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eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ 人材育成とは?新人や中堅別の正攻法を7000社の実績から紹介
人材育成とは? ~現場に配属された新人を中堅に育てるために~
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人材育成とは?新人や中堅別の正攻法を7000社の実績から紹介

先行き不透明な時代だからこそ重視したい人材育成。しかし、先行き不透明だからこそ、「どう人材育成の方針を立てれば良いのか?」「そもそも今求められる人材育成とはなにか?」といった疑問をもっていることでしょう。

じつは人材育成で求められることは今も昔も変わらず、進歩した技術を使えば将来に備えた人材育成も目指せます。

そこで今回、7000社以上の企業のさまざまな相談にのってきた弊社が、新人や中堅といった階層別に今の人材育成の正攻法を解説していきます。

今求められる人材育成の目的や意味とは?

具体的なノウハウなどを解説する前に、今求められる人材育成の目的や意味をあらためて簡単に解説していきます。というのも、現状の人材育成の問題点とやるべきことの優先順位が明確になるからです。

人材育成にも流行りや廃りがあり、成功企業が絶賛している方法だからといって自社でも成果をだすとは限りません。業界が違えば常識がちがい、おなじ業界でも企業ごとに強みや特色がちがうからです。

というわけで、今求められる人材育成の意味と目的をあらためて簡単に解説していきます。具体的に解説するのは、以下の3点です。

  • 経営目標を達成するための手段
  • 生産性の向上
  • 先行き不透明な時代への対応

それぞれ解説していきます。

経営目標を達成するための手段

どの企業においても人材育成の究極的な目的は、経営目標を達成の原動力となる人材を育てることだといえます。しかし、経営目標や中長期的な方針は企業によてさまざまです。したがって、本来人材育成とは基本をおさえつつも自社の経営戦略と連動させて独自の方針をとらなければいけません。

たとえば、長年業界トップを目指している企業なら、マーケティングやデザイン思考に長けた人材の獲得と育成が効果的です。営業力が弱点な企業であれば、自社のトップセールスのノウハウを分析して若手や中堅以上の社員の育成に活用するといった方法をとらなければいけません。

つまり、人材育成のノウハウを収集したりトレンドを追いかけたりするだけでなく、自社の現場から問題点を聞いたり規範となるスキルマップを作成したりするのが重要です。具体的な人材育成の改善方法は後述する「今の人材育成改善のためにすべきこと3つ」を参考にしてください。

生産性の向上

今特に重視されている人材育成のポイントとして、生産性の向上があげられます。日本は生産年齢人口が減少し続けており、2030年にはおよそ1,000万人の働き手付属が発生するといわれているからです。

企業としてはDXや働き方改革への対応が必要で、従業員は各種DXや働き方に対応できるITの知識が必要
になります。なおDXへの対応の重要性について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

先行き不透明な時代への対応

先行き不透明な時代に対応できる人材も重要といわれています。いわゆるVUCAが叫ばれているとおり、現在は先行きが不透明で変化の激しい時代です。インターネットの登場前後のようなビジネスの変化をもたらす第4次産業革命もまもなく到来するといわれています。

したがって、ただルーティンをこなせる人材だけでは、企業の存続自体が懸念されます。自社を取りまく現状や顧客の動向を常に確認しつつ、迅速に対応していける人材を育成できる仕組みをつくるのが重要です。

時代の流れに対応できる育成の仕組みを作るのをすべて人力でやるのは労力がかかりますが、今は進歩した技術が使えます。

具体的には、MAやCRM、SFAなどの機能が一体となったツールが代表的です。特にSFAはどの業界でもトップセールスを量産を目指せるので、詳細を理解して導入を検討すべきでしょう。SFAについて詳しくは以下の記事が参考になります。

人材育成の種類は5つ!基本をおさえよう

人材育成は、人材の階層ごとにアプローチを変えておこなうのが基本です。具体的には以下5つで分けるのが一般的でしょう。

  • 新人育成トレーニング(研修)
  • 若手向けトレーニング研修
  • 中堅向けトレーニング研修
  • ミドルマネジメント研修
  • トップマネジメント研修

それぞれの階層ごとに最低限やっておくべき人材育成があるので、紹介していきます。

新人育成トレーニング(研修)

基礎的なビジネススキルや組織人として何を身に着けるべきかの道しるべ的研修が、新人育成トレーニング(研修)です。確実におこなっておくべき人材育成として、以下があげられます。

  • ビジネスマナー検収
  • 自社事業製品や市場についての知識習得
  • ビジネスコミュニケーションの習得
  • 基礎的なコンプライアンス
  • OJT

基本的には業界独自のマナーや慣習、ビジネスパーソンとしての基本を習得できれば良いので、難易度は高くないはずです。

若手向けトレーニング研修

一人で仕事をこなせるようになった若手人材のキャリアを形成するための準備も目的にするのが、若手向けトレーニング研修です。確実に実施しておきたいのは、以下4つです。

  • 財務知識トレーニング
  • ジョブローテーション
  • リーダーシップトレーニング
  • より詳細なコミュニケーションスキル研修

主に「実務でより成果を出すための実践的なトレーニング」と「リーダーとして期待される人材を見定めるための人事研修」がおこなわれます。

中堅向けトレーニング研修

中間管理職として指揮牽引役を期待する人を「管理職候補」としてトレーニングするのが、中堅向けトレーニング研修で、実施すべきなのは以下3つです 。

  • 中間管理職向けリーダーシップトレーニング
  • 財務知識を活用した部門戦略策定トレーニング
  • 部下を自分の後継者として育てるためのコーチングスキルトレーニング

多くの場合、適性によって人材育成をする人としない人に選別する時期にあたります。

ミドルマネジメント研修

中間管理職(ミドルマネジメント)がより効果的に部下を監督し成長させるためのトレーニングが、ミドルマネジメント研修です。中堅向けのリーダーシップトレーニングと重なる部分もありますが、確実におこなうべきものとして以下3つがあげられます。

  • 自分の中間管理職ぶりを振り返るためのリーダーシップトレーニング
  • 後継者を育成するためのコーチングトレーニング
  • コンプライアンス関連で主に自社内でのリスクマネジメントトレーニング(セクハラ、パワハラ、モラハラ、LGBT問題への意識等)

基本的に「この先のキャリアを順調に進んでほしい」と期待する人材に実施すべき内容となります。

トップマネジメント研修

組織内の幹部に対しておこなわれるのが、トップマネジメント研修です。不祥事対応やハラスメント対応、対外的な振る舞いについてのリスクマネジメントなども含めておこなわれます。具体的にすべきこととしては以下3つです。

  • トップマネジメントとしてのコーチングや意思決定に関するトップマネジメント向けの研修
  • 対外的なリスクマネジメント研修
  • 役員クラスとのOJTや会議参加による実務習得

「会社のこれからをトップマネジメントとしてけん引してくれる人材」に丁寧におこなうのがポイントです。キャリアも十分なはずなので、自身の発想とは違うながらも必要不可欠な視点を与えられるような内容が必要になります。

今の人材育成改善のためにすべきこと3つ

今の人材育成を確実かつ効率的に改善していくために、やるべきことは以下の3つです。

  • 今の人材育成を「定量的」にふり返る
  • 今の人材育成を「定性的」にふり返る
  • 経営戦略と人材育成が一致しているか確認する

それぞれの詳細を解説していきます。

今の人材育成を「定量的」にふり返る

人材育成の成果を定量的、つまり数値としてふり返るのは効果的な改善手法です。先に解説したとおり、人材育成は経営戦略を実現できる人材を用意して経営目標を達成するのが目的なので、なんらかの切り口で数値化できるはずです。

たとえば売上のアップのために営業力がほしいなら、トップセールスのノウハウをSFAで分析して人材育成。営業パーソンをごとの人材育成の成果(=売上の上昇率)もSFAで分析すれば定量的に人材育成をふり返れます。

成果に大きなばらつきがある場合は、ボトルネックや採用すべき人材像などが明確になってきているはずです。具体的な成功事例としては、以下の記事が参考になります。

株式会社ベネフィット・ワン 様 「若手育成、部署間連携に成功し、受注件数は3.6倍 」

今の人材育成を「定性的」にふり返る

アンケートやインタビューなどで、現場や経営層から人材育成の満足度や改善点を確認するのも有効な方法です。確認先としては以下の3階層に対しておこなうのが一般的でしょう。

  • 新人や若手社員
  • 現場中堅・中間管理職社員
  • 経営者・取締役

しっかりとしたヒアリングをおこなうと、予想外の不評や不満が出てくるかもしれません。しかし、顧客からのクレームと同じで単なる不満ではなく、自分がより吸収したいこと、部下に学んでほしいことなど、「会社のため・自分や自分のチームがより実績を上げるため」の率直な意見です。

将来的に自社の躍進につながる情報も多数あるはずなので、ぜひ実行してみてください。

経営戦略と人材育成が一致しているか確認する

経営戦略と人材育成を一致させるべく、全社的な情報共有や見える化が必要です。

経営者層は人材が育つことに興味はあっても、実際の育成現場には関与しない場合が多々あります。業務領域が広すぎてカバーしきれないという場合もあるでしょうが、先述のとおり経営戦略と人材育成の方針は連動させなければ思い通りのビジネスはできません。

したがって、経営層が打ち立てた戦略を現場まで落としこんだり、適切な人材育成がおこなわれているかをチェックする仕組みが必要です。具体的な対策としては、見える化や情報共有の仕組み化があげられます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

各育成手法を検証する

会社が用意する育成手法とそのメリット・デメリット

主に以下の3つが挙げられます。

  • 外部講師による研修
  • 社内講師による大・中グループ研修
  • 自己研鑽活動についての支援制度など

メリット:学問として体系立てられたセオリーを学べるので初期育成期に向いている
デメリット:参加型トレーニングでない場合、知識としての定着が薄い傾向

座学として、「初期知識の習得」という目的で使われることが多いものです。
概要を学び、実践に活かす準備とするのは向いていますが習得度合のベンチマーキングや確認を継続しておこなうのが難しいため、知識の定着には座学や集団での育成に加えて、「現場でのトレーニング」が必要であると言われています。

現場で用意する教育とメリット・デメリット

On Job Training(=OJT)

メリット:最も実践的で、日々継続して育成できるので身に付きやすい
デメリット:途中でおろそかになったり、なあなあになってしまう可能性

職場で実務をさせながらおこなう教育です。

実践的であることが最大の利点ですが、言い方を変えれば「現場任せ」のトレーニング。
現場の意識を高く保たなければいけない、という課題の存在するトレーニングです。

その課題をどうすればいいか、次の章で考察してみましょう。

OJT現場で人材育成が継続される仕組みを考える

被教育者のモティベーションを上げる

自身のキャリアに直結していることを認識してもらう

新人や若手に対しては効果の見込めるOJT研修ですが、効果が上がらないこともあります。
前章で書いたように、「現場同士で指導役と生徒がおこなう」トレーニングであるため、

  • 生徒側のモティベーション
  • 指導役側のモティベーション

の両方が揃って、初めて効果的な研修となります。
そのために、まずは生徒側の意識を上げる必要があります。

以下のメリットを伝えましょう。

  1. 自身のキャリアに直結するトレーニングである
  2. OJTの指導役に自分の成長を認識される
  3. 直属の上司に自身の成長を認識される→人事考課者の評価UP材料となる
  4. トレーニングの成功事例として認識される→OJTの指導役に抜擢される可能性UP

また、現場の先輩と仕事を通して密に関わることで、自分自身を先輩や上司に深く知ってもらえるチャンスでもあります。

被教育者が、自分の目標やビジョンが定まらないうちは、このOJT研修をチャンスととらえられないかもしれません。
本人にその意識が早く芽生える事がベストですが、OJTの指導役から日々その重要性を伝えてあげてましょう。

人事考課上でプラス加点になるインセンティブをもうける

これは組織上できる企業と出来ない企業があります。
また、大企業であれば、この決定をするには多くの部署の承認が必要になるかもしれません。

そのため、前章で述べたように、マネジメント・役員層が人材育成に対して重要度を認識する必要があります。
企業の中長期的な強化に欠かせないこの活動を効率よく成功させるため、上層部の巻き込みをしておくことも重要ではないでしょうか。

指導者側のモティベーションを上げる

指導者としての人事考課を結果によって加点する

前述したように被教育者のモティベーションだけを上げても、指導者側に熱意が無ければ成功に近づくことは難しいでしょう。

指導者に任命される以上、会社からの評価はもともと高い人材であるかと思いますが、よりいっそうの動機づけをするために、「このプラスアルファの活動に対してのねぎらい」を用意してはどうでしょうか?
報酬に直接つながらなくても、上層部からのねぎらいの言葉や、認知している事を伝えてあげる事で指導者は報われます。

ぜひ上長や関連部門の上役である皆さんが、その貢献度をねぎらってあげてください。

指導者側の360度評価をおこない、緊張感を持って指導する

前述した上役からのねぎらいで成果が上がるのは、指導者自身がその職務に関して誇りと喜びを感じている、もしくは自身にとってメリットがある、と感じているから成り立つことです。

残念ながら、任命された指導者がそう思っていない場合は、指導自体が少なかったり、的確ではないという問題の起こる可能性があります。
その場合は、すべての指導者の質を均質にするために指導者の評価をおこなうなどで、「動機づけ」ではなく強制力によりOJTの効果を保つことも、手段の1つとして想定しておくべきでしょう。

指導者の評価には、直属の上司からだけでなく同僚、部下、その他業務で関わった人物から多面的かつ客観的な評価を集める「360度評価」が有効です。

最適な人材育成で最高の経営状態へ!

いかがでしたでしょうか?
ここまで人材育成に関して以下の4点を軸にまとめてきました。

  1. 人材育成の概要と種類
  2. 育成時に企業側が留意すべき点
  3. 育成手法の種類とそのメリット・デメリット
  4. OJTが現場で浸透し成果を上げるための仕組み

なかでも、皆さんにお伝えしたい点はやはり「仕組みづくり」です。

それぞれの育成手法は特徴が異なり、メリット・デメリットがあります。
その組み合わせや運用をどうすべきかの最適解は、各企業によって異なります。

  • これまでの手法にあらたな試みを加え、自社の人材育成手法を改善し続ける
  • 人材育成は人事部門だけの仕事ではなく、企業活動に大きな影響を与える原動力であることを全社員で認識する

この2点を考慮し、今後の人材育成を進めていっていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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