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SAPとは〜企業としてのSAPと、ソリューションのSAPを確認しよう

SAPとは〜企業としてのSAPと、ソリューションのSAPを確認しよう

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ビジネスプロセス管理の分野で世界有数のソフトウェアベンダーであるSAP。
SAPとは何かを知る必要が業務上、出てきた方も多いのではないでしょうか。

ERPからスタートしたSAPは進化を続けています。
そのソリューションの概要について、理解がぼんやりしている方も多いはず。今回はSAPについて理解を深め、ERPとCRM、SFAとの違いについても説明いたします。

SAPとは

1990年台までは、日本の企業システム=レガシーシステム(メインフレーム)でした。

システム化が難しいと信じられていた業務プロセスをも、お抱えのSIerの作り込みによってカバーされていた、オーダーシステムだったのです。
そこにSAPという黒船がERPをともなって登場しました。

会社全体をひとつのシステムで管理するERP。

ソフトウェアに業務を合わせることなど考えたこともなかった日本企業には、無理な提案と考えられましたが、企業規模にかかわらずSAPの導入が欧米企業で爆発的に進んでくると、グローバルカンパニーを目指す日本企業中心に、レガシーシステム離れが始まりました。

「動かないシステム」と叩かれたこともあったSAPでしたが、日本法人設立後、日本の顧客が増えていったので、日本においてもERPのフロンティアかつリーダーとなり、SAPに続けと海外製品のみならず、国産ERP製品も多く登場し現在に至ります。

企業としてのSAPの歴史

SAPとは企業名であり製品名です。もともとSysteme, Anwendungen und Produkte in der Datenverarbeitung (ドイツ語名)= Systems, Applications and Products in Data Processing(英語名)が正式名称で、SAPはその略称でしたが、2005年からSAPが正式名になりました(SAP AG、現在はSAP SE)。

※「サップ」と呼ばれることもありますが、ドイツ語で「サップ」がネガティブな意味を持つため、SAPを「エスエーピー」あるいは「エスアーペー(ドイツ語)以外で読むことはありません。

ドイツIBMのエンジニア5名が、自分たちの理想とする新たなシステム開発を目指してスピンアウトし、1972年にドイツで創業された企業です。そして翌年1973年に、SAP最初の製品であるR/1が発表されました。

当時、基幹システムをパッケージにする発想が画期的すぎて受け入れられませんでしたが、その後、メインフレーム上で動くR/2が市場に投入されると、ドイツではなくアメリカで最初にブレイク。
その後ドイツをはじめとするヨーロッパに、アメリカから逆に輸入される形で、SAPとERPが急速に広まったのです。

1992年にクライアントサーバー型ERPのR/3がリリースされる頃には、SAPはヨーロッパでビックネームの業務ソフトウェアブランドに。
その後もSAPの快進撃は続き、たった5名から始めたSAPは、今では世界各国に法人を有し、その従業員数は約100,000名のグローバル大企業に成長しました。

ERPとしてのSAPの歴史

製品としてのSAPの歴史もひもといていきましょう。

R/1-R/3 (1973-2004)

この期間のSAP 製品の名称はR/で始まりました。RはReal time のR。SAPでリアルタイムな分析を可能にすることから、R/を使うことにしたようです。

R/のあとはR/1, R/2, R/3と通し番号ですが、加えてR/3の3には、クライアントサーバの3層アーキテクチャを採用していることを表しているとも言われます。

各製品の特徴は次の通り:

R/1: アセンブリ言語で開発された、ERPというより会計管理システム。

R/2: メインフレームのビジネスソフトウェアパッケージ。多言語、多通貨を扱えたので、特に欧州諸国のグローバルカンパニーの間で絶大な支持を得た。

R/3: 分散型クライアントサーバコンピューティングに対応、Widows, Unixなど複数プラットフォームもサポートしたので、グローバル対応ソリューションとして世界中に新たな顧客を獲得。R/3からERPを全面的に打ち出すようになり、独自言語であるAPAP/4(のちにABAPと改称)で製品開発したことも、競合他社のERP製品との差別化に一役買う。

R/3以降

2004年のmySAP2004リリースのタイミングで、SAPのERP製品からRの文字が消えました。その後2005年にmySAP2005が登場、2006年にはSAP ERPの集大成とも言える、SAP ERP 6.0がリリースされました。

2002年にイスラエルのTop Tier社を買収。その製品を2004年にSAP BusinessOne (B1)とリネームし、スモールビジネス向けに出荷を開始しました。その後2007年には中堅企業向けにSAP All-in-One (A1)をリリース。
またSAP初となるクラウドERPのBusiness ByDesignが2007年に発表され、大企業にしか買えないといわれたSAPの顧客層が一気に広がりました。

ERPとは

次はERPについて、確認しましょう。

ERPの歴史

ERPとはEnterprise Resource Planningの略語で、企業経営の基本となるヒト・モノ・カネ・情報というリソースを適切に分配した上で、有効活用する計画や考え方のことです。

「企業資源計画」と称されることもありますが、日本語でもERP(イーアールピー)と呼ぶのが一般的。ERPを実現するソリューションがSAPのようなERPパッケージですが、現在ではERPパッケージも単にERPと呼ばれます。

ERPの概念はMRP(=Material Resource Planning)という生産管理の手法を、一般企業の経営向けに応用したものといわれていることから、ERPが製造に関する機能から始まったとされる所以です。

ERPという用語が世に出たのは、1990年代に米調査会社大手のガートナーが使用したのが初とされますが、その概念はSAPが1970年代から実装を始めていたため、後から用語がついてきた感があります。

日本への登場は1992年

ERPが日本に入ってきたのは、欧米に遅れること約20年の、1992年のこと。
SAPの日本法人であるSAPジャパンが設立されたタイミングです。

日本では当時、欧米で流行った経営コンセプトのBPR(Business Process Reengineering)が少し知られてきた状況で、ERPを導入しさえすればBPRが実現できるに違いないと期待されていました。

そのため、設立まもないSAPジャパンに問い合わせが殺到しましたが、それは生やさしいことではありませんでした。
独特の商習慣の多くある日本では、業務にERPを合わせるため、山ほどアドオンする必要が生じました。製品価格以上に導入コストがかさみ、やっとの思いで稼働しても、既存のレガシーシステムほど満足できない企業がほとんど。
SAPなど海外ERPも日本の市場に合わせた開発を重ねたおかげで、今ではERPを使いこなす日本企業が多いですし、日本の商習慣のサポートに特化した国産ERP製品も、多くあります。

クラウドERPが一般的になったために、企業規模を問わず導入することが可能になったのも、日本でERPが浸透した理由ともいえるでしょう。

ERPの詳細

ERPのもっとも大きな特徴は情報の一元管理ができる点です。

つまり会計、販売、購買、生産、人事などさまざまな部署のデータをすべてひとつのシステムにインテグレーションすることが可能になるので、経営側では企業の状況をリアルタイムに把握でき、スピード感ある経営が実現します。

モジュール

ERPにはモジュールという概念が重要です。
モジュールとはシステムを構成する要素のこと。

ERP製品によって呼称が多少異なる場合がありますが、SAP ERPの基本モジュールは次の5つです:

  • 財務会計 (FI=Financial Accounting)
  • 管理会計 (CO=Controlling)
  • 販売管理 (SD=Sales and Distribution)
  • 購買管理/在庫管理 (MM=Material Management)
  • 生産計画/管理 (PP=Production Planning and Control)

加えて基本モジュールの下には、サブモジュールがあります。たとえば、管理会計には間接費管理、製造原価管理、収益性分析など。
ERP導入に際して必要なモジュールは、業界、会社規模などによって異なります。

まずはモジュールについて検証し、どのモジュールを導入すべきかの判断が必要です。

CRM, SFAとの違い

ERPと混合されがちなのが、CRMやSFAです。
ERPの導入だけではなぜ足りないのか、その機能の違いを確認しましょう。

CRM (Customer Relationship Management)

CRMは顧客情報を管理するシステムです。
顧客との関係も管理できるので、顧客満足度の向上も図れます。

CRMはフロントオフィス業務を管理するのに対し、ERPはバックオフィスの管理が主なタスク。
ERPに顧客管理機能が含まれる場合もありますが、詳細な顧客データまでカバーできるものではありません。

SFA (Sales Automation)

SFAは営業活動の効率化やリアルタイムな情報共有により、組織的な営業などを実現するためのソリューションです。
ERPの中にはSFAのような機能があるとされる製品もありますが、さすがにバックオフィス管理がメインのERPでは、SFAに太刀打ちできません。

ERPをCRM、SFAと統合するのがベスト

何を導入するべきかを見極めるためには、どのソリューションが自社に必要なのかを熟慮する必要があるでしょう。
もちろんERP、CRM、SFAそれぞれのソリューションが持つ機能を有効利用するには、統合して活用することがベストです。

ERP導入のメリット・デメリット

ERP導入最大のメリットとは、データをリアルタイムに一元管理できること

最大のメリットとなるのは、企業のデータをリアルタイムに一元管理できることで経営の合理化が可能になり、経営トップの決断力をスピードアップできることです。

担当者サイドのメリットとしては、ERPひとつで管理できれば、社内システム担当者泣かせだった夜間バッチ処理も不要、深夜残業も必要なくなります。
またそれぞれの組織では必要データを他部署に共有依頼せずに、最新データをいつでもERPから自力で入手できて、仕事の効率も上がることです。

ERPに企業の業務プロセスを合わせることが原則

ERPは、インストールしたら即、本番稼働できるというものではありません。
ERP導入を決めたら、導入プロセスに入る前に要件定義を行います。
そしてできる限りERPに業務プロセスを合わせる試みが必要になります。
レガシーシステムと異なり、痒いところに簡単に手が届くものではないわけです。

ERPに合わせられない業務も

どうしてもシステムに合わせられない業務プロセスがある場合には、ソフトウェアの機能拡張のために使用するプログラムであるアドオンを開発することになります。

導入における課題

オフィス製品などと比べると、本番稼働まで時間がかかる点があげられます。
インストールしたら、次は企業に合ったパラメータ設定が必要。
さらにERPの標準機能で合わないものはアドオン開発。

しかもアドオン開発の本数が増えると導入コストが高額になり、本番稼働までのリードタイムもかさんでしまいます。

SAPの場合プログラムをユーザー側で変更(モディフィケーション)すると、サポートを受けられない

企業の業務プロセスをSAPの標準機能に合わせて変更することで、合理的に全体最適化をできる、と推奨するSAPでは、標準のオブジェクト(プログラムなど)の変更(モディフィケーション)を容認していません。

もちろんモディフィケーションすることは技術的に可能ですが、モディフィケーションされたシステムはSAPの正式サポートが受けられないので、システムのアップグレードも保証されないことに。

SAPの機能や料金は

全銀協指定の半角カナが入力できない問題など、日本独自の課題は多くありましたが、顧客からの開発要求からキャッチアップしていき、現在のSAPでは日本の商習慣や、大体の業務範囲は標準機能でカバーできるようになっています。

日本とアメリカ、ヨーロッパに拠点を持つグローバル企業で、通貨も商習慣も違うそれぞれの拠点の管理を、ひとつのシステムだけで一元的に行えるのは、SAPの真骨頂です。
顧客やパートナーからの開発要求に対する迅速対応を旨とし、ERPの範疇ではない機能がもはや存在しないところまで確立しているのが、SAPのERPといえます。

パッケージであるが、一律料金にあらず

日本上陸後しばらくの間、SAP導入は最低1年、かかる料金は一声10億円といわれました。
ライセンスコストも高価なのに、アドオン開発をともなう導入コストが膨大だったのです。

その後に登場したA1では5,000万円台で導入できるケースが発表され、以前の価格感を知っている人々はとても驚きました。
そしてBusiness By Designの登場でさらに状況は変わりました。

SAPジャパンのウェブサイトで、導入期間4週間、初期費用160万円で実現した事例が紹介されていますので、かなりハードルが下がったといえます。

SAP導入費用は、企業によって異なります。
1万社顧客がいたら、1万通りの料金があるのです。
しかもSAPは価格表非公開ですので、具体的なことは申し上げられません。

また導入を担当する企業によっても差異がありますので、SAPの導入検討フェーズの際は、複数のSIerから見積もりを取ることをお勧めいたします

SAPの進化とは

ERPの代名詞とされたSAPですが、その後はERPに止まることなく、CRMやSCMなどにもそのテリトリーを広げてきました。

S/4 HANA

2015年SAP R/3およびSAP ERPの後継ソリューションとしてS/4がリリースされました。その特徴はオンプレミス版とクラウド版(S/4 HANA Cloud)がある点と、以前の製品では他社製を含む主要DB製品が使えたのに対し、DBはSAP HANAだけしか使えなくなった点でしょう。

SAPには以前も自社DB製品であるSAP DBがありました。
しかし、OracleやSQL Serverに太刀打ちできなかったために、他社製品を長い間受け入れてきましたが、SAP HANAには絶対の自信があるのでしょう。

C/4 HANA

複数のCRMベンダーを買収した集大成である、SAPのCRM製品です。2018年にSAP CRMからC/4 HANAにリネームされました。

やはりSAP HANAがDBエンジンとなるソリューションです。

ご存知の方もいるでしょうが、SAPは1990年代にすでにSAP CRMをリリースしていました。しかし、ERPの快進撃に比べまったく普及せず。
C/4 HANAのリリースはそのリベンジマッチといえます。

SAPの今後

2021年のSAPの目玉はRise with SAP。

デジタルトランスフォーメーション(DX)実現のためのコンシェルジェサービスとのことで、SAPユーザーがDXで成功するための支援をSAPパートナーとも協業して積極的に行い、お客様とともに歩もうというのがコンセプトです。

多くの製品を買収した結果、CRM、SFA、SCM、BI、HRの新製品が加わり、もはや“ERPのSAP”ではありません。
最近ではBPMベンダーの独Signavioを買収したので、データマイニング分野でもトップを狙うつもりでしょうか。

今後のSAPの動向も目が離せないでしょう。

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