【生産性向上】タイムマネジメントとは?取り組むメリットや手順を徹底解説
原材料の高騰や時間外労働規制など厳しい社会状況のなか、企業は従業員一人ひとりの業務効率や労働生産性の見直しを迫られています。
そこで、課題解決のために取り組んでほしいのが「タイムマネジメント」です。
タイムマネジメントとは、ビジネスパーソンへ平等に与えられた時間を効果的に使い、生産性を上げるための手法です。仕事に余裕がなかったり、残業時間が多かったりする場合、タイムマネジメントに取り組むことで職場環境に変化が見えるでしょう。
この記事ではタイムマネジメントの必要性や目的、メリットや手順などを解説します。
今すぐタイムマネジメントで職場環境を改善したい方は、ぜひ最後までお読みください。
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タイムマネジメントとは何か?
タイムマネジメントとは、時間の使い方を改善し、業務効率や生産性をあげ、最終的に目標達成するためのビジネス術のことです。
従来のビジネスシーンでは「スケジュール管理」という言葉が主に使われてきました。しかし、現代のビジネスの世界では、IT導入や人材不足などのさまざまな問題をクリアしながら生産性を上げていくのがむずかしい状況だといえます。
スケジュール管理とタイムマネジメントは「目的」が大きく異なります。スケジュール管理はあくまでも、決まっている予定を実行するための管理です。一方、タイムマネジメントとは前述したように、限られた時間を論理的に考え、目標に対して効果的に成果を上げることです。
たとえば、他部署と比較して1ヶ月の売上で数千万円の差が出てしまった場合、普通に考えれば、やり方を変えなくてはいけません。振り返ってみると、自部署は「何となく目の前の業務をこなしていた」「優先順位は気にしていなかった」などの課題があげられることもあるでしょう。
そのようなときこそ、タイムマネジメントを活用して自分たちのやり方を見直す必要があります。
ITと共存していく時代に、タイムマネジメントで緊急度の把握やタスクの優先順位を付けられるビジネスパーソンが必要とされてきます。
タイムマネジメントの必要性と活用目的
ここではタイムマネジメントがなぜ必要なのか、目的はどういったことか、などについて解説します。
タイムマネジメントの必要性
人は一般的に、同じ作業を長い期間くり返していると、今の仕事に疑問を持たなくなり、やり方を変えたがらなくなる傾向があります。
さらに、そういった場合、目標や進む方向が定まらず、個人で身勝手な行動や判断をしてしまうことがあります。
しかし、ITが猛スピードで発展していくいまの時代には、社員一人ひとりが限られた時間内で成果をあげる意識を持ち、タイムマネジメントに取り組む必要性があります。
組織として社員がひとつにまとまるためにも、情報共有を心がけながら同じ目標に向かう必要があります。
タイムマネジメントの目的
タイムマネジメントは、今の業務を効率化して成果をあげることが最終的な目的です。やらなくてもいい無駄な作業に時間を取られたり、緊急度の高いタスクを見落としてしまうのを防ぐため、タイムマネジメントは重要な役割を持ちます。
「仕事に余裕がない」「生産性があがらない」などの場合、タイムマネジメントを取り入れて状況を改善していかなくてはいけません。まずは社内で一つひとつの部署が生産性をあげていくことで、最終的に企業全体の成果へと繋がっていくでしょう。
タイムマネジメントの3つのメリット
タイムマネジメントの導入により、企業全体だけでなく、従業員一人ひとりがさまざまなメリットを受け取れます。以下では、タイムマネジメントを導入することによって得られるメリットについて解説します。
業務効率化を実現できる
タイムマネジメントにより、タスクを可視化し、優先順位の判断ができます。優先度の高い業務に注力することが可能なため、効率的に業務を遂行することが可能です。
従来のスケジュール管理のように、目の前にある仕事をただこなすだけでは、業務効率は改善しません。目標達成において緊急度の高いタスクを把握し実行することで、従来のスケジュール管理と比べると成果が得られやすくなります。
無駄なコストを削減できる
タイムマネジメントをすることで、従業員一人あたりの作業効率が高まり、残業時間やランニングコストなどの削減が可能です。
そのため、タイムマネジメントの導入は経営効率化にも有用です。
やらなくていい残業を減らせれば、従業員の満足度の向上や会社への愛着心が生まれてくることも期待できるでしょう。
仕事とプライベートが充実する
これまで、多くの日本企業では、残業が常態化し、残業することが美徳とされていました。しかし、タイムマネジメントのフレームワークが確立され、従業員の理解度がより深まれば、作業効率の改善が見込めます。
その結果、従来は作業に充てていた時間をプライベートに使えるようになるかもしれません。
家族や趣味に時間を使ったり、自身のキャリアアップやスキルアップにあてたりできます。時間の有効活用ができれば、仕事とプライベートの両立による好循環を生み出せるでしょう。
タイムマネジメントの方法と手順
一度、タイムマネジメントの概念を定着させられれば、空いた時間で「計画通りに進行しているか」や「時間配分は適切か」など、適正にタイムマネジメントを行えているかを振り返る時間が作れます。
タイムマネジメントを定着させるための方法と手順を見ていきましょう。
①業務の可視化
はじめに行うべきは、普段、取り組んでいる業務をロジックツリーやブレインストーミングなどを使って洗い出し、可視化することです。
たとえば、ロジックツリーを使う場合、課題解決を考える方法として以下の4つがあげられます。
- Howツリー(問題解決)
- Whyツリー(原因追求)
- Whatツリー(要素分解)
- KPIツリー
課題が可視化されるため、アイデアや実行可能な要素を短時間で集め、対策へつなげていくことが可能です。
一方、ブレインストーミングでは課題に対して集団で意見を出し合い、自分では考えつかないようなアイデアをできるだけ多く集めていきます。
他人のアイデアを否定せず、質より量を重視することで新しいアイデアが生まれるかもしれません。
このような手法を使い、いま本当にやるべきことが具体的に洗い出されていきます。ポイントは、多角的要素から業務の抽出を行うことです。
②優先順位をつける
業務の洗い出し・可視化ができたら、次に業務の緊急度や重要性をつけていきましょう。このとき用いるのが、タスクを4つに分解する「アイゼンハワーマトリクス」です。
アイゼンハワーマトリクスは、時間管理のマトリックススで優先順位を判断するためのフレームワークとして多くのビジネスシーンで使われています。
以下、4つの領域を確認してみましょう。
- 第Ⅰの領域 緊急度・重要度とも高い業務
- 第Ⅱの領域 緊急度は低いが重要度は高い業務
- 第Ⅲの領域 緊急度は高いが重要度は低い業務
- 第Ⅳの領域 緊急度・重要度とともに低い業務
緊急度の高い領域から取り組み、優先度が低いものについては見直すことで、タスクを効率よく回すことができます。
③目標設定
重要な要素を抽出し分類できたあとは、具体的な目標や期限ごとに設定する段階です。その際に有効なのが「SMARTの法則」です。
SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドランによって1981年に提唱された目標設定方法のことです。以下、目標達成に不可欠な要素の頭文字5つをとって構成されています。
- Specific(明確性/具体性)
- Measurable(計量性)
- Assignable(割当設定)
- Realistic(実現可能性)
- Time-related(期限設定)
タスクごとに5つの構成に設定することで、より効果的にタスクを可視化できます。1点、意識しておきたいのが、タスクが5つの構成要素のすべてを満たす必要はないということです。
SMARTの法則は、目標達成やタイムマネジメントを遂行するためのツールに過ぎません。活用する際は、どの要素を取り入れるべきかを判断して、目標設定するようにしましょう。
フレームワーク「SMART」について、詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
参考:目標設定のコツと具体例を紹介! 定番フレームワーク「SMART」も解説
④時間を見つけて振り返る時間を設ける
ここまでの工程を終えたら、あとは実行に移していきましょう。
しかし、単純にタイムマネジメントを実行して終わりではなく、効果測定のために振り返る時間をかならず設けて、浮き彫りとなった課題を可視化しましょう。
「計画通りに進行しているか」や「時間配分は最適か」など、これまでの作業工程と比較して進捗状況を比較していきます。想定通りに業務が完了していない場合は、必要に応じて軌道修正することも大切です。
⑤まとめて「処理」する時間を作る
タイムマネジメントは、目標に向けて優先度を設定したあとは、効率的に仕事に取り組む手法です。しかし、タイムマネジメントを導入したことで、優先度の低いタスクがおろそかになる可能性があります。
ビジネスを行う上では、いかなる業務内容もおろそかにすることはできません。タイムマネジメントによって捻出できた時間は、優先度の低いタスクの処理にあてることも考えましょう。
タイムマネジメントを取り入れる際の注意点
タイムマネジメントを取り入れる際の注意点について解説します。タイムマネジメントの導入で、各業務が機械的になってしまっては意味がありません。
以下のポイントに注意して導入していきましょう。
タイムマネジメントは無理なく実現可能な範囲で行う
タイムマネジメントを取り入れる際は、完璧なスケジュールを目指す必要はありません。中間目標や最終目標までの重要な節目などに重点を置きましょう。
業務全体に悪影響が及ばぬようなスケジュールを立て、突発的な問題が起きたときでも対応できることが大切です。
感覚や直感で重要度を決定しない
個人の経験や直感に頼った時間管理だったり、タスクの重要度を決定したりすることは避けましょう。
タスクの抽出方法や緊急度、優先度、目標設定の方法など、各工程で誤った判断をした場合、本来のタイムマネジメント運用とは異なる結果となってしまう可能性があります。
それを避けるためには、マトリックスやSTMARTの法則などを用いて論理的に可視化することが重要です。その結果、生産性を上げる行動につなげられます。感覚に頼った決定方法ではなく、基本に忠実な方法でタイムマネジメントを導入しましょう。
「目標を立てること」を目標にしない
タイムマネジメントを取り入れる際、目標を立てることを目標にしないようにしましょう。
本来は目標設定を行い、細分化していくことで具体的な要素が見えてきます。さらに、優先順位をつけたあとは、成果をあげるために実行していくのが目標です。
たとえば、「1ヶ月で100件新規訪問する」と決めた場合、1日に何件、訪問するのか、達成するための回り方をどう決めるか、などを細分化していきます。
しかし、「目標を立てること」を目標にしてしまうと、「1ヶ月1,000件新規訪問する」という現実的ではない目標を立ててしまうことになりかねません。目標を立てる際は、細分化して見たときに実現できるかという判断も必要でしょう。
具体的なタスクのマネジメントも忘れずに行う
タイムマネジメントは、行動や時間を管理する手法であると同時に、タスクを効率よくまわすタスクマネジメントでもあります。
そのため、本来の目的である業務効率の改善や生産性向上だけにフォーカスするのではなく、具体的なタスクマネジメントも忘れないようにしましょう。
タスク管理の具体的な方法や導入するポイントについて知りたい方は、以下の内容を参考にすることをおすすめします。
参考:営業に最適なタスク管理とは?部署や業務に最適なツールをご紹介
タイムマネジメント研修で意識改革
社員には一人ひとり個性があり、タスク処理のスピードや優先度を判断する力は異なります。社内全体のヒューマンパワーを底上げしたいと考えている場合、タイムマネジメント研修を行うことで、安定した成果を得られるかもしれません。
すでにタイムマネジメントの考え方を身につけている社員もいる中で、一人ひとりの力にバラつきが出る場合、成果につながりにくくなるでしょう。
力のバラつきを改善する考えとして、社内でタイムマネジメント研修を取り入れるのもひとつの方法です。企業全体で一人ひとりのタイムマネジメント能力が向上すると、根本的な働き方が改善され、企業に吹く風もポジティブな方向へ変わっていくことでしょう。
タイムマネジメントで生産性向上を実現
企業が業務効率化や生産性向上を目指すためには、従業員一人ひとりのタイムマネジメントが不可欠です。ぜひ本記事で紹介した導入方法やフレームワーク、注意点を、自社の業務改善にお役立てください。
営業ラボでは、企業の営業力向上に役立つさまざまなノウハウを提供しています。業務のムダを削減し、マネジメントの質を向上させたい方は以下の資料も参考にしてみてください。