
SFA/CRMを上手に組織活用まで持って行くスキルは?導入から定着までに大事になるポイント
SFAの導入には、相応のお金と時間の投資をしますので、導入するのであれば失敗したくないですよね。しかし、導入の失敗も多く聞かれるのがSFAです。
実は、SFA導入の失敗を避けるためには、運用や定着までしっかり手をかけるべきところに手をかけて取り組むべきなのですがどこがポイントか判らない方も多いでしょう。
今回、導入の失敗を避け、SFAが思い通りに活用できるようにするにするスキルやタイミングをご説明いたします。
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なぜSFA活用のポイントを知る必要があるのか
SFAは、Sales Force Automationの略です。営業活動に必要な情報を一元的に管理し、自動的に案件を管理できるようになったり、売上予測を短時間で作成可能にしたり、多くの営業活動においてほしい機能を集約しているツールです。
営業活動の自動化・効率化を促進する機能が多くあり、魅力的なソリューションである一方で、活用に成功している企業よりも失敗している企業が多いとされています。失敗を避けるためには、活用のポイントを知っておくことが必要です。
導入するが、失敗する企業が多いという事実
SFA導入企業がどれくらい課題を解決できたか、どれくらいSFAに満足しているかのデータです。ガートナー社の調査によると導入した企業の約80%の企業が失敗しているというデータがあります。

*弊社サイトより抜粋
調査を行った結果によると、半数以上が課題解決を完全に行えず、また、満足度も半数未満であったことがわかっています。さらに、複数以上ある課題をすべて解決できたと答えた企業は1割に満たなかった、という結果に終わっています。
SFAは、導入したら自動的に課題が解決できるツールというわけではありませんし、また、多機能で、課題に応じた使い方が重要になります。導入には多くの関係者がいることも特徴です。
SFA運用を成功させるためのサービス選定・導入~運用・導入後それぞれの段階で関係者の具体的な行動のポイントは何でしょうか。
なぜSFAの導入は失敗してしまうのか
SFAの導入の失敗を避けるために、よくある失敗ケースはどういうケースで、失敗の原因としてどんな点が問題になったのか、あらかじめ知っておくことは有益です。以下、説明します。
1:ツール導入やデータ入力が目的となってしまう
ツールの導入や、データ入力はルーティン作業の部分が多く、しかも運用までにかなりの工程を必要とします。
この工程をなんとか効率的に行いたい、ひいてはできるだけやりたくない、となりがちなのが普通の営業部署の感じ方といえるでしょう。
皆、必ずしもポジティブに作業を行うわけではありません。その間に目的を見失い、モーチベーションを欠き、メンバーが「何のためにこれをしているのかわからない」状況になるのはSFAの導入にありがちなことです。
結果、目的からそれて、入力作業をこなすことにのみ目が向いてしまいがちになります。最終目的から役に立たない作業を繰り返していた、ということにもなりかねません。
2:入力項目の多さなど作業が煩雑になる
SFAは通常、顧客データ・過去の売上データを入力しそのあとに作業を自動化することが可能になります。自動のインポートや一括のマイグレーションだけではすまず、手作業で行うことが多くなるのも一つの特徴です。
そのため、忙しい営業の現場では入力を嫌がり、正しいデータが反映できなくなるなどの弊害が生じがちになります。
入力データが不正確になることは、SFAの機能を利用するうえで、例えば売上予測などのデータの信頼性を欠く結果になるなど、致命的な弊害につながります。
そこで、入力には極力シンプルな作業を行うように仕向ける・入力が自動化できるところは極力自動化するなどの工夫が必要になります。また、入力を行う補助者に任せることなども採りうる方策です。
●重要なことは「捨てること」
捨てられるデータは捨ててよい、と考えて不必要なデータおよびデータに関連するタスクを捨ててしまう、という視点です。ちなみに、顧客データは、個人情報の保護や情報セキュリティの観点からも保有数が多すぎることは好ましくないことです。
●例
データ入力の項目を絞ると、SFAのサービスの選定または使う機能の選定にも影響が出ます。多くの入力を要求するサービスや機能は使わないで、シンプルなもののみで対応する、などの人手や直面する課題に応じた判断もできるようになるのです。
マーケットシェアの高いSFAでは、機能を後から追加する・拡張するなどの対応が可能ですので、不要なタスクやデータを先に捨てる、という判断をしても、あとからカバーすることも可能になります。
3:営業マネージャーが消極的
せっかくトップダウンでSFAの導入を決め、経営陣自ら導入や運用を主導したとしても、営業マネージャーが多忙のために入力率を確認するなどの現場レベルのフォローができないことも多く起こりがちなことです。
フォローができないことにより、導入スピードが遅れる・入力の質が落ちるなどの弊害が出ないようにしたいものです。
営業マネージャーは、後にユーザーとしてのメリットを受ける立場にあるはずです。ところが消極的になってしまうことも往々にしてあります。
一つ考えられる原因としては、「メリットがその会社の状況からして説得的でないSFAを選定していること」の可能性があります。こうした選定はもとより避けるべきでしょう。選定が仮に間違っていなかったとしてもマネージャーレイヤーがメリットを理解/納得できてない場合も往々にあります。
そのほか、マネージャーの工数でも成功/失敗に影響が出ます。組織サイドは多忙さを考慮する必要があります。職務の優先順位付けや、あとからもう少し詳しく説明する工夫により、十分に当事者として巻き込む必要があります。
4:ITリテラシーが低くて使いこなせない
ITリテラシーに差があることを無視した導入を行うと、後にSFAを活用できない原因となります。ITリテラシーは、個人による差が大きく出ます。またUIによって年齢層でも違いが出ることもあります。
全員がユーザーとしてメリットを受けるにはどのようなフォローアップが必要なのか、研修・説明会の開催なども含めて検討する必要がありますし、自社だけでフォローアップ対応することに限界があれば、サポートサービスの利用も考えたほうが賢明です。
今まで見てきたように、SFAの導入が失敗するよくあるケースにおいては、それぞれに原因があります。これらの原因に対する効果的な対応策はありますので、それぞれ打開してあげる必要があります。
【導入の前に】要素洗い出しと方針策定の重要事項
関係者の具体的なとるべき行動を知るためには、営業の現場で抱えている課題にSFAの機能・使い方を対応させ、導入時から本運用までの工程を決めることが必要になります。
すなわち運用準備段階にて、課題の洗い出しや作業の落とし込みが十分にできているかどうかがまずポイントです。
●7W3Hの策定
その際に、判断のフレームワークとして利用したいのが「7W3H」であり、これらの洗い出しを行うことが落とし込み作業となります。
- 誰が(Who)
- 誰と(with Whom)
- なぜ(Why)
- 何を(What)
- いくらで(How much)
- 誰に(Whom)
- どこで(Where)
- いつ(When)
- どのように(How)
- どのくらいの数(How many)
という10項目のことです。
5W2Hに、「誰と」「誰に」「どれくらいの数」が加わっているのですが、これらも意識して作業の落とし込みと目的の確認を行うと、SFAの導入を成功させやすくなります。
これらの項目に応じて行動を策定し、部署に浸透させること、すなわち、いつどこで誰がどのようなルーティンや操作をする必要があるのかのレベルまで、関係者が理解を共有することが必要です。
●方向性を失う前に上記要素のブレイクダウンを
そうしておかないと、一人一人の作業が方向性のないバラバラの「点」になってしまい、運用までの時系列順での流れやマイルストーン、引いて導入の目的さえわからなくなります。
結果、途中で振り返り・検証や軌道修正などもできず、入力作業をこなすのにただ必死となり、妙な入力ルールを作ってしまう・機能が正しく使われないなどの弊害が生じる他、正しい方向性を失うことともなりがちです。
SFAの導入の成功には、正しい方向性として、最終的にどういう活用をするのか、提示したうえで、細かい作業までの落とし込みを行い、関係者全員を導くリーダーシップが必要になります。
●Whyを大事に
7W3Hでいうと、Whyを忘れてしまうことは非効率な作業やモーチベーションの低下を生むので避けるようにしましょう。
目的・そして運用したら最終形はこうなっていて、営業部門はこんなに効率化された仕事ぶりになる、というイメージを現場に共有してもらう必要があります。
一つ一つの行動がWhyにマッチしたものになっているか、目的から逆算した過程になっているか、検証しながら進めることが必要です。
●トップレイヤーがリーダーシップを。会社はそれのバックアップを
経営陣ないし管理者は、プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーとして適任者を任命するなどして工程の策定・管理や問題点の洗い出し・軌道修正などにリーダーシップを発揮させることが必要になります。
背景として、SFAやCRM導入は複数部署が兼ね合いコミュニケーションが発生するプロジェクトです。
実際に管理職が現場任せにして「部署間のバトル」で頓挫するプロジェクトを筆者はたくさん見ています。
よって会社サイドは、プロジェクトマネージャーへは組織が一定の発言権や役職を与えましょう。「従業員(非管理職)任せで運用させる」のでは成功する確率が少ないのがSFAの特徴なのです。
【導入の際に】SFAを有効に活用のする為の4つのポイントとスキル
どのようにSFAの失敗を避けられるのか、失敗の原因となることを打開できるのかについては、次のようなポイントを押さえて導入~運用の定着を行っていくべきと考えられます。
ツール選定時:営業メンバー自身にメリットのあるツールを吟味する
営業メンバー自身にメリットがあるツールでないと、入力や入力の監督・運用上のルール作りやトレーニングに関係者一同消極的になってしまうでしょう。特に営業マネージャーがそのように感じてしまうようなツールを選ぶことには問題があります。
そこで、営業の現場で使いやすく、必要な機能が揃っているものを選定しましょう。
- 出先や移動中でも作業できる
- 取引先情報に簡単にアクセスできる
- 売上実績と目標値のグラフを簡単に確認できる
といった機能は、大抵の営業現場でほしい機能のはずです。
また、より自動化を促進したい・効率化したいという課題に対しては、どれくらい次のような機能や特徴を活用できるか検討が必要です。
例
- 類似商談レコメンド機能
- マップ上での案件管理機能
- アプローチ漏れアラート機能
- 入力負荷の軽減機能
- 案件管理が簡単
- カスタマイズのしやすさ
- クラウドアプリとの連携
使いやすさでは他のソフトウェアとの連携、見やすさではアラートや案件管理機能には注目が集まるところでしょう。使い方によって自社の案件管理がどのように変わるか、例えば導入前と導入後のシナリオを描いて比較するなど、導入の効果を先にイメージ化するなどの工夫があるとよいでしょう。
SFAはだれが使うのか、どういうメリットがあるのか、それは管理側の思惑だけのことで、現場には入力の負担だけが残らないか、機種の選定の方法も含めてじっくり、そして具体的に考えることがポイントです。
運用前:社内での運用ルールの構築、その後の運用の観測
運用前に必要なのは、第一に、先にもあげた「7W3H」に応じた行動計画の策定です。
しっかりと社内をディレクションし、いつ、誰が、どこで、誰と、どのような情報を入力するかなど管理側が策定してあげる必要があります。
策定の際、ITリテラシーの高さには依存しない、関係者全員が参加してユーザーとしてのメリットを享受できるような体制を構築することは大事なことです。
さらに、現場営業部門だけが関係部署ではないので、ITや経理など、他の部署との連携が必要なところをどのように進めるか、全社的な連携の見通しを作ることなども必要となります。
運用後:運用フォローと、定着の観測
次に、運用フォローと、定着の観測を実施することが必要です。
営業担当は、必ず入力することは最初億劫に感じます。しかし、不正確な入力に基づく自動化・データ分析は使えないものです。
管理側は入力がしにくい・億劫であるとの課題が何からくることなのか、ボトルネックを常に把握しなければなりません。
●運用フォローとPDCA
例えば、入力が不要な項目は消す・外注できるところは外注する・UI等のカスタマイズがあったほうが入力しやすい場合はカスタマイズを検討する・他のツール(例えば名刺データ取込ツール)を利用するなど効率性の改善に注力する必要があります。
●定着と成果の定量的な観測
数値での定量的な観測も怠らないようにしましょう。
カスタマーサクセスを担当する営業部署、特にインサイドセールスでは、SFAの自動化の効果が職務または作業時間の差となって顕著に現れ、お客様からのレスポンスと入力内容がダイレクトに結びつくので検証も行いやすいといえます。
その結果、期待されるSFA導入の効果も出やすくなるのです。
導入の目的、必要な項目、導入後の体制、操作性を考えたうえで導入を決めよう
SFAの導入の失敗を避けるには、SFA選定時・運用準備・運用時それぞれのタイミングに応じたポイントがあります。
全体を通し:フォローアップがしっかりしている企業を選ぶ
導入したらどのようにSFAのメリットを活用できるか、運用を根付かせるまでのフォローが必要です。
この点、社内だけであると導入や運用が根付かない企業も多くあります。複数部署間の壁や管理職のマネジメント能力などに依存してしまうことが主な原因です。
SFAのベンダーにこのようなフォローアップ体制があるところを選定すると、社外のコンサルティングも受けやすくなり、その結果、社内だけで問題を抱えず、かつ、客観的な助言も受けることができます。
ちなみに、フォローアップ体制が充実していて、SFA導入の目的もはっきりしている場合はSFA導入から運用・定着まで理想的に実行しやすいと考えられます。
そこで、もし必要とあればベンダーサポートのほか、コンサルティング導入も加味することが望ましいと考えられます。
CRM導入のためのポイントガイド
SFAやCRM導入を考えている方々に対して、弊社では無料でお役立ちコンテンツを提供しています。
もし導入を考えている場合は以下をご参考にされてください。CRM導入にて体制構築で失敗しないポイントを説明しています。
導入の目的、課題、体制、操作性を考えたうえで導入を決めよう
結論、SFAやCRM導入は高度なプロジェクトマネジメントのスキルが必要です。
多部署が兼ね合い、ステークホルダーが複数にてコミュニケーションは多く、洗い出す要素はも多く、着目ポイントも複数に渡る為です。
よってリーダーとなる方は以下の3つのポイントを踏まえた導入・運用・定着を行うことが必要です。
- SFA導入の目的の確認・目的達成に必要な項目と機能を検討
- 7W3Hフレームワークでの運用準備 作業の洗い出しおよび落とし込み
- 運用の定着までのフォロー体制構築とフォローアップの実行
常に導入は何のために行うのか、忘れないようにしましょう。
最後に、操作性はSFAサービスごとにベンダーに確認してみるのもよいですし、また無料デモを依頼することもできるので、できるだけ具体的に実物に触れながら選定を検討しましょう。
その中で弊社もご検討いただけたら嬉しいです。