手間をへらすことを考えてみてください。
労働管理と評価制度の見直し
今回のニューノーマルを機会に、労働管理と評価制度を見直すのも重要です。テレワークやWeb接客での仕事が増えると、一同がオフィスにいることを利用した仕事ぶりのチェックといった評価方法が通用しなくなるからです。
なお、今しばらくは従来どおりの働き方と管理・評価制度が通用したとしても、国内の働き手がへっていく以上、いずれは時間と場所を問わない働き方の導入と評価にいずれは切り変えなければいけません。今回のニューノーマルで普及した在宅勤務と同時に、管理と評価制度を見直すのが合理的といえます。
管理や評価については、以下2つの記事でわかりやすく解説しているので参考にしてください。
事業継続計画(BCP)の作成や保守
事業継続計画(BCP)の作成や保守も重要です。国内企業におけるBCPといえば、地震や津波発生時の対応が中心ですが、新型コロナウイルスの流行で感染症対策の重要性が示唆されたからです。
コロナ禍のような状況はそうおきないとなんとなく考えがちですが、現実には永久凍土の溶けや森林破壊による野生動物からの感染を理由に未知の感染症が増えています。BCPの作成と保守をして、次回パンデミックがおきてしまった場合にも事業をストップしないですむ体制を整えるのが重要です。
基本的には今回のニューノーマルで普及した時間と場所を問わない働き方や販売方法を強化するのが良いでしょう。
コロナ禍によるビジネス環境の変化3つ

先述のとおり今回のニューノーマルで主に取り組むべきはDXやテレワークになりますが、なぜ必要かを理解した上で取り組んだ方が成果は大きくなります。そこで、新型コロナウイルスの流行でおこった変化を具体的に見ていきましょう。具体的には以下の3つです。
- 社内でのコミュニケーション
- 取引先との関係
- 消費者との関係
それぞれの詳細を見ていきましょう。
ビジネス環境の変化①社内でのコミュニケーション
新型コロナウイルスの感染が拡大により、職場でもできるだけ接触しない取り組みが求められ在宅勤務に切りかえられました。
大企業や大都市圏では過半数の企業が、日本全体でも3割の企業が在宅勤務への切りかえが行われ、職場での雑談や終業後の飲みニケーションは行いにくくなったという変化がおきました。
先に解説した従業員の評価制度や勤怠管理で、モチベーションの維持や円滑な意思疎通ができるようにしなければいけません。
ビジネス環境の変化②取引先との関係
在宅勤務が中心となる事態は、取引先も同じです。先方の企業を訪問しても、担当者がいないため打ち合わせができません。そのためWeb会議などでのやりちりが必要になりました。
なお企業を訪問できないことは、出張の大幅な減少をまねいています。JR東海によると、2020年4月と5月の東海道新幹線の輸送実績は、ともに前年比10%にとどまっています。9割の需要が消失したことは、特筆すべき点といえるでしょう。
加えて商談をともなう展示会なども、中止が続出しました。展示会を新規顧客の開拓手段として位置付ける企業のなかには、販路の開拓が思うように進まない事態も発生しています。
ウェブセミナーや自社サイトを活用したインバウンド型の営業での対応が必要な状況です。コロナウイルスが完全におさまったとしても生産性向上の観点から取り組んでおいて損はないといえるでしょう。
ビジネス環境の変化③消費者との関係
新型コロナウイルスは、事業者と消費者との関係も変えました。とにかく近距離で接触しないこと日常になったことから、以下のとおりの変化がおきました。
変化したこと | 備考 |
直接接客を抑制 | 透明シートの展開や袋づめサービスの中止など。 |
実店舗の営業中止や時間短縮 | ECサイトの活用や自社の通販の強化が活発になった。 |
リアルイベントの抑制 | イベントや試食・実演販売などの中止など。 一方でウェブセミナーなどが活発に。 |
上記の変化をうけて、消費者は実店舗の代わりによりECサイトを活用してさまざまな商品やサービスを購入するようになりました。実店舗やリアルイベントといった従来どおりの販売チャネル以外の要素が日常になり、定着してきているわけです。
コロナ禍による顧客の消費行動や生活の変化5つ

顧客の消費行動や生活の変化も解説していきます。ビジネスの売上を生み出しているのは常に顧客であり、自社商品との接触のしかたや消費の傾向は企業戦略に大きく影響するからです。業界を問わずに変化した要素をまとめると、以下の5つになります。
- マスクの着用やソーシャルディスタンス確保
- 不要不急の外出のひかえ
- 現金のやり取りの減少(よりキャッシュレス決済が普及)
- ECサイトの利用増加
- 宅食や宅配などの自分が外出せずにすむサービス利用増加
上記を切り口にしつつ、自社が属している業界特有の変化を分析すれば、ピンチをチャンスに変えられる施策が見つかっていくはずです。
ニューノーマルで一歩先をいく経営方針4つ

先に紹介した企業がやるべきことや変化した現状を理解した上で実現できると、他社よりも一歩先をいける経営方針を紹介していきます。具体的には以下の4つです。
- 今後を積極的に予測してトライ&エラーで対応
- 採用も顧客も地域にとらわれないようにする
- デジタルトランスフォーメーション(DX)により積極的に取り組む
- 前例にとらわれない意思決定
それぞれの詳細を解説していきます。
今後を積極的に予測してトライ&エラーで対応
近未来を予測して、トライ&エラーで他社よりも先に状況を乗り切っていけると大きな成長が見込めます。対応の方針が過去の事例からある程度わかるといっても、ニューノーマルの時代は事業環境が刻々と変わり、どのように変わるかは誰にもわかりません。
重要なのは変化しないことを選んだ場合、今の状態を維持できるとは限らず、むしろ機会損失ばかりをしてしまう恐れすらあることです。
正確な答えは誰にも出せないニューノーマルでは、変化に対する迅速な対応が必須です。今後おこり得る事態を積極的に予測した上で十分かつすばやく検討し、必要なアクションをおこすことがトータルでのリスクを下げることにつながります。
そのため、失敗しても良いので積極的にトライする雰囲気づくりが重要です。
採用も顧客も地域にとらわれないようにする
テレワークを全面的に行えるなら、もはや日々全員が顔を合わせて仕事を行うための、広々としたオフィスは必要ありません。このことは従業員を採用する際、「オフィスに通勤できる場所に住んでいる方」という条件を外せることも意味します。
優秀な方ならば全国どこに住んでいても採用可能となり、貴社の発展に貢献してもらえることでしょう。同じことは、顧客の開拓にもいえます。特にクラウドサービスなどインターネットで完結できる商材の場合は、オンラインでも対面での営業と同様に製品の魅力をアピールし、受注に結びつけることができます。
ニューノーマルの流れにのっては、優秀な人材や商品を求める顧客を広く受け入れられると、他社よりも一歩先をいけます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)により積極的に取り組む
DXを徹底的に進めるのもおすすめです。自社内でDXが進めば、ニューノーマルにおけるオフィスや働き方といった諸問題の解決につながり、ビジネスチャンスにもより対応しやすいからです。
また、事業継続計画(BCP)にもDXは役立ちます。 事実、コロナ禍の最中に同業他社よりも好調な業績だった企業はDXへの対応が重要な要素だったと日経新聞などで報道されています。
さらに、多額の経済損失が発生すると予測されているITシステムの「2025年の崖」を乗り越えるためにもDXは無視できない要素です。ニューノーマルの影響によるDXにとどまらず、むしろきっかけとして自社のDXを徹底できると他社よりも確実に先をいけます。
実際、多くの企業でDXは進んでいません。弊社が行った調査では、「現在、データを活用した営業ができていますか?」という質問に対して、「できている」と答えた企業はわずか15%にとどまりました。さらに、およそ8割の企業が「データを分析・活用できる人材がいない」と答えています。
DXについてのより詳しい解説や具体的な導入手順を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
前例にとらわれない意思決定
平時では「過去の成功体験」が安定した企業活動に寄与するものですが、アフターコロナでは違います。
誰も答えを知らない事態に適切に対応するには、状況を正確に把握した上で、仮説検証に基づいた意思決定が求められます。この状況では、過去と同じ方法かどうかは結果に過ぎません。それよりも、「今、この状況下において有効な方法か」が重要視されます。
したがってニューノーマルの時代では、前例にとらわれない意思決定が求められます。具体的にはPDCA的な経営ばかりでなく、時にはOODAのようなプロセスで経営を進めると良いでしょう。PDCAとOODAの使い分けについては以下の記事が参考になります。
まとめ:ニューノーマルとは何かを理解して適切な対応を

ニューノーマルはアフターコロナの時代に企業活動を行う上で、好むと好まざるとに関わらず受け入れるべき変化であり、いずれ常識となるものです。対面でのコミュニケーションを重視する人は、この変化を受け入れがたいと思うかもしれません。
そうであっても「コロナ後」という事実は変えられませんから、変化に対応して新しい業務の進め方を試すことが、今後の企業活動を進めるポイントとなります。