PMOの役割｜PMとの違いや企業DXを成功させるコツを解説
社内のDX推進のような大掛かりなプロジェクトの成功率を高めたい企業にとって、PMO（プロジェクトマネジメントオフィス）は重要な役割を持っています。
本記事では企業へのPMO導入を検討する方に向けて、PMとの違いやメリット、企業DXへの活用方法を解説します。
PMOとは
PMO（プロジェクトマネジメントオフィス）の役割
PMO（プロジェクトマネジメントオフィス）とは、プロジェクトマネジメントの専門部隊のことです。プロジェクトの成功率を高め経営戦略の達成に貢献することを目的として、社内で部門やチームを設けることがあります。
PMOの主な役割は、プロジェクトマネージャー（PM）の支援を行い、プロジェクトの進行を円滑にすることですが、プロジェクトの規模や業種によってPMOの要不要は変わります。
企業全体が動くような大がかりなプロジェクトでPMOが必須となる場合もあれば、PMのみでプロジェクト管理が可能と判断されてPMOを必要としない場合もあります。
PMとの違い
PMOは、プロジェクトマネージャー（PM）とは役割が異なります。
PMはプロジェクトの責任者として、プロジェクトの計画・実行やプロジェクト全体のコントロールを行います。
一方、PMOは、PMを支援する立場として、プロジェクトの品質や進捗の管理・指示出しでのプロジェクト進行などを担当します。
以下に、「PMO」「PM」それぞれの特徴を表にまとめます。
| 項目 | PMO | PM |
| 役割 | プロジェクトマネジメントの専門部隊 | プロジェクトの責任者 |
| 立場 | 補佐・ディレクター | 責任者 |
| 業務内容 | プロジェクトチームの統制 PM業務の支援 関係者との連絡 進行・教育 など |
計画・実行 方向の意思決定 予実管理 スケジュール調整 など |
プロジェクトの進捗管理について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
参考：進捗管理とは？プロジェクトや業務を成功に導く管理のコツ７選
PMO導入が企業に与えるメリット
PMO導入が企業に与えるメリットは、大きく分けて以下の２つです。
プロジェクトの成功率向上
PMOの人材やチームをプロジェクトに導入することで、企業はプロジェクトの成功率を高めることが可能です。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
- プロジェクトの計画・実行・コントロールの質の向上
- リスクや課題の早期発見・対応
- 予算やスケジュールの遵守
PMの本来業務である意思決定に集中できる環境の整備を行うことで、プロジェクトの目標達成をより確実なものにしてくれるでしょう。
社内の業務効率化
PMOはプロジェクトの進行や必要リソースの管理など、プロジェクトを動かして成果をあげるための専門的なスキルを持った人材・部門です。
そのため、社内のさまざまなプロジェクト支援を行うことで「各部門の部長や従業員が本来すべき業務に集中できる環境づくり」ができる点は大きなメリットと言えるでしょう。
具体的な社内のプロジェクト例としては、以下のような事例が挙げられます。
- 大規模なシステム開発プロジェクト
- 海外展開プロジェクト
- 新規事業立ち上げプロジェクト
- 社内DXプロジェクト
たとえば、コストや工数が大きい企業のDXプロジェクトは「ツール導入」「IT人材育成」「運用のシステム化」など、さまざまな領域で組織全体の改革が必要となる大がかりなプロジェクトです。
企業のDXを確実に推進するためには、各領域での組織改革を分業して行うことができるPMOの導入は、効果的といえるでしょう。
参考：営業DXとは？デジタル化との違いや導入方法まで解説【事例も紹介】
優れたPMOの特徴とは
では、プロジェクト成功のためにはどういったPMOを導入すればよいのでしょうか。
本章では優れたPMOが持つ３つの特徴を紹介します。
円滑なコミュニケーション
PMOは各部署間や外部の取引先など、プロジェクトにかかわる社内外の関係者との連携を支援します。プロジェクトを進行するためには、さまざまな役割を持つ関係者と適切なコミュニケーションを行う必要があります。
たとえば、営業DXのためのツール導入プロジェクトの場合、現場の目線に立って困りごとを細かく聞き、PMとなる営業部長にはそれらの情報を意思決定しやすいように取りまとめて報告する、といったコミュニケーションの調整も、すぐれたPMOの役割です。
プロジェクトの成功のためには、関係者全体の認識を合わせて進行させることのできる円滑なコミュニケーション能力が重要です。
緻密なスケジュールの管理
プロジェクトのスケジュールを緻密に管理することも、PMOの重要な役割の一つです。
スケジュールが適切に管理できていないと、プロジェクトが遅延したり、想定した予算をオーバーしてしまう可能性があります。
PMOが緻密なスケジュール管理を行うことで、プロジェクトの進捗状況を常に把握し、問題が発生した場合も早期に対策を講じることができます。
情報の整理・分析
すぐれたPMOは、プロジェクトに関する情報を整理・分析することでPMの意思決定に貢献します。
プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクトの状況を常に把握し、適切な判断を下すことが必要です。
PMOがリサーチやプロジェクトのデータ分析などの業務を担うことで、PMはプロジェクトの課題発見や方向性の決定に使える時間が増え、プロジェクトにとって最良の判断へとつながるでしょう。
PMOを導入する方法３ステップ
企業がPMOを導入する方法は、大きく分けて以下の３ステップで行われます。
1. PMO導入の目的や範囲を明確化
まず、PMOを導入する目的や範囲を明確にする必要があります。
PMOを導入する目的は、プロジェクトの成功率を高めること、PMの負担を軽減すること、組織全体のプロジェクトマネジメント能力を向上させることなどが挙げられます。
また、PMOの範囲は、支援型PMO、管理型PMO、指揮型PMOなど、企業の組織体制やプロジェクトの規模・複雑度などによって異なります。
経営層やプロジェクト関係者との合意形成を実施し、まずはPMO導入の目的や範囲を定めましょう。
2. PMOの体制や役割を構築
次に、PMOの体制や役割を構築します。
PMOの体制構築には、社内人材の採用か外部委託の２つの方法があります。
社内から採用したPMOは企業内にPMOを設置する形態で、外部から採用したPMOは企業から依頼を受け、業務委託契約でプロジェクトを支援する形態になります。
このステップで考えられる実行内容は以下の通りです。
- 組織体制の検討
- 人員の選定
- 業務フローの構築
- 管理ツールの導入
- 教育・研修の実施
自社に適した方法でPMOを導入し、定めた範囲内での業務実行体制や役割を構築しましょう。複数人のPMOを導入する場合は、業務内容や注意事項などをマニュアル化しておくことが望ましいでしょう。
3. プロジェクトへの導入
プロジェクトの開始とともにPMOの稼働を開始し、定められた業務を実施します。
PMはプロジェクトの予実管理だけでなく、定期的にPMOの業務内容や成果を評価し、プロジェクトの成功につなげるためにもPMO運用の改善を行いましょう。
また、プロジェクトの状況や環境の変化に合わせて、PMOの体制や役割を適宜見直すことも重要です。
PMO導入でDXを成功させるコツ
ここではPMOを導入してプロジェクトを成功に導くコツを紹介します。
本記事では、特にPMOの必要性が高いと考えられる「企業のDXプロジェクト」を例に、３つの具体的なコツについて解説します。
① 経営層の理解と支援を得る
企業のDXは、企業の戦略や事業の根幹にかかわる重要なプロジェクトです。
そのため、経営層の理解と支援を得ながらのプロジェクト進行が不可欠となります。
プロジェクトの責任者であるPMは、PMOと協力して経営層への情報共有、そしてツール導入や組織改革といった大がかりな施策を、経営層に助力してもらいトップダウンで実施するようにしましょう。
② プロジェクト目標を共有する
DXプロジェクトは、従来のプロジェクトとは異なる特性や目標を持つプロジェクトです。
そのため、PMOはプロジェクトの特性や目標を明確に理解した上で、プロジェクトを支援する必要があります。
プロジェクトの特性や目標を理解することで、PMOはプロジェクトの成功に必要な支援を的確に行うことができ、その他のプロジェクト関係者も同じ目標に向けて最適な役割を果たすことにもつながります。
PMやPMOを中心にプロジェクト目標や認識の共有を適宜実施して、進むべき方向を見失わないようにしましょう。
③ 各関係者との協力体制を構築する
DXプロジェクトには、経営層や社内の各部署、外部企業といった複数の関係者が存在します。たとえば営業のDXでは、営業部だけでなくデータ分析を実施する情報システム部やマーケティング部との連携が必要になります。
そのため、DXの成功にはプロジェクト関係者との協力体制の構築が重要です。PMOが主導してプロジェクト関係者との協力体制を構築できれば、DXに必要な企業全体の改革もスムーズに実施できるでしょう。
他にも、営業DXについて詳しく解説した記事を以下にご用意していますので、ぜひご覧ください。
参考：営業DXとは？デジタル化との違いや導入方法まで解説【事例も紹介】
PMOを導入してプロジェクトの成功率を高めよう
本記事ではPMOの役割・メリットに加え、導入の方法やコツなど、「企業のプロジェクトを成功に導くためのPMO導入」という観点で情報をまとめました。
DXのような大がかりなプロジェクトになるほど、PMにかかる負担や失敗のリスクも大きなものになります。
PMOを重要なプロジェクトに導入し、プロジェクト進行の工数を分担することで成功率の高いプロジェクトマネジメントを行いましょう。
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