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ナレッジマネジメントとは?知識の共有とSECIモデルの重要性
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ナレッジマネジメントとは?知識の共有とSECIモデルの重要性

従業員が個人的に持つ知識や勘を組織的に共有・管理するナレッジマネジメントは、イノベーションにつながります。
近年では、ITサービスを活用したサービスの需要も高まり、ナレッジマネジメントに取り組む企業も増えました。

そこで本記事では、ナレッジマネジメントを考える上で重要なポイントや運用のコツ、読んでおきたい本や有用なツールについて紹介します。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントとは、企業全体の知識を管理する経営手法です。

個人のナレッジ(知識)を組織的に共有することで業務を円滑にし、また新たなビジネスを創造するきっかけにもなります。
多くの場合、従業員1人ひとりが持っている経験や知識は個人の中で消化されます。

これらを引き出し可能にしておくことができれば、そのノウハウは組織内に広がり、全体の業務レベルを引き上げることにもつながるのです。

ナレッジマネジメントが注目される背景

ナレッジマネジメントは、1980年ごろから研究が注目され始めました。
それは、組織に必要な「知識」を資産とする認識の強まりからでした。

そして、今日のナレッジマネジメントが広く知られるようになったのは、カリフォルニア大学特別名誉教授・野中郁次郎が竹内弘高との共著『知識創造企業』で打ち出した「知識創造理論」によるもの。
「個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出す」という提唱が、今に引き継がれています。

ナレッジマネジメントの動きが活発化することで、近年では関連するITツールの活用も広がっているのです。

ナレッジマネジメントと一緒にPDCAを読むことでより深い理解が得られます。
こちらの記事も一緒に読むと効率的です。

ナレッジマネジメントで重要な「暗黙知」と「形式知」

ナレッジマネジメントで理解しておくべきものが「暗黙知」と「形式知」です。
ここではまず、2つの用語の意味を理解しておきましょう。

暗黙知とは

暗黙知とは、他人に伝えることが難しい個人の知識や経験・感覚のことを指します。

業務を進める上で得た知識や経験は人それぞれ異なります。
数人が同じ問題に取り組んでも、関連知識を持っている人とそうでない人では、業務を進めるスピードや結果に大きな違いが出ます。
この違いの要因が、個人の暗黙知によるものです。

個々の競争であれば、暗黙知は個人の強い武器になります。
しかし、組織が一丸となって立ち向かう課題ならば、暗黙知を共有しておくことで高いパフォーマンスを生み出せるでしょう。

形式知とは

形式知とは、だれもが同じレベルで知ることのできる知識や経験、あるいはそれを形式化したものです。

過去に経験したノウハウを個人にとどめず、だれもが分かりやすい形で組織に共有することで、1人の知識は組織の知識として役立ちます。
つまり、だれもが理解できる形、そして伝達可能な形に変えた知識が形式知です。

「暗黙知」と「形式知」については、ナレッジマネジメントの考え方でも重要な「SECIモデル」を理解する上でのキーワードにもなりますので、しっかり覚えておきましょう。

SECIモデルの重要性

SECIモデルとは、ナレッジマネジメントを考えるうえで軸となる考え方です。

SECIは、「Socialization」「Externalization」「Combination」「Internalization」それぞれの頭文字を合わせた名称です。

これらの考え方を満たすことで組織に知識が共有でき、新たな創造を実現するプロセスになります。

Socialization(共同化)

Socializationでは、「暗黙知」を共有し、「個人の暗黙知」から「グループの暗黙知」を創造します。
知識を持つ人から、その知識を得たい人に教えてもらい「暗黙知」を得る段階です。

企業であれば、先輩社員が新入社員に業務を教えるOJTのステップがこれに当てはまります。
マニュアル化されていない業務について、先輩社員が持つ知識と経験を見せたり実務にチャレンジしてもらったりすることで、新入社員は暗黙知を得ていくのです。

Socializationは、暗黙知で暗黙知を伝えるステップだといえます。

Externalization(表出化)

Externalizationでは、「暗黙知」を「形式知」に変えます。

経験から得た知識やノウハウを表出化する、つまりだれもが理解できる言葉や図解に落とし込み、マニュアル化できる形にする段階です。
例えば、マニュアル化によって組織のだれもがノウハウを共有できる状態になると、ここで企業としての1つの資産ができあがります。

Externalizationは、暗黙知を形式知にするステップであり、ナレッジマネジメントの肝でもあります。

Combination(結合化)

Combinationでは、Externalizationで得た「形式知」を、その他の「形式知」と掛け合わせます。

形式知と形式知を結合することで、新たな知識を生み出すことが目的です。
これにより、組織内に存在しなかった新たな知識を生み出し、守備範囲の広い形式知(マニュアルなど)を作成できます。
イノベーションを生む最初の段階といっても過言ではないでしょう。

Combinationは、企業としての新たな資産を生むステップだといえます。

Internalization(内面化)

Internalizationは、Combinationの段階で結合された形式知が利用されて、新たな暗黙知が形成されるステップです。

形式知が実践されることで、新たな気づきや経験・知識を得ることができるでしょう。
そして、これらが暗黙知として蓄積されます。

ここで得られた暗黙知を元に「Socialization」からの4ステップが繰り返され、これが1つのサイクルとなり「SECIモデル」が形成されるのです。

ナレッジマネジメントのメリット・デメリット

企業の資産を形成するナレッジマネジメントを実行するときには、そのメリットとデメリットを事前に把握しておきましょう。

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントを導入する上でのメリットには、以下が挙げられます。

組織としての知識の蓄積

ナレッジマネジメントを導入する大きなメリットの1つが、組織としての知識の蓄積です。

個々人が有していた知識を一元的に管理することの最大のメリットともいえるでしょう。
これは、SECIモデルを繰り返すことで生まれていく資産となります。

属人化の防止

ナレッジマネジメントを導入することで、特定の人物しか分からないといった知識や情報の属人化を防止できます。
誰かがいなければ業務が進行できないような状態では、組織としての活動が成り立ちません。

ナレッジマネジメントは、このような属人化も防げるのです。

業務の効率化

ナレッジマネジメントがうまく運用できれば、業務の効率化につながります。

一元管理される知識や経験を組織で使い、だれもが同じ水準の業務を担当できる状況ができあがると、あらゆる業務が効率化されるでしょう。

ナレッジマネジメントのデメリット

ナレッジマネジメントは、導入時や運用時にデメリットが生じる可能性があります。

デメリットとして挙げられるのは、知識共有の方法や伝え方が難しい、あるいはナレッジマネジメントの運用方法が面倒などです。

共有方法が分からない

暗黙知を共有する際につまずくのが、共有方法が分からないということです。
ナレッジマネジメントを導入する場合の多くは、専用のツールも同時に導入するでしょう。

しかし、そのツールにどのような内容で何を入力するのかを明確にしておかなければ、この問題に直面します。

伝えることを面倒に感じる

これまで、自身の知識やノウハウを人に伝えるという習慣がなかった人は、伝えることすら面倒に感じる場合があります。
自分の感覚を誰もが分かる形にアウトプットすることは、難しいものです。

この作業だけで工数を取られてしまいます。

蓄積しただけ放置している

ナレッジマネジメントでは、SECIモデルのサイクルが大切です。
ツールを導入しても、知識や経験を入力しただけでは役に立ちません。

蓄積した知識を活用するフローがなければ、ナレッジマネジメントは失敗してしまうのです。

情報を探し出せない

ツールを導入して情報を一元管理していても、必要な情報が素早く探し出せなければ意味がありません。
情報が探し出せなければ、蓄積された知識は活用されず無駄になってしまいます。

ツールに依存する部分も大きいのですが、ナレッジマネジメントの活用をマニュアル化するなどして対処しなければならないデメリットです。

ITを使ったナレッジマネジメントのおすすめのツール

近年のナレッジマネジメントは、ITツールの利用が主流です。
ここでは、ナレッジマネジメントに適したおすすめのツールを紹介します。

Neuron

Neuronは、企業内検索エンジンです。
先端OSSの検索エンジン「Apache Sori」をベースに開発されています。

高度な検索ではなく、企業内での利用者が探したい情報を探しやすい検索エンジンとして設計されており、マニュアル化されていない情報でも「Neuron」を見れば分かるというナレッジデータベースが構築できます。

操作性はシンプルですが、必要な機能はそろっているツールです。

公式サイト:https://www.brains-tech.co.jp/neuron/

Domo

Domoは、ビジネスに必要なサービス情報を一元的に統合することで、意思決定や行動につなげるツールです。

業務で利用するAWSやSFAなどのデータも、Domoがハブとなることですべてをつなげ、ソースデータを統合し可視化します。
また、SoftBankやANAなどの大手企業を含め、1,000を超える導入事例があることも特徴です。

公式サイト:https://www.domo.com/jp

ChatWork

ChatWork

ChatWorkは、ビジネスのコミュニケーションを一元的に行えるツールです。
社員同士のやりとりや、お客様とのやりとりもChatWorkで一元化すれば、すべてのやり取りを組織内で共有できます。

ファイルのやり取りやタスクの管理なども行えるため、日常のコミュニケーションの中にナレッジマネジメントを組み込めるツールです。

公式サイト:https://go.chatwork.com/ja/

Freshdesk

Freshdeskは、ヘルプデスク型のツールです。

顧客とのコミュニケーションを1ヵ所にまとめられるため、ヘルプデスクやカスタマーサポートの膨大な記録を管理できます。
会話のトラッキング機能で漏れをなくせますし、組織として共有できるため問題解決をチームで行えます。

American Expressやhpなど、広い分野に150,000を超える導入実績があります。

公式サイト:https://freshdesk.com/jp/

ナレッジマネジメントを知るおすすめの1冊

ナレッジマネジメントを導入するときに読んでおきたい本が『知識経営のすすめ』です。

ナレッジマネジメントの意義や本質、実践のノウハウを解説しており、知識共有システムの構築法や新しい組織の在り方などを学べます。

ナレッジマネジメントを理解するために、1度は読んでおきたい1冊です。

SECIを意識したナレッジマネジメントが企業を変える

ナレッジマネジメントを導入すれば、組織全体の知識や経験を共有でき、企業レベルの引き上げにもつながります。
SECIを理解して、そのサイクルを軸とした運用を行うことで、メリットを最大限に引き出しましょう。

ナレッジマネジメントを上手く運用すれば、自社を大きく成長させるきっかけになるはずです。

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