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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を成功させるポイントや課題を解説
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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を成功させるポイントや課題を解説

競争力の強化や新しいビジネスモデルの創出のため、DXに取り組む企業は増えているものの、いまだ多くはありません。DX推進を担う人材や資金不足、DXを活かした経営戦略を明確にできないといった課題が、日本企業のDX推進を阻んでいます。

本記事では、DX推進の必要性や課題、推進を成功させる流れとコツを解説します。

企業のDX推進がなぜ必要なのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を成功させるポイントや課題を解説_企業のDX推進がなぜ必要なのか

日本ではDX推進が遅れているとされていますが、DXに取り組むことがなぜ必要なのか、その重要性を以下で解説します。

「2025年の崖」への対応

経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」の中で、日本企業のデジタル活用の遅れを「2025年の崖」と表現して警鐘を鳴らしました。

DXの推進ができず老朽化したシステムを使い続けると、IT予算の大半をそのレガシーシステム維持に費やすことになります。結果、新しいビジネスへの投資ができず、2025年以降は現状の約3倍となる、年間で最大12兆年もの損失が出ると同レポートでは算出されています。

また、デジタル化の流れに対応できないと、競争力をさらに失う可能性があります。企業がDXに取り組むことは、ビジネス環境の激しい変化に対応して生き残るためにも不可欠の対策といえます。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

DX推進の遅れ

独立行政法人情報処理推進機構が発表した「DX推進指標 自己診断結果分析レポート(2022年版)」によると、DX推進を一定以上行っているとされる「レベル3」以上の企業は、全体の7.1%程度となっています。

また、2022年の全企業の平均は目標レベル3.16に対して1.19に留まり、昨年よりも0.76低い過去最低の数値となりました。日本企業におけるDX推進は依然、足踏み状態といえ、特に中小企業を中心に早急な取組が求められています。

【DX推進の成熟度レベル】

成熟度レベル 特性
レベル0 未着手 経営者は無関心か、関心があっても具体的な取組にいたっていない
レベル1 一部での散発的実施 全社戦略が明確でない中、部門単位での試行・実施にとどまっている
レベル2 一部での戦略的実施 全社戦略にもとづく一部の部門での推進
レベル3 全社戦略にもとづく部門横断的推進 仕組みが明確化され部門横断的に実践されてい る
レベル4 全社戦略にもとづく持続的実施 定量的な指標などによる持続的な実施
レベル5 グローバル市場におけるデジタル企業 デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル

参考:独立行政法人 情報処理推進機構|DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2022年版)

参考:経済産業省「DX推進指標」とそのガイダンス

競争力を強化でき市場に柔軟に対応できる

DXを推進することで新規事業やビジネスモデルの開発につながり、競争力を強化できるようになります。ほかにもメリットが多いため、早く取り組むことが望まれます。

参考:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や定義、メリット・デメリットをわかりやすく解説

参考:DXはなぜ必要?アフターコロナ・WithコロナとDXへの取り組み方

DX推進を阻む課題

日本のDXが進まない理由は、人材や資金不足、DXを活かした経営戦略を立てられないなどが挙げられます。詳しく解説しましょう。

DX推進を担う人材の不足

日本では、絶対数としての「DXやITに見識のある人材」が不足しています。そのため優秀な人材確保が難しく、売り手市場であることから給与も高くなる傾向にあります。

また、人材を確保できても、老朽化したシステムの運用や保守に充てざるを得ず、高い能力を使いこなせていないのが現状です。

社員を育成するという方法はあるものの、何を学ばせるかが明確にできないため育成も進んでいません。

DXを活かした経営戦略を明確にできない

日本では特に経営陣のDXリテラシーが乏しいことが多く、企業全体としてDXで何を得るのか、どのように実現させるのかといった経営戦略を明確にできないことも課題のひとつです。

明確な経営戦略がなければ具体的な方向性を示すことができず、本来行いたい理想のDX実現とかけ離れてしまいます。また、経営層だけがビジョンを描いていても、社内に共有できなければ社員の取組み意識が希薄になり、DX本来の目的をはたすことが難しくなるでしょう。

DX推進に積極投資ができない

経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」によると、日本企業ではIT関連費用の9割が現行システムの維持管理に使われています。

既存のレガシーシステムの維持で予算が膨らみ、新しいシステム導入や開発に予算を振り分けることができていません。これもDXの推進を阻む原因となっています。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

DXを推進する7つのステップ

ここからは、DXを具体的に進める手順を7段階に分けて解説します。

参考:営業DXとは?デジタル化との違いや導入方法まで解説【事例も紹介】

STEP1:自社の現状・課題を把握する

DXに取り組むには、最初に自社の現状や課題を把握する必要があります。

自社のビジネスや社内状況を正確に理解し、可視化することが重要です。既存のシステムや情報資産、人材の能力・適性などを全面的に把握するようにしましょう。

また、競合他社との比較も行いながら自社の強みと弱みを洗い出し、評価できる点と解決すべき課題を明確にしておきましょう。

STEP2:DXの目的を明確にする

現状や課題が明確になったら、DXを活用してどのように解決するのか、どんな新しいビジネスにチャレンジするのか、なぜDXするのかといった目的を設定します。

明確な目的がないと効果計測や改善も難しくなり、成果が見えずに現場だけが混乱する可能性もあります。

STEP3:DX推進のビジョンを共有する

DXの目的が固まったら、経営層が明確にビジョンを描いて従業員に向けて発信し、しっかりと浸透させることが重要です。DXは組織全体の取り組みであるため、組織のリーダーやメンバーがDXのビジョンに賛同して、積極的に参画できるようにしましょう。

また、DXに関する教育や研修を実施し、デジタルスキルやマインドセットを向上させながら人材を育成していくことも重要です。

STEP4:DX推進人材の確保と体制を構築する

続いて、DX人材の確保と体制を構築する段階に進みます。

これには、適切な人材アサインとそれを支える組織体制の構築が不可欠です。既存組織で対応が可能なのか、それとも新たに専門部署・チームを立ち上げるのかなどを検討して、自社の目的や環境に合った体制づくりを目指しましょう。

DX実施後も企業が成長し続けるには、自社で長く活躍してくれるDX人材の育成も視野に入れておきましょう。どうしても社内で確保できない場合は、CRM/SFAツールの活用による代用や外部サービスの利用も検討しましょう。

<DX推進に必要な主な人材>

  • プロジェクトマネージャー
  • ビジネスデザイナー
  • テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
  • データサイエンティスト
  • 先端技術エンジニア
  • UI/UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマ

参考:業務効率化の定番ツール15選! 目的別に特徴や料金プランも含めて紹介

STEP5:DX推進予算を確保する

人材確保と同時に予算を確保することも重要です。

まずは現行のITコストを洗い出し、必要な機能と不要な機能を振り分けます。既存システムのスリム化やコストカットができれば、DX推進のための既存システムの刷新や新システム導入を実現しやすくなります。

資金的に余裕がない場合は、「IT導入補助金」などの補助金制度の活用も検討しましょう。

STEP6:DX推進計画を立案し実行する

ここまでの準備が整ったら、社内の課題解決に向けた具体的なDX推進計画を立案していきます。計画は順に実行に移していき、当初の目的が達成されているかどうかを確認しながら、検証・改善のプロセスを繰り返していきましょう。

STEP7:PDCAを継続的に回す

DXは一度で完了するものではなく、継続的な改善が必要です。データや指標の分析により効果を測定して、PDCAを回し続けていきましょう。また、成功事例や失敗事例を社内外で共有し、学びや知見も蓄積するのも有効です。

自社の状況の見直しだけではなく、市場や顧客のニーズに応じてDXのビジョンや戦略の更新を実施することも大切です。

DX推進を成功させるポイント

最後にDXを効果的に推進させるための、注意点やコツを紹介します。

経営トップによる推進

DXを成功させるには、経営トップみずからがその推進に強い意思を持ち、遂行を促すことが不可欠です。

トップの強い思いがあってこそ、従業員が一丸となって取り組むことができます。また、経営層と現場が連携して進めることも重要で、情報共有やモチベーションが上がる対策を積極的に行いましょう。

経営戦略やビジョンと連動させる

DX推進を行うには、経営戦略や経営ビジョンと連動させることも重要です。

経営トップが積極的に推進しても、経営戦略と紐づかない場合は齟齬や混乱が生じてしまい、DX推進のスピードが落ちかねません。DX推進の計画を立案するには、自社の経営戦略や経営ビジョンを意識した内容にしましょう。

DXを実現するツール選択やシステム構築が必要

DXを成功させるには、DXを実現するツールや基盤となるITシステムの構築が重要です。個別のツールやシステムが連動し、共通したひとつのプラットフォーム上で稼働できる環境を構築することで、相互の連携が取れた効率的な稼働が可能になります。

DX実現に役立つツールやシステムとしては、CRM/SFAやWeb会議ツール、ビジネスチャット、RPA、ノーコードツールなどが挙げられます。それぞれ特徴や機能が異なるため、自社の目的や環境に合ったシステムを選択しましょう。

参考:DXは低コストでも実現できる!DXに役立つ14の無料ツールを紹介

参考:営業部門のDXにはMA、SFA、BIの各ツールが有効!業績アップにつながる活用法を解説

DX人材の育成を行う

DXを継続的に推進するためにも、社内でDX人材を育成することも必要です。教育トレーニングのほか社員同士で知識や経験を共有したり、実践的なプロジェクトやチャレンジに参加させたりすることが有効です。

自社だけではカバーできない専門知識やリソースが必要な場合は、外部のパートナーと協力することも検討しましょう。必要な技術やサービス、ノウハウやアイデアなどを取り入れることで、DXのスピードや品質を向上できるでしょう。

DXの課題を解決するシステムの活用で、DX推進を加速化しよう!

日本の企業では「2025年の崖」問題に代表されるように、老朽化したレガシーシステムを未だに運用していることや、DX人材の不足といった課題を抱えているためDX推進が滞っています。

こうした課題はCRM/SFAツールやシステムや外部の専門家の活用で解決できるため、積極的に導入するとよいでしょう。

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