
オンプレミスの問題点とは? クラウドとの比較や導入手順も紹介
ビジネスツールをカテゴライズするときによく聞く「オンプレミス」という言葉。
自社のツールがオンプレミスであるという方も多いと思われます。
しかし、なんとなくの意味は掴んでいても、その問題点や、どういった職種、会社に適しているかなどを説明できる方は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、オンプレミスの問題点を中心に、対照となるクラウドとの比較やその導入手順などを詳しく解説します。
オンプレミスとは

オンプレミスは英語で表記すると「on-premises」です。
Premisesは「構内」や「店内」という意味があり、オンプレミスは自社内でサーバーやサービスを運用することを意味します。
現在は、サーバーを使ったシステムをクラウドサービスへ移行する流れが一般的ですが、自社でサーバールームを持ち、ネットワークやサーバーの構築、運用までを行っている会社は「自社はオンプレミスだ」と表現できます。
オンプレミスは基本的に以下のような状態で、サーバーやサービスが運用されます。
- オフィスの一角においているファイルサーバー
- オフィス内の一部屋にサーバールームを作っている
- すべてが自社内にあるので、ネットワークやサーバーなどの物理的なものからシステムまで、自分たちの自由に構築・運用ができます。
オンプレミスの対義語「オフプレミス」
社内の資源を使うオンプレミスに対して、社外の資源でサービス運用することをオフプレミスといいます。
例えば、会社のメールにGmailを使っているなら、Googleが提供するメールサーバーやメールシステムを利用しているので「メールはオフプレミス」です。
インターネットを通して社外のソフトウェア資源を利用するものを、「オフプレミスでの運用」と表現するのです。
オンプレミスのメリット

ここではまず、オンプレミスのメリットを見ていきましょう。
カスタマイズ性が高い
オンプレミスのメリットは、何といってもカスタマイズ性が高いことです。
サーバーやネットワークを自社内に構築するならば、どの部屋をサーバールームにして、どのような回線を引くかなど、自分たちで決定できますよね。
購入するサーバーも自由に選択できますし、どのようなシステムにするかも、すべての決定権が自社にあります。
重要データを自社内管理できる
もうひとつのメリットとしては、サーバーに保有する情報管理もすべて自分たちで行える点が挙げられます。
社内ですべての情報を管理できますので、重要なデータを他社管理に任せるという不安やリスクを解消できるのです。
オンプレミスの問題点

それではここから、オンプレミスの問題点を洗い出していきましょう。
オンプレミスを選択した場合に負担となるのが「コスト」と「管理」です。
コストの問題
オンプレミスでサービスを用意すると、費用や工数などの初期コストが大きくなります。
例えば、ファイルサーバーなどの比較的容易なシステム導入でも、サーバー本体の購入コストや初期設定から運用テスト、本格導入後の運用コストも想定しておく必要があります。
また、サーバーを設置する場所(空間)の確保から、ネットワーク構築といった工数も考慮しなければなりません。
自社サーバーでメディアを発信するならば、比較的大型のサーバーも必要ですし、それに見合った電源や空調設備も取りそろえる必要があるのです。
オンプレミスで実現するサービス規模に比例して、そのコストや工数は大きくなります。
管理の問題
オンプレミスでのサービスは、運用やサポートを含めた管理のすべてを自社で行います。
例えば、ファイルサーバーにつながらなくなれば、サポートチームで障害復旧をしなければなりません。
サポートチームが他の業務を兼任する人員であれば、トラブルが起こるたびに他の業務が遅れてしまう原因にもなります。
すべての運用と障害に自分たちで対応するために、サービスを止めないための管理体制を作る必要性も感じられるでしょう。
クラウドとの比較
ここで、オンプレミスの問題点や有利な点を、クラウドサービスと比較してみましょう。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
初期コスト | ×サービスに関わるサーバーやネットワーク構築などをすべて自社で用意する。 | 〇インフラはすべて整っている。初期費用無料のサービスも多い。 |
運用コスト | △障害など問題がなければランニングコストはかからない。(電気代等は除く)※管理チームなどを作った場合には人件費がかかる。 | 〇月額利用料金などのランニングコストが発生するが、インフラ管理などの心配は不要。 |
トラブル対応 | ×ある程度の専門知識が必要。トラブル解決のために工数がかかる。 | 〇サポートなどへの問い合わせで、ある程度のトラブル対応を任せられる。 |
カスタマイズ性 | 〇自社に合ったサーバーやシステム、設置場所も自由自在。 | △ある程度決まったリソース範囲内で運用しなければならない。 |
セキュリティ | 〇自社にすべてのデータを持つため、情報漏洩などの危険はほぼない。(人的ミスは防げない) | 〇重要データの管理もクラウドサービス側に依存するが、サービス提供側もユーザーから信頼を得るだけのセキュリティを構築している。 不安になるという意味では「△」 |
一長一短がありますが、例えばテレワークなどを取り入れる場合には、クラウドサービスが便利です。
テレワークでは、社外からデータへアクセスする機会が増えます。
オンプレミスのサービスに外部からアクセスさせるよりは、クラウドサービスを利用した方がセキュリティ的にも管理体制的にも安心できるでしょう。
オンプレミスとクラウドの具体的な違いについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
クラウドの導入・移行の手順例

クラウドを導入するにあたり、手順をしっかりとイメージしておくことで作業がスムーズになります。
ここでは、クラウドの導入や移行の手順例で、具体的イメージを固めていきましょう。
1.利用方法を明確にする
クラウドを利用するためには、まず自社の利用方法を明確にする必要があります。
クラウドのファイルサーバーを利用したいだけなのに、ECサイトまで構築できるサーバーを契約すれば、それはオーバースペックです。
「クラウドサービスに何を期待するのか」を明確にし、適したクラウドサービスの選定基準を作りましょう。
2.利用計画(すでにオンプレミスなら移行計画)を立てる
クラウドサービスを導入した際に、どのように利用するかを計画しましょう。
例えばファイルサーバーならば、どのようなデータをクラウドへアップするのか、社外秘データの扱い方も含めて決めておきましょう。
すでにオンプレミスで運用しているサーバーがある場合は、どのタイミングでどのようにクラウドへ移行するのがスムーズであるかを、計画書として明確にしておくことをおすすめします。
3.予算の概算
利用方法と利用計画が決定したら、利用するクラウドサービスもある程度しぼられてきます。
それぞれの利用料金を比較し、ランニングコストも含めた費用を算出しましょう。
4.利用するクラウドサービスの決定
予算まで決まったら、利用するクラウドサービスを決定します。
できれば「初月無料」などのキャンペーンを行っているクラウドサービスを選定したいところです。
無料期間があれば、少人数で運用テストを行えます。
5.既存データのバックアップ(※オンプレミスからの移行の場合)
すでにオンプレミスで運用しているサーバーがある場合は、確実にデータのバックアップを取っておきましょう。
外付けのハードディスクなどにデータを取っておくことで、クラウドサービス移行時に万が一のトラブルがあっても対処できます。
6.少人数での導入テスト
無料期間のあるクラウドサービスであれば、少人数での導入テストを行いましょう。
一気に全社導入をすると、高確率で混乱を招きます。
少人数で運用しながら、導入後にサポートすべき事項やスムーズな運用手順を固めていきましょう。
7.クラウドの導入(オンプレミスからのクラウド移行)
十分なテスト運用ができたら、全社でのクラウド導入を行いましょう。
最初は利用メンバーに対するサポートが多く発生しますが、苦労して導入したクラウドが社内に定着するか否かは、ここでのサポートにかかっています。
オンプレミスの問題点も考慮してクラウドも含めた適切な導入を

オンプレミスは、やはりインフラ環境や管理面でコストがかかるという問題があります。
クラウドが万能というわけではありませんが、オンプレミスの問題点をカバーできるというのがクラウドの良い点です。
e-salesではオンプレミスとクラウドを自由に使うことが可能な、ハイブリッドなサービスもあります。
オンプレミスかクラウドかという極端な選択ではなく、自社の利用目的に合った適切な導入を検討しましょう。