
働き方改革とは?課された義務やメリット、導入方法をわかりやすく解説
「結局働き方改革とは何なのか?」「具体的に何をすれば…」「義務なの?」といった悩みを抱えていないでしょうか?
一口に働き方改革といわれていますが、やるべきことやメリットは複数あります。また、働き方改革関連法案の施行により、これまでと同じ働き方を続けていると罰則をうける可能性もあるのです。
そこで今回、7,000社以上の生産性を上げてきた弊社が、働き方改革の概要から現状、メリット、事例や課題などをわかりやすく解説していきます。「結局働き方改革とは?何をすれば…」という疑問がなくなり、収益や生産性を上げるきっかけになるので、ぜひじっくりご覧ください。
このページのコンテンツ
働き方改革とはわかりやすくいうと労働力不足と労働ニーズへの対応
簡単にいうと、働き方改革とは今後の日本における労働力不足と労働者のニーズへの対応策全般のことです。詳しくは後述しますが、今後減る一方の労働力を補うのと、介護や育児と仕事を両立する必要がある人への対応が、働き方改革の狙いになります。
国が具体的な全体像の概要を以下のように発表していますが、少々わかりづらいので解説していきます。
上記のリンク先が働き方改革の全容ですが、内容は働き方改革に踏み切った3つの課題と、大まかな対応のテーマ9つ、具体的な対応策19個で成立しています。テレワークや同一労働同一賃金などが、具体的な対応策に含まれているのが分かります。
ちなみに、働き方改革に踏み切った3つの課題をわかりやすく解説すると、以下の通りです。後述する「企業が働き方改革せざるを得ない5つの背景」と密接に関係しています。
- 正規と非正規の筋の通らない格差
- 長時間かつ生産性の低い労働状況
- 多様化したライフステージに合わないキャリア構造
上記3つの課題は、企業と労働者の双方にとってマイナスでしかありません。労働者の働きがいやモチベーションを削ぎ、企業の生産性も下がるからです。法律の施行や助成金をきっかけに働き方改革に踏み切るのは賢い選択といえます。
したがって、一度働き方改革実行計画(概要)などに目を通して働き方改革に取り組みたいところですが、メリットの大きさや法律施行のタイミングなどで優先順位が発生しているのが現状です。そこで、以下の順番で取り組むべきことや理解すべきことをわかりやすく解説していきましょう。
- 対応しないと処罰・指導対象になる主な取り組み9つ
- 企業が働き方改革せざるを得ない5つの背景
- 生産性アップ効果の大きい働き方改革3選
- 今後のために得たい働き方改革のメリット3つ
- 最初は営業部から着手するのがおすすめ
- 働き方改革を推進する企業の成功事例3選
- 働き方改革を進めると直面する課題・問題点
上記の順番で理解を進めれば、対応する義務をはたしつつ、働き方改革に取り組む本来の目的も達成できるようになります。
対応しないと処罰・指導対象になる主な取り組み9つ
働き方改革は、法改正やいわゆる働き方改革関連法の施行により、国をあげて取り組んでいる施策です。つまり、きちんと対応しないと刑事罰や行政指導の対象になる可能性もあります。現状取り組むべきは以下9つです。
- 時間外労働(残業)上限規制
- 月に60時間以上の残業には割増賃金率アップ
- 労働時間の客観的な把握
- 年に5日以上の有給休暇の取得
- 同一賃金・同一労働
- フレックスタイムの拡大
- 高度プロフェッショナル制度導入
- 産業医・産業保健機能強化
- 勤務時間インターバルの導入促進
それぞれの詳細を解説していきます。
時間外労働(残業)上限規制とは
労働基準法が改正され、時間外労働(残業)に上限規制が設けられました。具体的な変更点は下図のとおりです。

上図に違反した場合には、罰則が科される可能性があります。なお、上図の内容が適応されたのは、大企業が2019年4月1日から、中小企業は2020年4月1日からでした。ちなみに中小企業の定義は以下のとおりになります。

なお、最良労働時間制を導入していても、後述する「労働時間の客観的な把握」により、全従業員の労働時間を把握する義務が生じているので、残業時間は考慮しなければいけません。
月に60時間以上の残業には割増賃金率アップ
月の残業時間が60時間を超えた場合は、企業規模を問わずに50%の割増賃金率にしなければいけません。変更前後の状況をわかりやすくすると、下図のとおりです。

大企業はすでに適応済みで、中小企業も2023年4月1日から適応されます。
労働時間の客観的な把握とは
先述した残業時間の上限規制や残業割増賃金を正しく適用するために、すべての従業員の労働時間を客観的に把握する義務が設けられました。すでに大企業と中小企業の両方で適応されています。
なお「すべての従業員」には、裁量労働制で働いている人や管理監督者も含まれているので注意が必要です。
年に5日以上の有給休暇の取得とは
雇入れをした日から6ヶ月以上経過しており、全労働日の8割以上出勤している従業員は有給休暇を取得できます。そして企業規模を問わず、年5日以上の有給取得が義務づけられました。

上図の内容は、すでに全企業に適応されています。
同一賃金・同一労働とは
正規と不正規との間に筋の通らない待遇の差をなくす取り組みが、同一賃金・同一労働です。具体的な内容は、以下の3つに分かれます。
- 不合理な待遇差の解消
- 説明義務の強化
- 行政からの助言・指導や行政ADRの規定整備
大企業はすでに適応されており、中小企業も2021年4月1日から適応されるので、それぞれの詳細を見ていきましょう。
不合理な待遇差の解消
パートタイム労働者や有期雇用労働者は、基本給や賞与、手当などが正社員と差がある場合が多々ありますが、不合理な待遇になっているケースもありました。そこで、下図のように均衡・均等待遇規定を整備することになりました。

なお、均衡・均等待遇規定の詳細は下図をご確認ください。

派遣労働者に関しては下図のように、派遣労働者用の均等・均衡待遇の規定を設けるか、派遣元企業で労使協定を派遣労働者と結んでおいてもらうことになります。

説明義務の強化
パートタイム・有期雇用・派遣労働者との待遇差の内容と理由、待遇決定に際して考慮する事項などを説明しなければなりません。また、各労働者から説明を求められた場合に、不利益な取り扱いをするのも明確に禁止されています。
行政からの助言・指導や行政ADRの規定整備
行政指導や行政ADR(行政による裁判外紛争解決手続)の規定を整備しなければいけません。先述した均衡・待遇差の内容や理由に関する説明義務も行政ADRの対象です。
フレックスタイムの拡大
以前は最大1ヶ月の適用だったフレックスタイム制ですが、3ヵ月単位までの適用が可能になりました。

ただし、労使協定に協定の有効期間を記載し、労働基準監督署に届け出なければいけません。
高度プロフェッショナル制度導入とは
研究開発や金融商品の開発といった高度に専門的な業務をおこなっており、年収が年収1075万円以上の場合、本人が希望すれば労働時間規制や割増賃金支払の対象外になる制度です。
成果主義的な働き方になるので従業員と企業の両方にメリットがあります。ただし、労使同数の委員会で、対象業務・労働者や健康確保措置などを5分の4以上の多数で決議する必要があります。
産業医・産業保健機能強化
産業医との面接指導の対象が、月100時間から月80時間に拡大されています。先述した「労働時間の客観的な把握」と合わせて、健康相談の体制整備や健康情報の適正な取扱いをしなければいけません。
勤務時間インターバルの導入促進
努力義務ですが下図のとおり、勤務終了から次の勤務までに一定のインターバル(休息時間)が促されています。

企業が働き方改革せざるを得ない5つの背景とは?
ここまで対応が義務化されている働き方改革について解説してきましたが、そもそも働き方改革は企業にとって必須の取り組みといえます。国内の企業は以下の状況にあるからです。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 長時間労働
- 労働生産性の低さ
- 男女間雇用の処遇差
- 多様化したライフステージに合わない働き方
各項目を理解すると、今のままの働き方を続けていると廃業やシェアを失う可能性が高いとわかります。早期に働き方改革に取り組むモチベーションにできれば、より良い経営に繋げられるので、各項目の詳細を見ていきましょう。
少子高齢化による労働人口の減少
現在の日本では、急速な高齢化と少子化が同時に進行しています。

特に現在及び将来の経済活動を担う労働力となる「生産人口年齢(15〜64歳)」が、想定以上のペースで減少傾向にあります。
日本の将来推計人口によると、2019年6884万人(全体の55%)いる20〜64歳の人口は、2065年には4189万人(48%)まで減少するといわれています。高齢化率は29%から38%に拡大するとされており、国力の低下や国の経済を支える基盤となる労働力不足が懸念されており、改革に乗り出したという背景があります。
長時間労働
生産年齢人口が減っているのに、日本の労働時間は世界と比較して深刻な状態にあります。日本では、長時間労働が常態化しており、規定を超えた労働時間や残業の横行、過度なケースでは労災請求や過労死といった事例もあるのが現状です。
長時間労働を美徳とする文化や慣習もあり、残業や休日出社せざるを得ないといった会社もいまだに多くあります。しかし、国内の人口や世界でのシェアを失っている中で、ただ長時間働いているだけでは自社の売上や規模は縮小していくばかりです。働き方改革を生産性アップのきっかけにしたいところです。
労働生産性の低さ
日本の労働生産性が低い点も、改革を推進する背景の1つに挙げられます。
労働生産性とは、労働者がどれだけ効率的に成果を生み出しているかを、労働力当たりの産出量で数値化した指標です。

「真面目」や「勤勉」といったイメージを持たれることが多い日本人。しかし、2019年の日本の労働生産性はOECD加盟国36カ国中21位、主要先進国(7カ国)と比較しても、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。
男女間雇用の処遇差による生産性の低下
男女間の格差による生産性の低下も問題です。
まず、世界経済フォーラム(WEF)が毎年12月に発表するグローバル・ジェンダー・ギャップ指数(政治、経済、教育、健康の4点と総合で、各国の男女格差を比較する指数)では、主要先進国のなかでいつも最下位に位置しています 。

より日本の数値
2019年版では153カ国のうち121位と男女格差がひらいていることが把握できます。また、男女の賃金格差も根強く残りOECD加盟国の中で3番目に大きいことがわかっています。
このため現在の社会構造で、育児や介護の負担を抱える女性や高齢者は非正規雇用を選択せざるを得ず、総じて生産性が低下するという悪循環が成立しています。
多様化したライフステージに合わない働き方
日本の労働環境においては、企業に就業することや平日の午前9時から午後5時まで働くことは、馴染みのある働き方です。
しかし、労働人口の減少や介護をしている人が増加している中で、上記の働き方をできる人は減っています。つまり、これまでの働き方だけを用意しているのみでは、いずれ組織や企業を保てなくなる可能性が高い状況です。
今後は、どのような事情や環境であっても、様々な働き方を推進することで、多様な人材の活用や確保がスムーズに行えるようになるでしょう。
生産性アップ効果の大きい働き方改革3選
特に生産性アップ効果の大きい働き方改革の施策があるので、紹介していきます。具体的には以下の3つです。
- テレワーク
- フレックスタイム
- フレックスタイム
テレワーク
労働生産性を高める施策の一つとして推奨されている働き方が、ICT技術(情報通信技術)を駆使して、場所や時間にとらわれることなく作業できる働き方です。
出勤や移動時間を仕事時間に変えつつ、育児や介護をする必要がある従業員の離職を防げるといったメリットがあります。初期費用が多少なりともかかりますが、返済不要の助成金が活用できます。テレワークについてより詳しくは以下の記事を参考にしてください。
テレワーク(リモートワーク)とは?基本から導入の秘訣まで解説
フレックスタイム
対応義務のある働き方改革として紹介したフレックスタイム制度ですが、従業員が日々の始業・終業時刻を自身の裁量で決定して働ける人気のある制度です。残業の軽減や、優秀な人材の採用・定着の向上に繋げる効果が期待されています。
フレックスタイムについてより詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
働き方改革関連法 新フレックスタイム制とは?導入ポイントとツールについて
短時間勤務制度
短時間勤務制度とは、1日の労働時間を短縮して勤務することで、主に育児や介護に携わる社員の負担軽減を目的とした制度です。
先述のテレワークと短時間勤務制度を活用することで、従業員は業務負担を軽減しつつ、育児や介護ができます。また、時間当たりの基本給や賞与・退職金等の算定方法等がフルタイムと同等なので、モチベーションも高く保ってもらえるでしょう。
今後の経営に役立つ働き方改革のメリット3つとは?

働き方改革の目的や内容を把握した上で、組織の課題にそった施策を導入することで、以下のメリットを得られます。
- 優秀な人材の確保と流出の抑制
- 労働生産性の向上
- 企業のブランドイメージアップ
各メリットの詳細を解説していきます。
メリット①優秀な人材の確保と流出の抑制
働き方改革は、人材の確保と定着率の向上といったメリットをもたらします。
国内の労働市場は、今後少子高齢化で急速に人手不足(労働生産人口)が深刻化する恐れがあります。より優秀な人材を確保・定着させるためには、金銭的なインセンティブだけにフォーカスするのではなく、従業員一人ひとりのワークライフバランスの実現に向けた社内環境の整備や働き方改革の推進が求められます。
柔軟かつ多様性ある働き方が可能な企業には、優秀な人材が集まりやすく、その優秀な人材を定着させることができるため、従業員だけでなく企業側にもメリットがあります。
メリット②労働生産性の向上
働き方改革の推進・実現を目指すことは、長時間労働の是正や業務の効率化にも着手することになります。
そのため、結果として社員の働く意識や集中力が高まり、これまで非効率だった業務の効率化・簡略化が促され、労働生産性の向上に寄与します。
メリット③企業のブランドイメージアップ
これまで働き方改革の概要及び背景を紹介してきましたが、突き詰めていえば労働市場の硬直化や従来の旧態依然とした状況の解消でしかありません。
逆にいえば、働き方改革に取り組んでいないと旧態依然とした、あるいはリスクヘッジのできていない企業というイメージを労働者や取引先に持たれる可能性があります。旧態依然イメージを打破するべく、積極的に働き方改革を推奨する企業のイメージは必然的に高まり、企業のブランド力アップにつながります。
ブランド力の向上は、優秀な人材の確保や定着、売上の拡大、組織力の向上にも寄与するため、働き方改革の施策を取り入れるメリットは大いにあります。
最初は営業部から着手するのがおすすめ
働き方改革を始める場合は、まず営業部から着手するのが定番かつおすすめといえます。働き方改革には労力や費用がかかりますが、営業部の働き方改革に成功すれば、多くの時間と費用を創出できるからです。
実際に営業部で働き方改革を成功させた企業の例を2つ紹介するので、参考にしてください。
テレワークの導入(ソニービズネットワークス)
ソニービズネットワークスでは、テレワークで案件進捗と商談をしています。通勤時間をへらせたことによってワークライフバランスも改善した社員もいるようです。
営業職のテレワークを成功させた要因としては、テレワーク用ツールの他に、SFAやCRMといったツールも導入したことがあげれます。スケジュールの最適化や業務の自動化ができ、マネージャーが細かく管理しなくてもテレワークで成果を上げていけるからです。
SFAやCRMについて詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
CRMとは?機能やメリット、導入時の選び方、活用のコツを解説
テレワークとインサイドセールスの導入(ベネフィット・ワン)
テレワークとインサイドセールス部隊の設置で、利益と生産性を同時に高めたのがベネフィット・ワンです。オペレーションセンターなどでしていた業務をサテライトオフィスや自宅でおこなえるようにしつつ、Web接客などで商談もできるようにしました。
成果として、フィールドセールスだけだと1日4~5件だった商談数を1日14件以上にし、受注件数を増やしています。他にもSFAなどの導入で受注件数を3.6倍にしたり、若手社員のトップセールスにしたりといった成果もあげています。より詳しくは以下の記事をご参考ください。

働き方改革を推進する企業の成功事例3選
ここからは働き方改革を積極的に推進する企業の事例を紹介します。
以下の企業では、先ほど紹介した施策をそのまま活用するのではなく、組織内の課題や働き方を分析して、組織にコミットした施策を導入していますので、自社に導入を検討する場合の参考にしてみてください。
伊藤忠商事の事例
総合商社の伊藤忠商事では以下のような施策を組織内に導入しています。
フレックスタイム制度を応用した「朝方勤務」の導入
午後8〜10時までの勤務は「原則禁止」、午後10時〜翌日午前5時までの勤務は「禁止」として、一方で午前5時〜午前9時は深夜勤務と同じ割増手当がつき、かつ午前8時までに出社した社員には軽食も無料提供する制度を導入。
結果的には、この8時以降に残業する社員は5%程度、残業時間は導入前に比べ約10%強の削減に成功したそうです。
1次会のみ10時までを徹底する「110運動」
毎週水・金曜日はカジュアルな服装を推奨する「脱スーツデー」
新鮮で柔軟な発想力、流行やニーズに対する感度を高める施策として導入したとのことです。
カルビーの事例
大手菓子メーカーのカルビーでは以下のような取り組みを導入しています。
ライフワークバランスの推奨
「ライフの方が大切」との考え方から生まれた施策で、この考え方を軸に従業員の意識改革を目指した啓蒙活動及びサポート制度を設けるなどの取り組みを実施しているとのこと。
例
- 在宅勤務制度
- モバイルワーク
- フレックスタイム制
- 早帰りデーなど
C &A(Commitment&Accountability)=約束と結果責任
結果重視の制度で、目標管理をベースとした評価体制で、各社員が数値指標に基づく目標を設定して、達成結果に応じてインセンティブを支払うシステムです。
営業職の直行直帰推進
通勤時間を営業時間に転換させることで、移動時間のロス及びストレスの軽減、自発的な営業活動の推進を図りました。
結果会社としての利益率は5年で10倍になったとのこと。大きな成果を残した成功事例です。
イケアジャパンの事例
世界最大の家具小売店であるイケア・ジャパンでは、以下のような取り組みを行っています。
従業員の99%を正社員として雇用
IKEAには従来、社員同士がフラットな文化が根付いており、2014年9月の人事制度改革で、雇用形態によって給与体系が異なっていた部分を同じ待遇へ転換。
また半年ごとに契約更新していた契約社員も無期雇用に転換し、誰でも65歳まで働けるようにしました。
同一労働同一賃金の導入(2014年)
同じ職務であれば全社員に同じ水準の仕事内容及び時給換算した賃金が支給される制度を設置。
2015年には、「スマート社員」設置し、勤務時間または業務範囲のどちらかを限定できる無期雇用の正社員制度も導入。大きく働き方の方針を変えました。
働き方改革を進めると直面する課題・問題点とは?
働き方改革を導入するメリットや企業ごとの事例を見ていると、企業と社員に恩恵しかないように思えますが、改革推進で生まれる課題や問題点もあります。具体的には以下3点です。
- 安定的な経営と業務の遂行
- 従業員への業務負担の増加
- 従業員の収入減少
上記3つの課題・問題点をあらかじめ知っておくことで、事前に対策がうてるので、詳細を見ていきましょう。
安定的な経営と業務の遂行
企業にとって最大の課題・問題点として挙げられるのが、現在の経営または業務の遂行に支障をきたすことです。多くの場合、従業員の労働時間に依存している現実が背景にあります。
働き方改革で改善すべき点は、「長時間労働の是正」や「待遇の見直し」などが該当しますが、はじめからこの大枠の問題に着手しても、自社内の課題を的確に分析できなければ失敗してしまう恐れがあります。
また単に働き方の多様性を促すだけでは、制度が形骸化してしまい、日常の業務にも影響を及ぼす可能性があります。
従業員への業務負担の増加
働き方改革と聞くと、経営層やマネジメントを担う方々は「残業の削減」や「労働時間の短縮」、「業務の効率化」などに焦点をあてることが見受けられます。しかしその要因を解き明かすのは容易ではありません。
生産性や労働の質、それらの要因を引き起こす根本的な原因を分析しなければ、いくら聞こえのいい目標を掲げても、働き方改革は愚か、従業員の業務負担が増える一方になります。
従業員の収入減少
時間外労働に上限規制(原則月45時間/年360時間)が設けられたことで、これまで残業ありきだった構造から、様々な対策を講じる必要性が出てきました。
しかし、ただ規制通りに従業員の就業時間や残業時間を削減してしまうと、総収入が減ることから、金銭的余裕がなくなり、多くの従業員の労働意欲の減退につながる可能性があります。
まとめ:働き方改革とは何かを理解して最適な対応を!
働き方改革は単に時間短縮や多様な働き方を推進する制度ではなく、各施策ごとの詳細や改革するのメリット、企業の導入事例を参考に自社にあった取り組みを行うことが不可欠です。
会社の現状や課題・問題点を分析せず、業務の時間短縮だけにフォーカスすると改革の形骸化につながるおそれがあるため、しっかりとした制度設計を基盤とする推進を目指しましょう。