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eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ 【ティール型組織とは? 】意味や営業現場に導入するメリット・デメリットを解説!
【ティール型組織とは? 】意味や営業現場に導入するメリット・デメリットを解説!
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【ティール型組織とは? 】意味や営業現場に導入するメリット・デメリットを解説!

新型コロナの流行によるリモートワークの普及にともない、“ティール型組織”がいま、注目されています。

メンバー各々が個人で判断し、進化するティール型組織は、旧来の組織体制では乗り切れないアフターコロナの時代においても力を発揮します。

しかし、ティール型組織が何であるか、正しく理解できていない方もいるのではないでしょうか?

本記事ではティール型組織の意味や事例、メリット・デメリットを解説します。

ティール型組織とは何か

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まず最初に、ティール型組織の意味から確認してみましょう。

ティール型組織の意味

経営者やマネージャーといった役職者が存在する場合もありますが、役職者の監督あるいは干渉なしで、各メンバーが自ら企業のゴールを目指し、邁進する組織がティール型組織です。

ベルギーのFrederic Laloux氏の著書『Reinventing Organizations』の日本語版である『ティール組織』が2018年1月に刊行されたことで、その概念は日本でも知られることになりました。

その他の組織体制と、ティール型組織の違いを確認しましょう。

ヒエラルキー型組織

上長による意思決定にメンバーが従い、上長に管理される組織が、ヒエラルキー型(階層型)組織です。

日本の大企業では今でも、この組織概念から、終身雇用制度、年功序列の賃金体系が生きながらえているところが多いといえます。

ホラクラシー型組織

環境が複雑化し、ヒエラルキー型組織体制が万全とは言えなくなってきた頃に知られるようになったのが、フラットな組織体制であるホラクラシー型組織。

ホラクラシー型組織では、社内に管理職やリーダーは不在です。

つまり、ヒエラルキーが一切ないため、個々の裁量と意思決定による役割分担を行い、全メンバーで仕事をやり遂げていくものです。

ティール型組織には明瞭かつ再現性があるビジネスモデルがないので、取り組み方法には大いに柔軟性があります。

他方、ホラクラシー型組織では運営のためのメソッドやルールが確立しています。

厳密なルールによる経営手法である点が、ティール型組織との違いといえるのです。

しかしながら、誰もが意思決定を行える点から、ホラクラシー型組織はティール型組織のひとつとして位置付けられることもあります。

5つの組織モデル

Laloux氏は自らの著作の中で、組織モデルの進化を5つの段階に分け、それぞれを色で表しています。

  1. レッド(赤):衝動型。最古の組織体制であり、権力者による恐怖支配
  2. アンバー(琥珀):順応型。トップダウン型の階層組織
  3. オレンジ(橙):達成型。企業全体の目標を部門や従業員単位に細かく分けて割り当て、各々の達成の積み上げで目標を実現するもの
  4. グリーン(緑):多元型。メンバーの主体性を尊重したボトムアップ型
  5. ティール(青緑):進化型。最新型組織で組織を構成する全員が対等

5番目の組織モデルをティールにしたために、最新の組織モデルがティール型組織と呼ばれることになりました。

現在、日本でメジャーな組織モデルは、マネジメント重視型である3番目のオレンジといえます。

ティール型組織を象徴するポイント

メンバー全員が自らのミッションを、自らの判断で行いつつ、全員で企業のゴールを目指すティール型組織。

中には、自分の昇給や昇進も自分で決める企業もあり、今までの常識が破壊される場合も。

しかし、以下に挙げる「ティール型組織を象徴するポイント」を確認してみると、ティール型組織はとてもロジカルで、新たな常識になり得ることも明らかです。

ティール型組織のポイントは3つ

ティール型組織のポイントは大きく3つあると考えられます。詳しく確認しましょう。

セルフマネジメント(自主経営)

セルフマネジメントとは、メンバーが自分をマネジメントすること。

ティール型組織の発表以前から存在していた概念です。

セルフマネジメントを確立し、個々の意思決定を適切なものにするためには、人事プロセスの明確化や、あらゆる情報を見える化が必要です。

そして、専門家やその決定に影響を受ける人などからの助言を得られる仕組みの確立がティール型組織には必要になります。

 ホールネス(全体性)

「ホールネス」はメンバー全員が、自分の人生の目的を考えるように、企業が存在する目的や使命を考えることです。

ティール型組織では、メンバー各自が持つ能力を最大限発揮できる組織であることが望まれます。

そのためには、同僚に寄り添い、自分のことも知ってもらって、本来の自分として働ける環境が必要になります。

お互いを尊重して受け入れることも、「ホールネス」と言えます。

エボリューショナリーパーパス(存在目的)

ティール型組織は「ひとつの生命体」と考えられています。

生命体には存在目的があり、成長、進化し続けるもの。

ティール型組織では、向かうべき方向を上長から伝えられるのではなく、全員が常に確認し続ける必要があります。

そのため、組織は固定化するのではなくて、常に変化(進化)するべきというのが、「エボリューショナリーパーパス」の考え方です。

タイムリーな対話が重要

ティール型組織においては「対話」が非常に重要です。

経営者や役職者にとっては部下に指示をすることが、今までの対話の主目的でした。

しかし、ティール型組織では意思決定を各自が適切に行うため、聞き役およびアドバイザーに徹する必要があります。

ティール型組織は、コミュニケーション変革の要素も担っていると言えるでしょう。

役職者の新たなタスクとして、コミュニケーション方法を改善し、ディスカッションしやすい環境作りに努めましょう。

そして、徐々に権限の分配を拡大していけるのであれば、ティール型組織への移行もスムーズに進むでしょう。

ティール型組織のメリット・デメリット

デメリット

次に、ティール型組織のメリット・デメリットを確認したいと思います。

メリット

ティール型組織では、各メンバーの主体性とオーナーシップ能力を強化できます。

メンバー全員が案件のオーナーとなり、自分で最終決定を下すとなれば当然のことです。

また、よりよい結果を出すためには、人は自己研鑽を心がけるもの。

その結果、情報管理能力や営業力が高まることになり、市場のスピード感にあわせた対応をメンバー全員ができるようになると考えられます。

案件受注のために必要な情報共有や役割分担などは、上長から割り当てられるのではなくメンバー間のディスカッションで決めていくことになります。

結果、活発な意見交換がなされ、コミュニケーション力も養えるようになるのです。

デメリット

メンバー全員がティール型組織を理解し、自立した考えを持たない企業では、ティール型組織での成功は望めません。

とくに、営業担当の場合は主体性を持って業務を行わないと、進捗状況の把握やリスク管理もうまく行かなくなり、最悪の場合は案件クローズができないことも。

ティール型組織はまだまだ発展途上の組織モデルのため、自分の組織にあった方法を積極的に試す必要があります。

そのため、メンバー全員にチャレンジ精神がなければ成功は難しいでしょう。

ティール型組織を成功させるために

ティール型組織を成功させるために何をしたらよいでしょうか。

試していただきたい施策を紹介しましょう。

他の組織モデルとの組み合わせも有効

従来の組織をティール型組織に一気に置き換えるのは大きな挑戦であり、危険もはらんでいます。

前述の5つの組織モデルで、オレンジ型が現在の状態であるなら、どこか一部の組織だけティール型組織に移行してみてましょう。

そして、うまく機能したら範囲を広げていくのです。

これなら始めやすいのではないでしょうか。

臨機応変に対応する

歴史も浅く、事例の少ないティール型組織なので、自社にあった形を見つけるのはカンタンではありません。

しかし、ここは腹を決めてトライアンドエラーです。

よいと思ったことは試してみて、ダメなら次の施策へ、といった臨機応変な対応を続けていけば、きっと適切な方法が見つかるでしょう。

360度評価の導入

360度評価とは、上司が部下を評価するだけではなく、部下が上司を評価することも加わった評価制度。

ティール型組織に合った評価制度といえます。

役職者も含むメンバーが互いに評価し合うことで、自らの成長が支援されることになります。

自らの成長支援を自らで行うという意識になり、主体性を養うという観点で、有効といえるでしょう。

ティール型組織の成功事例

グローバルでもまだ成功事例は多くありませんが、ティール型組織の事例をいくつか紹介したいと思います。

ビュートゾルフ(オランダ)

現在、所属する1万人以上の看護師が、8-10万人の患者や高齢者に対して在宅ケアサービスを提供する非営利の介護組織のビュートゾルフ。

同団体がティール型組織とされる理由は、セルフマネジメントが確立している点です。

1万人以上いる看護師は、原則的に12名以下のチームに分かれ、担当地域を受け持ちます。

彼らには最大限の裁量が付与されており、生業のケアサービスはもちろん、自分達のシフト管理や業績管理、関係各所との連携や社内研修の実施など、一般では管理職が行うタスクもほぼ自分達で行います。

ティール型組織導入前よりメンバーのモチベーションが高くなり、離職者が激減しました。

指示待ちのリードタイムなど、無駄な時間が生まれないので、コストは大幅に削減。

ビュートゾルフの醸し出すポジティブな雰囲気が利用者にも安心感を与えることになり、顧客満足度において国内NO.1の評価を受けています。

 ビュートゾルフ柏

ビュートゾルフのノウハウを取り入れた組織が、2015年に立ち上げられた訪問看護ステーションのビュートゾルフ柏(一般社団法人Neighborhood Care)。

オランダで行われていることを100%コピーをするのではなく、ビュートゾルフの取り組みの中から、日本に合うところを元来の業務プロセスに取り入れる考えで運営されています。

チームの自主運営などに重点を置き、少ないルールで看護師自らが考えて動けるチームを目指しています。

九電グループ(日本)

九州電力株式会社を抱える九電グループは、2018年にインキュベーションラボを設置。

これにより、従来の組織や業務運営にとどまらず、柔軟で迅速な意思決定の推進を図れるようになりました。

ヤッホーブルーイング(日本)

クラフトビール醸造で知られるヤッホーブルーイングでは、社員全員が意見を出し合って顧客志向を目指す組織文化である「頑張れヤッホー文化(ガッホー文化)」が定着しています。

社員同士の関係がフラットなので、コミュニケーションの幅が広がり、若手社員も発言しやすいために社員の価値観が広がりました。

ティール型組織を成功させるにはツールの導入が必要不可欠

ティール型組織を導入し、運用を成功させるには、人力に頼っていては時間もかかり、効率も上がりません。

ツールを導入して、可能な部分は自動化するのがベストな方法です。

ティール型組織のために役立つ代表ツールを2種、紹介しましょう。

CRM

ティール型組織では、メンバー全員が自ら担当する案件の全責任を担うことになります。

たとえば、営業担当であれば、タイムリーな顧客管理ができないことには始まりません。

そこで有効なのが、CRM(顧客管理ツール)です。

CRMなら、ネット接続があればどこでもデータ入力が可能で、進捗管理も楽に行えます。

他者にアドバイスを仰ぐ時にも、CRMを介した新鮮なデータの共有により、アドバイスする側もより具体的なアイデアを提供できるというものです。

CRMについての詳細情報はこちらも合わせてご一読ください。

ダッシュボードツール

BI(ビジネスインテリジェンス)機能のひとつで、多種多様なデータや情報をまとめて美しく可視化できるのがダッシュボードです。

ダッシュボードツールを使えば、現在の状況がリアルタイムにわかるので、意思決定のスピードアップが確実となります。

また、すべての最新データがチームで共有できる点も、同僚の支援を仰ぐ際に有効です。

まとめ:ツールの導入で個々人の判断を円滑化し、ティール型組織を成功させよう!

メンバーが主体的に意思決定を行うティール型組織。

組織の転換は容易ではありませんが、ティール型組織なら激変を繰り返す世の中にも対応できます。

また、ティール型組織で働けば、「指示待ちのアシスタント」から「オーナーシップ」へ意識が変わることで離職率が下がり、高いモチベーションもキープできることは明らかです。

まずはCRMツールなどを活用し、社内情報の整理から始め、ティール型組織の取り組みを小規模に始めてみましょう。

そして、全社的なティール型組織の導入に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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