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eセールスマネージャー 営業ラボ・ブログ プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。
プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。
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プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。

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プロセスマネジメントという言葉は皆さんの会社ではどこまで浸透していますか?

何かのテーマを成功させるのに、欠かせないこの手法。理論は簡単ですが、社内で浸透させて手放しでも回るようになるのは難易度が高いです。

プロセスマネジメントの手法についてあらためて振り返りながら、今後どう活用していくかを考える機会にしていただければ幸甚です。

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プロセスマネジメントとは?

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_プロセスマネジメントとは?

プロセスマネジメントとは何か?

プロセスマネジメントとは成果や目標達成を最大限にするための手段です。

もっと詳細に言えば、「作業過程の手法を細かく分析管理して、最大限の成果が出るように手法の管理改善をおこなう」ことです。

特長として

  • 定量的に手法を定義するため、誰が作業しても同じ成果を出せる(はず)
  • 業界や職種を問わない→あらゆる場面に適用できる
  • 既存の業務フローをベースに対応できる→新たな仕組みをゼロから入れるのではなく、カイゼンでの対応が可能

といった点が挙げられます。

工場で例えてみると

もう少し詳しく図を使って解説してみます。

以下の図のようにパン工場で見てみましょう。

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_なぜおいしいパンができるのか?

パン工場の「目標」は「おいしいパン」を同じ品質で大量に作ることです。そのための材料は「小麦・水・イースト菌」です。

パン工場では、プロのパン職人の勘と経験に基づいておいしいパンを作っているわけではありません。

専門のパン職人経験を積んでいない工場労働者がおいしいパンを大量につくるためのポイントは5つあります。

  1. 「おいしいパンを焼く」作業プロセスを詳細に分解する
  2. そのプロセス毎に「見える化」を行う
  3. 見える化により進捗と成果が計測できる
  4. つきとめた課題を改善できる
  5. 以後は定義されたプロセス通りに実施すれば誰が作業しても均質になる

例えば、「新製品のパンはモチモチ感が足りないなあ・・・」と感じた場合、「パンをこねる」プロセスをあと17回増やす改善を行いました。

その結果、とてもおいしいパンができたとしたら、これは「結果を出すためのプロセスをマネジメント」したことになります。

ここでのポイントは、プロセスマネジメントの大事なサイクルである作業過程の詳細分解→計測→改善のサイクルがうまく回せたことを表しています。

個人に依存するのではなく、仕組みで改善する「プロセスマネジメント」の事例です。

プロセスマネジメントを企業の営業活動に当てはめて考える

では、この手法を企業の営業活動に置き換えて考えてみましょう。

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_営業活動のプロセス分解

パン工場と同様に営業活動を分解してみましょう。

一般的に営業活動のプロセスは「引合い」→「提案」→「見積」→「検討」→「稟議」→「受注」の流れになると思います。そのプロセス毎に計測していくと上図のようなグラフで見えるようになります。

もし結果管理しかしてなかった場合、結果としての受注件数しか把握できません。受注結果だけを見ればA部署とB部署は同じ結果であることしかつかめません。

営業プロセスを詳細に分けて計測してみると、どこのプロセスが問題なのか?が見えてきます。以下のようなことが分かるのです。

A部署では、「引合い」後の「提案」プロセスが極端に落ちている。
→「引合」を「提案」につなげる力が弱い

<プロセス改善案>

  • 営業担当の詳細提案までつなげるスキルの教育
  • 提案につなげるプレゼン補助資料等の準備
  • 製品仕様が競合に劣っていないかの確認

B部署では、「見積」後の「稟議」プロセスが落ちている。
→「見積もり」提出後のテストクロージングとヒアリングが弱い

<プロセス改善案>

  • 見積もり提出後に放置していないか、すぐのフォロー実施を確認
  • 顧客の感想を聞き、追加の提案や修正を検討する
  • 再度顧客の感触をすぐにフォローする

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プロセスマネジメント成功のための必須要素

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_成功のための必須要素

組織全体の理解を得る

詳細は後述しますが、プロセスマネジメント活動を実行する前に、必ず組織全体で成功を目指すコミットメントを経営層クラスに取っていただきたいと思います。

その理由は後に詳しく解説します。

新しく必要となる作業と省くべき工数を明確に

こちらも同様に後述しますが、プロジェクトチームを疲弊させずに、長くプロセスマネジメントを実行していく目的です。

実際に全社横断のプロジェクトを担当した方がおっしゃるには、本来の業務以上に重要なプロジェクトなので、精神的な負担も大きい上に、実質の業務量が増加してしまう事が重なって、大変な期間であった、という経験論を伺っています。

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プロセスマネジメントの成功事例

キーエンス 営業部門

成功理由:その1 プロセスマネジメントの必要性を全社員が強く認識している

営業活動はプロセスマネジメントで定義された活動が営業活動のサブノルマになっています。そして、そのノルマが日々達成進捗を追われており、達成できていないものは日々詰められます。

仕組みで完全にルーティン化されているプロセスマネジメント。

月に1回や2回のチェックではない、その徹底度合いがまさに「強い営業組織」そのものです。

成功理由:その2 インセンティブや動機付けが極めて明確である

理由その1で書いたように、日々の進捗管理はすさまじいものがあります。一部の社員がプロセス項目を達成していない事が黙認されない裏表のない組織だと言われています。

その一方で、動機づけも忘れておらず、このプロセス項目自体が日々の給与や賞与に「貢献ポイント」という名目で明確に反映されているため、社員も達成を当たり前のこととして行っていくのだそうです。

営業が強い会社という優位性は、やはり他社とは一味違うプロセスマネジメントを行っている良い例だと思います。

リクルート

成功理由:起業家精神あふれている人の集まりである

個人個人の経営者意識による「意識の高い」人達のプロセスマネジメント。

そもそもリクルートは学生であった創業者が企業して、一代にして大企業になった会社です。当然敏腕創業者の手法を学び、会社を短期間に成長させていくノウハウは社内の多数の人が理解共有していることが想像できます。

そしてそのリクルートマインドにあふれた方達が、新規事業の立ち上げでPDCAを回し、プロセスマネジメントを自分の裁量で行っていくのです。

通常は起業しないとできないような経験を、若くして任される→先輩という活きた教科書を参考にして実行する→経営者感覚を実地で身に着ける→プロセスマネジメントを自然と行っている

参考:https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000140/1/

このような、良いスパイラルがリクルート社には回っている、とビジネス界では言われています。リクルート社を研究取材した著書は複数出ているので、お時間ある時にごらんになられる事をお勧めいたします。

サイバーエージェント

成功理由:創業者が人材派遣会社の元敏腕営業マンで「勝つ」ためのノウハウを持っている

「広告」という汎用商材で勝っていくため必然となったプロセスマネジメント

インターネットという新しいメディアであったにせよ、広告という既に世の中に存在する商品を販売するためにはプロセスマネジメントが必要であったと分析されています。

元人材派遣会社の敏腕営業マンだった社長を先頭に、営業組織では早くから緻密なプロセスマネジメントが行われ他社を凌駕する営業力で競合に打ち勝っていったそうです。

参考:https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/22453/

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プロセスマネジメントのよくある失敗事例

経営層からプロセスマネジメント構築に参加意識がみえない組織

これまでのプロセスマネジメントに関する解説から、プロセスマネジメント業務自体は現場で行われる改善活動である、という事はご理解頂けたかと思います。

しかし、現場だけで計画し実行されたプロセスマネジメントは往々にして成功しないことが多いです。

  • 計画自体が甘いモノで、実行したものの効果が出なかった
  • PDCAのサイクルが回らなくなった(途中でうやむやになってしまった)

というような問題が発生することが、比較的頻繁に起こります。

原因は経営層が関与しないで進めたため

  • 上層部が関与しない事でアウトプットへの責任感が薄れてしまった
  • 構築予算が取られていない中での中途半端な準備で成果を出しにくい

などが原因として挙げられます。

したがって、プロセスマネジメント活動実行にともなって、プロセスマネジメントは会社として評価をする業務である、という経営層のコミットメントは必須だと思います。もしそれがなければ成功確率は下がると筆者は感じています。

プロセスマネジメント実行のために業務負荷が増える組織

これまで「結果」しか追ってこなかった組織が、結果を最大限に出すために「結果までの過程を細かく追いかけて」改善を行います。

単純に考えて、新たな業務が加わることは想像ができますよね。プロセスマネジメントの基本はPDCAを回して、課題を解決していく作業です。

当然ですが、課題を抽出すればするほど、PDCAのサイクル数が増えていきます。

つまり、準備期間から回し始めた初期は業務に関与するスタッフの仕事量が絶対的に増えていくことになります。

PDCAがうまく回り、成果が出てくればスタッフ達も成功体験でモティベーションが上がっていきます。しかし、成果がでるまでの期間の業務負荷増加は会社の生産性に影響が出かねない問題です。

社内のスタッフ配置や業務負荷については良く注意して、現場から不満が出ないように采配していただくことが大変重要ではないかと言われています。

また専門性や業務改革スキルを求められるタスクでもありますので、立ち上げ期間には専門家の力を借りたほうが無難かもしれません。

一般的にはSFA(セールスフォースオートメーションソフトウェア)を提供するソフトウェア企業が導入コンサルティングなども行ってくれると思います。

貴社の準備次第ではありますが、場合によっては戦略コンサルタントの力を借りる事も必要なのではないかと思います。

営業畑上がりの経営層がいない組織

こちらも成功を左右する課題です。

ごくまれに、技術畑一筋でやってこられた役員さんが、営業部門の責任者として陣頭指揮に大活躍されていらっしゃる企業をお見かけします。それは経営センスでまかなっているのでしょう。

しかし通常はやはり「餅は餅屋」で、技術や経営でトップレベルのスキルをお持ちであったとしても、営業現場での成功体験を持ち合わせていないことが多いです。

それだけならいいのですが、役員だからと営業現場に口をだしてきて、的外れな方針をトップダウンしてしまう役員も少なくありません。

上に書いた専門家の力を借りる、に繋がるかもしれませんが、現場を陣頭指揮していた方だからこそ目の付け所が鋭い、ということは良くあることだそうです。

中途で引き抜かれてきた「いきなり管理職」のマネージャーよりも、スタッフ時代から営業畑をあゆみ、営業経験が深い経営層や営業部長クラスの知見を是非とも加えたいところだと思います。

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事例から何を学ぶべきか

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_事例から学ぶ

ここまで、いくつかの事例や現場で起こる問題を例示してまいりました。

そして見えてきたプロセスマネジメントの成功の鍵を集約してレポートさせていただきます。

プロセスマネジメントの成功は営業部長や課長の手腕だけの問題ではない 

会社全体の課題である、と経営層がコミットメントすることで現場のやる気やモティベーションがまったく変わってくると言われています。

  • 経営層が注目しているプロジェクトに関われるよろこび
  • 成功すれば人事考課で考慮されやすい

ささいな話ではありますが、人間の承認欲求を満たすのは動機づけにかなりの効果があると言われています。

そして、そのやる気がPDCAのサイクルを永続させて常に改善活動が行われていく強い組織になるための重要なアクションだと思います。

  • 成功事例:キーエンス営業部門の全員実施プロセスマネジメント
  • 失敗事例:経営層のコミットメントがないプロジェクトの失敗事例

をもとに重要な成功要素として覚えていただきたいと思います。

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具体的なアクションプランを考える時の注意点

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_注意点

アクションプラン骨子の策定 Pの重要性

自社課題の分析

一番重要なパートになります。営業活動のプロセスマネジメントでテーマを何にするかを間違えると効果も出にくくなる事と思います。

つまりPDCAのPの策定がすべてのベースになると言っていいほど重要な作業です。

その課題を解決する方法の検討

皆さんは例えばどのような方法が思いつくでしょうか?ベースはPDCA方式になると思います。

一般的にどのような形で出すかを以下に記してみます。

●KGIの設定
※KGI=Key Goal Indicator=定量的な目指すべきゴール
例:新規顧客商談を20件目標

●KGIと現状ギャップ分析=現在の組織をありのままに抽出し、KGIとの違いを明確にする

●課題の抽出=その課題点を明確に抽出する

●KPIの設定=課題点を解決するためのアクションとアクション成功目標を設定する
※Key Performance Indicator=KPIはKGIを達成するための定量的な目標となります

●解決案の策定= P D C A の Pを設定
DCAに関しては、次の項目で記していきますが、何よりも大切なのはPです。プロジェクトの成否はPが握る、と皆さんにお伝えしておきたいと思います。

PDCAをしっかり行うためのルール作り

定期的なきまりごとにすること、失敗事例の企業はここが弱いです。Pをしっかり策定して、それで満足してはいけません。

PDCAのPは大変重要な作業であり、成否に大きく関わっていると上で説明しました。しかし、そのPを活かすも殺すもDCA活動を止めずに回し続けられるかにかかっています。

この「回し続ける」というアクションはとても地道で、現場にとって大変なものです。管理職はその数字を追うだけです。失礼な言い方をすればすべて部下が汗をかいて獲得してくるものです。

その大変さに対して、ねぎらって、貢献に対して報酬や表彰でねぎらうようなインセンティブがあればその活動はより効果的に、円滑に回っていくのではないでしょうか。

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プロセスマネジメントの成功のまとめ

プロセスマネジメントとは?実践時のよくある失敗を解決!成功事例に学ぶ。_まとめ

いかがでしたでしょうか?ここまでプロセスマネジメントをテーマに書かせていただきました。

まとめとして、あらためて記憶にとどめていただきたいポイントを列挙していきたいと思います。

  • プロセスマネジメントを営業組織にはめ込んでイメージ
  • プロセスマネジメント成功の必須要素(全社コミットメントと業務負荷考慮)
  • 成功事例と失敗事例から成功のカギを知る
  • プロセスマネジメント実行時の注意点

以上の流れで説明をさせていただきました。

プロセスマネジメントは、現場では無意識に行われている活動です。似たような活動や改善プロジェクトに携わった人も多い事でしょう。皆さんはこの考え方のおおまかなイメージは持てているのではないかと思います。

今回ここでご紹介したプロセスマネジメントは、少しだけ「学術的に」「成功・失敗事例を交えて」ご注意点を説明させていただきました。

過去のプロジェクト担当者達がよくぶつかった壁から学び、皆さんのプロセスマネジメント活動が回り道せず成功にたどり着くことを願っております。

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